もしもカカロットが幻想郷に落ちていたら   作:ねっぷう

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第387話 「イン・ザ・ファイナル」

サラガドラは腹部へサザロナ必殺の拳を受けたことで、かつて体内へ取り込んで余りある魔力の源としていたメチカブラの魂を吐き出した。

メチカブラの魂は魔力を求めて、サラガドラが与えた自身の魔力で凶暴化していたブロリーの体内へ逃げ込んだ。サザロナはそれを追って同じくブロリーの体内へ…

 

 

「ここまで追ってくるとはな…大したものだ」

 

サザロナはその声を聴いたとたん、その方へ振り返って身構える。そこへ紫色の煙が集合していき、巨大な顔を形作り、赤い双眼が輝く。

その左右から煙が分離し、それは6本の指を持つ巨大な手となり、顔を覆う。その中で顔部分もゆっくりとハッキリした形となっていき…

 

「ふはははははは!!しかし愚かだ!このメチカブラ様に勝とうとでもいうのか!?」

 

メチカブラ・コアは額から渦巻いた角を伸ばしたヤギの顔にも見える、赤い眼が吊り上がり口が裂けた老人の頭部と、そこから分離している6本指の両手のみを持つ巨大な怪物の姿となってサザロナの前に顕現した。

 

「アンタが全ての元凶か」

 

が、サザロナは怯むことなくそう言った。

 

「ふん、そうとも言えるかもな。全く馬鹿な小僧だ、油断したワシを殺したまでは良かったとしても、力を欲したばかりに暗黒神龍の言う事を鵜吞みにし、ワシを体内で飼ってしまうとはな」

 

メチカブラはにやりと笑う。

 

「魂だけとなったワシは何もできずに小僧の体内で魔力を搾り取られるが、幸いにもヤツが使う魔力は長い間極めて少量だった。だからワシはじっくりと魔力の回復に専念できた。だが、つい最近…ヤツは多量の魔力をワシから奪いおった。この男を強化するのに使ったのがそれだ。今ここへたどり着いたワシは完全な魔力を手に入れた!あとは追ってきた貴様を殺し、暗黒ドラゴンボールを使って全盛期の姿で生き返るのだ!!」

 

メチカブラは右手を振り上げ、拳を握る。すると、周囲から発生した何本もの魔力の柱がサザロナがいる場所を狙って一直線に伸びる。

サザロナは体を回転させながら飛んでそれを躱し、空中で体勢を整える。そこを狙って、メチカブラは左手を振り下ろして攻撃を仕掛ける。しかし、サザロナが放った気功波が命中し炸裂すると速度が落ち、同様に右手で攻撃をするもやはり気功波によって動きを止められた。その隙に顔面の目の前へ迫っていたサザロナが反撃のパンチを眉間へお見舞いし、メチカブラは後ろへ下がって怯んだ。

 

「ぬおおお…!」

 

「あでっ!」

 

が、メチカブラも復帰させた左腕の指先でサザロナを弾き飛ばしており、サザロナは地面を滑って立ち止まる。

 

「ふはははは!さァ、もっと挑んで来い虫けらよ!地獄へ行ってもワシほどの器を持つ者とは出会えんぞ」

 

「なに抜かしてんだアホンダラ!アンタはここで倒す!」

 

メチカブラとサザロナの拳がぶつかり合い、凄まじい波紋状の衝撃波が吹き荒れた。

 

 

 

 

その頃、やっと囚われていた全員の鎖を解き終わり、最後にトランクスが解放されたところだった。

 

「もちろん見ていたよ。ブロリーの体の中でサザロナさんが戦っているとはね…」

 

トランクスはゆっくりと立ち上がりながらそう言った。が、脚は少し震え、顔にもダメージと疲れの色が残っている。

 

「とはいえ、無事で何よりです…時の界王神様」

 

「あなたもね、トランクス。でもあなたは休んでなさい…ここはあの暗黒ドラゴンボールの力で戦っている彼らに任せて、わたしたちはサポートに徹しましょう」

 

「はい…」

 

トランクスが時の界王神の言葉に対して返事をした瞬間、遠くの方からジャリっという砂を踏む音が聞こえ、そちらへ振り返る。

 

「僕の新時代は…誰にも止められない…!」

 

その先には、ゆっくりとこちらへ歩いてくるサラガドラの姿があった。が、メチカブラの魂が体から消えた影響で気は大幅に下がっており、見た目も身長は変わっていないが逆立っていた青髪がぺたりと下り、割れた赤いサングラスが外れて足元に転がり、顔に走っていた赤い模様が消えている。その他体に身に着けていた装飾品も壊れて無くなっており、ただの黒いセーターとズボンを身に纏った素朴な青年のような印象を受けるシンプルな姿へ変わっていた。

