もしもカカロットが幻想郷に落ちていたら   作:ねっぷう

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第374話 「魔王ダーブラ降臨!」

「だからよ、ホントに不服で、ホントは嫌だけど…パストに修行つけてもらうってのはどうだ?」

 

「は?」

 

「ええ!?」

 

サザンカがした提案に対し、パストもサザンカも困惑の声を上げた。

 

「変なこと言ってるのはわかってら…でも、アタシ焦ってんだ。早いとこカズラや他の奴らを見つけねぇといけねぇし、ここじゃ外うろつくだけでも強くなきゃダメだろ」

 

「まあ、そうだね…コイツは許せないけど、実力は大したものだし」

 

「私は良い考えだと思うわ」

 

一番嫌がりそうだったパストがそう言った。

 

「確かに、アンタらふたりはそれなりに強いと思うわ。でも、何かこう…必死になってゲロ吐くほど自分を追い込んで鍛えた経験って無いでしょ?顔見たらわかる」

 

パストの言う通りだった。シロナも数々の激戦を制してきた経験があるとはいえ、死ぬほどの想いで修行に打ち込んだことはない。強いて言えば幼少期のころに八雲紫に博麗の巫女としての修行を付けてもらっていた事くらいだが、それでもたかが知れている。今のシロナの強さがあるのは、土壇場での覚醒や、他者から受け継いだ力の賜物でしかないからだ。

サザンカも同じだった。生まれた時から普通に成長してくるだけでこの強さになっていた。だから自分を鍛えたこともないし、どちらかといえば周りの人間と規格が合わないのであえて弱くなろうと努力していたくらいだ。

 

「でも、生憎私にはアンタらに稽古付けてやる時間も余裕もない。だから最適な”場所”を紹介する」

 

「それは?」

 

「”精神と時の部屋”よ。私の前身であるミラに含まれる戦士の細胞が記憶している…地球の神の神殿に存在する異空間を。そこは重力は地球の10倍、気温は常に変動し、酸素も薄く、時の流れは外で2日経ったとき中では2年が経っているというほどズレている。そこに送ってやるくらいは私の魔術でできるから、それならどう?」

 

「いい案だね、だけど罠だったりしない?」

 

シロナにそう言われたパストは少し苛立ちながら返す。

 

「バカ言ってんじゃねぇわよ、私はアンタらにサラガドラを倒してもらわないと困るワケ。ここでアンタらを戦えなくするような事をするわけがないでしょ」

 

そう言いながらパストは何もない空間を指でなぞると、その箇所が歪み、向こう側が白く見える穴が空いた。

 

「この先が地球の精神と時の部屋。どうするの?行くの?行かないの?」

 

「アタシは行くぜ」

 

「じゃあ私も!」

 

サザンカとシロナは、修行の為に精神と時の部屋へ入ろうと歩き出した。そして空間の歪に向かってジャンプし、同時に飛び込んだ。だが寸前で、サザンカはパストに言った。

 

「絶対にサラガドラは倒す。そしたらテメェも好きにしろ…メチカブラってヤツも気に入らねぇ野郎だったらアタシがぶっ倒してやるけどな」

 

「ははは…言ってくれるわね」

 

 

 

「そうか、トワも既に殺されているのか…。でもサラガドラが結局何をしたいのかは、お前たちでもわからないってことか?」

 

一通り話を聞き終えたトランクスはライにそう聞いた。ふたりは今、ライが言う取引の場所を目指してトキトキ都の空を飛んでいた。

 

「はい。口ではトワの考えていた野望と同じことを言っていますが、本心は何をしたいのか…それを話した事は一度もないはずです」

 

「…それで、ドラゴンボールをどこまで持っていかせるつもりだ?」

 

「この先、街から離れた場所に『赤い砂丘』と呼ばれる砂漠があります。そこで、アナタの持つドラゴンボールをバビディに手渡す手筈になっています…アナタはその通りに、バビディにボールを渡しなさい。あとは成り行きに任せます」

 

「…?」

 

ライには何か考えがあるようだが、不用意に口に出すわけにはいかないらしく、トランクスはそれ以上は聞かなかった。

確かに、ライとトランクスの眼下には既に街は通り過ぎ、枯れ草だけが点在する荒野が続いていた。その枯れ草も少なくなり、ついには赤い砂に満たされた砂漠が広がった。

 

「ここが赤い砂丘です。ここに居れば、バビディがやってくるでしょう」

 

ふたりは砂の上に降り立った。

少しすると、その場にバビディが唐突に現れる。

 

「ご苦労だったね、ライ。トランクスとドラゴンボールを持ってきてくれたようだね~」

 

「ええ。トランクス、差し出しなさい」

 

「よこしなよ」

 

トランクスは大人しく暗黒ドラゴンボールを4つ取り出し、それをバビディに手渡そうと腕を伸ばす。そのうちのひとつ、七星球はガーリックを倒して手に入れた。三星球は月夜見王を、一星球は博麗紅蓮を、二星球はターレスを倒して手に入れた。どの持ち主も一筋縄ではいかない強敵だった。その全てを実際に見たトランクスだからこそ分かる。突然押しかけるように現れたトランクスに協力してくれた、優しい仲間たちの努力によって集める事が出来たものだ。

今、それをやすやすと敵に渡そうとしている。確かに、暗黒ドラゴンボールを欲しい理由であった、トランクスの剣の修復はもうする必要が無くなった。ライは言う通りにすれば、最終的に助けたかった時の界王神は解放すると言った。

 

(仕方がないんだ…これが最善の手…!後の事は俺が責任を持って何とかして見せる…)

 

「素晴らしいものを持っているな貴様ら…」

 

が、その瞬間、この場の誰のものでもない謎の声が轟いた。

 

