もしもカカロットが幻想郷に落ちていたら   作:ねっぷう

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実は、本小説の第320話から先を物語のラストを飾る【第三部】として改めました。理由としては今後の展開を考えたり、全体的に見ても【The another ”REIMU”】のラストで区切るべきと思ったからです。
第三部タイトルは、「DRAGON BALL SaiyaHearts」にしました。…が、とりあえず部の区切りを作らなきゃと思って咄嗟につけたタイトルですので後から変更するかもしれません。



第380話 「新時代はこの未来だ」

「まったく…アブラもチーチンも、そしてウラーナも使えないな…。でもお前らがしようとしたことはわかってるんだよ、皆さん方」

 

時の巣の中央に位置する、刻蔵庫と呼ばれる建物。普段であれば、ドーム状の結界に覆われた時の巣はのどかな芝生が敷かれ、中央に円状の蔵のような建造物の天井から青々と茂り赤く光り輝く実をつけた樹が上へ向かって伸びているが、その建物はライと滾り爆ぜる仮面のサイヤ人の襲撃を受けて半壊し、その樹も枯れ、前には暗黒ドラゴンボールを安置する祭壇が設けられてた。

そして、サラガドラの目の前には、ジーメック、カタッツ、スラッグ、アザミ、グラジア、トランクス、ライが全身を半透明な魔法の鎖で固くぐるぐる巻きにされた状態で転がされていた。全員、サラガドラがここへ戻るついでに回収してきたようだ。

 

「さて、じゃあ僕は暗黒ドラゴンボールをしっかり受け取ってくるかな」

 

 

 

 

時の巣の門を守っていた謎かけの魔人ウラーナに勝利し、いよいよ時の巣へ侵入したカズラは、ジーメックのくれた赤い布にくるまれた4つの暗黒ドラゴンボールを持って祭壇とやらがある場所を探して走り回っていた。

 

「ハァ…ハァ…思ったより広いな…!時の界王神さんの話じゃそんなに広くないはずなのに…」

 

恐らく、サラガドラの魔力が時の巣の構造を大きく変えているのだろう。

 

(皆が託した暗黒ドラゴンボール…!このまま祭壇がある場所まで運ぶ…!もう俺ひとりだけなんだ…だから絶対に無駄にはしない!)

 

しかし、崩れた建物の角を曲がった瞬間、目の前に現れた何者かの蹴りを受けて大きく吹っ飛ばされ、地面を軽石のように転がった。

 

「お前は…」

 

頭から血が流れ、たった一撃でボロボロになったカズラが見上げると、そこにはなんとサラガドラ本人が立っていた。

 

「よう、カズラ君…そんなに急いでどうしたんだよ?」

 

「サラガドラ…!」

 

「お前、その大事に抱えた暗黒ドラゴンボールを僕の祭壇へ運ぼうとしてるんだろ?僕が持ってた3つもそこに置いてあるよ。それと合わせて7つ揃え、暗黒神龍を呼び出して何でもいいから願いを叶えてしまえば僕の願いは叶えられない…そうするのが目的なんだろ?ほら、行けよ」

 

カズラはよろよろと起き上がり、先へ急ごうと歩き始める。

が、その瞬間、サラガドラは再び足を振り上げ、カズラを蹴り飛ばした。カズラはまたも地面を転がり、置かれていた樽にぶつかって止まった。

 

「ぐ…」

 

「どうした?行かせてやるって言ってんだから早く行けよ。さもないと暗黒ドラゴンボール奪っちゃうよ?」

 

サラガドラの邪悪な笑みが、カズラへ向けられていた…。

 

 

 

 

「動けるか、皆の者…」

 

「駄目だ、この鎖はビクともしない」

 

「クソッタレが…!」

 

ジーメック、カタッツ、スラッグが鎖を解こうともがくも、サラガドラの魔力が籠ったその半透明の鎖は、本人たちも力を使い果たしたりダメージが残っているのもあって一切緩まなかった。

 

「みんな、無事だったか…よかった」

 

サラガドラに捕まったトランクスも、とりあえずアザミやグラジアが無事だった事に安堵する。

 

「ああ、何とかな…あとは時の界王神さんとカズラ、コナギがここまで暗黒ドラゴンボールを持ってくるはずだ…道中何もなければだが…。…ところでトランクスよォ、そこで死にかけてるの…ライだよな?」

 

アザミは少し離れた場所で鎖に巻かれ、ピクリとも動かず項垂れているライを見つけてそう言った。

 

「ライはオレたちの味方だった。だけどサラガドラに見つかって瀕死になった…」

 

「マジかよ…」

 

「こうなったら…あとは音沙汰のないシロナさんとサザンカちゃんに懸かってる…彼女らがここへ来なければ、全て終わりだ…」

 

シロナ、サザンカ…今どこにいる?はやくここへ来てくれ。お前らがいなければ誰がサラガドラを倒すんだ?頼む、急いで…

誰もが心の中でそう願ったその時。砂を踏む靴の音が聞こえ、サラガドラが戻って来た。

 