 

「サラガドラ…!まだ動けたのね」

 

時の界王神はそう言いながら彼に立ち向かおうと構えるが、トランクスがそれよりも前に進み出て時の界王神を背後に押しやった。

 

「サラガドラ、お前の最後の相手はこのオレだ!」

 

「トランクス…?今更お前如きが立ちはだかったところで、僕を止めることはできないぞ…」

 

サラガドラは立ち止まり、苦痛と苛立ちに顔をしかめてそう言った。

 

「確かに…オレの実力じゃ、確かに弱っているとはいえお前を倒せるほどじゃない。でも、オレは今まで何度も見てきたんだ…だから使わせてもらう」

 

「なに?」

 

「時の界王神様、暗黒ドラゴンボールをオレに貸してください」

 

「いいけど…何をする気?」

 

小声でそう言い、後ろ手を回してきたトランクスに、困惑しながらも暗黒四星球を渡す時の界王神。受け取ったトランクスは、それを高々と掲げ、光を受けて煌めく深紅の水晶体と、その中に浮かぶ黒い四つ星を眺める。

 

「オレがお前を倒すには、こうするしかなさそうだ」

 

トランクスは暗黒四星球を自分の胸に押し付けた。その場の全員が驚愕する中、赤黒い煙と共に閃光を放つ暗黒四星球。そう、ブロリーに再度寄生しようとするも阻まれていたが、それを諦めトランクスを寄生対象として選んだのだ。

 

 

──────────

 

─────

 

暗黒ドラゴンボールが呼び起したトランクスの忌まわしい記憶とは、やはり凶悪な人造人間の出現による、己の師である孫悟飯の戦死であるだろう。

 

しかし、トランクスにとってそれは最早とうの昔に克服し、過ぎ去りしもの。今の彼にとってトラウマと呼べるものも、それに類するものを想起させられたところで折られるような軟弱な精神も持ち合わせていない。

それどころか、自分の経験がサラガドラを倒す切り札になるとさえ確信していた。

 

─────

 

──────────

 

 

結果、トランクスは二星球の寄生を全く受け付けなかったシロナのように、自力で暗黒四星球の寄生に打ち克ったのだった。

しかも、そのまま暗黒四星球を体外へ追い出すことなく、トランクスへ力を与えてくれる丁度いいラインに留めることもできている。

 

「ハァ…ハァ…!さあ…いくぞサラガドラ…!」

 

超サイヤ人となったトランクスは胸にはめ込まれた暗黒四星球を中心に、頬や手の甲にかけて上半身を覆うように赤黒い筋が走る。眼も黄色く変色するが、それでも瞳はトランクスの意思を宿した緑色を保っている。

 

「その状態を保つだけでも意識が吹っ飛びそうだろ…まあいい、僕がすぐに終わらせてやるよ」

 

サラガドラは二股に分かれた右腕を掲げ、そこからエネルギー波を二本放つ。既にサザロナに受けたダメージに加え、メチカブラと共に自身の魔力をも吐き出してしまったサラガドラは、もう魔法を使うことはできない。

トランクスはサラガドラのエネルギー波を両方とも躱し、そのまま一気に迫る。すれ違いざまに足へローキックを命中させ、さらに地面を蹴って飛びかかりサラガドラの脇腹へ拳をめり込ませる。

 

「おせぇよ、丸見えだ」

 

が、サラガドラは背中に回した後ろ手でトランクスの拳を掴んで受け止めていた。そして、そのままその手を下げると、引っ張られたトランクスが胸から地面へ叩き付けられる。砕けた床と共にトランクスの体がバウンドして浮かび上がり、サラガドラはトランクスの腹へ手を当て、至近距離からのエネルギー波を直撃させる。

しかし、トランクスはサラガドラの腕を掴んで吹き飛ばないように攻撃を耐えきり、驚いたサラガドラの顔面へ膝蹴りを叩き付けた。

 

「ぐ…テメェ…!」

 

 

暗黒ドラゴンボールに寄生された戦士たちと、魔力で動く暗黒兵団。

 

ブロリーの体内にて、サザロナとメチカブラ・コア。

 

そして、トランクスとサラガドラ。それぞれの戦いの行方は如何に…?




前々からやりたかった展開です。「マリオ&ルイージRPG3」のダーククッパ戦みたいな感じで、体内と体外で同時に戦いが進行するという…
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