もしもカカロットが幻想郷に落ちていたら   作:ねっぷう

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第37話 「魔族ガーリックの再来!」

「私は偉大なる父・ガーリックの息子であり…ふっふっふ、そしてお前とは兄妹だ」

 

「な、何だとッ!?」

 

突然のガーリックの言葉に、思わず驚愕するウスター。

 

「どういうことだ?」

 

「ふっふっふ…私に勝つことができたなら、教えてやってもいいがな…」

 

「よろしいですか?…では、試合開始ッ!!」

 

試合が開始された。その瞬間にガジュニアとウスターは飛び、空中で拳を交わした。

ウスターの強力なパンチとガジュニアの肘打ちがぶつかり合い、巨大な衝撃波と魔力が波のように発せられる。

 

「たった一発打ちあっただけで…!」

 

審判が思わず実況を忘れて素で反応してしまう。

その後もガジュニアの蹴りをウスターが防ぎ、反撃として手刀による一撃を浴びせる。が、振り下ろした瞬間には既にそこにガジュニアの姿は無く、背後へと回っていたのだ。

 

「ふんっ!」

 

両手を合わせて作った拳でウスターの脳天を殴り、下の地面へ向けて吹っ飛ばす。ウスターは空中で身をひるがえし、体を丸めてクルクルと回転し、両足でうまく受け身を取った。

そのままの勢いでもう一度飛び跳ね、ガジュニアに迫る。ガジュニアは反応できずに、ウスターのパンチが顎に喰らった。さらに上空へ吹き飛ぶガジュニアだが、踏みとどまった。

 

「俺と貴様が兄妹とはどういうことだ!?」

 

すかさずウスターが接近し、そう尋ねながら殴りかかった。

 

「はっはっは、気になるか?だが教えてはやらん、私に勝てたら教えてやるが、お前は私には勝てないからな!!」

 

「何だと…!」

 

ガジュニアは繰り出されるウスターの蹴りを避け、足の隙間を縫ってその死角となる懐に潜り込んだ。小さな体を活かした動きに、ウスターは驚く。

そして、近距離からウスターの腹を連続で殴り、徐々に下へと押していく。だがウスターももう一度ガジュニアを蹴り飛ばす。

 

「甘いぞ!」

 

両手にエネルギー弾を溜め、回転しながらそれを放つ。ウスターは見切ったように光弾を待ち構えると、両手を使いはじき返した。そして一瞬でガジュニアに接近し、気功波を放った。

が、ガジュニアはそれを両腕でガードする。すると気功波はガジュニアを避けるようにして通過していったではないか。気のバリアで防いだのだ。

 

「ぬう、キサマ、ドラゴンボールに何を願うつもりだ?」

 

「知れた事よ、私が願うのは永遠の命だ!そうすれば私はこの世界を思うがままにした後、永遠に支配者として君臨できるわけだ!」

 

二人は再び武舞台に着地し、互いに向かい合う。

 

「…す、すすす凄すぎる…!とても私などでは、見極めることができません!!」

 

一気に歓声が巻き起こった。

 

「はっはっはっは…何を言うかと思えば…永遠の命だと?笑わせやがる」

 

「何が笑わせるというのだ」

 

「クックック…ハーッハッハッハッハ!!この臆病者めが!死が怖いのか?本当に笑わせるぜ」

 

「だ、黙れい!!永遠の命が有れば絶対に私は負けない、そして無限に強くなり無限に世界に君臨できるのだ!」

 

「フッ、だが貴様はそんなものは手に入れられずに終わるのだ。ハッ!!」

 

高笑いしたウスターは、そう言うと一気に全身に気をこめた。周囲を猛烈な気の渦が覆い、雷のようなスパークを纏う。

舞い上がった埃が竜巻のように吹き荒れ、その中でウスターはにやりと笑った。

 

 

「と、とんでもない気だ…」

 

「ええ…私たちよりもずっとすごい!」

 

それを見たカカロットと霊夢が呟いた。

 

 

「な…なに…!?」

 

ガジュニアが腕で顔を覆いながらそう驚愕する。次の瞬間、ウスターが消えた。かと思えば、ガジュニアの目の前に現れる。

そして、その小さな胴体の真ん中目がけて、強烈なパンチをめり込ませた。

 

「かは…あ…!」

 

あまりの衝撃と痛みに、目を見開き涎を垂らしながら体を震わせるガジュニア。ウスターの動きを完全に見失ってしまったのだ。続いて放たれた蹴りをまともに喰らい、上へ吹き飛ばされる。

それを追うウスターは気功波を撃った。

 

「くっ!」

 

それを寸前でかわすガジュニア。だが…にやりと笑うウスター。すると、避けられたはずの気功波は空中で急に向きを変え、背後からガジュニアを襲った。

それを背中に受けたガジュニアは、空中で力を失い武舞台上へ落下する。

 

