もしもカカロットが幻想郷に落ちていたら   作:ねっぷう

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第40話 「恐怖!暗黒のデッドゾーン!!」

「ちぃ、こうなったら幻想郷ごと吹き飛ばす程の威力で撃ってやる!」

 

ガジュニアは腕を後ろに引くように構えると、そこに強大なエネルギーを込め始める。青紫色の気がこもり、それは周囲の空間を歪ませてしまうかのような熱気を放っている。

 

 

「い、いかん!あれはハッタリなどではない、奴は本当に幻想郷を吹き飛ばす力を持っておる!!」

 

シュネックがそう叫ぶ。

 

「そうだ、ガーリックの息子よ!そうなったらお前の欲するドラゴンボールも…!」

 

隠岐奈も必死になってそうガジュニアに呼びかける。

しかし、それを聞いたガジュニアはシュネックたちの方を見ると、にやりと笑って言った。

 

「知った事か…!」

 

二人は歯を喰いしばり、焦った表情に汗を見せる。

 

「喰らえ、デスインパクト!!」

 

そしていよいよ、ガーリックは体を一回転させ、そのまま腕を伸ばして溜めていたエネルギーを一気に手から放出した。それはカカロットへ真っすぐ向かっていく。

 

「ぐっ…!」

 

カカロットはそれを両腕で抱え込むようにガードし、何とか受け止めようとする。しかし、ガジュニアの全力を込めた一撃はさすがに重く、今のカカロットでは力不足であった。

 

「クソ…押し負ける…ッ!」

 

「ムグハハハハハ!!ぶっ潰れてしまえ!!」

 

ガジュニアのデスインパクトは衰える気配もなく、なおも勢いを保ちながらカカロットに襲い掛かる。

 

「もっとパワーを上げてやる…俺の体よ、耐えてくれ…さらに滅越拳だ!!」

 

カカロットがそう叫ぶと、その身体を包んでいた紫色のオーラが会場全体を包むかのごとく巨大に膨れ上がる。その異様すぎるエネルギーを肌で感じたガジュニアは、一瞬だけ怯んだ。

その隙を見て、カカロットはデスインパクトを押さえ込んでいる両腕から、特大のエネルギー波を放出した。それはデスインパクトをどんどんと押し返していき、ガジュニアがどんなに力を込めても押し戻せないほどにまで強力であった。

 

「うおお…ぐっ…!!」

 

やがて、ガジュニアはカカロットのエネルギーと自らのエネルギーの混じり合った波動に包まれ、空中で炸裂した。

 

 

「や、やったか!?」

 

シュネックが空を見上げる。炸裂したエネルギーの煙が晴れていくが…

そこには、ボロボロに傷を負ったものの、まだ明らかに意識のあるガジュニアの姿があったのだ。

 

 

「な…あれでも、まだ…!」

 

流石の耐久力と言わざるを得ない。ガーリックは目を血走らせ、カカロットを睨みつけた。

 

「はぁ…はぁ…!流石の私でも死ぬかと思ったぞ…!こ、こうなったら『デッドゾーン』でカタをつけてやる…!」

 

ガジュニアはそう言うと、空中に浮かんだまま両腕を前にかざし、全身に気を込める。あまりの気に地面が揺れ、崩れかけた武舞台の破片がカタカタと浮かび始めた。

 

「ぬうううううう…!!」

 

「な、何だ!?」

 

ガジュニアの背後に赤い渦が発生する。と同時に空に黄色い雲が立ち込め、分厚く空を覆った。

 

「何が始まるっていうんだ…!」

 

すると黄色と真っ赤に染まった空のど真ん中に、黒い大穴がぽっかりと出現したではないか。その大穴はとてつもなく禍々しい気を発しながら、武舞台の崩れた破片を引き寄せていく。

 

「何だ…体が…」

 

さらに、その引き寄せる力は次第に強くなり、カカロットの体がずるずると移動していってしまう。

 

 

「まさか、吸い込もうとしてる!?」

 

その引力は観客席にまで届いていた。霊夢が異変を感じ取ったその瞬間、黒い大穴は急に巨大化した。

その瞬間、大穴はブラックホールの如く強力な吸引力を発揮した。霊夢は思わず体が浮かび上がり、驚いたが何とか踏みとどまる。

 

「いかん、人間たちが!」

 

シュネックは、観客席にいた一般の人間たちが早くも大穴に引き寄せられ、吸い込まれようとしているのを発見する。咄嗟に両手をかざし、超能力のようなもので観客席の天井に壁を作り、吸い込まれるのを上手く防いだ。

 

 

「うおおお…何なんだこれは!」

 

カカロットは武舞台の角を掴み、何とかこらえている。

 

「ムグハハハハハ!!これが父より受け継いだ、一条の光も届かない暗黒世界の異次元空間『デッドゾーン』だ!!私が解除しない限り、全てのあらゆる物体を吸い込み閉じ込めるのだァ!」

 

ガジュニアは頭上に浮かぶデッドゾーンの入り口と見えない力で繋がっているかのように白く輝くオーラを纏い、白目を剥きながらそう誇った。

 

「デッドゾーン…だとぉ…」

 

そのガジュニアへ向けて一発の気功波を放つカカロット。ガジュニアはデッドゾーンの発動中ゆえにそこから動けないのか、真正面からその一撃を受けた。

…が、ガジュニアに当たったはずの気功波は、まるで油に水が弾かれるかのようにするりと通り抜けてしまった。

 

「どうなってるんだ…!」

 

思わずつぶやくカカロット。

 

