もしもカカロットが幻想郷に落ちていたら   作:ねっぷう

375 / 551
第375話 「反逆の狼煙を上げろ!」

サラガドラの城。その最上階に囚われている時の界王神。

両手を杭で貫かれ大きな柱に固定され、さんざん痛めつけられた体は何も手当てされる事なくそのままで、弱々しい姿で磔にされている。

 

「ぅ…」

 

ふと意識を取り戻した時の界王神は、この牢獄の中に何者かが現れたのに気付き、顔を上げて霞んだ目を向けた。

 

「誰…?」

 

霞んだ視界が映したのは、かつて時空を乱した科学者の顔。

 

「トワ…!」

 

が、よく見るとそれは違う人物であると気付く。

 

「私はアナタの味方…ここから出してあげる」

 

「誰なの…?」

 

「パストよ。弟のライの頼みでここに来た」

 

パストは時の界王神の手を刺さった杭を抜き、鎖を曲げて変形させて解放した。時の界王神はぐったりと座って手の傷を気にしながら大きな息をついた。

 

「ライ…って、時の巣を襲ってわたしを捕まえたサラガドラの手下じゃない。なんでそんなヤツとあなたが…」

 

「私とライはサラガドラを倒すつもりなのよ。いい、よく聞きなさい…ここからアナタを逃がす。だから頼まれなさい」

 

「何をよ?」

 

「今、ここから南にあるバビディの城にナメック星人たちと地球から来た人間たちが囚われている。じきにライが彼らの元へ4つの暗黒ドラゴンボールを届ける…アナタには彼らがそれを時の巣へ運ぶのを手伝ってやってほしいのよ」

 

「わかったけど…わたしはもう動けそうにないわよ」

 

「心配いらねぇわよ、いいものを手に入れてある。地球で栽培される”仙豆”という食物よ、食べてみなさい」

 

パストは緑色の乾燥した大豆のような食べ物を時の界王神に渡した。初めは疑うように口を尖らせ、食べるのを渋っていたが、ついに口に入れて噛み砕き、飲み込んだ。

 

「すごいわ…傷が塞がって、気力が湧いてきたわ!」

 

「でしょ?でもそれ一粒しかなかったんだから気張りなさいよ。アナタが時の巣へドラゴンボールを持っていけば、サラガドラもそれを追って同じくドラゴンボールと共に時の巣へ向かうはず。そこが最後の戦いになるわ」

 

「へえ~。でもなんでわざわざ、その暗黒ドラゴンボールを時の巣へ持っていく必要があるの?」

 

「サラガドラの魔術によって時の巣以外でのドラゴンボールの使用が制限されてるんだよ」

 

「なるほどね、じゃあ一肌脱いで…行ってくるわ」

 

「頼んだわよ。私もタイミングを見計らって時の巣へ向かうわ…とびきりの超戦力を投入する予定だから勝算はあるわ」

 

 

 

 

 

「それが、サラガドラの記憶から読み取った、ヤツの全てかよ…?」

 

ナメック星人のジーメックから話を聞き終えた、カズラ、アザミ、グラジア、コナギと、同じく部屋に居たナメック星人であるカタッツとスラッグ。

 

「わしが読み取れた限りのじゃ。ヤツは暗黒ドラゴンボールを、ここから正反対の方角の先にある”時の巣”で集め、そこで暗黒神龍を呼び出すつもりじゃろう。時の巣でドラゴンボールのための祭壇を見かけた。恐らく、ヤツの魔力が放つ影響力はその祭壇以外でのボールの使用を制限している」

 

「ならよ、俺たちが先にそこへ暗黒ドラゴンボールを持って行って、先に願いを叶えちまえば…」

 

「ああ、暗黒ドラゴンボールの性質上、再び各時空へ飛び散るだろう。それそのものがさらなる混乱を巻き起こすだろうが…まあ、ヤツに使われるよりはマシだろう」

 

と、カタッツが言った。

 

「だけどそれならヤツが持っているドラゴンボールも奪う必要があるな…」

 

「その時は…結局はサラガドラと戦う事になるじゃろうな」

 

