もしもカカロットが幻想郷に落ちていたら   作:ねっぷう

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第222話 「侵食のデストロンガス」

ブロリーたちは、村のナメック星人たちに教えてもらった、デストロンガスが特に充満している場所へと向かった。確かに、その場所に近づいてゆくにつれて、枯れた周りの草木の数が増え、ついには一面茶色い大地へと変わり果てていた。

 

「ひどいな…」

 

「ああ…」

 

「ここ最近は何度も見てきた光景だ…この辺に装置があるはずだが」

 

ジャコがそう言うと、ブロリーとスカッシュは地面に降り立った。枯れた草がパリパリと音を立てて割れ、生臭い風が心地悪く頬を撫でた。

するとその時、ブロリーは少し離れた場所に見える岩山を見た。一見すると何の変哲もない岩山だが、何か違和感がある。ブロリーはそれにゆっくりと近づいていく。ブロリーのあとをついてきたスカッシュが、岩の表面に走る裂け目の中を覗こうと先に顔を近づけた。

 

「うおっ!ゴッホ!!」

 

その瞬間、裂け目の中から紫色の空気がプシューっと吹き出してきてスカッシュの顔を覆った。スカッシュはすぐに顔を離し、激しくせき込んだ。

 

「な、なんなんだこりゃ…」

 

「ブロリー、どうやらこの中にデストロンガス装置があるようだ」

 

「ああ…」

 

ブロリーはジャコに言われてそう呟くと、静かに拳を構え、直後に素早く打ち出した。

拳は岩山に激突することなく、その寸前で静止するが、それによって発生した拳圧による衝撃波が岩山を粉々に吹き飛ばしてしまった。岩の残骸のみが遥か彼方へ飛んでいき、その場には奇妙な形をした赤い機械だけが残った。

 

「これがデストロンガス装置とやらか」

 

その装置は内部に高度なコンピューターが内蔵されており、絶えずガスを噴き出して発生させ続けていた。

 

「ブロリー、破壊してしまえ!」

 

その異様さに気圧されて生唾を飲み込んだジャコが、ブロリーにそう命じた。ブロリーはやれやれと言った様子でもう一度拳を構える。

 

「そうはさせるか、サイヤ人…!!」

 

しかし、ブロリーが拳を放とうとした瞬間、彼の背後の地面から声が響くと同時に、その地中から2つの紫色のエネルギー弾が飛び出してきた。

それは一旦は空中に高く上がるが、すぐに向きを変えて下にいるブロリーを狙って飛んでくる。ブロリーは目を細めてそれを見切ると、一発目を後へ飛んでかわし、もう一発を手で弾き飛ばす。エネルギー弾は遠くの海の上に着弾し、大きな水しぶきを上げた。

 

「誰だお前は!」

 

「俺は…このデストロンガス装置を守護する者だ」

 

エネルギー弾が飛び出してきたことによって空いた地面の裂け目から丸っこい物体が姿を現す。それは凶悪な顔面のついた果物のオレンジのような丸っこい見た目の怪物で、そこから手足と長い尻尾が生えている。

 

「なんだテメェ…このアタイがぶっ飛ばしてやる!ハアアアアアアア!!」

 

苛立ちながらも好戦的な笑みを浮かべるスカッシュが前に出て、一気にその怪物に向かって飛びかかった。

 

バキッ!

 

「うぎゃあっ!」

 

しかし、そう間抜けな悲鳴を上げて盛大にぶっ飛ばされたのは、スカッシュの方だった。逆にオレンジの怪物は向かってくるスカッシュを蹴り飛ばし、地面と水平に吹き飛ばしたのだ。ブロリーほどではないにしろ、新人にしては銀河パトロールの中でもそれなりの戦闘力を持つスカッシュが一撃でやられたのを見てジャコが驚いている。

 

「スカッシュ…!ぬうううう…ウオオオオッ!!」

 

その瞬間、ブロリーは全身の気を高めると周囲にぼんやりと緑色のオーラが漂い始める。その髪は軽く逆立ち、瞳は黄色く変色している。”怒り状態”へ移行したブロリーは怪物に殴りかかり、怪物はその拳を受け止める。

 

「ヌウウウウウウウウウ…!」

 

「ふっふっふ…!」

 

なんと、怪物は怒り状態のブロリーと組み合ってもなお余裕を保っていた。そしてだんだんとブロリーを押し返していき、ブロリーの両足は地面にめり込み出す。

 

(なんだコイツ…!そこまでの気は感じられないのに、まるで力が及ばん…!)