「愚か者めが!その程度の攻撃、デッドゾーンと繋がりパワーをさらに増した私に効くと思ったか!」

 

 

「このままではいずれ幻想郷そのものがあのデッドゾーンによって消えてなくなってしまう!」

 

武道館の控え室の美鈴が窓の枠に掴まりながらそう言った。

 

「カカロット!私も戦うわ!」

 

流石の霊夢もこれに危機を感じ、カカロットと共に戦おうと武舞台上に乗り出そうとする。

 

「来るな!」

 

「え…!?」

 

だが、そんな霊夢に向かってくるなと叫ぶカカロット。

 

「来るんじゃねぇぞ…そうしたら俺が反則で負けになっちまう!」

 

「あんた馬鹿!?今そんなこと言ってる場合じゃないでしょ!」

 

「くっくっく…忘れたか…?俺にはまだまだとっておきがあるんだよ」

 

そう言いながら、カカロットは右腕の手の平を上にして構えた。そこにエネルギーを集中させ、一個の小さなエネルギー弾を生成する。

それを自身の胸の前に浮かばせると、今度は胸に全身の気を集中させる。カカロット自身も限界突破滅越拳を発動し、気力を高めようとする。

 

「…『南無三砲』…!」

 

すると、だんだんとそのエネルギー弾が大きくなり、膨大な気を内包していく。

しかし、その間にもデッドゾーンによる被害は広がり、武道館の屋根が吹き飛び、さらには人間の里全体にまで影響が及ぶまでになってしまった。人家がいとも簡単に崩れて吸い込まれていき、そのまま人間が巻き込まれている。

 

「何をしようとも無駄だ!全てのパワーを出し切って、この世界を消し去ってくれるわ!!」

 

ガジュニアはそう叫び、全身から雷のような白いオーラを解き放った。デッドゾーンがさらに勢いを増し、以前とは比べ物にならないほどにまで強くなった。

 

「うわあああ!!」

 

「く、ここまでか…!」

 

隠岐奈とシュネックがついに耐えられなくなり、デッドゾーンに引き込まれていくのを皮切りに、もはや武道館ごと霊夢たちも吸い込まれていく。

 

「カ、カカロットぉー!!はやく南無三砲を…!!」

 

霊夢がそう言った。

その時、ようやくカカロットの溜めていたエネルギー弾が完成する。

 

(…しかし、これを撃っても恐らく今のアイツには全く効かないはずだ…だったら、直接ぶつかってやる!)

 

「!?」

 

カカロットは急にガジュニアに背中を向けた。それを見たガジュニアは不思議に思い、驚いた素振りを見せた。

 

「南無三砲!!」

 

掛け声とともに、カカロットは胸元から紫色の超特大の気功波を放出した。やや下向きに放たれた南無三砲は地面に当たり、やがてその反動でカカロットを斜め上へと押し出していく。

 

「何だと…!?」

 

その勢いは真っすぐで、デッドゾーンへと吸い込まれていくシュネックや隠岐奈、霊夢たちを楽々と追い越し、逆に空へ昇る流星の如くガジュニアへ向かって行くではないか。

このスピードには流石のガジュニアも反応しきれず、その突撃を真正面から腹へ受けてしまった。

 

「うがあああああ…!!」

 

その一撃はガーリックを気絶させることも、死に至らしめることもできなかったが、猛烈な推進力による威力から来る衝撃は、ガジュニアの態勢を大きく崩した。

結果、ガジュニアはその巨体をまるで空を舞う紙切れのように激しく回転させながら、誰よりも先にデッドゾーンへと引き込まれていく。

 

「私は死なん!いつか蘇って永遠の命を手にし、貴様らに復讐するまでは!ムグハハハハハハハ!!」

 

最後にそう笑いながらデッドゾーンへと消えていき、一条の光も射さない暗黒の世界への入り口は、ガジュニアの他に誰も吸い込み入れることなく、閉じたのだ。

 

 

その瞬間、デッドゾーンに吸い込まれようとして空中に浮かんでいた建物の瓦礫や様々な物体は動きを止め、地上へ落下した。

幻想郷一武道会の武舞台上にも、恐らく武道館の屋根であったであろう部材が降り注いだ。

 

「ぶはぁ!」

 

その瓦礫の中から、霊夢たちが顔を出す。

 

「カカロット!?」

 

霊夢がそう叫ぶと、少し離れたところからカカロットがよろよろと飛び出した。

 

「はぁ…はぁ…はっはっは…どうだ…奴はこれで完全な場外だ!その試合、俺の勝ちだろう!なぁ審判!」

 

すると、同じく近くの瓦礫の中から審判の式神が這い出て来る。

 

「え、ええ…あそこまで行っては明らかな場外です…コホン、ではよってこの勝負、カカロット選手の勝ち!決勝戦進出です!!」

 

観客席でへたり込んでいる観客たちから、まばらな歓声が上がった。

 

「うむ…これでガーリックは退けた…」

 

「そうだなシュネックよ…このまま決勝戦を始めよう。舞台を治してからだと、数時間がかかるがな」

 

隠岐奈とシュネックは、小さな声でそう話した。

 

 

「ほう、私の最後の相手はあのカカロットという青年なんだね。てっきり、あのガーリックって言う魔族だと思っていたけど…これは本気を出すまでもなく終わりそうだね」

 

一方、明嵐だけはデッドゾーンによる影響を全く受けていなかったかのごとく無傷のまま、崩れた武道館の壁の向こうでそう呟くのだった…。

 

 

 

 




次回はもう少し早く上げたいです…
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