「トランクスさんが言ってた、時の界王神って人はどうするんだよ?まだ捕まったままなんだったよな…」

 

カズラはこのトキトキ都へ来る前にトランクスが言っていた事を思い出す。そう、これはもともと時の界王神を救うことが目的の戦いだったはずだ。

 

「わたしなら平気よ」

 

が、その瞬間、いつの間にかこの部屋の中に自然と紛れていた小柄な少女に誰もが驚いて飛び上がった。そう、パストに助けられた時の界王神が既にやって来ていたのだった。

 

「おわ…!」

 

「おお、あなた様がもしや…」

 

ジーメックが頭を下げる。

 

「ええ、時の界王神よ。わたしが不甲斐なかった所為で、苦労と迷惑をかけてしまったわね…なんて謝ったらいいのか」

 

時の界王神は偉ぶることなく、逆にこの場の全員よりも低く頭を下げて謝罪した。

 

「どうなされたのです?あなた様はサラガドラの城へ幽閉されているようでしたが…」

 

「訳あって敵の裏切り者に助けてもらったのよ。いい?ここへ4つの暗黒ドラゴンボールが送られてくる。そしたら私たちはそれを持って暗黒ドラゴンボールの祭壇のある時の巣へ行くわ。そこで追ってくるサラガドラを倒して残る3つを奪い、先に願いを叶えてしまう…」

 

パチン…

 

「ほう、それは面白いことを聞いたね」

 

だがその時、指を鳴らす音の後に何者かの声が聞こえた。部屋の扉がゆっくりと開き、その奥に立っていたサラガドラの姿が逆光の影になって現れた。

 

「サラガドラ…!?」

 

時の界王神がしまったと言った顔で彼の名を呟く。

 

「でもそこまでだ。例えば、僕の城から逃げるお前を気付かないとでも思ったかい?」

 

「はっはっはっは…何を企んでいるのかと思えば、イイ~事ォ聞いちまったなァ」

 

サラガドラの横についていたアブラが笑いながらそう言った。それに気付いたアザミが拳を握り、怒りを露わにする。

 

「テメェは…!さっきはよくもやりやがったなァ!!」

 

「クハハハハ!うるせぇカスどもだ…ここで殺しちまってもいいんだろ?サラガドラ」

 

さらに、もうひとりの男、チーチンが髭の生えた口元を薄気味悪く曲げてそう言うと、彼にコナギを人質に取られて成す術なく敗れたグラジアがどす黒い怒りを滾らせる。

 

「…お前…!」

 

「まあまあ、まだ殺すな。例えば、確固たる確信が欲しい…ちゃんとここに送られるっていう暗黒ドラゴンボールをしっかりと確認してからだよ」

 

「暗黒ドラゴンボール?何の話?」

 

時の界王神がダメもとでそう言った。

 

「おいおい、惚けても無駄だって。ほら、そろそろ来る頃だろう?」

 

だが、サラガドラは当然そんな芝居は意に介さない。そして、彼の予想通りの事が起こった。時の界王神の目の前の空間に穴が開き、そこから4つの暗黒ドラゴンボールがゆっくりと姿を現した。

 

「暗黒ドラゴンボールがなァ!!」

 

「ダメ…!」

 

サラガドラとその仲間たち以外が、一斉に暗黒ドラゴンボールを確保しようと腕を伸ばす。しかし、サラガドラの両腕が部屋の端から端まで届くほどの長さを誇るカノン砲に変化すると、彼はそれを振るってアザミやジーメックたち全員を壁へ叩き付けた。

 

「ぐほ…!!」

 

「くそ…!あと少しだったのに…!」

 

受け取り手のいない暗黒ドラゴンボールは、ただふわふわとゆっくりと床へ向けて落ちていく。

 

「はっはっはァ、貰ったァ!!」

 

アブラが暗黒ドラゴンボールをキャッチしようと飛び出した。トランクスやサザンカとシロナが激戦の果てに手に入れた4つの禍々しい願い玉は、もう数センチで敵の手へ渡ってしまう。アザミとカズラもその激戦を間近で体験しているからこそ、その重要さが身に染みてわかっている。

 

(くそったれ…!こんなとこでサザンカたちの努力が無駄になるってのかよ!)

