もしもカカロットが幻想郷に落ちていたら   作:ねっぷう

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第342話 「見るも言うも聞くも申!」

あれは、そう…15年近くも前、地球へ襲来したフリーザを倒した後の事だった。

 

「霊夢の代わりはシロナだけいれば十分なのに、妹の方はどうしようかしら」

 

「サザンカは、私が引き取ります」

 

何故、あたしはそんな事を言ったんだろう。何となく、あの幻想郷っていうところがくたびれたような閉塞感があるように感じていて、そんなところに友人の赤ん坊を預けておくのが惜しくなったのか、それとも私自身寂しいと思ったからか。

…いいや、それよりも、この八雲紫という人物が霊夢の代わりとなるシロナの事ばかり考えていて、まだ生まれたばかりの赤ん坊だったサザンカの事は甚だ眼中にないというような物言いと態度に、少しばかり腹が立ったからだったか。

 

「ええ、いいですわよ。こちらにはシロナさえいてくれれば、その子はどうとでもなさってください」

 

八雲紫は肩の荷が少し降ろされたように小さくため息をついてそれだけ言うだけで、特にほかには何もなかった。

 

「いい、サザンカ…あなたは今日から私と一緒に暮らしましょう。大丈夫、大切に育てて見せるから…」

 

「だー?」

 

サザンカの小さな手が、あたしの親指をそっと掴んでいた…。

 

 

─────

 

そして現在…

 

「~~ッ…」

 

サザンカは学生食堂にて、ある一点を猛烈な視線で睨みつけ、震えていた。その見つめる先にはカズラの後ろ姿があるが、その隣にはサザンカではない別の女子生徒の姿があった。しかも、ふたりとも親し気に会話しているのがわかる。

サザンカは複雑な思いを抱えているが、その表情は鬼気迫る形相となっており、サザンカの周囲の席には誰も座ろうとしていなかった。

そして注文したラーメンを持って端っこの席へ座り、同じくカズラの後姿を見ながら数秒でそれを平らげると、さっさと片づけて足早に教室の方へ戻っていくのだった。

 

「あれ…サザンカ?」

 

食堂を出ていく姿がちらっと見えたカズラは不思議そうにそう呟く。

 

 

いよいよ春も終わり、夏へと向けた日差しが照り付けてくるようになった。教室には開けられた窓から涼しい風が入ってくるが、その一角だけは沼地の様にどんよりとした雰囲気に包まれていた。

 

「…」

 

やはりサザンカだった。足を開いて椅子に座り、眉間にしわを寄せた表情で彼女の目線だけを外へ向けて何か考えているようだった。席は最前席の窓際であり、窓から吹いてくる風もサザンカの苛立ちのオーラを受けて湿った熱風のように感じられていた。

 

「あ、カズラ!いいところに来たな、助けてくれ」

 

カズラが昼食を食べ終えて教室に戻ってくると、クラスメイトに一番にそう言われた。

 

「え、何が?」

 

「あれだよ。サザンカがあんな顔して窓際に座ってると空気が悪くてなぁ。お前はたまにアイツと話してるだろ?だからうまいこと機嫌を直してやってくれよ」

 

「はあ…」

 

カズラは仕方ないという様子でサザンカに近寄り、その肩を叩いた。

 

「おっ…カ、カズラ…」

 

サザンカは平然と返事をしたように装おうとするも、やはり彼に話しかけられると吃ってしまうようだった。

同時に、カズラは考える。ここで下手なことを言ってまずますサザンカが不機嫌になったら困るし、かといって特に何の意味もない問答をしたところでこの機嫌は変わらないだろう。

と、それとは裏腹に、すでにサザンカ自身は自分が苛立っていた原因などこの瞬間にはさっぱり頭から締め出されていた。

 

(な、なんで今話しかけてきた…?やっぱりさっき食堂で無視したのがまずかったか…!?)

 

「放課後なんだけど、お前の家まで一緒に行ってもいいか?俺もトランクスさんと話したいことあるし、もちろんお前とも話がしたいんだ」

 

「あ、ああ…いいけど…!」

 

(話がしたいって何だ!?まさか…)

 

サザンカは顔を真っ赤にしながら考えを巡らせるが…

 

「お前ら席につけー、午後の授業始めるぞ」

 

先生が教室に入ってきたので話が中断された。

しかし、午後の授業がすべて終わって放課後になるまで、サザンカの近くの窓から吹いてくる風が妙に熱くなっていたらしい。

 

 

───────────

 

──────

 

 

