もしもカカロットが幻想郷に落ちていたら   作:ねっぷう

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第410話 「どれほど強くなったと」

「おい…なんだありゃ」

 

シロナに続いて、サザンカも異変に気付いた。向こうの空に曇天が立ち込め、その中央に超巨大な穴がぽっかりと口を開けていた。穴の向こう側からは膨大なエネルギーを含む稲妻が飛び出し、ただならぬ様相を呈している。

 

「空に大穴…」

 

その場の全員がただ唖然としながら空を見上げている。ブロリーも、ブルマも、ウスターたちも…

その時、空の大穴の奥から得体のしれない不気味な無数の何かが出現し、こちら側へ現れた。それらは四方の方角へ散っていく。そしてそれに続き、さらに続々と穴の奥から何かがやってくる。

 

「…まずい」

 

ドォン!

 

遠くの方から爆発の音が聞こえた。ブロリーは気を探り、街の様子を調べる。

 

「何かが街で暴れている!」

 

ブロリーはすぐにその方角へ飛び立った。サザンカとシロナも後を追い、ウスターと天龍、サタンも続く。

 

「何が起きたんですか…?」

 

残されたカズラはそう呟き、ブルマは不安気な表情で彼らが飛んで行った方を見ていた。

 

 

 

街では、この地球上の生物とは思えない見た目をした異形の生物たちが来襲していた。彼らは車を掴んで持ち上げられるほど大きな者から、人と同じ程度の体躯のものまで様々だ。だが、それらが一様に街で暴れまわり、逃げ惑う人々を襲っていた。

 

「グロロロロロ…!!」

 

目玉の飛び出た巨大カマキリのようなクリーチャーが自動車に腕の鎌を突き刺し、持ち上げて振り回す。中に乗っていた人が振り落とされ、道路の上を転がったところを熊のような姿の別の怪物がキャッチし、大口を開けて噛みつこうとする。

 

「うわあああっ、助けてくれぇ!」

 

「ギャピィ!?」

 

だがその時、巨大カマキリが突然何かに頭をぶん殴られ、掴んでいた車ごと吹っ飛んでいき建物に激突した。驚いた熊の怪物がそちらを見た瞬間、こちらも何かに蹴り飛ばされて倒れ込んだ。

 

「街がバケモンばっかになってるぞ」

 

サザンカがストンと地面に降り立つ。ブロリーは腕を振るった一撃で周辺の怪物たちを薙ぎ払いながら叫んだ。

 

「俺はここら辺の化け物たちを片付ける!他のみんなは別の場所を頼む!」

 

「ああ!」

 

シロナやウスターたちも各地へ散っていった。ブロリーは大挙して押し寄せてくるクリーチャーたちを軽く蹴散らし、吹き飛ばしてゆく。

 

(こいつら…あの空の大穴からやって来たんだろうが、一体あの穴の先はどこに通じているんだ?)

 

ブロリーがそう疑問を巡らせた瞬間、一際大きな気を感じて振り返る。

後で静かに佇んでいたのは、かつて暗黒惑星で戦い、グモリー彗星を利用して倒したはずのDr.ライチーだった。

 

 

 

別の街でクリーチャーたちを殲滅するウスター。一斉に群がってくるクリーチャーに対し、ウスターは容赦のないエネルギー波を口から吐き出して薙ぎ払う。

 

「なんだコイツらは…?魔界の連中でもなさそうだな」

 

とりあえず一掃したウスターは残ったものがいないか、ビルの上に降り立って見渡す。その時、視界の端に何かの影をとらえ、こちらに目を向ける。

 

「む…?」

 

その時、反対側の端にもうひとつの影…背後にも気配を感じる。ウスターはしばらく気付かないふりをし、接近してくる3つの気配を迎え撃つ。

それぞれのエネルギー波による攻撃を両腕で防ぎ、そのまま跳ね返す。

 

「貴様らは…覚えがあるぞ」

 

「クックック…」

 

そこにいたのは、ソルベ、タゴマ、シサミの3名であった。フリーザが幻想郷へ襲来した時、天界のシュネックの御殿で戦ったフリーザ軍の3人組だ。3人はウスターを取り囲み、不敵に笑いながら再び手にエネルギーを込める。

 

「やれぇい!!」

 

ソルベが合図を送りながら光線銃で攻撃を繰り出すと、タゴマとシサミもエネルギーを放出する。3方向から同時に狙われるウスターだが、やれやれと言ったように首を鳴らすと、気合だけで攻撃をかき消した。

 

「ハッ!!」

 

そして、唖然としているタゴマの背後へ一瞬で接近し、背中を蹴り付ける。続けてシサミの目の前へ移動すると、怒ったシサミが至近距離からのタックルを仕掛ける。が、ウスターは片腕でそれを止め、もう片方の腕で殴り飛ばす。

 

「あわわ…」

 

ウスターはソルベに向き直り、ゆっくりと近づいていく。背後では態勢を立て直したタゴマとシサミが怒りと痛みに顔を歪ませながらウスターを狙っていた。

が、彼らふたりの動きが突然止まり、その直後に内側から破裂して粉々になった。ウスターは攻撃すると同時に内部へ気功を送り込んで起爆していたのだ。

 

「あの時は世話になったな」

 

ウスターはナメック星で瀕死の重傷を負い、その後にフリーザ軍に捕らえられ実験のモルモットにされたことを思い出した。そして、そんなウスターを使役しようとしていたソルベを片手からの衝撃波で消し飛ばすのだった。

