もしもカカロットが幻想郷に落ちていたら   作:ねっぷう

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第274話 「スーパーメガキャノンΣ」

スカッシュはメガキャノンΣによって捕らえられ、ナットと名乗るマシンミュータントによってどこかへと連れていかれてしまった。それを追おうとするブロリーだが、目の前に残りのメガキャノンΣたちが立ちふさがった。

 

「マシンミュータント…思い出したぞ」

 

ブロリーはそう言った。

 

「この惑星コーグを侵略していた機械生命体だな…?この星の住民をどこへやった?」

 

「貴様が知ったところで意味がない…が、特別に教えてやろう。確かに、かつて我々マシンミュータントはこの惑星を侵略していた。何度も迎撃され、兵力も大分少なくなっていたが…何とかこの星を攻め落とし、マシンミュータントのための星、”惑星M2”となったのだ。今では、我々マシンミュータントがこの星の住民だ」

 

「何…!?」

 

「さて、お喋りはここまでだ。我らM2戦闘コマンドー、メガキャノンΣの実力を見せてやろう」

 

ネージが上に飛び上がると、その背後からリベトとビースが猛スピードでブロリーに迫る。リベトはボディの下部から噴出するジェットを器用に使ってブロリーの四方八方から攻撃を仕掛ける。ブロリーはそれを的確に防ぎ、カウンターを放つ。

が、リベトが後ろに下がると、今度はビースがブロリーの前に立ちはだかる。その巨体と強固なメタルボディはブロリーの攻撃を全く寄せ付けることなく、腕を振るった一撃で逆にブロリーをぶっ飛ばした。

隊長のネージは、少し離れたところから腕を組んでその戦いの様子を観察していた。顔にある目にあたる部位が目まぐるしく点滅し、何かを記録するかのように、ジーという音が響いている。

 

 

 

一方、気を失ったスカッシュを連れたナットは、街の中心で空高く聳えたつ銀色の塔のような建造物にやって来ていた。金属同化能力を使って壁から内部へ侵入し、そのまま中央部の一室に足を踏み入れる。

 

「侵入者の内1名を生け捕りにして参りました…リルド将軍」

 

ナットの視線の先には、大きなモニターを前にして椅子に腰かける男の後ろ姿があった。男は椅子をゆっくりと回転させ、こちらに振り向いた。

 

「ご苦労だった、ナット」

 

リルド将軍と呼ばれたその男は、筋骨隆々な体格で、一見すると普通の宇宙人のようにも見える。しかし、その目には黒目を中心に十字のラインが走り、頭には金髪をオールバックにしたかのような見た目のメカパーツが取り付けられ、耳からはネジのようなピンが飛び出し、胸や腕といった箇所にも機械のような意匠が見える。

ナットは、リルドの傍に控えていた科学者タイプのマシンミュータントにスカッシュを引き渡すと、リルドに対して頭を下げる。

 

「もうひとりの男の方も、すぐに捕らえて参ります」

 

「わかった。期待しているぞ、メガキャノンΣのパワーを」

 

「はっ!」

 

ナットは再び金属同化能力を使って壁に潜り込み、この場を後にするのだった。

リルド将軍は椅子を回してモニターに向き直り、そこに映されたブロリーとメガキャノンΣの戦いを見る。しかしその時、リルドの目の前のコンピュータが通信を受け、リルドはそれを受信した。

 

「リルドよ。惑星M2の侵入者はどうなった?」

 

その声と共に、ある人物の姿が机の上に浮かび上がる。3Dで立体的に映し出されたその映像に映るのは、眼に青いカバーグラスをはめた、水色の肌に髭を生やした老人だった。老人は猫をなでるような声でリルドに話しかける。

 

「はっ、ドクター・ミュー様!」

 

リルドはバッと素早く跪いてから報告をする。

 

「内、女の方はメガキャノンΣが捕らえてまいりました。一方の男も、じきに奴らが生け捕りにするかと」

 

「そうかそうか。ではふたりが揃い次第、金属板に変化させた状態で私の研究所へ送ってもらおうか。女の方はどうでもいいが、あの男は恐らくサイヤ人…そのパワーに興味がある」

 

「了解いたしました」

 

リルドがそう言うと、ミューという名の科学者は3D映像を切った。リルドは再びモニターに向き直り、そこに映るブロリーの戦いぶりを訝し気な顔で観るのだった。

 

 

 

「でやあああッ!!」

 

ブロリーの放った渾身の拳が、リベトを吹っ飛ばす。さらに、右手から緑色のエネルギー弾を放って投げつけ、ビースにヒットさせると、ビースは衝撃を受けて後ろへよろめく。ブロリーはその隙を逃さず、追撃の気功波を放った。

リベトは離れた場所の建物の屋根に激突して突っ込んでいくが、ビースはさすがの耐久力を見せ、ボディが凹む程度でブロリーの攻撃をやり過ごしていた。

 

