もしもカカロットが幻想郷に落ちていたら   作:ねっぷう

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第335話 「異次元より爆ぜる砕光!」

サザンカが紅蓮と戦っているころ、その場から離れていったトランクスたちは、妖怪の山のはずれにある岩場に降り立っていた。辺りには山の斜面から転がって来たと思われる巨岩がゴロゴロしており、気を小さくしていればいい隠れ場所にもなるだろう。

 

「よし…ここなら簡単に見つけられないだろう」

 

「さっきの女の体にもドラゴンボールがハマってましたよね?きっとサザンカならそれを奪えるはずですよ」

 

「ああ!もしあのアホにも務まらなかったってんなら、またオレが行ってやってもいいぜ」

 

カズラとアザミは先ほど現れた紅蓮に対してそう言った。カズラはサザンカがガーリックを叩きのめすところを見ており、アザミも自分の説得で月夜見王を元に戻したことがある。つまり、カズラはサザンカの力が、アザミはそれに加えて自分の力があれば今回も無事に暗黒ドラゴンボールを手に入れられると思っているのだ。

 

「いや、どちらもだめだ」

 

が、トランクスはキッパリとそう言った。

 

「なんでっすか?」

 

「そうだぜ、また上手い事やって…」

 

「ダメなんだ、さっきのヤツは今までの敵とは次元が違う。きっと、サザンカちゃんも今頃やられてしまっているかもしれない。君たちはここで待っていてくれ、俺が行ってくる!」

 

そうしてトランクスが空に飛び立とうとした、その瞬間だった。トランクスは身を射すような不吉な気を感じ取り、その場で硬直する。思わず冷や汗がこめかみを流れ、背筋に氷を当てられたような感覚がする。

 

「久しぶりですね、トランクス」

 

「何…!?」

 

気付けば背後に立っていたのは、青い肌をしていて、赤いカッターシャツに白いズボンを纏った強面の巨漢だった。

 

「…何者だ、お前は」

 

異様な雰囲気を醸し出すその男の身長は2メートル近くはありそうで、その全身ははち切れんばかりの筋肉に覆われている。さらに眉毛が無い凶悪な面構えであるが、その表情は若干の笑顔が混じっており、言葉遣いも丁寧なのが逆に不気味だ。

 

(どこかで感じた事のある気が混ざっている…どういうことだ?)

 

「おや…私の事を忘れてしまいましたか?ではこれで…思い出していただけるでしょうか」

 

次の瞬間、男は全身の気を開放した。その瞬間、トランクスは青ざめて目を見開いた。

 

「まさか…ミラ…!?」

 

「半分正解です。私はミラであってミラではない…まあややこしいですので、私の事は気軽に”ライ”とお呼びください」

 

「ライ…それは一体どういうことだ?」

 

「ふっふっふ…私がここへやって来た目的は、君と同じく暗黒ドラゴンボールを集める事だ。つまり、君とは再び敵対する関係になりますね」

 

ライと名乗った男は自分の両手の人差し指を交差させながらそう言った。

 

「よって、私は君をここで始末しなければなりません。となると…後ろにいる人間の方々を巻き込むことになる。それはフェアな戦いを臨む私にとっても芳しくありません。場所を変えませんか?」

 

「…わかった。カズラくん、アザミくん…君たちはここにいてくれ。絶対に動くんじゃないぞ」

 

「ああ、そうするぜ…なんかヤバそうってことは十分感じるからな…」

 

トランクスの言葉に、カズラとアザミは頷いた。

ライが親指で遠くを指差すと、トランクスと共にどこか遠くの方へ飛び去っていった。そして一瞬でさらに離れた場所にある荒れ地に着地し、そこで両者は身構え、じっくりと互いを観察する。

 

「ライ、お前はミラなのか?だとしたら、お前はあの時…粉々にされて倒されたはずだ」

 

