もしもカカロットが幻想郷に落ちていたら   作:ねっぷう

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第322話 「黄金の戦士、サザンカ!」

「ナメるんじゃねぇ!」

 

サザンカの拳が、ドゴォという凄まじい音を轟かせながら仮面の男の腕に命中する。爆発が起こったかのような衝撃波が巻き起こり、仮面の男の手が強張り、殴られた箇所が大きく凹む。

しかし、次の瞬間にはサザンカの放ったパンチはいとも簡単に振り払われ、サザンカはその拍子でぶっ飛ばされてしまう。地面を何度もバウンドしながら家の壁に激突するも、すぐにそこを蹴って飛び出し、再び腕に向かっていくとガッシリと抱きつくようにしがみつき、文字通り”喰らい付いた”。

 

「ぐぎぎぎ…!」

 

仮面の男は腕を無茶苦茶に振るい、サザンカを振り払おうとするが、サザンカも絶対に離さない。すると男の腕は再び気を込め、衝撃波を放射した。

 

「うお…ッ!」

 

サザンカはまたも吹き飛ばされ、地面を滑るようにして転がり、ようやく勢いが止まった。

 

「大丈夫かサザンカ!?」

 

「いてて…」

 

カズラがサザンカの上半身を支えて起こす。

その時、急に視界が緑色の閃光に染まった。ふたりが例の腕を見ると、その手の中から黒緑色の光があふれ出している。腕はその光をどんどん小さくするように握り込んでゆき、やがてはビー玉くらいのサイズの光の弾に圧縮した。

 

「と、とんでもないパワーだ…」

 

「核爆弾の光って、こんな感じなのかな?」

 

「いやもっとヤバイだろ…!これはたぶん、この地球が無くなるんじゃねぇか?」

 

ふたりは混乱し、そんな呑気な会話を交わしているうちにも仮面の男の腕はその光弾を投げようと構えている。サザンカは立ち上がってそれを阻止しようと動き出すが、自分の目の前を金色の影が通り過ぎて行ったので思わず足を止めた。

 

「あっ…お前…なんで!」

 

それを見たサザンカは目を疑った。その金色の影の正体は明らかに姉のシロナであるのだが…その風貌は自分が知る姉と異なっていた。髪の色は金色に染まり、瞳の色も緑色に変わっている。

シロナの接近に気が付いたのか、仮面の男は凝縮した光弾を素早く投げつけた。

 

「…ウラウラウラウラウラウラ…!!」

 

超サイヤ人となって参戦したシロナは、高速で無数に放つ拳の連打を光弾に浴びせる。凝縮されたエネルギーを一気に解き放って巨大化しようとしていた光弾は拳の連打によって押さえ込まれ、隙間なく連続的に打たれる拳の圧によって形成された結界壁の中で爆発し、消滅した。

シロナは空中で体を丸めて回転し、地面に座った体勢で着地した。

 

「急にとんでもない気を感じて…何とか間に合った」

 

「おい…姉貴、だよな?」

 

ふうっと息をつくシロナに、サザンカが話しかける。

 

「その姿は何だよ、説明しろよ」

 

「これは…」

 

シロナがそう言いかけた時、大気が震えるような力の奔流を感じ、仮面の男の腕の方に向く。

 

「また何かするつもりだわ!」

 

腕は手の平をシロナの方へ向けて狙いを定め、そこへエネルギーを溜め始めている。シロナは武空術を使って空中へ舞い上がり、街に攻撃が直撃するのを避けようとする。

しかし、仮面の男は腕を真上に掲げ、手の平から全方位へ拡散するエネルギー弾を放った。打ち上げ花火のように広がるそれは、この周囲に広がる街に次々と着弾し、シロナやサザンカのすぐ近くにも容赦なく降ってくる。

 

「うわっ!」

 

そのうちの一発がカズラ目がけて飛んでくる。思わず両手で顔を覆い、地面に臥せるカズラだったが、サザンカはそのカズラに向けての一発の気弾を踏みつけ、そのまま潰し消した。

 

「ドイツもコイツも…アタシの事ァどうでもいいってか…!?」

 

サザンカは拳を握ってわなわなと震える。シロナが来たとたん彼女をこの場で最も脅威な存在と認識し、自分から狙いを外した腕。さらに自分の質問に答えずに敵へ向かっていくシロナ。額にピキピキと青筋が浮かぶほどにじわじわと怒りのオーラが蓄積されていく。

 

「サザンカ…お前…」

 

カズラは知っていた。この怒り方をしている時のサザンカは手が付けられなくなるという事を。彼が止めようとする前に、サザンカは跳躍していた。

 

「テメエ、ゴルァ!!」

 

「ええっ、サザンカ…え!?」

 

後ろを振り返ったシロナは思わず声を失った。自分がいるよりさらに上まで地面の一蹴りで飛んできたサザンカの髪がザワザワと後ろへ靡き、天空の満月の如き金色に変化していくのを。赤い瞳は緑色になったが、その中心の黒い瞳孔は残っている。

 

ズズズ… ゴオオッ!!

