もしもカカロットが幻想郷に落ちていたら   作:ねっぷう

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第355話 「天染めし紅」

「やっぱり、アンタがブロリーだったね」

 

滾り爆ぜる仮面のサイヤ人に加えた一撃により、その不気味な仮面の左半分が破損し、素顔の半分が露わになる。仮面による影響か瞳の色が赤くなっているものの、その顔はシロナもサザンカも見覚えがある、ブロリーその人だった。

 

「てゆーか、ドラゴンボールがどこにもないじゃん」

 

サザロナはブロリーの体のどこにもドラゴンボールが埋め込まれていないことに気付く。衣服の中にあったとしてもそこを中心に赤い筋が体を這うはずだし、これまで寄生された者が発していた暗黒の瘴気も感じられない。

 

「ザコが…血祭りにあげてやる」

 

ブロリーはまだ立ち上がる。そして一気にサザロナとの距離を詰め、拳を振り上げる。

 

「おーこっわ。んで、チマツリってどんな祭り?」

 

が、サザロナは素早くその場から消えるように移動し、ブロリーの背後から後頭部を蹴りつけた。前のめりによろめくブロリーはすぐに振り返り、右手から黒緑色のエネルギー波を放つ。

サザロナはにやりと笑うと自身も黄金の気功波を放ってそれとぶつけ合わせて相殺する。さらに、その際に生じた眩い閃光に紛れてブロリーへ接近し、顎をサマーソルトの要領で蹴り上げ、さらに顔面の前で気弾を炸裂させた。

 

「グギィッ…!!」

 

ブロリーは唸り、後ずさる。その体は小刻みに震えており、やはり先ほどから受け続けていたサザロナに喰らったダメージは蓄積されていたようだ。さらに畳みかけようとするが、サザロナはライの強力な気を感じ取って動きを止める。

 

「ライか…やっぱ時間が無いのね」

 

サザロナはそう呟くと両手を真上に掲げ、手の平に片方ずつ、七色に光り輝く光弾を作り出す。そしてそれを握りつぶすと、弾けた気が両拳を覆い、七色のオーラを纏う。

その気を感じ取ったブロリーも焦りながら負けじと全身の黒緑色のオーラを片腕に集中させ、握り込んで圧縮する。

 

「…この俺を越えることはできぬ!!」

 

渾身の掛け声とともに凝縮した気弾を投げ飛ばすブロリー。それを見たサザロナも高速で飛び出し、気弾へ向かって突撃する。しかし、それを最小限の動作で避けようと体を傾けるサザロナだが、突然ブロリーの気弾が巨大に膨れ上がったので驚いた。が、それもたった一瞬の事。すぐにサザロナは空中で宙返りし、渾身の蹴りを巨大化した気弾へ叩きつけた。

 

「フフフ!」

 

ブロリーは笑い、サザロナの脚と気弾との間に激しい稲妻が発生する。

 

「ハアアアッ!!」

 

だが次の瞬間、ブロリーの気弾がサザロナの蹴りに負け、まるでガラス玉が砕け散るかのように粉々に破壊してしまった。

 

「何ィ…!?」

 

驚くブロリーを尻目に、七色の気を纏う両拳を携えたサザロナが彼の目の前に姿を現す。そして、繰り出されたパンチがブロリーの顔面へヒットした。

 

「オラオラオラオラオラ…!!」

 

さらに続けて間髪入れずに猛ラッシュを繰り出し、その一撃一撃が的確にブロリーの芯を捕らえ、怒涛の連打が襲い掛かる。

 

「オラアッ!!」

 

そしてトドメの一撃と言わんばかりにブロリーの胸へ一際強力なパンチをめり込ませ、そのまま後方へぶっ飛ばした。

 

「バ…バカなァ~…!!」

 

ブロリーの全身がキラキラ光る七色の粒子に包まれたかと思うと次の瞬間に体の内側から弾けるように、七色の大爆発が起こり、ブロリーを包み込んだ。

 

「『スピリットパニッシャー』…カッコいいでしょ」

 

そのままブロリーは木切れのように宙を舞い、地面の上に落下して倒れ込んだ。ブロリーの気が一気に小さくなり、うつ伏せになったまま動かないその様子から、サザロナはブロリーが深い気絶に入ったのだと確認する。

 

「おっと、こうしてる場合じゃないわね…ブロリーがドラゴンボールを持っていなかったと言う事は、この時代の誰かが寄生されてるって事…。そしてさっき感じたライの本気のオーラ…暗黒ドラゴンボールが奪われる前に何とかしないとな」

 