「が、ガジュニア選手ダウンです!1…2…3…!」

 

「これが俺様の修行の成果だ。もはやお前の父をも超えた…最初に会った時はお前もガーリックをはるかに凌駕していると考えたが、どうやらそれは見込み違いだったようだな」

 

ウスターは腕を組むと、そう憎らしげに言った。

 

「ふ…ふふふふ…そうか、お前は父を越えたというか…ならば、この私の真の姿を見て恐れおののけ!」

 

ガジュニアはそう言うと、むくりと起き上がる。

 

「起き上がりました、ガジュニア選手!!」

 

「ぬおおおおお…!!!」

 

突如として、ガジュニアを中心にとてつもない熱気が集中していく。それはウスターにも、また戦いを武道館から見ていたカカロットたちにまで感じさせるほどであった。

ガジュニアの目が血走り、その頭に血管が浮き出ていく。

 

「ぐばぁッ!!」

 

観戦客たちやウスターは恐怖した。ガジュニアが叫んだ次の瞬間、彼の肉体が何倍にも膨れ上がり、巨大化したのだ。

ウスターの腰ほどの高さも無かったガジュニアの身長が、今度は一気にウスターを軽く見下ろすほどにまで伸びる。同時に上半身の衣服ははち切れんばかりの筋肉によって破れ散り、皮膚の色が深い緑色に変色する。

筋骨隆々なその姿は、かつての父・ガーリックの力を越えたという象徴でもあった。肌の色はガーリックよりも濃く、巨体を誇っていた父よりもはるかに体の大きさで上回る。

 

「はぁ…はぁ…!」

 

「ふ…巨大化したはいいが、少しは反動で消耗したようだな…いつまで続くか見ものだぜ」

 

ウスターが冷や汗をかきながら、不安を押しのけるようにそう口に出す。が、今度はガジュニアが不敵に笑った。

次の瞬間、突進するガジュニアはウスターに激突した。吹き飛ばされていくウスターの頭部をガジュニアが掴む。そのまま力を込め、ギリギリと締め付けた。

ウスターがガーリックの腕を肘で殴り、腹へ蹴りを入れて抜け出そうとする。だがウスターの胴体よりも太い腕は全くダメージを受け付けておらず、腹に入れたはずの蹴りが効いている素振りはなかった。

 

「フハハハハ!!」

 

ガジュニアは高笑いとともにウスターを掴んでいる手を振り上げ、直後に地面に叩きつけた。武舞台上にクレーターが出来、その中央にウスターを埋め込むように押し付ける。

 

「喰ぅらえぇい!!」

 

手を離し、その場から少し離れると右手に気を溜めながら回転し、そのまま気功波を放った。

舞台上で爆発が起こり、クレーターがさらにめくれ上がる。その中心に居たウスターが爆発の勢いで空中へ打ち上げられる。

それを見たガジュニアはすぐさま追いかけて先回りし、迫るウスターを殴りつけた。

吹き飛ぶウスターは武舞台上に激突し、跳ね返ってまだガジュニアの目の前へ戻ってくる。そこをさらに殴りつけ、跳ね返っては殴りつけを繰り返される。

 

 

「ひでぇ…一方的すぎるぜ」

 

戦いを見ているカカロットがそう言った。同じく、美鈴や霊夢も苦悶の表情でいる。

あんなに強いウスターが、あそこまで徹底的に…。

 

 

「お前如きが優勝しドラゴンボールを手に入れたとしても、それは宝の持ち腐れだ!この私が手に入れる事こそが、最もふさわしいのだ!!」

 

跳ね返ってきたウスターの首元を掴み、自分は地面に着地する。

 

「だから安心してくたばれ」

 

そしてぐったりとして動かないウスターを空高く放り投げ、場外に落とす。勝敗を決するアナウンスを聞かないまま、ガジュニアは武道館へ向けて退場を始める。

 

「ウ、ううウスター選手…場外、です…」

 

勝負が決したというのに、今回ばかりは歓声も何も上がらなかった。固唾を呑む音がわずかに響いただけだ。前大会の優勝者であるウスターを、恐ろしい見た目の魔族が完膚なきまでに叩きのめした。その光景はとても喜べるようなものではなかったのだ。

 

「ははは、自称最強の魔人もこの程度だったか」

 

ガジュニアは悠々と歩き、武道館の壁をぶつかっただけで破壊して中へ入った。そしてカカロットを横目で見ると、小さな声で呟いた。

 

「次は貴様の番だ…だが私の家来になるなら命だけは取っておいてやるぞ」

 

「けっ、誰がテメェなんぞに。地獄へ落ちるのはテメェだぜ」

 

「ふ、楽しみにしているぞ」

 

ガジュニアは武道館の奥へと消えていった。

 

 

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