もしもカカロットが幻想郷に落ちていたら   作:ねっぷう

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第385話 「閃烈なる蒼光!」

無数の光弾と弾丸が飛び交っている。

サザロナが設置した20個のエネルギー塊から絶え間なく放射状に発射される細かなエネルギー弾と、彼女の意思のままにそれぞれが独立して動き回るファンネルから放たれる一直線の光弾の列。サラガドラは地面の上に足を開いて立ったまま、四本の腕の銃火器と背中から伸びる6門の機関銃、額から飛び出したライフル銃でそれらを撃ち抜いて相殺してゆく。

 

サザロナ自身もサラガドラの頭上を不規則な軌道で自在に飛び回りながら、全身から光弾を発射し続ける。さらに、空中で凝固したサザロナの気によって産み出された光弾も雨のように降り注ぐ。

しかし、サザロナの放つ弾幕が多くなり激しくなればなるほど、サラガドラもそれに対抗してくる。両肩から機銃が生え、さらに腰の両脇や太腿からも機関銃が伸び、そこからはレーザー光線までもが発射され、蛇のような動きで蛇行しながらサザロナの攻撃を打ち消していく。

 

「『ストレイライト』ォ!!」

 

そこで、サザロナは天へ向かって極太のエネルギーの柱を放出し、それを真上からサラガドラ目がけて振り下ろした。固定砲台と化したサラガドラをヤツの弾幕ごと巨大な気で叩き潰そうとしたのだ。

しかし、サラガドラは全身から変わらず弾丸を乱射しながら横へ飛んでそれを避けた。サザロナは気の柱が地面にぶつかる寸前でそれを止め、いつの間にか自身のすぐ近くまで接近していたサラガドラに意識を向けた。自分の2倍近くの背丈を誇るサラガドラは全身からくまなく銃器を生やしながらも、想像もつかないようなスピードで迫り、回し蹴りを繰り出した。

 

「くお…!?」

 

それを腕でガードするも、枯葉のように吹っ飛ばされるサザロナ。痺れる腕を振るって痛みを飛ばし、反撃に向かおうとするも、またもサラガドラはサザロナの目の前へいつの間にか接近しており、カノン砲に変化させた腕で彼女をぶん殴った。

 

(あの速度、ありえないだろ…!そうか…アイツ、自分を弾丸にして発射してんのか!?)

 

サラガドラは自分を包み込むような形で巨大な大砲を作り出し、その中に入って自らが砲弾となって発射されることで不可避の速度で攻撃を仕掛けていた。そして、もう一度砲弾となってサザロナへ接近するサラガドラ。

 

(だけど…アンタの体から生える銃がだいぶ焼け落ちてるよ!)

 

その通り、砲弾として空中をすさまじい勢いで移動する速度に耐えきれずに、彼の全身から伸びる銃火器のほとんどが赤熱してボロボロと焼け崩れていた。恐らく、動きを止めればすぐに再生するのだろうが、それによってほんの少しの間だけ敵の弾幕が薄くなる隙を、サザロナは見逃さなかった。

向かってくるサラガドラに対し、サザロナも全力のスピードでそれに突撃する。そして拳を繰り出し、サラガドラの顔面へ命中させた。

 

「ぎゃ…!」

 

勢いのままに衝突したサラガドラは全身がまるで空き缶のように潰れてしまったと錯覚するような強烈な衝撃を受け、軌道が逸れて宙を舞う。しかしサザロナの腕もダメージを受け、パンチを繰り出した右腕の手首から先が消し飛んでしまっていた。

サラガドラは背中や脚、肩から生やしていた銃を焼け崩れたまま放置して捨て去り、前へ掲げた4本の腕を何十丁ものライフル銃やマシンガン、ガトリング、ピストルへと変える。そしてサザロナへ向けて一斉にそれらの銃口からエネルギーを発射した。

 

「『ソニックブラスト』」

 

キィィ…ン…!!