「確かに私はあの時、君たちに倒されて粉砕されました。しかし完全に消滅してはいなかった…。その時に残された人造人間ミラの細胞の破片をもとに、新しく設計されて産み出された人造人間…それがこの私です」

 

「なるほど…ということは、ミラをライとして蘇らせたのはトワの仕業か」

 

「さぁどうでしょう。いずれにせよ言えることは、この私を以前と変わらぬ力だとは思わない事です。全ての能力に置いて前身のミラを上回っていますよ。…ハッ!!」

 

全身に力を込め、黒い気を発するライ。その波動の衝撃により、ライを中心として地面がへこみ、クレーターが形成される。

同時に全方位へ向けて突風が吹き、トランクスは腕で顔を覆う。

 

「その気…思い出した。お前はあの時時の巣を襲撃した二人組のうち一人だな…!」

 

「ご名答です。あの仮面を被せた男…”滾り爆ぜる仮面のサイヤ人”は何とか退けたようですが、この私をどうにかできるとは思わないことです」

 

「くっくっく…はははは…!」

 

しかし、暴風のようなライの気を目の当たりにしても、トランクスは不敵に笑っていた。

 

「おや、何がおかしいのです?」

 

「ははっ…いや失礼。お前は以前よりもパワーアップしたといったな…。それは俺も同じことなんだよ」

 

次の瞬間、トランクスも同じく全身から気を発した。それによる波動は先ほどライが発したものよりもさらに強く、トランクスを中心に地面にできたクレーターはライが作ったクレーターを容易に呑み込んで広がってゆく。

 

「な、なに…!?」

 

驚き、トランクスを見るライ。その姿は黄金のオーラを纏い、さらに周囲には青いスパークが舞って弾けている。

 

「俺も以前までの俺じゃない。教えてもらおうか…時の界王神様は今どこで何をしている!」

 

「私は教える気はありませんよ。どうしても気になるなら、私を始末してドラゴンボールを全て集めてみては?」

 

「なら…そうさせてもらおう!」

 

 

 

サザンカと霊夢が自分の目が届かない場所まで逃げたことを察した紅蓮はいったん落ち着き、右腕を突き出すと握っていた拳を開き、掌を地面に向けた。

握られて圧縮された赤い光がガラス玉のように地面に落ち、割れる。

 

「出ろ」

 

紅蓮がそう唱えると、割れた玉の中から煙と共にあの怨霊の少年が現れる。少年は地面に座り込んでゴホゴホとせき込みながら、自分に何が起こったのかわからず困惑していた。

 

「おい」

 

紅蓮が低い声でそう言い、少年は上から威圧的に見下ろしてくる紅蓮の姿を見て戦いた。

 

「うわあああああ!ごめんなさあああい!!」

 

「黙れ。本来であればあのまま封玉ごと圧殺するところだが…小僧よ、貴様は平然としているがそれほどの強力な怨念を秘めているということは…さぞかし無念を残して死んだのだろう。私は妖怪は問答無用で滅するべきだと思っている…しかし、貴様のように元が人間であった者はその限りではない」

 

人差し指を口元に添えながらそう言った紅蓮に対し、少年は何か奇妙な感覚を覚える。

 

「話せ。なぜ貴様のような小僧が怨霊になるに至ったのか」

 

少年はなぜ紅蓮がそんなことを知りたがるのか判らなかったが、自らが人柱として生贄になったことを紅蓮に話した。それを聞いた紅蓮は表情を変えないまま静かに口を開いた。

 

「最低だな」

 

「え…?」

 

「貴様が山の妖怪に捧げられ、供物として野たれ死んだところで何も変わっていないだろう。恐らくお前が死んだ時期からもう300年は経っていると思われるが、この地に巣くう妖怪という種族どもは何も変わっていない。大昔から変わらず、下劣で、醜く、愚かしい。きっとお前が贄に捧げられた時も、都合のいい餌が突然降って沸いた程度にしか思っていない。お前の人生は何の意味もなかった、何の役にも立たなかった、だから最低だと言ったのだ。貴様の人生がな…」

