もしもカカロットが幻想郷に落ちていたら   作:ねっぷう

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第321話 「襲来、謎の仮面戦士!」

「トキトキ都」、という場所が存在する。この宇宙の時間を生み出し、今もなお時間の流れを作り続けているトキトキという不思議な鳥が住まう都である。その中に存在する「時の巣」にはこれまでの歴史を書き記した書物が存在している。

この都を拠点として、様々な時代の歴史の歪みを修繕するタイムパトロールが活動しており、彼らの活躍によって…歴史の…─改変─が──され、野望を…─もあった──。

 

 

「トランクス!誰か強力な戦士を呼んできて!」

 

突如として、トキトキ都の平穏は崩された。時の巣の壁が外側から破壊され、飛び込んできた巨大な影が、時の界王神を押し倒し、地面に叩きつける。

その様子を目の当たりにしたトランクスは即座に超サイヤ人に変身し、時の界王神を襲った謎の人物を迎撃しようと構える。が、そんな彼とは裏腹に時の界王神は今のトランクスがどんな力を発揮しようともこの敵には勝てないと悟り、増援と避難を呼びかけたのだ。

 

「で、ですが…!」

 

葛藤し、反論しようとするトランクスだが、続いて出現した同様の大きさを誇る別の人物の姿を目視し、慌ててその場から飛びのく。今までトランクスがいた場所は衝撃によって岩盤が隆起し、その中心には黒緑色の禍々しいオーラを纏った人影が、一対の紅い目を光らせてこちらを見ていた。

 

「くっ…!」

 

()()()と同じよ!また歴史の歪みが観測されたわ!それに気付いたとたんに襲われた!」

 

()()()と同じ…!?まさか、また歴史の改変が起こったのですか!?」

 

トランクスがそう呼びかけるも、その声は周囲の地面が砕け、割れる音にかき消されてしまう。

 

「私は平気だから…!また、あの時みたいに…あなたに力を貸してくれる戦士を…」

 

時の界王神を襲っていた謎の人物はさらに彼女を岩盤の深くへ押し込みながら、荒れ狂うマグマの如きオーラを発散する。そのあまりの熱量を前に、トランクスの足が意図せず浮き上がり吹っ飛ばされる。だがトランクスは吹っ飛ばされながらも冷静に腕を伸ばし、背中に背負った長剣を抜き、虚空に向かって振り下ろす。

 

バシュ…

 

すると、カーテンを切り裂いたかのように、剣を振るった軌跡に裂け目のような空間の(ひずみ)が出来上がり、トランクスは時の界王神の身を案じるように彼女がいるであろう方向を見ながら悔しげな顔でその歪の中に飛び込んだ。

 

「…」

 

時の巣を襲撃した、謎の戦士と黒緑色の人影。そのうちの黒緑色の戦士はその様子をじっと見つめ、トランクスを追いかけるように自身も歪へ向けて飛んでいく。

 

 

一方、歪の中に入り込んだトランクスは、入り口が閉じたのかどうかも確認せずに急いで奥へ進む。

ここは「時の廊下」と呼ばれる空間であり、この時の巣を中心として様々な歴史的な出来事が起こった時代へと続く通路のようなものである。

 

(ここから、俺の知っている時空へ行って助力を仰ごう…きっと、あの人たちなら力を貸してくれるはずだ!)

 

トランクスは時の廊下のある一角を目指して飛んでいく。全身から黄金のオーラをジェットのように吹き出し、高速で目的の場所へ到達した。…が…

 

「なっ…!扉が破壊されている!?」

 

なんと、トランクスがこれから行こうとしていた目的の歴史に続く扉が何者かの手によって完全に破壊されてしまっていた。これでは、扉の先にある歴史に行って助力を仰ぐことはできない。

 

「まさか、奴ら…時の廊下の存在を知っていたのか!?」

 

恐らく、こんな真似をしたのはあの二人組であるとトランクスは推察する。この時間を司る空間とその施設の特性を理解し、破壊したという事は奴らは…まさか…。

 

「ウルオアァァァァァァアア!!」

 

そこまで考えていたトランクスの思考が、突然響いた空気を揺るがすような咆哮によってかき消される。トランクスが振り返ると、黒緑色のオーラを纏うあの戦士がこちらに猛スピードで迫ってきていた。まるで、黒く焦熱する隕石が飛んでいるかのようだ。

 