 

怪物は気味の悪い顔でニヤニヤ笑いながら、ブロリーを地面で押しつぶそうとのしかかってくる。ブロリーの上半身が後ろに反れ、後頭部が地面に触れる。

 

「…デアアアッ!!」

 

しかし、ブロリーもこのままやられるわけではない。短い雄叫びと共に全身から金色のオーラを解き放ち、超サイヤ人へと変身を遂げた。

 

「なっ!」

 

急激に跳ね上がったパワーに驚く怪物の隙を見て、両足で蹴りを繰り出して怪物を上空へ吹っ飛ばす。そして片手を掲げ、そこから必殺の巨大エネルギー弾を放とうと気を込めた。

しかし、一度作ったはずのエネルギー弾は手から離れた瞬間にポッと消滅し、不発となってしまう。

 

「何故だ…気を放出できない…!?」

 

ブロリーが困惑しそう呟いた瞬間、いつの間にか高速で迫っていた怪物のパンチが顔面に命中した。

おかしい…。超サイヤ人に変身できたはいいものの、その本領を全く発揮できていないような気がする。確かに、この不気味な怪物は一筋縄ではいかないほど、そしてかつてのあのフリーザに匹敵するかもしれない程の戦闘力を持っている。だが、超サイヤ人に覚醒し、さらにクウラをも倒し、その後も戦闘を重ねてずっと強くなったはずの自分が押されているのはあり得ない。

 

(そうか…わかったぞ)

 

ブロリーは怪物の猛攻を防ぎながら、デストロンガス装置を横目で見た。

あのガスは生命を蝕んでゆく。その生命とはブロリーも例外ではなく、おそらくこの星に降り立った瞬間から知らず知らずのうちに肉体を侵食されて思うように気を引き出せないでいるのだ。だから先ほどのようにエネルギー弾を放つことはできないし、この怪物に劣るほどに、ガスによって弱体化してしまっているのだ。

 

「どうしたサイヤ人!お前の力は、そんなものか!?」

 

怪物はそう言葉を吐きながら、ブロリーの顔面に膝蹴りを繰り出す。だが、ブロリーはキッと前を睨んで顔を上げるとその膝を掴んで受け止めた。

 

「いいや、まだこんなもんじゃないさ」

 

その瞬間、ブロリーを中心にして波紋状に緑色のオーラが広がったかと思うと、今度はその全てがブロリーに集約されていく。そしてブロリー自身の内側から爆発するようにその気が解き放たれ、髪はさらに鋭く逆立ち、全身の筋肉が以前の倍以上に膨れ上がる。ブロリーは伝説の超サイヤ人と化した。

直後に怪物の足を掴んだまま振り回し、地面に叩きつける。

 

「ぎゃああああああ…!!」

 

怪物は悲鳴を上げ、背中で地面を大きく砕いた。そして今度は空中へ空高く投げ飛ばされ、それを追ってブロリーも空へ飛び上がる。拳に緑色のエネルギー弾を作り出し、その拳で怪物の顔面を思いきりぶん殴る。さらにその場で即座にエネルギー弾を手から離すことなく0距離でさく裂させ、その怪物を粉々に消し飛ばした。

 

「うおおおあああああああ…!ククッ、これで終わりだと思うなよ…残る3つのデストロンガス装置の番人が、俺のように倒せるとは思うなよォ…!」

 

「ふう…」

 

パラパラと焦げた怪物の欠片が降り注ぐ中、ブロリーは地面に降り立った。

丁度その時、ジャコが遠くにぶっ飛ばされて怪我を負ったスカッシュをおぶって運んできた。ジャコは降りてきたブロリーの圧倒的な姿を見て驚いた。

 

「ブロリー…お前、その姿は…?」

 

「超サイヤ人というやつだ」

 

「超サイヤ人…ただの伝説だと思っていたが、その姿と今の戦いを見せられては信じるしかないのか…」

 

「まあ、この装置を破壊しよう。そうすれば、この辺りは息を吹き返す…そうだったよな?」

 

「あ、ああ…」

 

ブロリーはジャンプし、デストロンガスを発生させている装置を踏み抜き、破壊した。装置は爆発を起こし、内側からバラバラになった。

 

「しかし、さっき敵が言った事がでまかせではないとしたら、この星のデストロンガス装置はあと3つはあるということか…」

 

「ああ、一刻も早く全ての装置を破壊してこの星を救ってやろう」

 

 

 

 

「よくやった、サイヤ人…いいや、ブロリー」

 

「ふっふっふ…そうこなくっちゃ。オレたちの怨念を晴らすためには、こんなところでやられてもらっちゃ困るんだよ」

 

そのブロリーたちの様子を、離れた空の上から観察するふたつの姿があった。彼らは静かにそう言うと、その身体を煙のように分散させてその場から消えていった…。

 

 

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