 

しかし、出たものは耳をつんざく金属音と共に撃ち出された音の波動だった。悲鳴のような大音量の衝撃はあまりのエネルギー量によって大気を巨大な竜巻のようにうねらせる様子が肉眼で視えるほどで、それに直撃したサザロナは白目を剥き、耳と鼻から血を流しながら落下してゆく。

 

「…なんちゃって!」

 

だがすぐに意識を取り戻し、黄金のエネルギーを噴射しながらサラガドラへ向かう。本来なら再起不能となってもおかしくない攻撃であったが、やはりシロナの能力に由来する不死性と再生力が助けとなった。

このようなやり取りをしている間にも、サザロナが地面と空中に設置したファンネルから絶えず撃ち出している弾幕とサラガドラの弾丸が吹雪のように吹き荒れ、衝突し合っており、両者はそれを意識することなく避け続けている。

 

「『ノクチルカ』」

 

だが、無軌道に降り注いでいたサザロナの弾幕が一斉に動きを停止し、直後に上昇する。

 

「…!?」

 

サラガドラが気付いた時には遅かった。サラガドラの近距離に高密度で集まってくる弾幕は彼の撃つ弾丸では消しきれないほどで、まるで海面に映るプランクトンの群れのように青白く発光し始める。そして次の瞬間、それらは連鎖的に爆発を起こし、爆炎がサラガドラの全身を覆いつくした。

 

「…『撃龍・ハタタガミ』」

 

しかし、本来なら近くまで寄って耳を澄まさなければ聞こえないような、サラガドラの微かな呟き声。それと共に、天から発生した7本の雷が柱となって立ち上がり、無数の弾幕を消し飛ばしながらサザロナの周囲を旋回する。

発生した強力な電磁力によって作られた磁場によって、サザロナはその場から身動きが取れなくなる。初めてサラガドラと戦闘をした際、一撃で戦闘不能にまでされた技を予感する。

そして雷の柱は互いの距離を縮め、ひとつの檻となってサザロナを閉じ込めた。だが、今のサザロナの気は以前とは比べ物にならないほど高まっている。あの時はこれだけでかなりのダメージを負ってしまったが、今回はそんなことは無い。

サラガドラは無数の銃火器に覆われた4本の腕を前に出すと、再度全身の至る箇所からさらに銃火器を出現させる。が、それらは体から分離しながら掲げた腕へ集まっていき、ガシャンガシャンと音を立てながら高速で組み上がっていく。

 

「なるほど、そういうことだったの!」

 

あの時、それどころではなくて視認できなかったサラガドラの行動。全身から生み出した無数の銃火器を部品のようにして組み上げ、超巨大なレールガンを形作っていた。そしてその砲口部に紫色の魔力が充填され、ドンという大きな発射音と共にそれは解き放たれた。

 

「僕の新時代が全てなんだよ!!それ以外はいらない!!」

 

超高火力のエネルギー砲が真っすぐにサザロナへ伸びてくる。だが、サザロナは目つきを鋭くすると、体を高速回転させて雷を弾き飛ばし、全身からオーラを吹き出して一直線にハタタガミへ向かっていく。

 

「『イルミネートスター』!!」

 

そして、サザロナの叫びと共に黄金のオーラは七色に煌めく粒子となって彼女の全身を覆い、さらがら流星のようになってハタタガミと衝突した。

 

「どんな時空も歴史も、消そうとするんじゃねぇ!!」

 

「ハッ、サザンカ、シロナ…お前らだって考えたことがあるだろ?両親が生きていれば、苦しい思いをせずに済んだのにってな!僕は知ってるんだよ、それからのお前らの戦いもすべて見させてもらったからな!辛かったろう、苦しかったろう、寂しかったろう…あのふたりがいればそんなことなかっただろ?」

 

サザロナは…いや、サザンカとシロナは思い浮かべる。あの日、フリーザとの戦いで両親がふたりとも死ななかったら。

もしそうだったら、シロナはヴァンパイア王国で生死不明となることもなく、ミルに助けられて人造人間との戦いに身を投じることにはならなかった。幻想郷へ対するレイムの襲撃も何とかなっただろう。

