もしもカカロットが幻想郷に落ちていたら   作:ねっぷう

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第334話 「抜山蓋世の霊力、博麗紅蓮!」

「カカロット…お前の肉体を手に入れれば、もはやこんな醜い機械の身体なんぞ必要なくなる。もうすぐ私は最強の…いや、それでいてもっとも偉大なドクターウィローとして世界に君臨できる!!」

 

ウィローは巨大な機械の体に、取り込んだエネルギーを電気の様に迸らせた。

 

「う…うう…一体何が…?」

 

その時、ウィローにやられてしまった美鈴と天龍が目を覚ました。

 

「うそだろ…!」

 

そして不気味なウィローの姿を見てそう声を漏らす。二人はカカロットや霊夢の元へ戻り、ビリビリと響くようなオーラを放つウィローに向けて構える。

 

「すごい気だな…さっきの聖の肉体の時より強いじゃねぇか」

 

「当たり前だ、この私が設計した『マジンウルトラ28号』であるぞ。しかし、いくら強くとも私はこんな肉体は好かない…!だからこのマジンウルトラのパワーを越えられる戦士の体が欲しかった」

 

「こんなヤツがみんなを…そして紅蓮を…!!」

 

霊夢は怒りに燃え、全身に霊力を纏いながらウィローに飛びかかる。

 

「はあっ!!」

 

しかし、ウィローは大気を震わせるような衝撃波を放ち、霊夢の動きを止めた。その隙に巨大な腕を振りかざし、霊夢を殴って吹っ飛ばした。

 

「ぐああ!」

 

地面に叩きつけられた霊夢。

 

「お前たちにこの私が倒せるかァ!!」

 

ウィローはそう豪語すると、その巨体からは考えられないほどの跳躍を見せ、上空からカカロットたちに攻撃をしかける。

 

「来るぞ!迎え撃てぇ!!」

 

カカロット、天龍、美鈴の三人は渾身の気功波をウィローに放ち、ぶつけた。すさまじい光が衝撃があたりに満ち、ウィローはそれに包み込まれた。

 

「むおおおおおお!!」

 

霊夢、カカロット、美鈴、天龍らが復活したDr.ウィローとの戦闘を激化させているとき、その背後では…

 

「ヴ…ヴヴ…」

 

ウィローの放つ攻撃に全身を蜂の巣の様に撃ち抜かれてしまった博麗紅蓮。紅蓮は300年前の幻想郷に存在していた博麗の巫女で、その戦闘能力は霊夢を軽々と抑え歴代最強と称されるほどだ。妖怪に並みならぬ敵意と殺意を持ち、博麗の奥義を外の世界に伝えた罪を問われ、暴走して妖怪を手あたり次第殺し始めたためやむを得ず幻想郷の地下深くに封印されていた。

復活した紅蓮は以前抱いていた妖怪に対しての強い憎悪をさらに膨らませていたが、妖怪を殺すことよりもウィローの手下が暗躍していた状況を幻想郷の危機と認識し、それを何とかしようと闘い続けていた。

 

「ガヴァッ…」

 

しかし、そんな紅蓮の肉体は300年の封印によってボロボロになっており、紅蓮自身の強すぎる霊力に耐え切れなかった肉体は腐ったように溶け始めていた。紅蓮は這う這うの体でゆっくりと移動している。

…しかし、そこへ一つ星の暗黒ドラゴンボール、暗黒一星球が現れ、寄生する宿主を見定めるかのように紅蓮の周囲をふよふよと浮かぶ。

が、紅蓮の崩壊した肉体と、それに反して精神だけは屈強さを保っていることを見抜くと、紅蓮のそばを離れて今度はDr.ウィローに接近していく。

 

「死ねい!」

 

口からエネルギー光線を発射しカカロットたちと交戦しているウィロー。その背後に近づく暗黒一星球は、その機械の体に触れ、ウィローに寄生した。

 

 

────────────

 

──────

 

──ウィロー、スカール、今日からふたりとも私の子供だ。一緒に暮らそう

 

──君が!!くだらないことで学校を辞めなければ!!

 

──イノチ、って何ですか?