 

「…スラッグ、やりなさい」

 

その時、ジーメックの静かな声がハッキリと聞こえた。次の瞬間、凄まじい爆発と崩壊の音と共に目の前が真っ暗になり、突風に吹かれて足の下の感覚が無くなった。

 

「オレに命令するなジジイどもが!!」

 

雷鳴のような怒号が響き渡り、アザミたちは何が何だかわからないまま目を開けた。

 

「…な、なんじゃこりゃああ!?」

 

目の前では、半壊した城のすぐ横で、もうもうと立ち込める煙の中で巨影が揺らいでいた。巨大な城と同じくらいの巨影は両腕を高く上げ、それを一気に振り下ろして叩き付け、城を完全に破壊して見せた。

ジーメック、カタッツはそれぞれアザミとカズラ、グラジアとコナギを抱えて空を飛んでいた。

 

「あの人ってまさか…」

 

「スラッグだ」

 

「いくらなんでもデカくねぇか!?」

 

腕を振り下ろしたことで煙が晴れ、その規格外な全貌を見せたスラッグを指差しながらアザミが叫ぶ。

 

「スラッグはもともとあの大きさだ。今までがあえて小さくなっていただけなのだ」

 

「戦士タイプのナメック星人にして、悪の心のみを持って成長した問題児じゃ」

 

彼らはスラッグが起こした城の半壊に乗じて脱出していた。

が、城は全壊したものの、サラガドラとアブラ、チーチンは無事だった。アブラが召喚した大きなバイクに三人が乗り城のそばを離れていく。

 

「ちくしょう!もう少しで暗黒ドラゴンボールを手に入れられたのによォ…」

 

「焦るな。時の界王神どもを追うんだよ」

 

スラッグは目から怪光線を放ち、周囲を爆発させて焼き払う。それを逃れたアブラたちはそのままジーメックたちを追いかけていく。

 

「待てい!このオレを閉じ込めやがった礼がまだだぞ!」

 

スラッグは恐ろしい声を響かせてそう言うと、その巨体からは考えられない跳躍を見せ、アブラたちを叩き落そうと拳を振り上げた。

 

「うおお~~~~~!!!?」

 

「だから慌てんな!いいか、今ここには誰がいるのか考えろ。この僕だろ?それとも何か…僕じゃ頼りないとでも言いたいのかい?」

 

直後、サラガドラの発した殺気に負けたアブラとチーチンが身を竦ませる。

 

「い、いや…何もそうは言ってねぇだろう…!」

 

「まぁいいさ」

 

サラガドラはそれを流すと、頭上から大きな影を落としながら迫るスラッグを見据える。そして、掲げた腕から発射された魔力の砲弾がスラッグの腹に命中し、深くめり込んでいく。

 

「ぐおおおお…!!」

 

スラッグの巨体が一瞬で空の彼方へ打ち上げられ、次の瞬間、巨大な爆発が起こり、それきりスラッグが落ちてくることは無かった。

 

「さすがサラガドラだ!」

 

「いいから、お前らははやく奴らを追いな」

 

 




【現在公開可能な情報】
登場キャラクターの身長3
グラジア 189cm
コナギ 156cm
時の界王神 142cm
ダーブラ 199cm
バビディ 75cm
巻物魔人ブウ 153cm
サラガドラ 312cm
アブラ 171cm
チーチン 165cm
ジーメック 611cm
カタッツ 509cm
スラッグ 233cm→25m
界王様 162cm
エース 228cm(初期)→177cm(改修後)
アール 190cm
サニー 166cm
クウザン 180cm
ハーレクイン 165cm
人造人間1号 165cm
スカール 165cm
アリーズ・アルティール 170cm
ラガルティハ・バルバルス 178cm
ヒロイシ・タカツグ 175cm
ビーデル・マーク 150cm
サタン・マーク 188cm
ブラック 190cm→260cm
茨木華扇 161cm
大猿カカロット(少年期) 7m
大猿カカロット(青年期~大人) 12m
大猿シロナ 7m
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。