もしもカカロットが幻想郷に落ちていたら   作:ねっぷう

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第350話 「歪む黄金の追憶」

エイジ763

 

 

…ここは、現在のサザンカたちが存在する時間から、遡ること15年前のツルマイツブリ山。ナメック星でフリーザに戦いを挑むも敗北したカカロットたちは幻想郷へと帰還し、フリーザが地球を襲撃する時を待ち、いよいよフリーザ軍との最終決戦が幕を開けた。

各々の戦士たちが幻想郷にて守るべきもの、己の矜持の為に戦い続けていたころ、カカロットは外の世界のツルマイツブリ山でフリーザと一騎打ちの勝負に買って出ていた。

 

戦いの中で超サイヤ人へと覚醒を遂げるカカロットであったが、フリーザもまた戦いの中で更なる進化を辿り、さらにブロリーが帰還したことで戦闘に加わり、カカロットが優位に立つも、時間が経過するとともに真の力を少しずつ解き放っていくフリーザの戦い方を前にカカロットは胸を抉られる重傷を負い、伝説の超サイヤ人となったブロリーでさえ追い込まれ、絶体絶命の状態であった。

 

「まだ死んでも死にきれねぇんだよ…!自分の死に方は自分で決める!!」

 

一時は戦闘不能に陥ったカカロットが、第四形態の強大な気に耐えきれず暴走しているフリーザを背後から羽交い絞めにする。抵抗するフリーザが後ろへ繰り出した肘がカカロットの傷口に当たり、苦痛に顔を歪ませるも、なけなしの気力を振り絞って超サイヤ人となり、さらにパワーを込める。

 

「ブ、ブロリー!今のうちにお前の最高の攻撃を叩きこめ!!」

 

「何だと…!しかし、それではカカロットが…」

 

しかし、ブロリーは困惑している。

 

「構うな!どうせもう長くはない…やるんだ!お前の全てをかけた全力なら、コイツを倒せるかもしれねぇんだ!!」

 

ブロリーは悔しそうに歯を食いしばりながら感情ごと唾を飲み込み、右腕を大きく振りかぶった。掌の中に込められるだけの気を込め、それを握り込めるほど小さく圧縮し、粒の様に小さなエネルギー弾として投げ飛ばした。

そのエネルギー弾は空中で高速でカーブを描きながら飛び、身動きの取れないカカロットとフリーザへぐんぐんと向かっていく。

 

(これでいい…フリーザを倒せるのなら…!)

 

「一緒に地獄へ行こうぜ、フリーザよ…」

 

カカロットは目を瞑り、エネルギー弾が空を切って飛んでくる音だけを聞いていた。

 

「バーカ」

 

しかし、嘲笑うかのようなフリーザの声が耳に入り、カカロットはびくっとした。次の瞬間、自分の体はいとも簡単にフリーザの体から離れ、ブロリー渾身のエネルギー弾の目の前へ投げ出されていた。

 

「え?」

 

思わず間の抜けた声が出てくる。状況が理解できず…否、理解したくない状況を理解してしまった。自分はフリーザによって、攻撃の盾にされたのだと。

呆気にとられたのはブロリーも同様だった。もうあの攻撃を止めることなどできない。

 

(アイツ…やはり素面だった…ッ!!)

 

絶望。その二文字がカカロットとブロリーの頭によぎる。その後ろで、してやったりといった顔で不気味に笑うフリーザ。

 

「ハア───ッ!!」

 

しかし、どこからか聞こえた一声と共に、何者かが超高速でカカロットへ向かって突撃を仕掛けた。その何者かは頭からカカロットの脇腹へ激突し、カカロットは成す術なくそれに吹っ飛ばされ、間一髪、髪の毛一本分エネルギー弾に当たらずに地面へ向かって激突した。

カカロットへぶつかった何者かもその拍子に反動で反対側へ吹っ飛ばされ、同様にブロリーの攻撃には当たらなかった。そして、そのままブロリーのエネルギー弾は後ろへ向かって飛び続け、フリーザへ向かって迫る。

 

「チッ!」

 

フリーザはそれを腕ではじき返すと、その瞬間に地球そのものを揺るがすほどの大爆発を巻き起こした。

 

「誰だァ、オレ様の邪魔をしたのは!!」

 

思い描いていたプランが失敗に終わったフリーザは、つい怒号を上げて目の前を睨む。怒りの青いオーラが爆発を吹き飛ばし、辺りは静まり返る。

 

「なんとか間に合ったな、カカロットよ」

 

地面に墜落したまま動けないカカロットのもとへ歩み寄ってきたのは、ナメック星で死亡したと思っていたターレスであった。

 

