もしもカカロットが幻想郷に落ちていたら   作:ねっぷう

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第401話 「キラキラ★ギラギラ」

「身に余る力の走狗になって平気で人に迷惑をかけるような妹は、姉である私がぶん殴って正気に戻す!いくわよサザンカ!!」

 

超サイヤ人2となったシロナは、襲い掛かってくるサザンカの拳に自らの拳を叩きつける。両者は鍔迫り合いを繰り広げるが、サザンカは余裕そうに笑っているのに対し、シロナは全力を込めた苦しい表情を浮かべていた。

 

「いちいち…うるせぇんだよ!」

 

サザンカは力を緩め、シロナの体勢が揺らいだところで思い切り腹を蹴りつけ、吹っ飛ばす。垂直に飛んでいくシロナは突き出していた岩場に当たって止まり、その場でうずくまる。

 

「能書きは達者だが、根源の本能を全く引き出せないテメェじゃいくら超サイヤ人のレベルを上げたって無駄だろ」

 

「く…そ、そうかな?じゃあこれならどうかしら?」

 

シロナは胸の前で手を強張らせ、頭部が青く半透明な結晶で出来た、歯を剥き出した悪魔のような造形へと変貌する。両手は結晶の板を貼り付けたように見えるほど強固に硬質化している。

 

「いくぜェサザンカァ!!」

 

煌めく鎧を纏い、魔力で強化した超サイヤ人2となったシロナは黄色く鋭い目に緑色の光を灯し、サザンカへと立ち向かう。サザンカはそんなシロナの攻撃を躱し、腹を殴る。さらに続けて顔面へパンチをぶつけるが、硬い結晶で覆われた顔は彼女のパンチを弾くように受け流し、寄せ付けない。

そして、シロナのカウンターパンチがサザンカの顎へと炸裂する。

 

「チッ!」

 

だが、それは間一髪上体を逸らしたサザンカの顎を掠っただけで、逆にサザンカの膝蹴りがシロナの腹へめり込む。

 

「ぐ…んじゃこれならどうだァ~~!?」

 

シロナは一瞬だけ苦しむもすぐに元に戻り、サザンカから距離を取りつつ前のめりの姿勢になる。そのまま力を込めると背中から脊椎の骨で出来た鞭のような細長い”霊尾”が6本飛び出し、それを振るってサザンカの頬を殴る。怯んだサザンカの片腕を絡めとってさらに動きを封じ、その隙に顔面へ硬質化させた拳による一撃を加える。

 

「ぐお…テメェ!!」

 

吠えるサザンカだが、シロナはその目の前で霊尾を展開したまま車輪のように高速で縦回転し、サザンカへ激突する。その波動は周囲の地面や岩を削り、サザンカを押し込む形で地中深くへと沈んでいく。

 

「止められるなら止めてみな!?暴走大車輪地獄行きだぜ~~!!」

 

「おおおおおお…!!」

 

唸り声を上げながら成す術もないサザンカだが、突然シロナの勢いが止められる。

 

「ハッ、少しはやるじゃねぇか!そんな醜い姿になってまでな!」

 

「な…醜いですって~~!?」

 

「ああ醜いなァ!そんな人なんだか化け物なんだかわからねぇ姿、醜い以外になんて言うんだ?」

 

「この姿は私がこれまで戦ってきた、生きてきたことの証であり、同時に仲間たちが託してくれた遺志!」

 

「何が遺志だ!得体の知れねぇ力に呑まれて口調が豹変するほどに興奮してるだけじゃねぇか!でも大して劇的に強くなれるわけじゃねぇ、いろんなものがごちゃごちゃに出っ張った中途半端なその姿こそテメェの象徴だろ!つくづくみっともねぇよ!」

 

「何が悪いの!?今のアンタは未知の力に完全に支配され暴力と快楽に身を委ねるだけの怪物!」

 

「ああそうだ!この溢れるパワーと体の芯から震えるほどの戦いの快楽、たまらねぇよ!私は“悪のサイヤ人”だ、根源たるこの欲望のままに戦い続けてこそサイヤ人!どんな生き物も生きるために戦い続けるもんだろ、戦うことこそがこの宇宙の真髄であり、全生命の本能だろォ!!」

 

「はぁ!?何言ってんの!?やっぱアンタ頭おかしいわ!」

 

「クハハハハハハッ!!」

 

サザンカは今まで以上に赤黒い闘気を発し、気を高めると簡単に片腕でシロナの回転を止めてしまう。

そして、そのまま片腕から柱のように伸びる気功波を放ち、シロナを吹き飛ばす。

 

「ギャアアアアアア!?」

 