「思ったよりはやるな」

 

ビースはブロリーに言葉をかける。が、ブロリーはそんなやり取りをするつもりはないという意志を示すかのように、すかさずビースに迫るとその顔面に拳を叩きつける。ビースも反撃のボディブローをお見舞いし、両者は互いに熾烈な攻防戦を繰り広げる。

そこへ復帰したリベトと、リルドの元から帰還したナットが加わり、戦況は3対1となってしまうが、それでもブロリーのこれまで培ってきた戦闘技術が、その差を覆すかのような底力を発揮する。

 

「何!?貴様のどこにこれほどのパワーが…!」

 

ビースたちはブロリーから距離を取る。が、ブロリーはそれを狙い撃つかのように、手の中に作っていたエネルギー弾を投げ飛ばそうと構える。

 

ドガッ!

 

しかしその瞬間、頭上から迫って来たネージの蹴りがブロリーに命中し、ブロリーは吹っ飛ばされて地面に激突する。

 

「あの男の戦闘パターンの解析とデータ化、そしてインプットが完了した」

 

ネージはそう言うと、解析したというブロリーの戦闘データを他のメガキャノンΣたちに送信する。データを受け取ったΣたちはそれをすかさずメイン頭脳に保存し、読み取る。

 

「…ふっふっふ…なるほどな」

 

「貴様の戦闘データ、全て学習したぞ」

 

「何…?」

 

すかさずブロリーに飛びかかるネージ。腕を振りかぶり、攻撃を加えようとそれを放った。ブロリーは避けようと体を横へ逸らすが、なんとネージはそれが読めていたかのように腕の軌道を変え、ブロリーの顔面へ一撃を命中させた。

 

「ガ…!」

 

ブロリーが体勢を立て直そうと上へ向かって飛び上がれば、ナットとリベトがそこへ先回りしており、体当たりをぶつける。今度は下へ吹っ飛ばされるブロリーだが、腕を広げて全身から気を発し、何とかその場で踏み止まる。が、その瞬間にどこからか現れたビースの巨体がブロリーに激突し、ブロリーはビースと共にビルの壁を突き破ってその中に閉じ込められた。

ビースはビルの金属に同化してそこから脱し、ネージたちと共に並び立つ。

 

「ま、まるでこっちの動きが読まれているようだ…」

 

「その通りだ!お前の行動パターンは全て予測可能だ!よって、貴様が我々に勝利できる確率は、0.1%にも満たない!」

 

次の瞬間、メガキャノンΣたちの姿が音もなく消えた。と思えば、ネージの腕がブロリーの首を掴み、さらに足から噴射するジェットの推進力を利用して超高速で移動する。

ブロリーは何度もビルのような建物に叩きつけられ、それらを背中で破壊しながらはるか遠くへと貫き進んでいく。ネージは途中でブロリーから離れ、今度は吹っ飛んでくるであろう位置に先回りし、ブロリーに向けて眼から放つ強烈な光線をお見舞いした。

アイビームはブロリーに着弾した瞬間、彼を中心にその場でドーム状の爆発を起こした。

 

「ふはははは…これで奴も終わったな」

 

しかし、吹き荒れる赤と黒の爆炎の中で、見合わない緑色の光が中で瞬いているのに気付く。内側から発せられる緑色のオーラが爆炎を吹き飛ばし、その中心にいたブロリーの姿が露わになる。

 

「なんだと…!」

 

ブロリーは全身にうっすらと緑色のオーラを纏い、その黒髪は穏やかに逆立ち、瞳は獣のように黄色く変色している。その瞳が、空からこちらを見下ろしているネージたちを睨んだ。

 

「…来る」

 

ネージがそう冷静に呟くと、Σたちは一斉にその場から姿を消す。が、ナットだけが少し遅れてしまった。ブロリーはそれを見逃さず、ナットに向けてパンチを繰り出し、その拳で胸の装甲を砕き、体内に押し込んだ。

 

「ぎゃあ…ば、バカな…!!」

 

次の瞬間、拳から炸裂させたエネルギー波がナットを内側からバラバラに破壊した。残骸が地面に落ちて散らばり、僅かに放電すると動かなくなった。

ナットを失ったΣたちであったが、それがどうしたと言うようにブロリーに飛びかかる。が、ブロリーは彼らの猛攻を全てノーガードで受け、鋼鉄のボディを持つはずのΣたちの方が、攻撃に使用した部位に痺れを感じる始末だった。

 

「もう終わりか?」

 

ブロリーは挑発するように言った。

 

「思ったよりはやるようだ。正直、我々は貴様を見くびっていたようだ。だからこそ、我々メガキャノンΣの全力を見せてやろう!」

 

