もしもカカロットが幻想郷に落ちていたら   作:ねっぷう

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第368話 「戦闘!“銃爆”のサラガドラ!」

「例えば…君らが噂のサザンカとシロナだったりする?」

 

目の前の男は両手を少し広げながらこちらへ向き直る。鼻筋の真っすぐ通った中性的な顔立ちに赤いサングラスをかけ、青い髪を逆立て、口の両端から両目尻へかけて赤いペイントが施されている。体つきは細いが身長は3メートルは超えていそうなほど高く、黒いズボンとタートルネックのセーターの上から派手なスパイクや血飛沫を浴びたような模様の刻まれたローブを纏っている。

 

「例えば、この争奪戦の最終決戦を繰り広げるとしたら…君らを一目見てみたかったんだ。僕と同じく暗黒ドラゴンボールを集めているトランクスに味方する地球育ちのサイヤ人を…」

 

「誰だテメェは」

 

サザンカはこの男の邪気に圧倒されながらも、それを悟られないように平然を装ってそう言った。

 

「おっとごめん、自己紹介がまだだったね。僕はサラガドラという者だ。暗黒ドラゴンボールを使って、”ある願い”を叶えたいと思っている…」

 

サラガドラと名乗った男はゆったりと歩き出し、置いてあった椅子に腰かけた。

 

「例えば、倦怠の闇の中で一筋の光を見たように…僕は君たちのご両親の大ファンなんだ。会えて光栄だ」

 

「何だ?コイツ」

 

「さぁ?」

 

サザンカとシロナは顔を見合わせて首をかしげた。これほどまでの鋭く巨大な邪気を纏っているというのに、何故か自分たちに対しての敵意は一切感じられなかったからだ。

 

「まあ僕という存在に対して困惑するのも無理はない。でも、例えば…敵対するものとして、それらしく振舞おうかな」

 

サラガドラはそう言いながらローブの内側から取り出した巻物を広げた。すると、巻物を構成していた半透明な光のような不思議な紙からピンク色の煙がモワモワと立ち込め始めた。同時に強い気を感じ、身構えるサザンカとシロナ。

ピンク色の煙はひとつどころに集中して濃くなっていき、さらに凝縮されて個体となる。

 

「ギャギャ──ッ!」

 

その個体は、子供のような身長と体格のピンク色をした怪人のような姿になる。そして言語にならない叫び声をあげ、拳で胸を叩きながら床の上に降り立った。

 

「何なの、コイツ…」

 

黒い眼には青い小さな瞳が宿っていて、頭頂部には後ろに向かって伸びた長い触角のような器官があり、それはふくらはぎのあたりまで垂れ下がっている。側頭部と腕には謎の穴が複数一列に空いており、服は黒いアームカバーと白いダボダボのズボンのみ纏っている。

 

「こいつは『魔人ブウ』。バビディにせがまれて何とか蘇らせた…流石に不完全だけどね。でも、例えば…君らに力の差を見せつけるだけなら、これで十分だろうけど」

 

「なんだと…ナメやがって!」

 

サザンカがそう呟くと、魔人ブウは彼女とシロナを指差して不気味に笑った。そして、ふわりと宙に浮かぶと、エネルギー弾を右手に構えながらこちらへ突撃してきた。

 

「いくよサザンカ!」

 

「わかってらァ!」

 

直後にブウが投げたエネルギー弾を蹴りで相殺すると同時に、ふたりは超サイヤ人へ変身し反撃のパンチを繰り出す。ブウは両手を盾にしてそれを防ぎ、弾き返すと、口から衝撃波を撃ってシロナを吹き飛ばし、回し蹴りでサザンカを床へ叩き付けた。

 

「くっ…!」

 

「ホッホッホ───!!」

 

ブウはふざけた声を出しながら、倒れ込んだサザンカの背中へ強烈なヒップアタックを喰らわせた。

 

「ぐは…!」

 

そのまま腕を伸縮させ、シロナの首へ巻き付けてその場で締め上げた。

 

「う…が…!」

 

「シャシャシャシャ…!」

 

不敵に笑いたてるブウはサザンカを足で踏みつけたままさらにシロナを締める力を強める。だが、サザンカはブウの足の下で静かに力を溜めていた。

 

「バカにしやがって…ぶち殺してやる!ハッ!!」

 

次の瞬間、サザンカの体を眩い黄金のオーラが覆い、超サイヤ人のもとよりも大きく激しく噴き出す。それに驚いたブウを押しのけてサザンカが飛び上がり、その顔面を殴りつけた。

 

「ほう…」

 

そう呟くサラガドラは、超サイヤ人3となったサザンカに感心した。

サザンカはブウの左腕を根元から切り離し、それを思い切り引っ張ってシロナを解放する。が、勢いのままに回転してしまったシロナは目を回しながら床へ落ちた。

 

「ギシャア!!」

 

ブウは好戦的な笑みを浮かべながら、千切られた左腕を再生しつつ拳を振りかぶる。

 

「再生すんのかよ!?」

 

驚きながらも同様に拳を振りかぶるサザンカ。両者のパンチがぶつかり合い、周囲には球状の衝撃波と共に青いスパークが弾けた。

ブウとサザンカは歯を噛み締め、全力を腕に込めながら鍔迫り合いを繰り広げる。だが、数秒後にブウの力が勝りはじめ、不気味な笑みを浮かべる。サザンカの拳はゆっくりと押し返されていき、やがてはブウの拳を顔面へ向けて吹き飛ばされた。