「ター…レス…?なぜ…」

 

「俺もいまいちよくわかっちゃいないんだが、これまで身を潜めていた。こういう時の為にな」

 

暗黒ドラゴンボールの一件のおかげでナメック星で生存したターレスはギニュー特選隊の乗ってきたポッドで星を脱出し、身を潜めながら来るべき戦いの日を待っていたのだ。

 

「オレたちも」

 

「いるぜ」

 

ターレスと同様にナメック星から脱出したナッパとラディッツもこの場へ現れる。

 

「お前ら…」

 

それに気付いたカカロットだが、もう顔をあげる力すら残ってないらしい。

 

「それが超サイヤ人か…それにフリーザの野郎もだいぶ姿を変えたようだな」

 

ターレスが超サイヤ人と化したカカロット、そして第四形態へ進化したフリーザを見ながらそう呟いた。そこへブロリーも降り立ち、彼の変貌ぶりも目にする。

 

「ブロリー、テメェは…何があったんだ?」

 

「いや、まあ色々と…とにかく助かりました。もうだめかと…」

 

ブロリーは白目を剥き、異常に肥大化した肉体となりながらも安堵したようにそう言った。

 

「ターレスとその他のゴミども…生きていたとは…。しかし、だからどうした?やはり蟻が何匹集まろうとも恐竜には勝てないぞ」

 

そのフリーザの言葉は正しい。もはやブロリーでも手に負えず、カカロットは瀕死、ターレスたちも到底戦力にはならないことは自分らがよくわかっている。

 

「ああ、ご尤もだ」

 

万事休す。

 

「え、なにこれ、何があったの?」

 

「!!?」

 

その場の全員が驚いた。ターレスたちは瞬時に後ろへ下がり、ブロリーとカカロット、ましてやフリーザでさえもその者の接近に一切気付くことができなかった。まるで風に舞ってきた木の葉、あるいは転がってきた小石のように、一切気に留められることなく各々の制空権内へ侵入してきたその者。

 

「アンタたち大丈夫?」

 

その者、霊知を超えた巫女、八百万を超越した巫女、博麗霊夢はボロボロのブロリーやカカロットを見て軽く心配の言葉をかけつつもすぐに状況を読み取った。

 

「霊夢…」

 

カカロットは霊夢の姿を見てその名前を呟くと、静かに目を閉じ、気を失った。霊夢は安堵しながら目を閉じ、フリーザに向き直ると戦意の視線を彼へ向ける。

 

「やる気か?地球人…まさか、このフリーザ様と」

 

「私は博麗霊夢っていうのよ。まあ、勝てなくても…負けてあげないから!」

 

ターレスたちの救援の甲斐あってカカロットは一命をとりとめ、精神と時の部屋での修行を終えた霊夢がフリーザと最後の一騎打ちを繰り広げる。

しかし…この歴史に現れた暗黒五星球は、誰に寄生するか、そしてそのチャンスを探るべく一行の様子を眺めるかのように漂っているのだった…。

 

 

 

 

──────

 

───

 

 

現在、カプセルコーポレーション・ブルマ宅。

ブロリーを探しているという銀河パトロール隊員のスカッシュは、部屋で話していたサザンカと、たった今部屋に入ってきたシロナを交互に見ている。

 

「なんだよ、朝からどこ行ってやがった」

 

「えへへ、ちょっとねー」

 

シロナとサザンカはそんな会話を交わす。そこで、スカッシュが思い切って切り出した。

 

「なあ、2人ともちょっとアタイの話を聞いてくれるかい?」

 

「あ?」

 

「え?」

 

「この先、どんなヤツが暗黒ドラゴンボールに寄生されて暴れるかも、いつライやパストってヤツが襲ってくるのかもおちおちわかったもんじゃない…だろ?だからさ、どんな敵にも絶対に勝てる必勝の技、知りたくないか?」

 

「なんだよそれ…」

 

「そんなのあるの?」

 

サザンカとシロナも話に食いついたのを確認して立ち上がるスカッシュ。

 

「その名も”フュージョン”といって、アタイの生まれ故郷の星じゃ誰でも使える技術なんだ」

 

「へぇ、どんな技術なの?」

 

「ずばり”融合”、合体の事さ。フュージョンを覚えているふたりが一連の動作を行うことで融合し、ひとりの人間へと合体するのさ」

 

スカッシュから提案されたフュージョンという技術。果たして、サザンカとシロナはこれを習得できるのか、そしてこれから先に現れるであろう強大な敵へ太刀打ちできるのだろうか…?

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