もしもカカロットが幻想郷に落ちていたら   作:ねっぷう

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第413話 「ドカーンと任せてください」

「どうしたの?カズラ君」

 

突然、「あっ」と大声を出したカズラにシロナが問いかける。カズラは少し考え、おずおずと手を挙げながら言った。

 

「もしかしたら…地獄に閉じ込められたサザンカを助けることができるかもしれません…」

 

「なんだって?それは本当か!?」

 

ブロリーもカズラの肩を掴んで揺らす。カズラはぐわんぐわん揺らされながらもブロリーの太い腕をタップし、解放される。

 

「去年の夏…トキトキ都での一件で、俺はジーメックというナメック星人…と出会いました。その人は話していました、自分たちはドラゴンボールという七つ集めるとなんでも願いを叶えることのできる球を作り出せると…」

 

それを聞いたブルマも納得するように顎に手を当てる。

 

「確かに、ドラゴンボールなら地獄にいるサザンカを地球へ連れてくることもできるかも…地獄に閉じ込められたってだけで死人になったわけじゃないし、きっと簡単だわ」

 

「あれ、みなさんもしかしてドラゴンボールご存知…?」

 

希望が見えた。ドラゴンボールさえあればサザンカを助けられる。そう、ドラゴンボールさえあればだが…

 

「ピッコロに聞いてみるか?ピッコロは最長老と同化し、作りたがらないが作り方は知っているはずだ。何とか頼んでみよう」

 

ブロリーも賛成なようだ。界王神は、彼らが意見を出し合って談義しているのを一歩後ろの位置から静かに観察している。

 

「よし、みんなで神殿へ行ってみよう」

 

「うっし、カズラはアタシと一緒に来い」

 

ブロリーたちは神様、ピッコロがいる天界の神殿目指して飛び立っていった。サザンカとシロナも移動しようと飛び上がるが、界王神がこちらを見上げているのに気づき、空中で足を止めた。

 

「もう私の手助けは必要ないようですね」

 

「…はい、ありがとうございます。とりあえず異変の解決方法は分かりました、あとはドカーンと任せてください」

 

シロナはピースサインを送る。

 

「お行きなさい。皆さんはいい魂をお持ちだ…きっと成功すると信じていますよ」

 

「じゃあな」

 

「ほら、アンタも来なさい」

 

シロナとサザンカとカズラ、ついでにレイムはその場から飛び去って行くのだった。

界王神は彼らを見送った後、脳内に響く何者かの声に意識を向ける。

 

──そいつらに任せることにしたんだね。

 

「はい。彼らならきっと自分たちの力で成し遂げるでしょう」

 

──界王神、お前がそう言うなら別に構わない。けど忠告しておくよ…もしそいつらが失敗した場合は、このボクが即刻、全てを破壊して終わらせる。いいな?

 

「…はい」

 

 

 

「ようこそ。事情は全てわかっています、大変なことになりましたね」

 

神殿にやってきたブロリーたちを、ピッコロが出迎える。

 

「なら話は早い。お前がドラゴンボールを争いと災いの元だとして作らないのは知っている…が、一刻を争う事態なんだ。どうか、ドラゴンボールを作ってくれないか?」

 

「確かに…地球の神として、この事態を収束させるためにドラゴンボールを製作するのもやむを得ないでしょう。私もこの事態に焦っています」

 

「なら、さっそく…」

 

「ですが…ドラゴンボールを作るのには少なくとも数か月以上の時間を要します。とてもそれを待っている時間はないでしょう?」

 

「そんなにかかるのか!?待ってる暇はないんだぞ!」

 

「実はすでに作り始めていますが、ここからボールを抽出するのに最低3か月、龍の依り代の作成は数日で済むとして、やはりそれぐらいはかかります…」

 

ピッコロは申し訳なさそうにそう言った。確かに、あんなに都合の良いドラゴンボールを生み出すのにそれほどの時間が必要だというのも納得できる。

困り果てているブロリーたちの様子を見たピッコロは下を向いて険しい顔で何かを考え、やむを得ない様子で決心したように口を開いた。

 

「…“究極のドラゴンボール”…というものがあります」

 

「究極の…?なんだそれは」

 

「まだ先代の神が神となる前、『カタッツの子』であった時。神として認められるため焦った先代は強力な力の籠ったドラゴンボールを作り出しました。その時は悪の心である大魔王と分離する前であったため強い邪念も含まれてしまい、願いの力は大きいが危険の伴う、宇宙の理から逸脱したものとなってしまった。もちろん先代もこれは人目に触れさせるわけにはいかないと思い、この神殿に封印したものです」