「閉じかけていた廊下の入り口をくぐって、無理やり追ってきたのか!」

 

トランクスは仕方なくこの場を後にし、別の歴史へ続く扉を探して飛び立つ。黒緑色の戦士はトランクスへ向けて手から光弾を放ち、トランクスはそれを何とか回避しながら歴史へ続く扉を探し回る。

 

「くっ…どこも奴らによって破壊された後か…」

 

しかし、やはりトランクスが行こうとする歴史は悉く人為的に塞がれてしまっていた。

そうこうしている間にも、背後には黒緑色の敵があと数メートルの距離まで迫ってきている。

 

「ハアアッ!!」

 

トランクスは敵に向けて光弾を放ち、何度も命中させる。しかし、敵はそれをものともせずに振り払いながらぐんぐんと距離を縮めてくる。

 

「フハハハハハハハ!!」

 

敵の笑い声が響く。

その時、トランクスはまだ破壊されていない扉があるのを発見した。その扉には「エイジ737」という文字が刻まれていた。

 

(この時代は流石に把握している…惑星ベジータが破壊された時の歴史に通じているんだ。ここの先にいる人たちの協力は得られそうにないな…)

 

しかし、トランクスはそう思い、別の扉を探そうとする。だが敵はぐんぐんとこちらに接近してきており、別の扉を探している時間はない。いったん逃げて身を隠すという意味でも、今入れる歴史の扉へ入っておくのが最善だと思った。

 

「なっ…ここは…!?」

 

扉を開けてその中に飛び込もうとしたトランクスだったが、その先に広がる異様な光景を見て踏み止まった。そこには、また廊下が長く伸びていただけであった。しかし、その壁や天井は捻じれたかのように歪み、不可思議な模様はモヤモヤと蠢いている。明らかに今まで進んできた時の廊下と比べて異質な気配を感じるが、彼の直感は「この先へ進め」と告げていた。

 

「ええい、ままだッ!」

 

トランクスはその異様な廊下へ飛び込み、その奥へ進む。黒緑色の敵も自分を追ってきているのを感じる。

 

(なんだ、この廊下は…俺の知らない歴史が連なっている!)

 

そこでトランクスが目撃したのは、彼が全く聞き及んだことのない敵や情景が浮かび上がる扉だった。正直、無暗に知らない歴史へ介入することは良くない。本来はこうして他の時代へ姿を現すこと自体が、歴史の流れを大きく乱してしまう事へつながる場合があり、禁じられているのだ。しかしそれでも、今は時の界王神とトキトキの身の安全を確保することの方が重大である。

 

(背に腹は代えられないか…なら、あの扉の先へ…!なッ…!?)

 

トランクスは敵が自身のすぐ後ろまで迫っていたことに気付かなかった。トランクスが振り返った瞬間、敵はその剛腕を振りかざし、トランクスの首を掴んで締め上げた。

このパワーからは、さすがに抜け出せない…そう考えたトランクスは気を集中させ、それを爆発的に高める。超サイヤ人と化したことで金色に変化し逆立っていた頭髪がさらに細かく逆立ち、その全身には激しいスパークが散り始める。超サイヤ人を越えた超サイヤ人、”超サイヤ人2”だ。

 

「はあああああああッ!!」

 

トランクスは全身から衝撃波を発しながら、廊下の奥へ向かって飛び続ける。トランクスの気によって敵の全身を覆っていた禍々しい気が取り払われ、その全貌が露わになる。

逆立った黒髪に、暗い赤色のローブを身にまとった巨躯の男。腕や足に金色の装飾を身に着け、一番目を引くのは頭部にはめた不気味な仮面である。その仮面は両目が縦に避けたようなデザインであり、そこから覗く一対の赤い眼光がトランクスを見据えている。

トランクスはひるまず、一気に増幅させた気を込めた気功波を仮面の男目がけて至近距離で放出した。仮面の男は数秒の間それを浴びていたが、突然何事もなかったかのようにトランクスを掴んでいる腕を振り上げ、そのまま壁へ叩きつけた。

 

「ごはっ…!」

 

背中に強いダメージを受け、口から血を流すトランクス。仮面の男は圧倒的なパワーで以てトランクスを何度も床や壁に叩きつけたり、反対の腕で殴打を喰らわせて痛めつける。

 

「ハハハハハハハ…地獄へ落ちろ…!」

 

