もしもカカロットが幻想郷に落ちていたら   作:ねっぷう

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第399話 「決勝戦、シロナvsサザンカ」

「現在、2回戦の試合がすべて終了しております。決勝戦へと駒を進めたのは、シロナ選手とサザンカ選手です!ふたりとも、これまでに手に汗握る素晴らしい激闘を制してきた猛者であることは間違いないでしょう!」

 

審判がマイクに向かってそう叫んでいる。

 

「ですが、ここで30分の休憩を挟ませていただきたいと思います!ここまでの連戦で選手たちも皆さんもお疲れでしょう、ベストな状態で決勝戦の結果を見届けようではありませんか!」

 

 

「サザンカ大丈夫だった?なんか…やばそうだったけど」

 

試合を終えて控室へ戻って来たサザンカにシロナが声をかける。先ほどのカンバーとの試合では、彼が持つ謎の赤黒いオーラによってサザンカは未知の力を引き出され、それに苦しみながらも何とか勝利した。

 

「今は何ともねえな」

 

「そう?それと試合中になんか喋ってたように見えたけど何か言われたの?」

 

──近々、神々との戦争が始まる!そのための兵力が欲しい!サイヤ人こそがこの宇宙で最も優れた戦闘種族だからな

 

カンバーに言われた言葉を思い出す。が、サザンカは今は言うべきではないと考え…

 

「…いや、オレが最強だのなんだのと言ってただけだよ」

 

ふたりは少し休んだ後に外へ向かって歩き出す。

 

「あーお腹減ったー!」

 

「今から食ったって大して足しにならねぇだろ」

 

控室のある武道館から出てきたシロナとサザンカ。

 

「ふたりとも出てきましたよ」

 

「おかえり」

 

それをカズラとブルマが出迎える。

 

「ふたりともすごいじゃないの」

 

「ああ、とくにサザンカもさっきの試合やべぇな!相手の大男、相当とんでもないヤツだっただろ」

 

カズラの言う相当とんでもないヤツと言えば、あの暗黒ドラゴンボールに寄生されて暴走した者たちやサラガドラを思い浮かべているだろう。

 

「おお…まあアタシにかかればなんてことなかったぜ」

 

少し顔を赤らめながら強がってみせるサザンカ。正直、あの赤黒い覇気による影響がなければカンバーにも勝てなかったかもしれないが、カズラの前で弱い素振りは見せていられない。

 

「お前ならそうだろうな~」

 

そう返すカズラ。そんな様子を見ていたシロナはバッとカズラの手を掴む。

 

「そういえば!今朝来たときに色々と屋台が来てたんだけど見てかない?」

 

「え?今からですか!?時間は…」

 

「はっ、呑気に飯かよ?決勝で吐き出すために食うってのか?」

 

何故かシロナに突っかかるサザンカ。

 

「…じゃあサザンカは食べなくていいんだ?負けた後の気持ちで食べるより今の気持ちのまま食べておいた方がいいと思うけど」

 

「いらねぇ心配だなぁ、どうせアタシが勝つんだから今食う必要はねぇってことだ」

 

「ちょっとちょっと!なんでふたりともそんなムキになってんだ!?」

 

「ふーん…なるほど…」

 

バチバチと火花を散らすシロナとサザンカ、それに困惑するカズラと、その様子を見て何かを察するブルマ。

 

「まあいいや、私だけで見てくるから!」

 

そういうと、シロナはひとりで露店の方へと走り去っていった。

 

「…ってかじきに時間になるな、先にアタシは準備して待ってるぜ」

 

 

 

「すいませーん、ケバブ2つ…いや4つで!」

 

「あいよ。…お、久しぶりだな、シロナ」

 

シロナが寄ったケバブショップの店員は、肉を切りながら帽子のツバを上げ、シロナを見た。

 

「アナタ…まさか…誰なの!?」

 

店員はガクリと膝を落とす。

 

「もしかして、ウスターさん?」

 

「そ、そうだ…俺はウスターだ…」

 

店員の正体は、あの魔人ウスターだった。フリーザとの戦いの後は世界中を転々としながら強さを追及しており、占いババの宮殿ではシロナと戦ったこともある。

 

「こんなところで何してるんですか?」

 

「見ての通りだ。自分の飯代を稼ぐためにな。それよりも…さっきの試合中不穏な気を感じたが」

 

「ああ、妹の対戦相手がサイヤ人だったみたいで…」

 