ナメック星。ここはナメック星人と呼ばれる特殊な民族が暮らす惑星であるが、この星に存在するナメック星のドラゴンボールを求めて、恐怖の魔の手が襲い掛かっていた。

宇宙の帝王と恐れられるフリーザと彼が従える軍隊がドラゴンボールを求めて星に降り立っていた。フリーザはドラゴンボールを使って不老不死になるという願いを叶えるつもりであったが、同じくナメック星へやって来ていたピッコロや美鈴、天龍、ターレス率いるクラッシャー軍団、そしてベジータらの妨害によって計画が頓挫させられた。

怒った帝王フリーザはベジータを殺害し、ターレスたちサイヤ人達と激戦を繰り広げる。しかし、大幅にパワーアップを遂げたはずのカカロットでさえも軽々と打ち破り、その絶望的ともいえるパワーを前に成す術がなかった…。

 

「あの時、バーダックはたったひとりで戦い、俺を生かした…今度は俺がひとりで戦う番だ!『はじけて混ざれ』!!」

 

そんな中、ターレスは上空へパワーボールを作りだし、それを見ることで大猿に変身しようとしていた。少しでも自分の戦闘力を上げてフリーザを足止めし、生き残った戦士たちを逃がそうとしているのだ。その胸中は恐怖か喜びか、ターレスは笑いながらフリーザを締め付けたまま大猿へと変化していく。全身に黒い剛毛が生え、目が赤く染まり顔つきが凶暴に変貌する。

 

「グオオオオオオオ!!!」

 

しかし、大猿の超パワーに掴まれてもフリーザは不敵に笑い、無理に力を込めてターレスの拳をこじ開けて拘束から脱しようとしていた。ターレスも歯茎を見せて唸りながら力を強めるが、それでもまだフリーザのパワーの方が圧倒的に上回っていた。

そしてとうとうフリーザはターレスの手から脱出し、その右腕にエネルギーを溜めた。

 

「そろそろ死ねよ、お前」

 

だがその時、遠くからラディッツとナッパの放った気功波がその背中に当たった。ゆっくりと振り返ったフリーザは額に血管を浮かばせながら言った。

 

「…まったく、人をイライラさせるのが上手い奴らだ…」

 

「ターレスよ、俺たちも混ぜてくれ。お前だけにこの舞台は任せられないからな」

 

ラディッツがそう言った。

 

「俺たちはお前には感謝してるんだ…お前があの時地球に来て呼びかけてくれなけりゃ、俺たちはここまで強くはなれなかったし、一生フリーザに逆らわずつまらない人生を送っていたはずだ」

 

ナッパがそう言うと、ふたりは同時に空を見上げ、輝くパワーボールをその視界におさめた。

ラディッツは髪の長い大猿へと姿を変え、ナッパは普通の大猿よりもやや大柄な体格の大猿へと変貌していく。そして変身が完了すると同時に吠え、口から特大の火炎を放射した。

 

「ギャオオオオオオオオ!!」

 

それに包まれるフリーザだが、すぐに脱出して大猿ラディッツの顔面の前に移動し、その眉間に拳を叩きつけた。

 

「ギャウ!」

 

額を押さえて後ずさるラディッツ。続いて大猿ナッパの足に尻尾による一撃を加え、バランスを崩して転倒させた。

後ろから殴りかかってくるターレスの拳を尻尾で受け止め、手の平から放つ衝撃波で後方へ吹っ飛ばす。

 

「グオオオオ…!!」

 

「塵にしてやる」

 

フリーザは左腕を天へ掲げ、突き出した人差し指の上に小さなエネルギー球を生成する。それはものの数秒後には赤黒く禍々しい巨大な気の塊となっており、黒き太陽のような輝きを放っている。

そして、左腕を勢いよく振り下ろすと、それに合わせて赤黒いエネルギー球が大猿ターレスたちの元へ落下してくる。

 

「ガア…!?」

 

フリーザは自分が放った攻撃の顛末が分かり切っているかのように、またはもう用済みだとでも言わんばかりの所作で後ろを向き、先ほど逃げていった美鈴たちを追っていく。

そして、彼らが何をする間もなく、暗黒のデスボールは炸裂し、凄まじい爆発が大猿たちを包み込んだ。

 

「オオ…!!!」

 

巨大な質量を誇る大猿の体が末端から粉々に崩れ、焼却されていく。

しかし、ターレスは見た。消滅しかけた自身の腕の横で、何か小さな球のような物体がふわふわと浮かんでいることを。

その球はフリーザの放ったデスボールの中心地に在りながらも、全く傷ひとつ付くことなく漂い、やがてターレスの左胸目がけて飛び、激突した。

 

ガチン

 

と、何かが噛み合ったような音が鳴り、次の瞬間、ターレスの体から溢れ出た赤黒い瘴気が、フリーザのデスボールを内側から消し飛ばした。

そこへ現れたるは、鬼気の羅刹、純黒の申が牙を剥く。

 

「ギャオオオオオッ!!」

 

…今、歴史が歪んだ。




お待たせしました。サンブレイクをやっていました。
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