もしもカカロットが幻想郷に落ちていたら   作:ねっぷう

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第224話 「長い夢」

(一体どうなっているんだ…!あのフリーザとクウラは倒しても倒しても復活する…。どうすればいい…!?)

 

ブロリーは、さらなる進化を遂げた形態へと変身したフリーザとクウラの放つ圧倒的な闇のオーラをその身に受けて、冷や汗をかいた。波のように体にぶつかってくる気は冷たく重々しく、この世のあらゆる不吉を凝縮したような恐ろしさだった。

悪夢がよみがえる。フリーザはここナメック星でターレスを初めとしたサイヤ人の仲間たち、そしてピッコロらをいとも簡単に殺害し、地球での決戦においてはあのカカロットと霊夢がその命を燃やして戦わなければ勝てなかった。クウラはそのフリーザを凌駕する実力を持ち、自分を一度は死の縁にまで追いやった。

 

「はははは!恐怖して声も出ないか?」

 

「絶望に身をすくませながら、オレたちに八つ裂きにされるがいい…」

 

フリーザは両手の指先を前へ突き出し、その指から計10本のレーザー光線を放った。ブロリーは咄嗟に後ろへ飛んでそれを躱そうとするが、何本かの光線がその身体を掠った。鮮血が飛び、地面が赤くなる。

 

「くっ…!」

 

「後ろもよく見てみろ」

 

その時、ブロリーの背後に現れたクウラは回し蹴りを繰り出し、振り向いたブロリーの顔面に命中させた。すかさずブロリーの腕を掴み、振り回して投げ飛ばす。その先に現れたフリーザの肘にブロリーは激突し、さらに両手を合わせて放った拳の打撃を受けて地面にぶつかって大きくめり込む。

 

「ごふ…ッ!」

 

 

「やべぇ…ブロリーが負けそうだ。あれじゃたとえ万全の状態でも勝てそうにねぇな…!」

 

「くっ…!あれがフリーザのパワーか…」

 

スカッシュとジャコはブロリーが戦う様子を見ながらそう言った。

 

 

「ふははははは!無様だなサイヤ人!」

 

クウラは倒れたブロリーの頭を踏みつけながら高らかに笑った。ブロリーは起き上がろうと抵抗してもがくが、やがて力も弱くなり、普通の状態へ戻ってしまう。そのままブロリーは気を失い、その場で動かなくなる。

 

「トドメはオレがさす、だから下がっていろフリーザ」

 

「何を言うアニキ…オレがコイツを殺す。オレがどれほどコイツに長く屈辱を味わわせられたか知らんだろうに」

 

フリーザは、ブロリーの息の根を止めようとするクウラに掴みかかった。クウラも負けじとフリーザの腕を掴み、ふたりは仲間割れをしていがみ合っている。

 

 

「アイツら、仲間割れか…今のうちならブロリーを助けられる!」

 

そう言うと、スカッシュは急いでブロリーの元へ向かう。

 

 

 

 

 

 

────────────────

 

────────

 

 

 

我が息子たちよ…子を作り増やし続けなさい

 

我の血を絶やしてはなりません

 

我が後生においても、大猿の巨体でこの宇宙を支配し

 

我がサイヤの民族は永久に君臨し続けるのです。宇宙が尽きない限り、永遠に…──

 

 

 

 

 

 

「お前たちはゴースト戦士だ!実態を持たない幽霊に過ぎない!!」

 

その時だった。ふと目を覚ましたブロリーは、目だけを彼らへと向け、そう叫んでいた。その目はブロリーのものではなく、まるで全く別の何者かが内に潜んでいるかのように感じられた。

幽霊…そう正体を看破されたクウラとフリーザは唖然とした顔で口を開け、冷や汗をかき、その場からじりじりと後ずさっていく。

 

「な…なぜ…」

 

「それがわかった…?」

 

「今だ!」

 

ブロリーは向かってきていたスカッシュの方に向き、そう叫んだ。スカッシュは何の事だか分からなかったが、何故か突然クウラとフリーザが苦しみ出したのに気が付くと、ふたつのエネルギー弾を作り出し、自分の目の前へ浮かばせた。そして腕を振りかぶり、連続してその2発の球を殴って発射した。

 

「ぐえ…!」

 

気弾はぐんぐんと大きくなりながら向かっていき、それぞれクウラとフリーザに激突すると彼らを包み込んでいく。

 

「だ、だがこんなものではない…!オレたちの復讐はまだ…終わっていない…!!」

 

クウラが最後にそう言い残すと、ふたりは灼熱のエネルギーに包まれ、その中で溶けるようにして消滅してゆく。やがて光はおさまるが、そこではもうふたりは先ほどのように煙になって復活することは無かった。

 

「ブロリー!大丈夫か?」

 