 

 

 

「ちぇりゃあ!」

 

天龍はゾンビのような怪物の集団を拳法で叩きのめし、次々と撃破してゆく。天龍は横から襲い掛かってきたゾンビを蹴り飛ばそうと攻撃を繰り出すが、そのゾンビに触れた足の感触がおかしく、何かブヨブヨしたものに受け止められてしまった。

 

「お前ら…!まさか」

 

「むふふふふ…」

 

天龍には覚えがあった。妖怪の山を拠点に幻想郷の侵略を始めたDr.ウィローが引き連れていたバイオ戦士のひとり、ミソカッツン。弾力性のある体はあらゆる攻撃の威力を無効化するほど柔らかい。

そしてミソカッツンのボディに足をとられた天龍の隙を狙って襲い掛かってくるのは、同じくウィローが作ったバイオ戦士のキシーメとエビフリャーだ。

 

「キヤアアアッ!!」

 

キシーメが振り回す電気触手と、エビフリャーの拳から放出される極低温の冷気の波動が交差するように天龍に命中した。

ミソカッツンは腹の弾力を操作し天龍を突き飛ばす。天龍は倒れ込み、その場から動かない。バイオ戦士たちはしてやったりといったような顔で不気味に笑った。

 

「ふう…俺があれからどれほど強くなったと思ってる…」

 

だが直後に天龍はそう言いながら立ち上がり、服についた汚れを払い落とした。そして、瞬く間に流れるような熟練された動きでバイオ戦士たちを殴り飛ばし、青色の気弾をそれぞれへぶつけて吹き飛ばした。

 

 

 

「ははははは!このミスター・サタンが来たからにはもう安心だ!」

 

サタンは民衆を襲うクリーチャーたちをなぎ倒す。襲われていた女性を救い出し、子供を何人も抱えて燃え盛る街の中を走ったり、バスを揺らしている怪物を掴んで投げ飛ばしたり…。

 

「サタンだ!」

 

「サーターン!」

 

人々はサタンをヒーローのように称え、声援を送る。

 

「ありがとう!だが皆さんははやくここから逃げてくれ!残った怪物どもは私に任せておけ!」

 

敵を倒すと同時に人を助け、避難を促すその姿はまさにヒーローと呼べる。周りに人々がいなくなり、その場には残ったクリーチャーたちとサタンだけが残る。サタンはこの時を待っていたかのように笑みを浮かべると、両腕を巨大なペンチに変形させ、ググッと持ち上げる。

 

「ここからは、サタン・マークの戦いだ」

 

ペンチの記憶兵器の力を発揮したサタンは次々とクリーチャーを蹴散らしてゆく。

 

ガキン!!

 

だが、あるクリーチャーの一団を薙ぎ払った瞬間、その中に混ざっていた強力な気に腕が弾き返される。サタンは後ろへ後ずさり、踵へ力を込めて止まった。

 

「…ははは、これはこれは懐かしい」

 

薙ぎ倒されたクリーチャーたちの山の中から這い上がってきたのは、見覚えのある人間もどきたちだった

頭部が中心から縦真っ二つに開き、その中から機関銃の砲身が飛び出し、腕は刃物になっている。

 

「人造人間どもか」

 

かつて、パオズ山の戦いを経て全滅したはずのスカール作の人造人間たち。高度な知能は持っていない様子なので、恐らくは量産型の雑魚だろう。

 

「再び私の邪魔をするというのなら…もう一度記憶兵器として君たちを物言わぬ機械へと帰そう」

 

人造人間たちは一斉にサタンへ銃を向け、無数の銃弾を発射した。サタンは腕を振るってそれを弾こうとするが、100人以上の人造人間から放たれるエネルギーの弾丸を前には間に合わず、全身に浴びる。容赦なく雨のように弾丸をぶつけられ、その炸裂による爆炎の中に包まれる。

人造人間たちは弾を打ち尽くし、サタンの状態を確認するためにいったん手を止める。

 

「…この程度か」

 

だが、サタンは全くの無傷だった。ペンチに変えていた両手を元に戻し、今度は全身の気を高める動作を取る。

 

「ギャラリーのいない今ならば…“トリック”を使っても問題ないかな」

 

右手を振りかぶり、熱の籠った気弾を生成し、投げる。人造人間たちは、人間が繰り出す武装や記憶兵器の動きには機敏に対処してくるが、ほぼ未知のものである気を扱った攻撃には困惑を示した。サタンの気弾を避ける反応が間に合わず、着弾して起こった爆発に巻き込まれてバラバラに吹き飛ぶ。

 

「はっ!」

 

続けてもう一発、もう一発と気弾を撃ち込むたびに人造人間たちがまとめてごっそりと削れていく。やがて、再びこの場には静けさが戻った。

 

「…それにしても、何故人造人間が再び…?あの大穴と関係が…?」

 

 

 

「な…なんでアナタがここに…!」

 

一方、同じくシロナも空中から周囲のクリーチャーや人造人間を一掃し終えていたが…その目の前には信じられない者が立ち塞がっていた。

 

「久しいわねぇシロナ…元気だったかしら?」

 

そこにいるのは、青い巫女服に黒いズボンを纏い、背中からは九本の長い獣の尻尾を生やしている、憎しみに歪んだ目つきでシロナを見上げる黒髪の女。

 

「レイム…!?」

 

 

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