 

「そんなものがあったなんて…じゃあ、さっそくそれを使わせてもらえば…」

 

そう言ったブルマをピッコロが制止する。

 

「あれは確かにドラゴンボールであり、願いを叶えることもできます。しかし、絶対に使ってはいけません!」

 

「な、なんでよ?」

 

「何故なら…あの究極ドラゴンボールを使ってしまうと、地球だけにとどまらずこの宇宙全域に散らばってしまいます。さらにそれを1年以内に集めて再び神殿へ安置しなければ、使った星が消滅してしまうのです…」

 

「えぇ~!?なにそれ!そんなの使えないじゃん!」

 

シロナが思わず驚いて声を出した。

 

「あの時の先代は焦り、邪念があったのです…本来、ドラゴンボールを作れる龍族には邪念などありませんから…」

 

「それなら最悪…どこか無くなっても影響が無く迷惑も掛からない星を見つけて、そこまで持っていくか…」

 

ブロリーが提案する。

 

「銀河パトロールに協力して宇宙を旅していた時、そんな惑星はごまんと見てきた」

 

適当な星で究極ドラゴンボールを使い、地獄にいるサザンカを現世へ移動させる。その場のほとんど全員がそれに納得しかけた時、神殿の奥の方から何者かのしゃがれた声が響いた。

 

「何もない星を…無暗に破壊する必要はない…」

 

奥の廊下からやって来ていたのは、あのシュネックであった。

 

「シュネック、久しぶりじゃない!」

 

かつて存在した幻想郷における賢者にして、幻想郷の最高神たる龍神が唯一認めた存在…その正体は500年前の天変地異に際し宇宙へ放たれ、地球へたどり着いたナメック星人の老人。

 

「久しいなシロナよ…元気そうで何よりだ…ごほ、ごほっ…」

 

だが、あの頃のような老いつつも健在だった若々しい闘気は鳴りを潜め、今ではかなり痩せ細り歩くのも一苦労といった様子だった。恐らく、ナメック人としての寿命が近いのだろう。

 

「兄さん、どうか安静にと言っているでしょう」

 

ピッコロがすかさずシュネックに駆け寄って肩を貸す。シュネックとピッコロは同じカタッツというナメック人から生み出された兄弟である。ピッコロは紆余曲折あってまだまだ若いが…

 

「無辜な星を滅ぼしてはならんぞ。まだ、ひとつだけ希望がある…それを聞いてからでも遅くはないじゃろう…」

 

「希望って?」

 

「わしがナメック星にいたころ、当時の最長老から聞いた話じゃ。遠い昔、ナメック人の中にはお前たちの良く知るナメック星とは別の星にも移住した者たちがいたらしい。もしその星にもまだ彼らが生きていれば、あるかもしれん…その星のドラゴンボールが」

 

「確かに、その星に賭けてみる価値はありそうね。その究極ドラゴンボールを使ったら、他の誰かに悪用されないうちに1年以内に集めて戻さなきゃいけない手間が増えるし」

 

「それで、他のナメック星人がいる星ってのは…?」

 

「“シリアル星”。当然わしは行ったことも無いが…そこには確実にナメック人がいるはずじゃ」

 

「決まったな」

 

方針が決定した。サザンカは地獄へ向かいジャネンバを倒し、大穴を塞ぐ。他の者は地獄からやってくる亡者の対応、さらに別のグループはシリアル星へ向かい、そこにいるというナメック星人に頼んでドラゴンボールを使わせてもらう。もしも無ければやむを得ず究極ドラゴンボールの使用も考える。

 

「そうと決まったら宇宙船の準備ね。んで、そのシリアル星はどこにあるの?」

 

「…今思い出した。シリアル星といえば、前に銀河パトロールとして立ち寄ったことがあるな…スカッシュの宇宙船にならログが残っているはずだ」

 

ブロリーがブルマの質問に答え、ポケットに入っていた通信機を取り出す。

 

「もしもし、スカッシュか?」

 

『ブロリーか、どうしたんだ?』

 

「今近くにいるか?いるなら至急地球へ来てくれ」

 

『おー奇遇だな、実はボーナスが入ったから久々に地球の食べ物をたんまり堪能しようと思って向かってるところなんだ。あと3時間もあれば着くぜ』

 

「それはよかった」

 

計画が進んでいく中、神殿の外から話を盗み聞いていたレイムは、腕を組みながら不敵に笑みを浮かべるのだった…。

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