もしもカカロットが幻想郷に落ちていたら   作:ねっぷう

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第225話 「暗黒惑星へ」

その昔、サイヤ人の故郷である惑星ベジータは惑星プラントと呼ばれ、そこでは高度な科学文明を築いたツフル人という民族が暮らしていた。ところがある時、プラント星に原始サイヤ人たちを乗せた宇宙船が漂着しツフル人に救いを求めた。

ツフル人はサイヤ人にプラント星で生活することを認め、ふたつの民族が共に暮らし始めた。そして、戦闘民族であるサイヤ人は驚異的な繁殖スピードで数を増やし、いつしかツフル人に勝るとも劣らない優秀な頭脳を持った男を生んだ。後に「ベジータ王」、「ベジータ三世」と呼ばれるその男はサイヤ人を指揮し、ツフル人たちに反旗を翻し、ツフル人を滅ぼした。それ以来、惑星プラントは惑星ベジータと改められサイヤ人の星となった。

 

 

「…ツフル人は滅びる間際に、サイヤ人に対抗する多くの手段を残したとされています。おそらくそのうちのひとつがデストロンガスやゴースト戦士を作り出す本体であるのでしょう」

 

「だが、いくらサイヤ人が酷い事をしたとはいえ、他の星や人間を巻き込むその根性が気に入らねぇな…」

 

ピッコロの話を聞き終えたスカッシュが唾を吐きながらそう言った。

 

「確かに、ツフル人のサイヤ人に対する憎しみはよく理解できる…しかし、他人を巻き込むのはよくないよな。だから俺はその怨念の糸を断ち切る。敵の本拠地へ乗り込もう」

 

「へっへっへ、その言葉を待ってたぜ」

 

「敵の本体、つまりライチーは…暗黒惑星という星に居るでしょう」

 

「暗黒惑星?どこにあるんだそれは」

 

「宇宙の墓場と呼ばれる障流域が存在し、そのどこかにある星と言われています」

 

とその時、ブロリーたちの元にジャコがやって来た。

 

「お前はその情報をどこで知ったんだ?」

 

ジャコはピッコロに対してそう言い放つ。

 

「ジャコ…」

 

「確かに、宇宙の墓場という場所は存在する。が…実はお前もそのライチーが作り出したゴースト戦士で、ウソの情報を私たちに教えているっていう可能性を否定できるか?」

 

「な、なにを言っているのです…私はただ…」

 

「ブロリー、君たちも少しは疑うべきだ。怪しすぎるだろう…ナメック星人が無事に避難したというのもコイツが口で言っただけだ、虚偽かもしれない」

 

「…確かに、私の言う事を信じられないのも無理は無い…それは分かります。ですが、私はこの事実を”銀河王”から聞いたのです」

 

「えっ、銀河王さまから?」

 

ジャコは驚いた表情を浮かべる。それもそのはず、銀河王とはジャコやスカッシュの所属する銀河パトロールを動かすトップの存在であるからだ。

 

「かつて私と同化した最長老は銀河王との面識がありました。なので、私と銀河王はテレパシーを通じて会話することができます」

 

ジャコは一歩下がり、腕を組んで上を見上げながら唸る。

 

「…分かった、銀河王さまの名前で騙りを働く不届き者はいない…仕方がない。銀河パトロールの総力を挙げて一刻も早く向かうか、暗黒惑星へ」

 

「だったらピッコロも一緒に連れていこう」

 

と、ブロリーが提案した。

 

「え?」

 

「もしもこれが罠だったら、俺がコイツを始末する…いいな?」

 

 

 

 

 

「あれが宇宙の墓場か」

 

ブロリーは宇宙船の窓から、外に広がる光景を見た。そこでは滅びた惑星の破片と思われる巨大な岩石や、かつては星の文明を担っていたであろう機械のゴミや、生物の巨大な骨など、様々な物体が浮かんでいる。

 

「ここは宇宙中のゴミや活動を終えて滅んだ惑星の成れの果てなどが流れ着く場所だ」

 

と、ジャコが言った。彼の要請により、銀河パトロールのほとんどの戦力がここへ集結していた。計4隻の大型宇宙船に、このブロリーの宇宙船を含めた小型の船が10隻以上だ。

 

「む、どうやら暗黒惑星を発見したようだぞ」

 

ジャコが指差す方向に見えてきたのは、まるで日食の際のように真っ黒な星だった。

だが、その時…。窓の向こうから見える暗黒惑星が少し光ったかと思うと、雷のような光線がこちらへ向かって伸び、宇宙船にぶち当たった。

 

「うわああっ!!」

 

船が激しく揺れ、部屋の赤いランプが灯され警戒音が鳴り響く。

 

「暗黒惑星の攻撃か!」

 

「どうすんだ、この宇宙船じゃあれを何発も耐えるのは無理だぞ!」

 

スカッシュがそう叫んだ。再び暗黒惑星が光り、次の雷を飛ばした。

しかし、突然雷とこの宇宙船の間に、銀河パトロールの大型船が割り込んだ。大型船は雷の攻撃を受けても全くビクともせず、逆に反撃の光線を撃って雷を相殺した。

 

「我々銀河パトロールの保有する船があの程度でおしゃかになる訳がないだろう。我々が暗黒惑星までの道を切り開く…ブロリーたちは直ちに惑星へ降り立ち、敵本体を叩け」

 