サザロナは全身に気を纏い、ライの気を感じた方へ飛び立つ。

 

 

 

「グ…ガ…!」

 

一方その頃、暗黒五星球に寄生されて暴走状態に陥った博麗霊夢であったが、本気の「超ライ」と化したライによっていとも簡単に叩き伏せられていた。ボロボロの状態で地面のくぼみの中に倒れ込み、暗黒の瘴気が血の代わりとなって液体のように周囲に流れ出している。

 

「こうなってしまえば他愛のない…いくら暗黒ドラゴンボールの瘴気によって強化されようとも、それらを全て超越し、圧倒できるように設計されたこの私に及ぶはずもありませんね」

 

ライは起き上がろうともがいている霊夢の背中を踏みつけ、そのまま髪の毛を掴んで顔を持ち上げる。そして額に浮き上がっている暗黒五星球を掴み取ろうと手を伸ばす。

 

「何もするなよ、ライ」

 

が、速攻でこの場へ駆けつけたサザロナが後ろからライの後頭部へ手をかざした事でライは動きを止める。

 

「おっと、貴女は確かサザロナさん…」

 

声を掛けられてやっと彼女の存在に気付いたライであるが、振り向いた後に再び霊夢の暗黒ドラゴンボールへ手を伸ばす。

 

「何もするなって言ってんのよコラ」

 

「返事は『NO』です」

 

ライの手が暗黒ドラゴンボールを掴んだ。

 

「じゃあ言葉を変える…そこを、退け!!」

 

次の瞬間、サザロナから噴き出した黄金の旋風がライを弾き飛ばそうと荒れ狂う。

 

「仮面のサイヤ人はどうしました…?まさか…!」

 

「とっくに倒したよ。仮面は取れなかったからそのままだけど」

 

(このエネルギー…仮面のサイヤ人を倒したというのは本当でしょう。しかし、この私を超えるなどと言う事はあり得ないハズ)

 

「…ですが、貴女にこの女性を倒すことができるのですか?調べはついています、貴女はこの女性の…」

 

「御託は言わなくていい…さっさと退いて」

 

ふわ…

 

「…!」

 

サザロナはライの腕を掴むと後方へ投げ飛ばす。その所作は何故か穏やかさに満ち、ライが全く反応することができない程流麗であった。ライは余りにも自然にすとん、と着地する。

 

「今、何をしました?」

 

そう問いかけるライであるが、視線の先に映るサザロナは、もはやライの事など眼中になかった。目の前には片膝をついてサザロナを見上げる、暴走した博麗霊夢の姿。

 

「カアアアッ!!」

 

霊夢は6本の霊尾をサザロナへ向け、無数に放った瘴気の砲弾を次々と命中させる。凄まじい硝煙と爆風が吹き荒び、サザロナが立っていた場所はたちまち爆心地となる。

 

「くっ…!」

 

先ほどよりも激しい連撃の余波を受けてライもたまらずに退散し距離を置く。

反動でその場に立っていられなくなった霊夢は飛び退くようにして宙へ浮かび、6本の霊尾のエネルギー全てを集約して極太の瘴気エネルギーの柱を放出し、サザロナへぶつけた。

 

ドパァン!

 

濁流のような瘴気の奔流が発生し、視界一面が真っ赤に包まれる。

 

 

…しばらくして静まり返った後。

さすがの霊夢もほとんどの瘴気を出し尽くしたのか、地面に降り立って激しく息を切らしている。目の前は濃い煙と爆炎によるドームが出来上がっており、未だに熱を持っている。

 

「流石にあれだけの瘴気を喰らっては、サザロナさんも無事ではないでしょう」

 

ライはそう呟くと、今度こそ霊夢の暗黒ドラゴンボールを奪おうと歩き出す。

 

ザッ… ザッ…

 

しかし、足音が二重に聞こえていることに気付き、足を止めた。自分以外の者であろうその足音は、煙と爆円の中から聞こえてくる。

 

「だから、何もするなって言ったでしょ…ライ」

 

悠々とした足取りで煙の中から姿を現したサザロナ。ところどころ服が破けて傷つき、口の端と目尻からは血が一筋流れている。

 

「会いたかったよ、お母さん」

 

サザロナはそう言いながら、霊夢の目の前で両手を広げて見せる。

 

「やめなさい、暗黒ドラゴンボールに寄生されている限りどのような者でも…」

 

ライが忠告をしようとそう言いかけた瞬間…霊夢は霊尾を連結させた長大な槍で突きを繰り出し、なんとサザロナの胸を一刺しにして貫いてしまった。

 

 

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