 

しかし、次の瞬間、仮面の男は手の中に溜めていた黒緑色の膨大なエネルギーを解き放った。

 

「しまっ──!」

 

向かってくる巨大な柱のような竜巻状の気功波。シロナはキッと目つきを変えると、その気功波に対して渾身の拳の連打を叩きつける。

 

「ウラウラウラウラウラ!!」

 

拳の威力が仮面の男の攻撃を少しずつ削り取る。だが、仮面の男が少しずつ気の出力を上げていくとシロナのパワーでは押さえきれなくなってしまう。

 

「くっ…!」

 

拳の連打も間に合わなくなり始め、シロナはどんどん後ろへ押されていく。

その直後だった。シロナの顔の横スレスレのところを誰かの拳が後ろからかすめた。それは仮面の男の気功波に命中し、そのとてつもない圧力と衝撃はその気功波を一気に後ろへ押し返した。

 

「サザンカ…」

 

それを放ったのはサザンカだった。

 

「サザンカ!やっちまえ~!」

 

そして、カズラは知っていた。”あの怒り方”をしたサザンカは…絶対に喧嘩に負けた事はない、と。

 

「おい、もっと気張れ!」

 

「う、うん!」

 

サザンカに一喝を入れられたシロナは再び拳の連打を浴びせ、サザンカはパワーを溜めての強力なパンチをぶつける。この時、シロナは思った。きっと、超サイヤ人と化した自分とサザンカの力量はほとんど同じ。しかし、パンチを連打して拳圧で壁を作り出す自分のラッシュの威力と、溜めた威力を一気にぶつけているサザンカのパンチによる威力も、ほとんど同じだった。

ふたりの攻撃に押された仮面の男の気功波はその場で爆発し、すさまじい煙と突風が辺りを襲った。

 

「どうなった…?」

 

地面に着地したサザンカは煙が晴れるのを待つ。ようやく敵がどうなったのか視認できるようになると、仮面の男の腕は痺れたように強張って痙攣していた。

 

「けっ、ザマァ見やがれ!」

 

サザンカがそう言った。

だが次の瞬間、急に腕が突き出している空間の歪から、もう片腕分の指が無理やりこちら側へ突き出してきた。

 

「うわ…!」

 

「なんだァ!?」

 

その指は空間の歪をこじ開け、その向こう側に居た仮面の男本体の上半身がこちら側に現れる。左右に広がるように逆立った黒髪、裂けたような形の目を持つ仮面をはめ、黒緑色の禍々しいオーラを放つその敵…「仮面のサイヤ人」とでも呼ぼうか…は、雄叫びを轟かせる。

 

「ゥルオアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

耳をつんざくような轟音に、思わず耳を塞ぐシロナとサザンカと、そしてカズラ。

そして仮面のサイヤ人はいよいよこちら側の空間へ侵入しようと、その身を乗り出した。

 

ギュンッ ザク…

 

その時、どこからか飛んできた折れた剣が仮面のサイヤ人の胸に突き刺さった。深くはないが、その箇所から血が流れ出し、仮面のサイヤ人の動きが鈍くなった。

目を覚ましたトランクスが、遠くから折れた剣の切っ先を投げたのだ。

 

「グ…フフフ…お前たちとはまた会う…だろう。その時こそ…血祭りにあげてやる…」

 

滾り爆ぜる仮面のサイヤ人は冷たくそう言うと、諦めたのかゆっくりとその身を引いていき、歪の向こう側へ姿を消した。歪も小さくなって消滅し、その場には静けさだけが残された。

 

「何だったんだ、今の…」

 

「さぁ…でも、街が…」

 

仮面のサイヤ人との戦闘の影響は、少なからず街の損壊という被害として現れていた。建物は崩壊し道路は捲られ、ビルからは炎が上がり、色んな場所から救急車や消防車のサイレンが鳴り響いてくる。多くの死傷者も出ているはずだろう。

 

「…街も大丈夫じゃねーが、それよりあの野郎は何なんだよ?」

 

「さぁ、私にもわかんないけど…」

 

「夢だな。尻つねってくれ」

 

「私もやってよ」

 

シロナとサザンカはお互いの尻をつねり合うと、そこには確かな痛みがあった。

 

「あのよ…サザンカ、さっきの穴から出てきたこの人…」

 

と、そこへ先ほど仮面の男と共に現れた青年…トランクスに肩を貸して運んできたカズラが歩いてきた。

 

「アンタは…?」

 

「助けてくれてありがとう…オレの名はトランクス。今はそれ以外言えないんだ…」

 

トランクスは自力で立ち上がりながらそう説明する。それを聞いたサザンカとカズラ、そしてシロナはにっこりと笑った。

 

「なーんだ、そうなんだぁ!じゃあしょうがないね!」

 

「なーんて、言う訳ねーだろうが!」

 