 

 

 

「ほお…過去の記憶を見せて俺の精神にひびを入れ、その傷から取り入って寄生するのか」

 

しかし、暗黒一星球はウィローの記憶を呼び起こして精神に傷をつけようとするも、それができないでいた。そして、真っ白で何もないウィローの精神の中には、生前の人間だったころのウィローが立ち、暗黒一星球の前に立ちはだかっていた。

 

「一体誰が作ったものかは知らぬが、下劣なガラクタ風情が、身の程を弁えろ」

 

 

 

────────────

 

 

ウィローの精神内から弾きだされた暗黒一星球は、慌ててウィローから離れる。とりわけ精神が頑強な者やトラウマを持たない者への寄生はこのように失敗することもある。

そんな暗黒一星球が狙いを定め直したのが、先ほどはスルーしてしまった博麗紅蓮だった。早速紅蓮のもとへ突進し、その体に触れた。

 

「ガッ…ガヴァアアアアアアアア!!」

 

雄叫びをあげる紅蓮が雄叫びをあげ、ウィローと戦っていた霊夢の注意がそちらに移る。

 

「なっ、なに!?」

 

腐敗したように崩れていた紅蓮の肉体が見る見るうちに元に戻り、健康な肌色の皮膚に覆われていく。肉体が崩れてしまう前に負っていた顔や胸、指先の傷も完全に治癒した状態だった。瘴気がやや晴れると、そこには裸の状態で長い黒髪を垂らす、封印される以前の姿となった紅蓮の姿があった。しかし、その下腹部には暗黒一星球が浮かび上がっている。

 

「紅蓮が…!」

 

霊夢は、紅蓮が突然元の姿に戻ったこと、そしてその体に見覚えのある黒星のドラゴンボールがはまっていることに気づき、嫌な予感を覚える。

 

「む…何が起こった?なぜあの巫女があれほどのパワーを…」

 

戦闘の最中、ウィローは紅蓮の変化と超強化に気が付き、その方に注目した。そして今度は、今まではボロボロの腐った肉体だ、と嫌悪していた紅蓮の体を己が乗っ取るにふさわしい最強の体だとし、奪い取ろうと画策する。

 

「まあいい!その肉体は私のものだァァ!」

 

紅蓮に向かって腕を伸ばすが、その直後、紅蓮の体から再び赤黒い暗黒の瘴気が放たれ、ウィローの巨体が小石が転がるように吹き飛ばされた。

 

「なんだ!?」

 

その場にいたカカロットたちも同様に吹っ飛ばされ、背中を壁に叩き付けられる。

紅蓮の下腹部の暗黒一星球を中心にしてその下半身全体が瘴気によって赤黒く染まり、上半身や顔の頬にも血管のような筋模様を作る。長い黒髪は色が抜けて白髪になり、さらにその背中からは計5本の赤黒い体毛を生やした細長い尾…”霊尾”を持ち、異形の姿となった紅蓮は屈んで力をため、そのまま跳躍して天井に激突したかと思えばその中へ入り込んで上へ登っていってしまった。

 

「アイツ…地上へ…」

 

ここは妖怪の山内部にあるウィローの研究所。天井を破って上へ掘り進めば山の中腹ほどに出られる。

 

「霊夢!」

 

カカロットが霊夢に叫ぶ。

 

「お前はあの赤黒いのを追いかけろ!ここは俺たちが何とかする…アイツは危険なにおいがする…お前が止めるんだ!」

 

「…ええ、わかったわ!」

 

霊夢は紅蓮を追って飛び去った。

 

 

 

 

「妖怪は鏖じゃあ」

 

そうしてサザンカたちの目の前に現れた博麗紅蓮は、開口一番にそう言い放ち、背中から生える霊尾を一本を振るい、怨霊の少年を狙った。

が、すかさずにサザンカとトランクスがそれを逸らして防いだ。紅蓮は目を少し見開いて驚きながらも、霊尾を元の位置に戻す。

 

「トランクス、アンタはカズラたちと一緒に幽霊ボウズ連れて遠くへ行ってくれねぇか!?どうやらコイツはそのボウズを狙ってるらしい!」

 

「…そうだな、彼らを安全な場所に匿ったら俺もすぐに戻る」

 

「へっ、頼むぜ。アタシらがもう一度覚悟ってヤツ決めても…どうやらこの真っ裸女…相当強えぇぜ」

 

サザンカは紅蓮から感じる凄まじい気を感じて身震いした。そう思っていたのはトランクスも同じようで、険しい顔で頷いてからカズラとアザミ、そして怨霊ボウズを連れてその場から飛び去ろうとする。