ネージがそう言った瞬間、他のリベト、ビースの身体がネージに引き寄せられるかのように移動し、彼ら3体のマシンミュータントは融合した。

雷のような眩い閃光が放たれ、ブロリーは目を背ける。リベトの頭や胴体が格納され、半分に分割されたビースがその両側に合わさり、彼の強固で重厚な身体は胸部及び腕部へ変形する。そして、残るネージは上半身と下半身に別れ、その上半身は胸部の上に接続され、下半身はジェットエンジンを内蔵する脚部となって接続された。

合体し誕生したそのマシンミュータントは、ビース以上に重厚な装甲と巨躯を持ち、3体分の頭脳が融合したメインコンピュータは如何な追随も許さないだろう。

 

「これが我がM2戦闘コマンドーメガキャノンΣの本領…『スーパーメガキャノンΣ』だ」

 

ネージ、ビース、リベトが合体した、スーパーメガキャノンΣ。

スーパーΣは、脚部からジェットを噴射しながらブロリーへ襲い掛かる。

 

「ウオオオッ!」

 

迎え撃つブロリーは咆哮を上げるとともに、大きく開いたその口からエネルギー砲を吐き出し、スーパーΣに命中させた。が、その格段に強度を増したボディには、エネルギー砲がまるで水が油に弾かれるようにスルリと受け流されてしまう。

パンチを繰り出すスーパーΣだが、その動きは合体前と比べていくらか鈍重になっており、ブロリーが躱すのは簡単だった。ブロリーは上空へ飛び立ち、様子を伺う。

 

「空戦形態、『フライングフォーメーション』!」

 

スーパーΣの体が変形し、重厚なボディはいくらか細身になり、背中からは翼が伸び、そこから細かなジェットを噴いて高速で空中へ飛び上がった。

ブロリーが面食らった隙に顎へ一撃、さらに蹴りを腹にめり込ませ、脳天にスレッジハンマーを叩きこむ。ブロリーも反撃のパンチを繰り出すも、スーパーΣは素早く距離を取りながらアイビームを発射する。

ブロリーもそれを躱し、接近しようとするが、スーパーΣはそれを上回るスピードで距離を取り、連続アイビームでブロリーを追い込んでゆく。

 

「くっ…!」

 

防戦を強いられるブロリーだが、まだ諦めてはいない。

 

「ははははは!手も足も出ないようだな!」

 

その時、スーパーΣの腕が伸縮し、一瞬にしてブロリーの首を掴み上げた。ブロリーは苦しげに唸りながら、成すすべなくもがく。

 

「貴様は生け捕りにしろとの指令だ。ここで眠るがいい」

 

さらにもう片腕を伸ばし、手の平の中心から白い煙を吐き出す。これは催眠ガスだ…もし吸ってしまえば瞬時に気を失ってしまうだろう。

しかし、ブロリーは眠らなかった。急激に全身から気をみなぎらせ、その波動でガスを吹き散らしたのだ。

 

「何っ!?エネルギーが…まだ上昇するだと!?」

 

「ふっ…面白い戦い方だったが大したことはないな。超サイヤ人になるまでもない」

 

スーパーΣはブロリーの戦闘データを解析してインプットし、それを上回る戦いを仕掛けてくる。だからブロリーは怒り状態に変身した時から今まで気を抑えて戦っていたのだ。そのデータにスーパーΣが慣れてきたところで、さらに気を開放し、一気に片を付けようと踏んでいた。

ブロリーはスーパーΣの腕を掴んだまま回転し、ぐるぐると振り回す。

 

(この回転を止めるだけのパワーは無い…!このままでは投げ飛ばされる…)

 

そう考えたスーパーΣは、咄嗟にブロリーに掴まれている腕を自ら切り離した。解放されたスーパーΣは体勢を立て直し、反撃をお見舞いしようとブロリーの姿を探す。が、そこには切り離した自分の腕が浮かんでいるだけで、ブロリーは見当たらなかった。

 

「どこへ消えた!?」

 

スーパーΣはブロリーの気を探り、その位置を割り出す。その位置は…

 

「お前の後ろだ」

 

背後だった。

ブロリーはスーパーΣの背中に極小に圧縮したエネルギー弾を押し付け、そのままスーパーΣを前方へ吹っ飛ばす。直後にエネルギー弾は炸裂し、緑色の閃光を放ちながらスーパーΣの全身を呑み込んだ。

 

「ふう…」

 

閃光が収まり、ブロリーが地面に降り立つと、バラバラになったスーパーΣの破片が次々と地面に落ちてきた。

 

「さっき破壊した奴に、先にスカッシュをどこに連れて行ったのか聞いておくべきだったな…」

 

ブロリーは一息つくと、少し困ったようにそう呟いた。

しかし、後ろの方から先ほど倒したメガキャノンΣとは別のマシンミュータントの気配を感じ、警戒しながらゆっくりと振り返った。

 

「その必要はない。あのスカッシュという娘は、あの司令塔にいる」

 

スーパーΣの敗北を知ったリルド将軍がやって来ていた。

 

「お前は…リルド…!?」

 




良いお年を。
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