仮面の男はそう言うと、トランクスを掴む手の中に緑色に煌めく気を充てんし始める。それを炸裂されれば、トランクスとて無事では済まない。

 

「くっ…!!」

 

絶体絶命のピンチだった。視界に火花が散り、呼吸ができない。

しかし、次の瞬間だった。どこからか風が吹いたかと思えば、その風が急激に強くなり、仮面の男と自分の体が徐々に廊下の奥に押しやられていく。

 

「トーキー!!」

 

驚いた仮面の男の力が緩み、トランクスは何とか酸素を取り込んで何が起こっているのか確認する。仮面の男の背後に、見慣れた大きなフクロウのような鳥が翼を広げて羽ばたき、それによる烈風をこちらへ吹きつけていた。

 

「トキトキ…」

 

時の巣に住まう時間を生み出す鳥、”トキトキ”がトランクスを助けるために自身の危険も顧みずにやってきてくれた。驚く仮面の男の注意がトキトキに逸れた瞬間を見計らい、トランクスは仮面の男の顔面を蹴り上げた。しかし、それでも仮面の男は自分の首から手を離さない。

ならばそのままでも良い、とトランクスは全身から黄金のオーラを噴出し、トキトキが吹かせる追い風に乗って再び廊下の奥へ進む。トランクスが剣を使って時の廊下の出口を作り出そうと自身の背に手を回そうとしたとき、ブーメランのように回転する何かがトランクスの眼前の空間を切り裂き、出口を作り出した。トキトキが自らの羽根を飛ばし、トランクスの代わりに出口を作ってくれたのだ。

 

(トキトキ…ありがとう!)

 

トランクスは勢いのままに出口から飛び出した。ここがどこかの歴史であることに違いはない、が、それを確認している暇はない。未だ仮面の男は自分の首を掴んで離さないからだ。

その剛腕がトランクスと共に出口から抜けてしまうが、その途中で出口は急激に小さくなり、仮面の男の肩から先の体はそれ以上はこちら側へ来なかった。

トランクスは手に取った剣を仮面の男の腕に突き立てて攻撃する。

 

 

 

「な、なんだよこりゃあ…」

 

その光景を目の当たりにしたサザンカは驚きの言葉を漏らす。横に居るカズラは言葉も出せず、腰を抜かしている。

次の瞬間、仮面の男の腕から黒緑色のオーラの波動が発せられると、その威力でトランクスの剣は真ん中でパキリと折れて飛んでいき、家を囲っていた柵をなぎ倒し、塀を砕いて破壊してしまう。

それを見たサザンカはすぐさまカズラの元へ飛び込み、自分の体で隠すようにして波動に対して背を向ける。

 

「ぐお…ッ!」

 

背中にとてつもない衝撃が届き、サザンカは感じた事のない苦痛に顔を歪める。

 

「サザンカ…!大丈夫か!?」

 

波動が過ぎ去った後、カズラはサザンカに声をかけた。

 

「痛ぇが…平気っちゃ平気だ」

 

だが、今の波動を至近距離でもろに受けたトランクスはその場で気を失っており、白目をむいてうなだれていた。金色に逆立っていた髪が元の青紫色に戻り、全身にほとばしっていたスパークも静まる。

仮面の男の腕はトランクスを投げ飛ばし、遠くのビルの壁に激突してめり込んでしまう。

 

グググ…

 

続いて、腕は力を籠めるような動作を取り、気を込める。

 

「まずい、また来る!」

 

今度は、腕のいたる箇所から全方位へ向けて緑色の光弾が発射された。光弾は遠くのビルや道路のど真ん中、そしてサザンカの家にも命中した。家の天井が爆発し、穴が空いてしまったようだ。

 

「な、何が起きてるんだか全然分からねぇ…」

 

その光景を眺めながら、カズラがそう言った。

 

「アタシだってわかんねぇよ…!…でも…」

 

光弾によって破壊され、炎を噴き上げる街。壁が崩れていくブルマの家。恐怖に震えるカズラ。

それを見たサザンカは胸の内にめらめらと燃えるような怒りを滾らせ、立ち上がった。

 

「急に出てきやがって、こんなのおかしいぜ…クレイジーだぜ…!でもよ…」

 

自身に向かって飛んでくる光弾を蹴り上げて潰す。

 

「ナメるんじゃねぇ!」

 

駆け出し、そして飛び跳ねたサザンカは拳を振り上げ、渾身のパワーで仮面の男の腕を殴り抜けた。

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