もしもカカロットが幻想郷に落ちていたら   作:ねっぷう

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第403話 「サヴェージタイラント」

「ふははは…“伝説の超サイヤ人”に“伝説の悪のサイヤ人”、それがかつて神であったサイヤ人の呼称であり、このオレが1000年前の悪のサイヤ人だ」

 

両腕を広げながらそう言い放って見せるカンバー。

 

「…そんな大昔のサイヤ人が何故今ここにいる?まさか不老不死だというわけではないだろう」

 

「当たり前だ。オレは1000年前、悪のサイヤ人として軍勢を率いて宇宙中を荒らし回った。オレはオレのやり方でサイヤ人を増強しようとした。だがそれに反発してきたのが、同時期に生まれていた伝説の超サイヤ人だった。ヤツは少数の仲間を率いてオレたちと戦い、土壇場でその力に覚醒し、このオレの喉元にまで差し迫った!だが…所詮は甘っちょろい雑魚!オレには勝てなかった…」

 

 

──1000年前

 

「さぁキサマら、戦い続けろ!!欲しいものは奪え!いらぬものは破壊しろ!殺戮を好め!戦えないヤツは休まず働き続けろ、働けなくなったら死んで休め!」

 

当時のサイヤ人たちをまとめ上げていた男、カンバーはその理念を掲げながら生きていた。もともと戦いを好むサイヤ人たちはそんなカンバーの剛胆さと圧倒的な強さを支持し、当時彼らが暮らしていた惑星サダラの環境を顧みないほどに日々争い続けていた。

 

「もう…カンバー達にはついていけねぇ…」

 

「ああ、昨日も戦い以外で20人死んだらしい」

 

「やつらに殺された者は10人近くだ…」

 

「ヤモシ、どうにかしてくれないか?もちろん手は貸す」

 

暗い部屋に集まった6人ほどのサイヤ人たち。服装は現代のサイヤ人のような戦闘服ではなく、それぞれがタイプの違ったラフな衣服を纏っている。その中でヤモシと呼ばれたサイヤ人は頼りにされ人望も厚いようで、カンバーの暴虐と圧制に耐えかねてヤモシに泣きついていた。

 

「…わかった。明日、私からカンバーにもう少し環境を緩和してくれないか頼んでみよう」

 

 

「話とはなんだ?ヤモシ…」

 

翌日、ヤモシはカンバーの目の前へ訪れていた。ヤモシは当時のサイヤ人の中でも別格の力を持っており、カンバーからも一目置かれていた。

 

「カンバー、お前のおかげで私たちは豊かになった。奪った惑星は数知れず、食料も獲り尽くせないほど確保できるだろう。だからもういいだろう?そろそろみんなを解放しろ」

 

カンバーは横目でヤモシを睨み、ゆっくりと体ごと振り返る。

 

「何を甘いことを言っている?オレたちが台頭する前の惨状を忘れたか?ならば思い出せ…オレもキサマも、元は他の惑星へ売られた奴隷だったろう…あの肥え太った貴族どもの所為でな。だからオレは目指したのだ…『貴族』として生まれただけの平和ボケした権力者共を戦場へ引き摺り下ろせ!!それが平等と自由ってもんだろう、『闘争』だけがサイヤ人の価値を決める…そうだろ?ヤモシ…キサマもそう思ったからこそオレと共に体制転覆のために戦った…」

 

「その通りだ…しかし今は、強い者だけしか生き残れない!それではいつかサイヤ人は本当に絶滅するぞ…ただ強いだけではもっと強い者が現れた時、皆死ぬ…」

 

「ほざけ!オレたちが負けるはずがない!ふざけるな!この世は弱肉強食!!弱い者はそれまでだろ」

 

「…相容れないな…」

 

「ああ…」

 

「ならばやるしかないな…」

 

「互いの信念、理念をかけた…戦争だ…!!」

 

 

それから起こったのは、カンバー率いる悪のサイヤ人の軍勢と、ヤモシ率いる正義のサイヤ人たち6名の戦争。明らかにヤモシらが劣勢の戦いであったが、激闘の最中戦況に変化が訪れる。

 

「カンバーさん!」

 

「どうした?」

 

「ヤモシのヤツ、急に雰囲気が変わったと思ったら…すげぇ快進撃を…!」

 

一体何が起こったのかは定かではないが、ヤモシはその身体に黄金の闘気を纏い、炎のような深紅に染まった頭髪を風に逆立てながら一直線へこちらへ向かっていた。

 

「ヤツの仲間は全員倒したんですけど…!」

 

「…ふはははは!そうか!オレを満足させるのはやはりキサマほどの強者でなければならん!オレが出る、手出しはするな」

 

カンバーは目にも止まらぬ速度でヤモシの目の前へ躍り出ると、一瞬にして容赦の無い連続攻撃を叩きこむ。だが、ヤモシは少しの間それを耐えきると、直後に全身から気の波動を放ち、カンバーを吹き飛ばす。

 

「その力…一体なんだ…!?ならば…」

 

カンバーは力みながら右手の上に白く輝く気の塊を生成すると、紫色の空に向かって投げる。

 

「『はじけてまざれ』!!」

 