打ち上げられたシロナは地上へ放り出され、追いかけてきたサザンカの膝蹴りを顔面へ受ける。その時、顔を覆っていた結晶の兜がひび割れ、半分だけ素顔が露わになる。が、シロナは怯まずにパンチの連打を繰り出す。

 

「ウラウラウラウラウラウラ…!」

 

「遅ェ!」

 

しかし、サザンカはシロナの両拳を的確に自身の拳で打ち抜き、拳の結晶を破壊する。シロナは背中の霊尾を槍のように伸ばして攻撃をするが、サザンカはそれを掴んで止め、自身の方へ引っ張って近寄らせ真上から拳を叩きつける。

 

「オラァ!!」

 

シロナの体が地面へ叩きつけられ、反動で跳ね返って浮き上がる。サザンカはそのシロナをさらに真上から殴り、再び反動で浮いたところをさらに殴る…それはさながらバスケットボールを床に突き続けているかのようだった。

 

「…何か姉貴だ!何が幻想郷だ!何が人造人間だ、何が記憶兵器だ!!知らねぇよ!昔から一度たりとも顔を合せなかったくせに突然姿を見せて姉貴ぶりやがって!テメェのあの妙に達観したような面と物言いを見るたび腸が煮えくり返る思いだった!だがそれも今日で終わる!ここでテメェをぶっ殺せばアタシの望むもの全部が手に入るようになる!クハハハハ…」

 

サザンカはシロナの霊尾を掴み、再び引っ張って引き寄せ渾身のパワーで殴り飛ばす。

 

「ぐは…ああああ!」

 

顔を覆う結晶の兜が粉々に砕け散り、霊尾も勢い余って全て千切れ、かなりの距離を転がりながら吹っ飛んでいく。サザンカは一瞬でそれに追いつき、胸を踏みつけて止めた。

 

「その言い方…サザンカったら…寂しかったの?私が色んなとこをキョロキョロよそ見して…一回も会いに来なかったから…」

 

「ッ…いちいちゴチャゴチャうるせぇんだよ…そろそろ終わりにしてやるよ」

 

サザンカはシロナの顔の前に手をかざし、気を溜め始める。

 

ドォン!

 

が、次の瞬間、サザンカの後頭部へ何者かが放った気弾が当たり、爆発を起こす。続けて次々と気弾が着弾し、爆発が大きく膨れ上がる。それによって吹っ飛ばされたシロナが宙を舞い、それを誰かが抱き抱えてキャッチし、地面に降り立つ。

 

「…みんな…」

 

そこにいたのは、サタン、豹牙天龍、ウスターの3人だった。やはり彼らは先ほどのサザンカによる武道会場消滅から生き残っており、気を追ってここまでやってきたのだ。

 

「ありがとう…でも今のサザンカは危険…!」

 

「わかっている…。本気でやり合うつもりはない…彼女を鎮められるのはきっとお前だけだ」

 

「ああ…俺たちがやるのはあくまで援護だけだ。主軸は貴様のままだ」

 

天龍とウスターはそう言いながら手の平から連続して気弾を繰り出し、サザンカがいるであろう位置へ次々と撃ち込む。

 

「しゃらくせェ!!」

 

爆炎の中から飛び出したサザンカは全く攻撃が効いておらず、放たれ続ける気弾を殴って弾き返す。そして、接近してきたウスターと天龍の連携攻撃と真っ向からぶつかり合う。

 

「あのふたりの娘が堕ちたものだな!」

 

「ああ、お前の所業を見て何と思うか!」

 

「うるせぇ、どうでもいいんだよそんなこたァ!!」

 

が、サザンカは全身から気の衝撃波を放ってふたりを吹き飛ばす。

 

「ハッ、テメェらみてぇな雑魚に何ができる…!」

 

「何って…」

 

その時、地面の中から巨大な物体が飛び出し、サザンカの体を包むように覆った。地中に潜んでいたサタンが巨大なペンチに変えた両腕でサザンカを拘束したのだ。

 

「数秒間君の動きを封じることが出来る」

 

「この野郎…!!」

 

だがサタンの全力を込めても簡単にはサザンカを留めておくことができず、あと少しすれば振り解かれてしまうだろう。

 

「シロナ君、はやく!」

 

「わかった!」

 

サタンの視線の先にいるシロナは片腕の掌をサザンカへ向けて伸ばし、もう片手でその腕を支えるように構えていた。大量の気を練っているようで、周囲の石や土塊が震えながら浮かび上がっている。

 

「くっ…!」

 

「ちょっと痛いかもしれないけど我慢して!『マスタースパーク』!!」

 

シロナの手のひらから巨大なエネルギーが膨れ上がり、直後にまっすぐに伸びる極太の光の柱が発射される。金色と紫色の光が螺旋を描くようにうねるそれは周囲の地面を捲り上げながら突き進み、動けないサザンカの全身を呑み込んだ。

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