 

「サザンカ!」

 

後頭部から床へ突っ込んだサザンカにシロナが駆け寄る。

 

「いてて…」

 

「ホッホッホッホ…」

 

ブウは両手を広げてこちらをおちょくるように飛び跳ねる。超サイヤ人3と化したサザンカの力でも、ブウには適わなかった。

 

「よし、よくわかった。君たちの力はよくわかったよ」

 

サラガドラがそう言いながら椅子から立ち上がると、ブウは怯えたように動きを止め、ゆっくりと彼に振り返った。

 

「戻りな、魔人ブウ」

 

そして一声かけると、ブウは残念そうな顔を浮かべて再びピンク色の煙に戻り、サラガドラの持つ巻物の中へ消えていった。

 

「例えば、ブウは不完全な状態でよみがえった所為で、この巻物を媒体としなければ活動できないんだ。でもブウ相手に一撃を喰らわせられるとは、やはり君たちふたりは興味深い。さァ、フュージョンして本気になった状態で、僕と戦ってくれないかい?」

 

サラガドラが巻物を再び仕舞った時、ここで初めて彼の敵意がシロナとサザンカへ向けられた。強烈な覇気に晒されて体が重くなり、思わず膝をつきそうになってしまう。サザンカは超サイヤ人3を解いて通常の超サイヤ人に戻った。

 

「おい姉貴…ああ言ってんだ、フュージョンしてとっとと片付けよう」

 

「ええ…もちろんそうするわ」

 

冷や汗をかきながらも、ふたりは並んで立ち、フュージョンの構えをとる。

 

「「フュー…ジョン!ハッ!!」」

 

そしてポーズをとって互いの人差し指を突き合わせ、フュージョンを成功させた。立ち込める煙と閃光の中で、サザンカとシロナが合体して生まれた戦士、サザロナが顕現する。

 

「おお、それがライに聞いたサザロナってやつか」

 

「よっし!いくよ!」

 

超サイヤ人の姿で合体したサザロナは、そのまま黄金の煌めくオーラを発しながらサラガドラへ向けて走り出し、そのまま飛び膝蹴りを仕掛ける。

それを手で受け止めるも、あまりの勢いにそのまま壁を突き破って城の外側へ放り出されてしまう。サラガドラはローブを翻しながら空中で体勢を立て直すも、既に自信を追って目の前へ迫っていたサザロナの腕による一撃に気付き、その場で静止することで攻撃を躱した。

 

「ストレイライトォ!!」

 

が、サザロナは空へ向けて極太のエネルギー波を伸ばし、それを振り下ろしてサラガドラの脳天へ叩き付けた。

下へ向けて吹っ飛ぶサラガドラへ追いつき、渾身のパンチを喰らわせて水平方向へ吹き飛ばし、さらに連続エネルギー弾で追撃を加える。

 

「オラアアアアアア!!」

 

その間にサザロナは結晶の兜を纏って魔強化形態へ変身し、攻撃の出力が増大させる。無数の気弾に撃たれて成す術がないと思われたサラガドラだが、目つきを鋭くして静かに呟いた。

 

「『撃龍・ハタタガミ』」

 

天から複数の落雷が降り注ぎ、サザロナの周囲を取り囲うように回転する。

 

「な、なんだ!?」

 

困惑するサザロナをよそに、落雷は中央へ集まって彼女へぶつかり、強力な電流と衝撃が襲う。

 

「ぎゃあああああ…!!」

 

サザロナはその場で硬直し、遠くで浮かんでいるサラガドラの姿を見た。次の瞬間、彼の身体が一瞬だけ光ったかと思うと何か巨大な物体が目にもとまらぬ速度で撃ち出され…

 

ドン!!!

 

サザロナの身体を撃ち抜いた。

まるで巨大なエネルギー弾が全身を包んで通過したかのようで、サザロナの結晶の兜は砕け散り、白目を剥いて口から血を吐きながら力を失って落下していく。

 

「やはり…君たちじゃなかったか…『サイヤ・ハーツ』は」

 

サラガドラは敗北したサザロナを冷めた目で見ながら、落下してゆく彼女に対してため息をついた。そして一発のエネルギー弾を投げ落とすようにして放ち、サザロナに命中させると、彼女の姿は跡形もなく消え去っていた…。




【現在公開可能な情報】
今回登場した魔人ブウは、原作ドラゴンボールで登場した魔人ブウとは全く別の生命体である。本来の魔人ブウは封印中の無防備なところをピッコロ大魔王に破壊されて消滅してしまったが、それに気付いたバビディは何とか魔人ブウを復活させられないかと考え、サラガドラへ打診した。
サラガドラの魔人ブウの存在自体は知っていたため、バビディはサラガドラの魔術を借りてブウを復活させたが、さすがに不完全な出来にしかならなかった。
こちらの魔人ブウは純粋ブウをベースとしており、ブウを形作るために様々なものを吸収させたため頭部の触角は吸収後のブウのように長くなっている。また、長時間動くことはできないため定期的に巻物に封印される必要がある。性格は純粋ブウよりも素直でいくらか話は通じるらしい。
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