ジャコがそう言うと、周囲の宇宙船がこの宇宙船を取り囲うような陣形を取り、前へ進み始めた。

 

「ジャコ…!」

 

「ジャコ…アタイはアンタの事見直したぜ!」

 

「勘違いするなよ!じょ、上官たちが見ている前で民間のブロリーと新人のお前に何かあったら、私が責任を問われることになるからな!」

 

 

銀河パトロールは暗黒惑星からの攻撃をものともせずに宇宙の墓場を進んでいく。そしてついに、ブロリーたちは暗黒惑星の地表へとたどり着いたのだった。

 

「ここが暗黒惑星か…」

 

「陰気なところだな」

 

「感想を言っている場合か!見ろ、敵のモンスター共が星に侵入した我々を始末しようと襲ってくる!」

 

目の前には、こちらに向かってくる大量のモンスターたちの姿があった。ナメック星で戦ったような、怨念で作り出された怪物たちだ。

ブロリーは怒り状態に変身した。黒髪が逆立ち、眼は黄色く変色している。右手に気を込めながら振りかぶり、作り出した無数の粒のような気弾を薙ぎ払うように投げ飛ばした。

たったそれだけで前方の敵はあらかた消し飛び、モンスターを迎え撃とうとしていた銀河パトロールたちは唖然としてブロリーを見た。

 

「俺はライチーの元へ急ぐ…君らはここで怪物たちを食い止めていろ」

 

「あ、ああ…」

 

「スカッシュとピッコロは俺と一緒に来るんだ。いざって時に俺がいれば守れる」

 

「ぐえっ」

 

ブロリーはスカッシュとピッコロをわきに抱えると、猛スピードで飛行しライチーの元へ急いだ。

 

(遠くない場所に、さっきのゴースト戦士とそっくりな気を感じる…これがライチーに違いない…!)

 

ブロリーがそう思ったのは間違いではなさそうだった。すぐに目の前にいびつな外観の宮殿のような建物がそびえているのが見えてきた。きっとあそこがライチーの根城となっているのだろう。

ブロリーは勢いのままに宮殿の壁を破壊して内部に入り込んだ。中は暗く、石の柱が無数に伸びているがそれは天井や壁を支えるためのものではなく、途中で終わっている。また奥に見える幅の広い階段はどこに続くでもなく、ただ天井に当たっているだけ。壁でも何でもないところに立ったドアなど…。

 

「なんだこりゃ…変なもんばっかりだ」

 

「”トマソン”…その集合体のようなものですね」

 

と、ピッコロが呟いた。

 

「トマソン?なんだそれは」

 

「役に立っていない建物の一部のことです。おそらく、この暗黒惑星も、そしてこの宮殿ももとは宇宙の墓場を漂うただの役に立たないもの…つまりゴミだったのかも…。だとすれば、この暗黒惑星を本拠地とするライチーもまた…」

 

「…まあ、悪趣味な野郎だってのはわかったよ。ブロリー、さっさと行こうぜ」

 

「ああ…」

 

「それはさせんぞ、サイヤ人」

 

その時、何者かの声がこだまするように響いた。

 

「来たか…フリーザ、クウラ…」

 

ブロリーが見上げると、柱の上にあのフリーザとクウラが立ってこちらを見下ろしていた。ふたりとも、この間ブロリーを打ち負かしたときの第四形態でのご登場だ。

 

「ここまでキサマらを招き入れてやったのは、役に立たないトマソンの立ち並んだこの場所を墓場にしてやるためだ」

 

「宇宙のゴミと呼ぶに相応しいサイヤ人として葬り去ってやるわ!」

 

ふたりは一斉に柱を蹴り、ブロリーに向かってくる。最初にクウラは飛び蹴りを仕掛け、ブロリーはそれを防ごうと意識を向ける。だが、背後からフリーザが回り込んでいるのに気付いたブロリーはクウラの蹴りを殴ってはじき返しつつ、後方へ蹴りを放ってフリーザの腹にめり込ませた。

 

「ぐっ…!?」

 

「コ、コイツ…強い…!」

 

「サイヤ人は死の淵に陥るたびに強くなって蘇る…なめるなよッ!!」

 

ブロリーは伝説の超サイヤ人へ変身を遂げると、クウラを殴り飛ばし、それを上回る勢いでフリーザを投げ飛ばしてふたりを空中で衝突させる。ふたりはそのままぶっ飛んでいき、遠くの壁に激突した。そこを中心に巨大なクレーターが広がり、その中心に囚われたまま動けない。

 

「ど、どけ…フリーザ…」

 

「ぐぐ…!」

 

ふたりが脱出しようともがいている間に、ブロリーは両手の中に気を込めていた。その両手を腰の横にまで引き、さらに大きくさせて構える。

 

「今度こそあの世へ還れ…!」

 

そして、それを一気に巨大な放射状の気功波として放った。それは壁に囚われたままのフリーザとクウラを一瞬で飲み込んでしまう。

 

「ぐぎゃあああああああ…!!」

 

既にブロリーに正体を看破されているふたりは、先ほどの戦闘と同様に復活することなくチリとなって消滅した。

 

「ライチーがいる限り、また奴らは来るだろう。だが敵はすぐそこだ、行こう」

 

 

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