「ああ…」

 

スカッシュはブロリーに駆け寄り、その肩を貸してやる。ブロリーはゆっくりと立ち上がり、口の中に残っていた血を吐き出した。

しかし、とりあえずクウラとフリーザは撃退したというのにムーリの家の屋根に置かれているデストロンガス発生装置を守るバリアーは消えておらず、未だに健在だった。

 

「フリーザどもが急に苦しみ出して弱くなったからアタイの攻撃程度でも倒せたんだろうが…アンタ、よく奴らの正体が幽霊だってわかったな?」

 

「…気を失った時、とても長い夢を見ていた気がするんだが…」

 

「…夢?」

 

「ああ。ハッキリとは思い出せないが…見知らぬ場所で見知らぬ誰かが、俺に教えてくれたんだ。アイツらは本物のフリーザやクウラじゃない…彼らの怨念を集めて作り出された偽の戦士に過ぎないって…」

 

「…そりゃ病気だな、正気じゃないよ」

 

「かもな…」

 

ブロリーがそう言いかけた時、彼はハッと何かに気付いたように空を見上げた。

 

「どうした?」

 

「誰かいる。ゴースト戦士や怪物じゃない…この気は…」

 

「おや、気付かれてしまったようだ」

 

そう言いながら建物の影から現れたのは、ナメック星人の青年であった。笑顔こそ見せているが、その顔つきは厳しく、まるで何百年も生きてきたかのような風格が感じられた。

 

「君は何だ?この村の者か?」

 

「ええ、私はこの村に住むナメック星人です。あなた方の事ももちろん知っている。ブロリーにスカッシュ…それに銀河パトロールのジャコもだ」

 

ブロリーはスカッシュと顔を見合わせる。

 

「他のナメック星人はこの村以外の安全な場所へ一時的に避難しています。1時間ほど前にこの場所にあの装置が運び込まれ、私が避難させたんだ」

 

「そうか…よかった、彼らは生きているんだな…」

 

ブロリーは安堵の声を漏らす。

 

「私の名は…ピッコロといいます」

 

「ピッコロ…?そ、それは昔の仲間の名前だ…まさか!君はあのピッコロの…」

 

「そう、私はかつてこの地でフリーザに殺害された、ピッコロ大魔王が死の間際に生み出した息子。長らく正体を伏せながらこのナメック星で暮らしていたのです」

 

ピッコロ大魔王はこのナメック星に訪れ、フリーザと戦った。だが次々と姿を変え強さを増していくフリーザには及ばず、敗北してしまう。そしてカカロットを一撃で倒すまでにパワーを解放したフリーザによってピッコロは一撃でやられてしまったのだ。

だがその時、命が尽きる寸前に自分の全ての力と能力を込めた子供を生み出すことに成功していたらしい。

 

「だったら…君はドラゴンボールを作り出せるのか?」

 

と、ブロリーはまず最初に思った事を問いただした。ピッコロは目を細め、見つめ返す。

 

「作れます。父はドラゴンボールの作り方を忘れていたが、当時の最長老と同化したことでその作り方の記憶を引き継ぐことができた。ネイルという戦闘型のナメック星人のパワーも受け継いだ…そしてそれは息子である私にも継がれている。しかし、私は二度とドラゴンボールを作ることは無いでしょう」

 

「何故だ?君がドラゴンボールを作れば、数年前にフリーザたちに殺された多くの戦士を蘇らせることができる」

 

「ドラゴンボールは争いと災厄の種です。あれが存在する限り、それを求める者が殺し合いを繰り返し、そのループは終わらない…だから私は二度とドラゴンボールを作りません」

 

そのピッコロの言葉には、その内に宿る地球の神、そして最長老の遺志も含まれていた。ふたりのドラゴンボールの創造主が、ピッコロというナメック星人の肉体を借りてそう宣言しているかのようだった。

 

「…そうか、俺もそう思う」

 

ブロリーが納得した様子を見せると、ピッコロは一息置いてから再び口を開く。

 

「さて、本題に入りますが…あの装置がバリアーに守られて壊せない以上、装置の本体を叩くしかありません。私はこれを伝えに来たのです」

 

「本体だって?」

 

「ええ。あのゴースト戦士のフリーザたちを生み出し、怪物たちにデストロンガス装置を運ばせた張本人を倒すんです。サイヤ人であるブロリーさんなら、心当たりはありませんか?サイヤ人に対して強い恨みと憎しみを持つ存在を…」

 

「いいや、悪いが無いな…。サイヤ人が侵略してきた星の数は幾千にも及ぶという…誰がサイヤ人を嫌っていても不思議じゃない」

 

「そうですか…。でしたら教えてあげましょう。この一連の騒動の黒幕はツフル人の科学者…ドクター・ライチーという者の仕業です」

 

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