 

面と向かってそう言われた少年は何も言い返せず、ただ下を向いているきりになってしまう。確かに、僕は本当に役立たずだったもんなぁ…。

 

「しかし、疑問もある。貴様が抱えるその怨念は、人間の亡霊にしては大きすぎる。恐らく、山で死んだ人間たちの無念の集合体なのであろうが…それほどの怨念を持っていては周囲に影響を与えるほどの狂気を孕んでいてもおかしくはない。本来、ヤマノケとはそれほど強力な存在だ。貴様は何故平然としていられるのか…」

 

「いえ、僕がこういう感じになったのはつい最近の事ですよ…それより前の事は記憶にありませんが、ずっと覚めない悪夢の中にいた事は確かです」

 

「ではなぜ貴様がその悪夢から覚める事が出来たのか…それもまた疑問になる。恐らくは何らかのきっかけがあった事が確かだが、あるとすれば生前の貴様と縁の近い者が活動を始めたとか…」

 

紅蓮がそう言いながらゆっくりと後ろを振り返り、そこで言葉を区切る。その視線の先には、倒木に片足を乗せてこちらを睨んでいるサザンカの姿があり、その後ろには博麗霊夢もいる。

 

「よお、さっきはよくもやってくれたな…早速リベンジいいか?」

 

「…バカが」

 

紅蓮は表情を変えずに呟くと、再び背中から5本の霊尾を展開するのだった。

 

 

 

トランクスの拳がライの頬へヒットし、勢いよく吹っ飛ばされる。巨大な岩に背中からめり込み、項垂れるライの目の前へ接近したトランクスはさらに連続で攻撃を繰り出し、一撃が命中するたびにライの体がどんどんと岩にめり込んでいく。

 

「うおおおおお!!」

 

そして一際強烈な蹴りを腹へ浴びせると、突き抜けた衝撃が岩を粉々に破壊し、ライは後方へ大きく吹き飛ばされる。すかさずそれを追い、上空へ舞い上がるとトランクスは追撃のエネルギー弾を命中させ、今度はライを地面へ叩き落とす。さらにその地点へ向けて両手から連続でエネルギー弾を発射し、次々と着弾させる。

絶え間なく爆発が巻き起こし、白い閃光と共に煙と石のつぶてが吹き荒れる。

 

「…よし」

 

攻撃を加えるごとに小さく減り続けていたライの気がついに感じ取れなくなった。超サイヤ人2となったトランクスは終始ライを圧倒し、一度の反撃の隙すら与えずに完封して見せた。

 

「さぁ、カズラくんたちの安全を確認したらサザンカちゃんと合流しないと…」

 

トランクスはそう言いながら先ほどの場所まで戻ろうと踵を返した。

 

「それはさせられませんね」

 

「…ガッ…!?」

 

しかし、トランクスは突然何者かに首を捕まれ、乱暴に振り回されるとともに空高く掲げ上げられてしまった。ビクともしない怪力はトランクスを絞めると同時にその気を全身に電撃のように流し、体の自由も奪っている。

 

「感心しませんね…正々堂々の勝負において、敵からの敗北宣言を聞かないまま、ましてや生死の確認すら怠るとは…戦士として恥ずべき行いですよトランクス…」

 

「く…ぐッ…!!」

 

「前身であるミラは一対一の勝負にこだわり、それこそを正々堂々の精神としていたようですが…私は少し違います。私が理想とする正々堂々の勝負とは、己の技術と経験、身の回りにある物を全て使った全力全霊をかけた戦いの事です!つまり、私が装った敗北を疑わなかった…君の敗北ですよ」

 

ライは全身にあふれ出した紫色の気を、トランクスの首を締め上げている腕に送り込み、ぐんぐんと膨らませる。そして次の瞬間、掌の中で紫色のオーラが炸裂し、トランクスを巻き込みながら緑色の閃光が放たれた…。

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