「あのふたりは来ないよ。とっくに僕が殺しちまったからな」

 

「な…!なんだと…!?」

 

トランクスたちは驚愕の表情を浮かべる。

 

「あははは!まあいいじゃないか、ほォら、来たぜ…暗黒ドラゴンボールがノコノコとなァ」

 

笑いながらそう言ったサラガドラが向ける視線の先には、遠くからこちらへと歩いてくるカズラの姿が小さく映っていた。しかし、カズラは顔を腫らして血を流し、全身傷だらけで足を引きずりながらゆっくりと歩き、たまにその場に倒れ込んでは苦しそうに起き上がり、胸には布にくるまれた4つの暗黒ドラゴンボールをしっかりと抱えていた。

 

「俺は…絶対に…これを届け…ぅ…」

 

「あはははは!笑いが止まらないな!どうせここへ着いたら僕が奪っちまうのにご苦労なこって!あんまりトロいんで途中で何度も蹴飛ばしたり小突いたりしたらあんなになっちまったがなァ」

 

心底愉快そうに嗤いたてるサラガドラは、カズラが自分の前を通りがかったタイミングで足を前へ出し、軽くカズラを蹴り上げた。しかし、いくら蹴られ殴られようともゆっくりと起き上がり、ボロボロの体を引きずって自分たちが託した任務を全うしようと歩き続けるカズラを見たその場の全員は、全身に燃え滾る怒りに任せて倒すべき敵の名を叫ぶ。

 

「「「サラガドラァァァ!!」」」

 

「サラガドラ」

 

が、その後すぐに全く正反対な冷静な声色でサラガドラの名を呼ぶ声が聞こえ、辺りはその声を発した主…パストの方へ注意が向く。

 

「…おお、パストか、いいところに来たな。これからその人間の暗黒ドラゴンボールを受け取って7つ揃うところだ」

 

「それは素晴らしい…!では、ついに…この時空以外のすべて、他のパラレルワールドから派生する時空を残さず消し去り、これから生まれる事も封じ、その全てのキリを掌握するという私たちの願いが叶うのですね?」

 

パストは喜びの笑みを浮かべながらも、どこか疑念を抱いたような目をサラガドラへ向けた。彼はその意図に気付いたのかそうではないのか、ゆっくりと口を開く。

 

「いいや…どうせ今のこの時空も消すつもりだよ」

 

「…どういうことですか?」

 

「…僕の願いは、”新時代”を作ることだ。それ以外の時空も歴史も、もういらないんじゃないかね。新時代は僕の理想とする世界だ…平和は約束され、戦争や貧困、支配とも無縁で、誰が相手だろうと、何が起ころうと必ず世界を救ってくれる英雄が居てくれる世界。だからそれ以外に歴史はいらないだろう、彼らがいない時空も歴史も、漏れなくクソだ…だから全て消す。今僕らが存在しているこの時空も含めてな」

 

サラガドラの目は一切嘘を騙ってはいない。これが彼の本当の願いなのだ。

 

「そん、そんなことをしたら…お前も消えるだろう…!」

 

トランクスが指摘するも、サラガドラはそれがどうしたとでも言うように一切動じない。

 

「新時代さえ完成すれば、他に何もいらない。僕自身でさえも邪魔になる。くくくく…あははははは!!楽しみで震えるよ!暗黒ドラゴンボールによる混乱を利用して、彼らが生き残った歴史を生み出した!これからそれ以外の歴史を消すんだ!どうだ、最高だろ!?新時代最高!お前らも新時代最高と叫べ!」

 

狂気の入り混じった表情と声色で笑いながらそう叫んだサラガドラは、相変わらずよろよろと歩いていたカズラを再び蹴り飛ばす。そして、カズラはついに意識を手放し、同時に腕の中の暗黒ドラゴンボールがばら撒かれる。

 

ギギギ… バギン!!

 

しかし、その瞬間、すぐ近くで何かが千切れ、砕けるような大きな音が鳴った。

 

「ライ…!」

 

自らを拘束していた鎖をパワーで破壊したライが立ち上がっていた。胴体に受けた穴は塞がっておらず、未だに夥しい血が流れ、口からも血が溢れている。

だが、それほどの怪我を負っているという事実を微塵も感じさせないほどにライの気は全く衰えておらず、むしろ怒りと極限の力によってさらに躍動しているようにさえ思える。

ライは寸前に一瞬だけパストへ目線を向けると、サラガドラへ向けて飛び掛かる。背後で紫と黄緑色の奇抜な色合いの気を爆発させ、その爆風に乗って勢いを高め高速でサラガドラへ殴りかかる。

 

「…馬鹿が」

 

次の瞬間、ドンという大音量の砲撃音と共に、ライの体が両手足と頭だけを残して消え去った。

 

 

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