サザンカも、シロナとは別に暮らす必要はなかった。そのせいで抱えた孤独を感じずに済んだだろう。

だが…

 

「じゃあそれからアタシたちが出会ったみんなとの思い出は無駄なものだっていうのか!?」

 

サザロナは思い切ってそう叫ぶと、サラガドラの放つハタタガミが僅かに押された。

 

「そうじゃないだろ!アタシは今までのコト全部が意味があったと信じてる!確かに父ちゃんも母ちゃんも居なくなって寂しい思いはしたが…そんなこと忘れられるくらい面白いこともあったんだよ!」

 

サラガドラはそんなことは知ったこっちゃないとでも言いたげに歯を噛み締め、怒りのままに攻撃の威力を高める。再び押されたサザロナはハタタガミの先端を抱き込む形で身動きが取れなくなってしまうが、グググッと拳を振り上げ、叩き付けた。

するとハタタガミの先端が削られたように押し戻された。サザロナは続けて拳を振るい、伸びようとしてくるハタタガミを次々と削り、押し返していく。

 

「オラオラオラオラオラ!!」

 

サラガドラはハタタガミに全力の魔力を送り込むも、サザロナの爆発力の前には成す術がなかった。ついにハタタガミは自身の目の前まで押し返され、サザロナが勢いよく飛び出してくる。そして、さらに強力な全力のパンチで、サラガドラが作ったレールガンをバラバラに砕いて見せた。

目を丸くして唖然とするサラガドラに対し、サザロナは七色の気を纏わせた拳を振り下ろす。

 

ガシッ!

 

しかし、サラガドラは2本に分かれた右腕でサザロナの手首と額を掴んで攻撃を止めた。

 

「テメェはそう思うんだな…?辛かったがその分楽しいこともあったと…」

 

彼の言葉に怒りが込められる。

 

「憎いぞ…僕は辛い事ばかりで楽しいことなど何もなかったぞ!」

 

「アンタの”空”は黒く塗りつぶされちまってんだろ?」

 

「空…?」

 

「空は…時たま嵐や豪雨になるけど…晴天は必ずやってくる!暗い夜空だって星が照らしてくれる…」

 

「…まさか、その星ってのは…」

 

サザロナが思い浮かべるのは、カズラの後ろ姿。サザロナは全部見ていた。サラガドラが暗黒ドラゴンボールを運ぶカズラを面白半分にいたぶっていたのを。

 

「だからアタシはアンタを許さねぇ!」

 

「だから何だ!?いいか、教えてやるよ!人ってのはなァ…”夢”が無いと生きていけないもんだ!僕が行った戦争じゃ…明日の夢を諦めた者から死んでいった」

 

──明日になったら、きっと突然地震が起きて、敵が全員塹壕に埋もれて死ねばいいのに

──これが終わったら、ホットドッグ片手に競馬でも見てぇなぁ…

 

「クソみてぇな境遇に立たされた者が…たとえ空想でも明日の希望に縋って何が悪いんだよ!?僕はこの世に絶望した!だからせめてもの平和な新時代を作ってやろうっていう夢を見て何が悪い!?」

 

サラガドラの拳がサザロナの顔面にめり込み、大きく吹っ飛ばされる。サザロナは火花が散る視界を元に戻そうとその場で静止するが、すかさず迫って来たサラガドラの蹴りが鳩尾へめり込み、体をくの字に曲げながら胃液を吐き出した。

 

「ガハ…!!」

 

さらに何度も拳による殴打がサザロナへ浴びせられ、何も反撃できない。そして、頭上から振り下ろされるスレッジハンマーを喰らったサザロナは真下へ向けて吹っ飛ばされ、地面の上に激突した。大きなクレーターが出来、その衝撃で弾幕を発していたサザロナのファンネルは消えてしまった。

 

戦いはクライマックスへ突入し、果たしてサザロナはここから巻き返すことができるのだろうか?サラガドラの新時代が到来してしまうのか…?

 

 

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