そしてそれを炸裂させ、眩く天を照らすパワーボールを作り出す。既に大猿と違う変身を遂げているヤモシには特に影響はなかったが、カンバーを含めた周囲のサイヤ人たちは大猿化してゆく。

 

「さぁ…決着をつけるぞ!」

 

カンバーは一際大柄で全身が黒い体毛に覆われているが長い頭髪のみが黄金に変色している、特異な大猿へと変身した。周りのサイヤ人たちのほとんどが理性を失い吠えたり暴れたりしてるが、カンバーと他少数の大猿は理性を保っているようだった。だが、理性が残っている大猿はその場からじっと動かない。カンバーの戦いを邪魔すれば自分がただではすまないとわかっているからだ。

赤い超サイヤ人となったヤモシ、そして超大猿へと変身したカンバーは熾烈な攻防を繰り広げる。並外れた巨体となりながらも凄まじいスピードとパワーで攻め立てるカンバー、それを捌きつつ合間を見て強烈な殴打を顔面へ叩き込むヤモシ。

カンバーの頬が破けるほどの衝撃が襲い、口と頬の傷から大量の血が噴き出す。

 

「ぬううう…!これで、終わりだァアァアア!!」

 

カンバーは上空へ飛びあがり、急降下しながら剛腕を振り上げる。ヤモシはそれを迎え撃とうと両腕を掲げた。両者ともにこれで決着をつけるため…全身全霊をかけた最後の攻撃を仕掛けていた。

 

だが…

 

ボウン!

 

「!!??」

 

完全に意識の外から不意打ちを仕掛けられ、ヤモシの注意が逸れる。離れた場所で理性を持つ大猿のひとりが、遠くからヤモシを狙撃していた。

カンバーの顔が青ざめる。もうどうにも止められない必殺の一撃がヤモシの全身を粉々に打ち砕く。

地面へ叩き付けられたヤモシは惑星の地下深くまでめり込んでいき、衝撃によって噴き出たマグマによって空高く打ち上げられる。

 

(…私は…負けたが…きっとサイヤ人の未来を…)

 

今際の際、ヤモシは幻を見た。見知らぬ場所でじっと立ち尽くし、こちらを見つめているサイヤ人と思しき少女。少女はヤモシの頭に触れ、その体から何かを抜き取った。

 

 

「ハァ…ハァ…」

 

ヤモシとの戦いに勝利したカンバー。だが、焼け焦げたヤモシの骸を見下ろすカンバーの表情はこの上ない虚無を映していた。

だが、少しした後、カンバーはゆっくりと振り返り、遠くから戦いに邪魔を入れた大猿へ向き直る。そして自身も大猿の姿のまま駆け出し、その大猿へ追い付くと、背後から押し倒し、その頭部を噛み砕いて殺した。潰れた頭を引き抜いて掲げ、慟哭のようにも聞こえる雄叫びを轟かせる。

 

「同胞どもよ!!オレが気に入らなければ挑んでこい!!一人残らず叩き潰してやる!!」

 

 

やがて長い年月が経過し、サイヤ人の王となったカンバーはどこかの惑星でウィルス性の心臓病に罹り、今にも力尽きようとしていた。周りには部下や側近、子供がついている。

 

「誰か…オレと戦え…!ゴホッ…ぐ…!こんな死に方なんぞ…してやるか…!」

 

「カンバー様、ご安静になさってください!」

 

「黙れ…どうせすぐに死ぬ…!オレがどうしようが…ハァ…」

 

その時、カンバーは不思議な光景を見た。

 

 

そこは紅い砂漠。自分は健康だった時の姿で立っており、目の前には殺したはずのヤモシの姿が…

 

「キサマ…」

 

「…もしも、サイヤ人にも神というべき存在が必要であれば、私がサイヤ人の神となろう。サイヤ人が力を欲するたび、私は神として、サイヤ人の思うがままに力を与え続ける。そうしなければ我が民族は滅び去る…我がサイヤの民族は滅びてはいけない。この宇宙が存在する限り…」

 

 

「や…え…」

 

ヤモシの言葉を聞き届けたカンバーは、現実世界でも息を引き取っていた。

 

 

 

 

─────

 

───

 

 

「ヤモシとオレが1000年前の伝説の超サイヤ人と悪のサイヤ人…そしてこの時代ではキサマとあの娘がそうだというわけだ」

 

1000年周期で同時期にサイヤ人の中からランダムで生まれる、伝説の超サイヤ人と悪のサイヤ人。ブロリーがそうであるのは言わずもがなだが、サザンカこそがこの時代の悪のサイヤ人だったのだ。

 

「オレの気を与えたことがきっかけとなり、やがてあの娘も悪のサイヤ人として完成するだろう。そうすれば…見られるかもしれん、オレが行けなかった極地を…」

 

カンバーはここではないどこかを見ているかのような遠い表情を浮かべ、ブロリーを見下ろす。

 

「オレはあの世の底の底…キサマたちが想像する事すら憚られるような悍ましい地獄から蘇ったのだ!この世の全てを圧倒し、オレこそが最強の存在だと証明するためにな!!」

 

 




ヤモシ関連の話は完全に捏造です。もしも公式でこの辺が掘り下げられたら一瞬にしてこの物語は瓦解するでしょう。
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