「サイヤ人だと?それにしては随分と邪悪な覇気に満ちていたが…。何やらきな臭い雰囲気を感じるな…用心しておいた方がいい」

 

「…うん」

 

シロナは出来上がったケバブを4つ受け取り、その場を後にする。広間のベンチに座ってケバブを食べながら考え事をしていると、いつの間にか試合再開の放送が流れているのに気が付く。

 

「これより、天下一武道会決勝戦を開始いたします!!」

 

「ヤバ!」

 

急いで全部食べ終え、決勝戦の武舞台へ向かって走り出す。

 

「やばいやばい、遅れちゃう!」

 

 

 

その頃、天下一武道会決勝戦を行う武舞台の上では、腕を組んだサザンカが選手の入場口の方をじっと睨んでいた。審判も腕時計を確認しており…

 

「相手の方…お姉さんが来ませんね…」

 

「ああ…」

 

盛り上がる観客たちを白けさせるわけにはいかないと判断した審判が、この場を繋げるためにマイクを握る。

 

「皆さん、覚えておりますでしょうか…今から27年前、ピッコロ大魔王の出現により世界は大混乱に包まれました。丁度その直前に開催されていた天下一武道会の場に私もおりましたが、思えばあの時から混乱の萌芽は出ていたのでしょう…これは私が初めて告白する事ですが、あの大会の終わった後、選手控室で当時の参加選手がピッコロ大魔王の手下によって殺害されてしまい、私も大怪我を負いました」

 

審判のマイクを握る手が震えている。その時のことをよく覚えているブルマも、観客席からその話を聞いている。

 

「私は許せなかった…己の限界に挑むため、世界を熱狂させるため、莫大な時間と手間をかけてすべてのコンディションを万全に仕上げてきた選手が大会を終えて体を休めている間に殺された…。私は次の天下一武道会が開かれる時、その時もまたこうしてレフェリー兼実況として選手と共に舞台へ上がることができた時、マイクを通して響く言葉を、殺された格闘者たちへのレクイエムとして捧げようと思っていました」

 

餃子、鶴仙人にはじめ、亀仙人、クリリン、天津飯…。

 

「そして今、私の悲願は達成されようとしています!!どうか皆様方、私と共にこの大会の結末を見届けようではありませんか!!」

 

観客たちはさらに沸き上がり、待機が震えるほどの熱狂に包まれる。

 

「…!おい、そろそろ来るぞ」

 

武舞台に近づいているシロナの気を感じたサザンカが審判に耳打ちする。審判はマイクを握り直し、再び声を張り上げる。

 

「選手の紹介をいたします!他を寄せ付けない圧倒的な戦闘スタイルで勝ち上がった、この大会最年少にして女の子!サザンカ選手!!」

 

サザンカはにやりと笑いながら両手の拳を叩き合わせて音を鳴らした。

 

「対するは…再優勝候補と謳われたミスター・サタン選手を破り見事決勝戦へと進んだ素性不明の謎の武道家!シロナ選手ですッ!!」

 

息を切らすシロナがギリギリで会場入りを果たす。ふたりは向き合うと、神妙な面持ちで見つめ合う。

 

「聞いて驚いてください!!なんとこのおふたりはご姉妹なのであります!!ここに姉妹の超対決が実現しようとしております!!」

 

「姉貴ィ…こういう場だからって上品になんて戦ってやらねぇからな…せいぜい覚悟しろ…」

 

「そう勇まない方がいいわ、サザンカ…カッカするのは栄養管理が出来てない証拠よ、ちゃんと毎日朝ごはん食べてる?」

 

「なっ…!」

 

「では、試合開始ィ──!!」

 

試合スタートの銅鑼が鳴り響くと、シロナとサザンカは空中に飛び上がり、熾烈な空中戦を繰り広げる。サザンカはシロナの鋭い連続蹴りを全て躱し、反撃のパンチを繰り出す。シロナはそれを予測していたかのように簡単にそれを掴んで受け止め、もう片腕でカウンターパンチを放つ。

が、サザンカはにやりと笑うとわざと額を前に差し出し、パンチを頭で受ける。ガチン、という生身の体同士がぶつかったとは思えない硬い音が響き、跳ね返されたシロナの拳は赤く腫れ、痺れていた。

 

「いったあ!?」

 

思わず顔をしかめてそう叫んだ瞬間、サザンカの回し蹴りがシロナの顔面へクリーンヒットし、凄まじい勢いで下方へ向けて吹っ飛ばされる。

シロナは回転しながら受け身を取り、直立するように着地する。だが、すぐに上を見上げると、既にサザンカが全身に気を纏いながらこちらへ向かって急降下してきていた。

 

(はやい!)