「そうだよ!それ以外は言えないんだって言われて、今日の事を全部呑み込めるわけないじゃないですか!」

 

だが、直後に混乱しながらトランクスに詰め寄る。当のトランクスも困ったようにサザンカたちに手の平を向けながら慌てて捕捉する。

 

「ご、ごめん…本当にオレからは何も言うことはできないんだ…でも、もしよければ、君らの名前を教えてもらえると嬉しいんだけど…」

 

「あ、私はシロナっていいます」

 

「…サザンカ」

 

「カズラです」

 

(3人とも聞いたことのない名前だ。しかし、シロナさんとサザンカちゃんはオレと同じ…)

 

と、トランクスは心の中で思った。

 

「そうか、ありがとう。シロナさんとサザンカちゃんは、オレと同じサイヤ人…でいいんだよね?その金髪、超サイヤ人になっているのが何よりの証拠だ」

 

そう言うと、トランクスも超サイヤ人に変身して見せる。それを見たサザンカは慌てて携帯電話を取り出し、カメラを起動してそれを鏡代わりにして自分の頭を見る。そこでやっと自分の髪型が変わっていることに気付いた。

 

「ちょっ、なんだこれ!」

 

「今気づいたの?」

 

「ははは…まあでも、超サイヤ人になっても特に異常なく無意識にその状態を保っていられるなんて大したものだよ。オレも昔は苦労して…」

 

「ちょっと!これ一体何の騒ぎ!?」

 

その時、ここにいた者たちの耳にキンキンした大声が飛び込んできた。トランクスは聞き覚えのある声に驚き、声がした方を見た。

そこに居たのはブルマだった。道着のズボンにTシャツ姿で汗をかいており、慌てた様子でこちらに走ってくる。

 

「食後にトレーニングルームに籠ってて、出てきたらこの騒ぎだったんだけど…」

 

「あ…母さん…!?」

 

「は?母さん?」

 

トランクスはしまった!と言うように口をつぐんだ。

 

「ていうかアンタ誰よ?あたしに息子なんていないんだけど?」

 

「あ、いや…すみません!オレの母さんによく似ていたもので…」

 

と言いつつも、トランクスはここでようやく確信した。ここはあのカプセルコーポレーションの目の前であり、この女性は自分の母親であるブルマと同一人物に違いはない、と。しかし、この時空においてはブルマはトランクスの父親とは結ばれておらず、自分も存在していない。さらに体格や佇まい、洗練された気からして武術の達人の域に達しているようだ。

 

(この時空はオレの知る時空とは大きく異なっているらしい…)

 

そう思った瞬間、トランクスの視界が急に歪んで真っ暗になった。恐らく、仮面のサイヤ人との戦いによるダメージと疲れが一気に襲ってきたのだ。

トランクスはそのままガクリと気を失った。

 

 

 

☆キャラクター戦闘力紹介☆

参考

一般成人男性 5

一般成人女性 4

子供(10歳) 2

ミスター・サタン 6.66

一般的に超人と呼ばれるレベル 7~8以上

大妖怪クラス 80以上

ピッコロ大魔王 260

フリーザ 1億2000万

セル(完全体) 800億

孫悟飯(超サイヤ人2) 1500億

 

 

サザンカ 20億(基本最大)→1000億(超サイヤ人1-4)

 

カカロットと霊夢が残した二人目の娘であり、シロナの妹。現在15歳で、ブルースターハイスクールに入学したばかり。本来サイヤ人は黒髪に黒い瞳のはずだが、どういうわけか赤い瞳を持つ。いわゆるスケバン風の不良少女で、中学時代から喧嘩に明け暮れていたようだ。

戦闘力としては上記の通り。レイム戦の時のシロナやレイムの値を越えていて、現在のシロナとは完全に互角。しかし、訓練や数多もの死闘の末に下記の戦闘力を手に入れたシロナと違い、サザンカは幼少期から修行をしたり何か特別な戦闘を行ってきたわけでもない。つまり、元よりシロナ以上の潜在能力とセンスを持って生まれていたことになる。何の鍛錬なく超サイヤ人第四段階(超1-4)に変身できたのも、原作のトランクスや悟天並みかそれ以上のポテンシャルを秘めていたからだろう。

 

 

シロナ 20億(基本最大)→1000億(超サイヤ人1-4)

 

レイムとの決戦から2年以上の時が経過した今、幻想郷も無くなって博麗の巫女から解任され、人造人間との戦いから解放されたシロナは自由気ままに世界を旅しながら暮らしている。性格や態度は掴みどころがないふわふわしたものへ、というより4~10歳ほどの頃に戻っているようにも見える。

しかし、世界を旅しながら自らを鍛えることによりその戦闘力を伸ばし、通常時で20億、超1-4で1000億という数値に成長している。

 

 

カズラ 4.9

 

中学生時代からのサザンカと仲が良い普通の人間の男子生徒。戦闘力的には、まだ15歳ということもあって普通の成人男性よりは少しだけ低い4.9という数値。

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