もしもカカロットが幻想郷に落ちていたら   作:ねっぷう

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第343話 「我怒る、故に我在り!」

サザンカは一世一代の大勝負かと思われるほどに緊張していた。

学校の帰り道、サザンカの自宅であるカプセルコーポレーションまでの道のりを、カズラと並んで歩いているからだ。今まで偶然に帰り道で出会ったり、また学校では顔を合わせた時に少ししゃべるくらいの機会はあったが、こうして「一緒に帰ろう」と言って並んで歩くのは初めての事である。

 

(ど、どうすりゃいいんだ…?何を話せば…)

 

サザンカはそう考えながら、隣にいるカズラの横顔をチラリと見た。カズラもカズラで何か言いたそうにしているので、それが余計にサザンカの期待や緊張につながってしまうのだった。

 

「あのさ、サザンカ」

 

やっとこさカズラがそう声をかけてきたとき、サザンカは心の中で飛び跳ねた。

 

(きたっ!)

 

「な、なんだ?」

 

「その…ごめん、悪かった!!」

 

カズラは急にその場で頭を下げる。

 

「ええ!?」

 

「お前、今日ずっと機嫌悪かっただろ?理由は分かってる…いつもいつも俺がお前が戦う場所についていって、何もできず足引っ張ってるからだよな?」

 

「あ…な…」

 

「すまんかった、次からはあんまりお前の周りにはうろちょろしないように…」

 

「違う!」

 

サザンカはカズラの肩を掴み、そのまま建物の壁に押し付けた。

 

「そうじゃねえよ…!そんな理由じゃねぇ…から…もっとそばにいてくれ…」

 

「お前…それって」

 

「ばっ、いや、そういうことじゃなくて…!!」

 

サザンカは自分の顔の熱さにハッとし、カズラから手を放してアタフタする。

 

「ははは…わかってるって。でも、今度からは危ない戦いがあるときは俺は首突っ込まないようにしとくよ。でも、できればお前とは一緒にいたいよな」

 

「ええっ!!?」

 

カズラのその言葉にますますサザンカの顔が赤くなり、周囲には何事かと思うほどの熱気が漂い出してしまった。カズラとしては、「危ない場所でもサザンカのそばにいれば安心だよな」というようなニュアンスで言ったのだが…

 

(まさか、コイツも私の事が…!?)

 

早鐘のように鼓動する心臓の音と、こめかみの熱さでクラクラする。興奮と熱気によって既にサザンカは超サイヤ人へ変身寸前、少しでも間違えれば町一つ吹き飛んでしまうかと思うほどに感極まったサザンカであったが、次の瞬間。

 

「あれ、サザンカ~!こんなところで何してんの~?」

 

聞き覚えのある声を聞いて、サザンカの熱は一気に引き、代わりに別の意味での熱がこみ上げてくる。

そう、気配もなく彼らの後ろに近付いていたのは、あのシロナだったのだ。

 

「テメェ…」

 

「おや、カズラくんまで一緒だったの?久しぶり~!」

 

「おわっ、あの…!」

 

シロナはそう言うや否や、なんとカズラに思い切り抱き着いて見せたのだった。カズラも慌てふためき、サザンカはその様子を呆然と立ち尽くして見ていることしかできなかった。

自分がどう頑張ってもできない行動を、何の戸惑いもなく簡単にやってのけたこの姉。サザンカの胸の中に一滴の墨を垂らされたかのように、じわじわと何かが広がっていく。しかし、途中でハッと気が付き、猛烈な怒りが押し寄せてくる。

 

「テメっ…クソ姉貴離れろォ!」

 

サザンカがそう言いながら二人に近付いて言った瞬間、上空から何者かが颯爽と降りてくる。

 

「ちょうどよかった、シロナさんも一緒だったんだ」

 

トランクスだった。

 

「また暗黒ドラゴンボールが見つかったらしい。俺と一緒に来てくれないか」

 

「うそ、例の暗黒ドラゴンボールが?私も手伝っていいかな?」

 

と、シロナが言った。

 

「俺は今回やめときます。ここはトランクスさんやサザンカにお任せしますよ」

 

「わかった。もちろんサザンカちゃんも来るよね?」

 

「…ああ」

 

「よし、じゃあ出発だ」

 

トランクスがそういうと、彼に加えてシロナとサザンカの体が白く発光しはじめ、やがて一瞬にしてその場から消えてしまった。

 

 

 

──────────

 

─────

 

 

気が付くと、そこは不思議で神秘的な景色が広がっていた。緑色の空と海、青色の草原、そして空には三つの太陽が浮かんでいる。

 

「こうやって時間を移動するんだ~。ところで、ここは…?」

 

シロナは呟いた。

 

「ナメック星だね。地球から遠く離れた位置にあって、ナメック星人と呼ばれる種族が暮らしている平和な星さ」

 