 

シロナも飛び上がり、サザンカを迎え撃とうとするもこちらが勢いを乗せる前に相手の方がこちらの制空権内に入り込んでいた。サザンカの驚異的なスピードを前にして焦るシロナだが、すぐに目つきを鋭くし、拳を握ると一撃を繰り出す。

 

「ウラァ!!」

 

サザンカもまずいと感じたのか、少し勢いを止めて攻撃をかわす。しかし、シロナはさらにパンチを放ち、次々と何十発も拳を放つ。

 

「ウラウラウラウラウラ…!」

 

一片もの隙間もなく連続で放たれる拳の連打が作り出す「壁」がサザンカに迫る。だが、にやりと笑ったサザンカは大きく後ろへ引いて構えた拳へ全身の気を集中させ、大振りの一撃として繰り出した。

 

ゴォン!!

 

たった1発のサザンカの拳が、シロナが放つ拳の連打を相殺する。激しいスパークのような衝撃が飛び散り、シロナとサザンカは後ろへ飛んで武舞台へ着地し、同時に床を蹴って再びぶつかり合う。

観客はただ唖然とその光景を見るばかりだ。互いの攻撃が同時に頬へヒットし、舞台上に降り立つ。

 

「やるわね…でもここで時間を喰ってる暇はないの…すぐに片づけさせてもらうわ。ハアアッ!!」

 

シロナは気合を込めると、その全身に激しい金色のオーラが巻き上がり、髪も金に染まる。

 

「へぇ、姉貴もその金髪になるのか…だったらこっちも!」

 

続いてサザンカまでもが超サイヤ人に変身する。黄金の闘気が吹き荒れ、その場の観客たち全員が目玉が飛び出すほどの勢いで驚いている。

 

「いくぜぇ!!」

 

「来なさい!」

 

サザンカは拳を振り上げ、襲い掛かる。シロナがそれを迎え撃とうと構えた瞬間、視界の端に何か懐かしい気配を感じた。思わずそちらへ目線と意識を向けてしまうと、なんと観客席の最前列に立って試合を眺めているカカロットと霊夢の姿があったのだった。

 

「父ちゃんに…お母さん!?」

 

幻か現実か定かではないが、観客席のふたりはシロナに気が付くと、口を開いて何か言いかける。だが、隣の観客が横へ動いたせいでふたりは隠れてしまう。

 

「もらったァ!!」

 

その隙をついたサザンカのパンチがシロナの顔面へクリーンヒットし、シロナは一発で場外にまで吹き飛ばされる。しかし、シロナは試合の勝敗などどうでもいいといった様子で観客席へ駆け寄り、両親の姿が見えた位置を見渡す…が、そこにはふたりの姿は影も形もなかった。

 

「…来てくれたんでしょ?」

 

「そこまで!!只今、勝敗が決定しました!!シロナ選手、場外への落下により…今回の天下一武道会優勝を勝ち取ったのはサザンカ選手です!!」

 

「ヨッシ!!!」

(カズラ、見てたか!?アタシ強ェだろ!姉貴よりも…世界中から集まった誰よりも…!)

 

「…負けちゃったか…勝ったら、言いたいことがあったのに…」

 

場外に座り込みながらそう呟いたシロナ。審判はそんなシロナの声を聴いており、彼女の元へ近づいて行って手を差し伸べる。

 

「この決勝戦は姉妹対決となり、妹であるサザンカ選手が優勝したわけですが、姉のシロナ選手に感想を伺ってみたいと思います!どうでしょう、姉として何か思うようなことはございますか?」

 

立ち上がったシロナはマイクを受け取り、観客席の中に紛れていたカズラを探し出し、目線を送る。

 

「本当は…優勝したら伝えようと思ってたんだけど…」

 

優勝したのはサザンカだが…シロナがカズラへ伝えたいこととは一体…?




今回の話がやっと第1部最終話のラストシーンへ繋がるという訳ですね。あのシーンを書いていた時点でここまでの物語はうっすらと構想していました。

この天下一武道会に参加しているカンバーという男ですが、正体はスーパードラゴンボールヒーローズオリジナルのアイツです。こんなキャラクターがいるのかと思って調べてみたら登場させたくなったので出しました。
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