 

「私の前から妖怪が逃げられると思うなよ」

 

紅蓮はそう呟くと、トランクスと一緒に逃げ去る怨霊ボウズに向かって右手をかざした。すると、半透明な赤いオーラが爬虫類の舌のように瞬時に伸び、怨霊ボウズを絡めとった。

 

「うわっ!」

 

そのままトランクスが反応できないまま、紅蓮はボウズを引き寄せて捕らえた赤いオーラごと手で握るようにして圧縮した。

 

「ボウズはアタシが助けてやる!だからアンタはカズラたちだけでも…」

 

「オッケー!」

 

トランクスはひとまずボウズの救助はサザンカに任せ、カズラとアザミを連れて見えなくなるほど遠くまで飛び去っていった。ふー、と一息ついたサザンカは一気に全身の気を全て解き放ち、黄金のオーラの上にスパークを纏う超サイヤ人2へと変身した。

 

「テメェ!!」

 

怒鳴ると同時に拳を振り上げ、紅蓮に殴りかかる。しかし、紅蓮は冷めた表情を全く変えることなく、冷静にその攻撃を躱した。そして、紅蓮は背中に備えた5本の赤い霊尾を同時に振るい、サザンカを狙う。

 

「おわっ!」

 

霊尾は縦横無尽な鞭のように紅蓮の周囲を高速で飛び交い、まるでその周囲を球体状の結界が守っているあのようだった。サザンカは近寄ることができず、さらにその周囲をぐるぐる移動しながら隙を伺う。

 

(…確かにヤベェが、何も避けきれねぇわけじゃねぇ…ちょっとの隙にパンチを差し込める)

 

そして、霊尾の鞭の隙間を見切りそこへ素早く一撃を叩きこんだ。

 

ドン!!

 

しかし、吹っ飛ばされたのはサザンカの方だった。サザンカは何が起こったのか理解するも、吹っ飛んでいる最中に接近してきた紅蓮の一撃を受けて地面に叩きつけられる。

 

「ぐは…ッ!」

 

(コノヤロォ引っ掛けやがった…!わざと見切れる程度の攻撃にしておいて、アタシの反撃に合わせて…)

 

歴代最強の博麗の巫女と称された紅蓮にとって、このように敵の意表や不意を突くためにあえて加減することはそれほど難しくはない。自信過剰な性格の多い妖怪相手に戦うために培ったスキルだ。

地面にできたクレーターの中心に埋め込まれ、悶絶するサザンカを空中でロックオンし、拳を振り上げ体を回転させながら降下していく。

 

「『博麗剛鎚(ハクレイハンマー)降竜(こうりゅう)』」

 

赤い霊力を纏って後方へ噴出し推進力を得ながらの真下への突進はさながら天から地へ舞い降りる竜のように真っすぐで、その拳がサザンカの胸へめり込んでいた。

 

「ガッ…!」

 

紅蓮は苦しむサザンカの頭を掴んで持ち上げ、もう反対の腕で殴りつけた。

顔面を殴られたサザンカの鼻から血が流れるも、紅蓮はそれを意に介さずにさらに一方的に追撃を加える。

 

「私の邪魔をするな」

 

そして、鋭い眼光でサザンカを睨みつつそう言うと、手に溜めた赤いエネルギー弾をサザンカの腹へ押しつけ、そのまま炸裂させようと構える。サザンカも意識が朦朧としており、抵抗するにも力が入らない。

 

「コラーッ!!」

 

しかしその時、どこからかそんな叫びが聞こえたかと思うと、紅蓮の顔面にどこからか飛んできたエネルギー弾が紅蓮の顔に当たり、爆発した。紅蓮はわずかに驚いてそちらに注意を向けるも、その隙にサザンカは紅蓮の顎に頭突きをかまして怯ませ、脱出する。

紅蓮はすぐに向き直ってサザンカに掴みかかるも、そこへ颯爽と博麗霊夢が現れ、サザンカを抱えてスライディングし紅蓮から離れる。

霊夢はそのまま紅蓮から猛スピードで遠ざかるが、自分の速度では簡単に今の紅蓮に追いつかれてしまうと思って後ろをチラリと見るが、紅蓮はその場で立ち尽くしたまま追ってきてはいなかった。

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