と、一緒に時空を移動してきたトランクスがそう言った。

 

「あー…ここがナメック星なんだ…っていうか、サザンカがいないじゃん!?」

 

シロナは一緒に移動してきたはずのサザンカがいないことに気づく。文字通り、影も形も見当たらず、それらしき気も周囲からは感じられないのだ。

 

「ええっ?一体どうして…」

 

トランクスとシロナが首をかしげて困惑していたその最中、遠くの方でけたたましく轟く獣の咆哮のような叫び声が聞こえてきた。同時に、音と共にやってくる暗黒の瘴気が突風となってシロナとトランクスを吹き飛ばす。

 

「な、なに…今の…!」

 

「暗黒ドラゴンボールの瘴気だ…」

 

 

─────

 

──────────

 

 

「…あれ?」

 

現代に取り残されてしまったサザンカは、唖然として周囲を見渡した。

 

「お前、まさか置いていかれたのか?」

 

その様子を見ていたカズラもサザンカを指さして困惑している。

 

「くっくっくっく…」

 

と、どこかから声が聞こえ、ふたりはその方向へ振り向く。すると、すぐ近くにあったカフェのテラス席に腰かけたひとりの女が笑いながらこちらを見ていた。

 

「お仲間に置いていかれるなんて随分とぞんざいに扱われていらっしゃるのねェ──。失礼ながら面白いものを見させていただきましたわァ」

 

「誰だテメェ」

 

サザンカがそう言い放ったのも無理はない。明らかに一般人とは雰囲気が異なるその女は、水色の肌、白い髪を頭の左右で角の様に巻き上げ、赤いスーツを身にまとったその姿は、まるでこの間戦闘した「人造人間ライ」と似た雰囲気を感じた。

 

「ライの仲間か?」

 

「ふふふ…昔、ミラという人造人間が破壊されましたの。その細胞の断片から、ミラをさらに改良して造り出されたのがこの私、パストってわけ。ライも同様にして私の次に造られた…まあ、いわば弟みたいなものね」

 

「そうかよ、ヤツの仲間ってことはどうせロクでもねぇワケでこの街にいるんだろ?立てよ、ぶっ飛ばしてやる」

 

サザンカがそう挑発するも、パストは優雅にコーヒーを飲み、カップを机に置いた。

 

「おいタコ!かっこつけて余裕こいてんじゃねぇよ。何し来たのか知らねぇが、今すぐ消えねぇとマジでシメるぞ」

 

「どうぞ」

 

パストと名乗った女がそう口にした次の瞬間、何の前触れもなくいきなりサザンカがノーモーションから放つ鉄拳を3発、パストの顔面と腹へ叩き込んだ。

 

「うぎゃっ…」

 

パストは椅子から転げ落ちながら吹っ飛ばされ、そばに置いてあった植木鉢の上に倒れ込んだ。

 

「うおおあああっ!!?」

 

しかし、サザンカの後ろに立っていたカズラも、パストとほぼ同時に後ろへ吹っ飛ばされ、街灯の柱に背中から命中した。口の端から血が流れ、突然の凄まじい衝撃に混乱している。

 

「ガハッ…!」

 

「だ、大丈夫かカズラ!?テメェ、コイツに何しやがった…!!」

 

サザンカはパストを睨みつける。パストは割れた植木鉢の破片を落としながら立ち上がり、口の中に溜まった血をペッと吐き出す。

 

「このバカヤロォ…まだ説明は途中だろうが。いいか、お前は普段生活している上で気を抑えているようだが、その状態で私を殴ったからその男は怪我だけで済んだ…本気で殴っていたら殺していたところなんだよォ…くっくっく…」

 

「何だと…!?そんな事どうやって…」

 

「弟のライは…元となったミラの戦闘能力の部分を色濃く受け継ぎ、それをさらに強化されている。半面、この私はミラの持つ魔術的才能を色濃く引き継いだ。つまり、私とその男は”生命のリンク”という魔術によって一心同体となっているんだよォ!」

 

サザンカはギリリと歯を噛み締める。

 

「つまり、サザンカ…あなたに思いっきり殴られたり、不意に事故に遭ったりでもすれば、私は平気だとしても間違いなくその男は死ぬでしょうね。さァ、どうする?どうやって私をマジでシメるんですかァ──?」

 

 

 

──────────

 

 

「ねえトランクスさん…もしかして、暗黒ドラゴンボールに寄生されてるのって目の前の…」

 

「ああ…この”大猿たち”だろう…!」

 

過去のナメック星へ降り立ったシロナとトランクスの目の前には、赤黒い瘴気を纏った3体の大猿が佇み、怒気を含んだ表情でこちらを見下ろしていた…。




一応サザンカはこんな感じです。通常時と超サイヤ人です。
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