「な…!?」

 

「だ、誰だい!?」

 

バビディも動揺し、周囲を見渡す。が、ライだけは動じずに少しだけ口の端を曲げて笑った。

 

「その暗黒ドラゴンボールとやら、私が貰ってやろう。この…」

 

地面が揺れ、砂煙が舞い上がる。それは徐々に一か所へ集中して濃くなっていき、その砂のカーテンの中に人影が現れる。

 

「魔王ダーブラ様がな!!」

 

「暗黒魔界の王…ダーブラ…!?」

 

突然の来訪者にトランクスとバビディは驚愕の声を上げる。暗黒魔界出身のバビディは当然だが、トランクスもダーブラについては知っていた。しかもトランクスが知っている方のダーブラは、今そこに居るバビディの配下として登場していたので猶更だった。

だがこのダーブラは、バビディに洗脳されている様子もなければ操られている素振りもない。

ダーブラは身の毛がよだつような、血のような赤と氷のような青の恐ろしい魔力を纏い、どこからか取り出した蛮刀を手にバビディとトランクスに襲い掛かった。

 

「バビディさん!ここは私に任せてくだ…」

 

咄嗟にライがバビディの前に割って入り、ダーブラを見据える。しかし、次の瞬間、なんとライはダーブラの一閃をもろに受けてしまった。

 

「ぐあああああ!!」

 

肩から胴体を斬り裂かれ、叫び声と共に血飛沫を上げながらその場に倒れるライ。

 

「う、嘘だろ~…!?お前ほどの奴がやられるなんて…!」

 

ライが呆気なくダーブラに倒されたことに驚きを隠せないバビディとトランクス。ダーブラは、尚も蛮刀を構えながら鬼気迫る様子で突っ込んでくる。

 

「こうなったら、出でよ魔人ブウ~!」

 

バビディが服の中から取り出した巻物を広げると、ピンク色の煙と共に魔人ブウが出現した。ここへ来る前にサラガドラに借りたものだった。

 

「ホッホ───ゥ!!」

 

「そいつを殺しちゃいな~!」

 

命じられた魔人ブウは不敵に笑いながら地面を蹴って飛び跳ね、ビュンと加速しながらダーブラへ迫る。が、ダーブラは冷静にその場で勢いを止め、前へかざした手を握った。

すると、バビディの頭上の空間に黒い穴が空き、そこから降ってきた剣がバビディが持っていた魔人ブウの巻物を真っ二つに切り裂いた!

 

「な、何だって…!?」

 

「ギャアア──!!」

 

媒体である巻物を破壊されたブウは存在を維持できなくなり、煙となって消滅してしまった。ブウが消えると、ダーブラは再び剣を構えて勢いよく飛び出す。

 

「こうなったら…!ぼくの魔術でしもべにしちゃうよ──っ!」

 

「遅い!」

 

両腕を前に出して魔力を放ち、ダーブラを洗脳しようと試みたバビディであったが、既に近距離まで接近していたダーブラに対しては間に合わず、彼の剣戟を受けて真っ二つに両断され、そのまま魔力を送り込まれて跡形も無く爆発して消え去ってしまった。

 

「くっ…!」

 

トランクスは、次は自分の番だと思い身構える。まだ超サイヤ人に変身できるほどの気は回復しておらず、この状態ではとてもダーブラを倒せるとは思えない。いや、何故かこの時空のダーブラはライを倒せるほど強いようだ。仮に超サイヤ人へ変身できたとしても…

 

「やれやれ…ライよ、これでいいのだろう?」

 

が、ダーブラはトランクスに襲い掛かることなく、蛮刀をどこかに消すように仕舞った。倒れたはずのライはゆっくりと起き上がり、ダーブラと向かい合った。

 

「ええ、最高です」

 

「あれ…?ライ、傷は…!?」

 

ダーブラに斬り裂かれたはずのライの上半身は何事もなかったかのように治っていた。

 

「確かに私はライを斬ったが…あの演出は全て幻術だ、実際には斬っていない」

 

「え…?」

 

「そうです。『私とバビディがダーブラに暗黒ドラゴンボールを奪われた』という事実が欲しかったので、ダーブラさんに話をし、協力をしていただきました」

 

「ああ、妹の…トワの命を奪ったあのサラガドラを許しはしない…!」

 

ダーブラは静かにそう言いながら眉間にしわを寄せた。

 

「いいですか、トランクス…一度しか言わないのでよく聞きなさい。計画のこれからの手順を説明します。まず、アナタが持っている暗黒ドラゴンボールをダーブラさんに手渡しなさい」

 

トランクスは言われた通り、疑いつつもダーブラに4つの暗黒ドラゴンボールを渡した。

 

「これで、私たちはダーブラに暗黒ドラゴンボールを奪われてしまいました。サラガドラはかつての”時の巣”にて暗黒神龍を呼び出し、何らかの願いを叶えるつもりです。そして、ダーブラさんは次にこうするでしょう。このドラゴンボールを、サラガドラの城に捕まっているであろうアナタの仲間たちのもとへ送ります。そうしたら、後は時の界王神が何とかするでしょう。何とかしてサラガドラよりも先に時の巣へ戻り、暗黒ドラゴンボールを揃えなさい。私もそこへ向かいますので、サラガドラよりも先に願いを叶えてしまいます」

 

ライは計画の全てを説明した。そしてその後、ダーブラは空間に空けた穴の中に暗黒ドラゴンボールを投入するのだった…。




【現在公開可能な情報】
このダーブラはバビディの支配を受けていません。バビディは原作でダーブラを支配した時期よりも早くサラガドラと出会ったため、ダーブラを配下にする必要がなかったのかもしれません。
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