もしもカカロットが幻想郷に落ちていたら   作:ねっぷう

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第414話 「オレが宇宙最強に」

「えっ?シリアル星に行くのか?」

 

地球へやってきたスカッシュは、今の状況と共にブロリーの話を聞いてそう言った。

 

「確か前に行った時のログがあるはずだよな?」

 

「残ってるには残ってるけど…行くなら18日くらいはかかるぜ?話を聞く限り、そんな暇はないように思うが…」

 

「そんなにかかるのか!?ナメック星よりも距離が離れてるってことか…」

 

「じゃあしょうがない…うんといいエンジンを載せた超高性能な宇宙船を短期間で作るしかないわ。ええと、まずは人手の確保…」

 

ブルマは人手を探そうと携帯電話を取り出す。

 

「あの、ブルマさん。私からひとつ…」

 

サタンがブルマに話しかける。

 

「私のような記憶兵器が所属するAA財団には、かつて戦った人造人間のエネルギー炉など、固有だったテクノロジーも保存されています。それに加え優秀な科学者も複数抱えており、役に立てるかと」

 

「あらそうなの?じゃあお願いするわ。ウチのカプセルコーポレーションからは、タコさんを筆頭に信頼できる技術者を連れてくるわ。目標は三日で宇宙船を完成させ、四日でシリアル星へ到着できる宇宙船を作ること!」

 

ブルマが陣頭指揮を執り、シリアル星へ最短でたどり着ける宇宙船の製造・改造計画が始まった。

 

 

 

「ちょっと!なんで私の分の餃子まで食べるのよ!」

 

「あっはははは!食べたいなら大事に自分の傍へ置いておくか先に食べてしまえばよかったのに!」

 

大きな机の上を埋め尽くすほどの勢いで用意された料理で食事をとるブルマ宅。食卓には製造の合間に休憩に来たブルマ、サザンカ、ブロリー、そしてシロナとレイムまでもが揃っていた。そこでもシロナとレイムは互いに喧嘩しながら奪い合うようにして料理を食べている。

 

「静かに食べなさいっ!ケンカするなら外でやって!」

 

ブルマが怒鳴るが、レイムは一向にやめる気配なく笑いながらシロナを煽る。だが、ワサビの乗った豚肉を頬張った瞬間黙りこくり、プルプルと震えだす。

 

「え、なに?どうしたの?」

 

「かっ…辛い…!!」

 

レイムの口からは青い炎が燻っており、いまにも爆発しそうな光が漏れている。

 

「わーっ、それ吐いちゃダメ!」

 

シロナが慌てて水をレイムの口の中に突っ込むことで事なきを得た…。

 

「アンタもしかしてわさび苦手なの?」

 

 

 

次の日…

 

「ブロリーさん!地獄から亡者が湧いてきたよ!」

 

「そうか…はやく片付けよう」

 

シロナとブロリーは慌てて外に飛び出し、地獄の大穴から溢れてくる亡者たちの退治に出かける。レイムはそれを眺めながら、ソファに座ってお菓子の袋を開け…

 

「大変だねお前たちは」

 

「アンタも来るのよ!!家にひとりにしとくわけないでしょ!」

 

「ぐえっ…ズボンを引っ張るな…!」

 

 

 

大穴から出現する、吐き気を催すような外見のクリーチャーは恐らく地獄に住まう亡者の成れ果てだ。くだらない罪で地獄へ落ち、罪を償うでもなく浅ましく言い訳を繰り返し続けいつしか人の魂ですらなくなった者たち。どこの星の死人かは知らないが、もう一度地獄へ送り返すことで今度こそ真っ当に転生するかなりしてほしいものだ。

 

「ふんっ!」

 

高層ビルの外壁に虫のように群がるクリーチャーたち。恐らくは中にいる人々を狙っているのだろうが、ブロリーは一発のエネルギー弾を投げて操作し、ビルの外壁からこそぎ落とすようにクリーチャーたちを始末していく。

一通りクリーチャーを消し去り、静寂が戻った街を見て一息つくブロリー。だが…

 

「見事だ、サイヤ人」

 

「…お前は」

 

上を見上げたブロリーの目線の先には、こちらを見下ろしながら凍てつく殺気を放つひとりの男がいた。長い尻尾をくねらせ、人差し指をこちらへ向けて構えている。

 

「クウラ」

 

「そう言うキサマはブロリーだったか?」

 

クウラはブロリーの名を呼び、ビルの看板の上に降り立つ。人差し指にはいつの間にか紫色のエネルギーが充填されており、いつでも光線を放てる準備をしている。

 

「まあ、やはりお前も蘇ってくるだろうと思っていたが…大人しくあの世へ帰る気がないと言うなら力づくでも送り返してやるぞ」

 

「ふっふっふ…ふははははは!大口を叩けるのも今のうちだ、このオレをあの時と同じだと思うなよ…地獄へ落されてから溜まりに溜まった屈辱が、ジャネンバの強大な邪念に触発されてオレに力を与えたのだ!」

 

クウラは指先からの気功波を発射し、ブロリーを狙う。だがブロリーは腕を振るってそれを弾き、気功波は空高く昇っていき花火のように爆散して消えていく。

 

「やるな。だがしかし…オレが見せる本当の地獄は、ここからだァ!!」

 

クウラの体が膨張し、全身を覆う白い甲殻が刺々しく、大きく変形していく。カシャン、と音を立てて口元を甲殻のマスクが覆い、赤く染まった目がブロリーを見据える。以前よりも格段に慣れた様子でスピーディに最終形態への変身を遂げたクウラは、速攻を叩き込む。

 

(ヤツを超サイヤ人にさせるわけにはいかん…特にあの桁外れに気が爆発する変身はさせない…!つまり臨むは変身される前に致命傷を与える!)

 

肘打ちを鳩尾へ叩き込み、素早く後ろへ回って首筋へ回し蹴り、背骨へスレッジハンマーの殴打…どれもまともに喰らえば命の危険が伴う急所への攻撃だった。

…しかし、ブロリーはそれを受けてもわずかによろめいただけで大したダメージを負った様子はなかった。

 

「何ッ!?バカな…超サイヤ人へ変身するんじゃないのか!?」

 

クウラはブロリーが変身する前に片を付けようと思っていたが、それでも攻撃が失敗した時、変身されてしまうだろうという可能性は頭に入れていた。しかし、渾身の攻撃を喰らってもなお一切変身する素振りを見せないブロリーに対し、まさかまさかという最悪の想像が脳裏を巡る。

 

「いてて…流石に少しは効いた…」

 

ブロリーは振り返りながら首の骨を鳴らした。クウラは後ずさり、ここからどう巻き返せばいいか考える。とりあえず不意打ちの気功波で目をくらませ、上空へ退避、そこから地球を人質に…

 

(いや待て待て!それでは前と同じだ…!)

 

この戦法が通じないことは以前の戦いを経ていればわかることだ。かといって、他の代案がすぐに思いつけるわけもなく、沸々と湧いてくるのは…圧倒的な敗北感。

 

「オレは…二度も…下等生物に敗けるというのか…」

 

「正確には3回目だ。オレにとってはな」

 

ブロリーは怨念増幅装置ハッチヒャックによって生み出されたゴースト戦士のクウラも数に入れてそう言った。

 

「くくく…何の事かはわからないが…もう満足した、好きにしろ」

 

観念したクウラは元の姿に戻り、その場に座り込んだ。ブロリーも望み通りにクウラにトドメを刺そうと頭へ手をかざし、クウラもそれを受け入れる様子だったが…

 

「…やめておく。これじゃ俺がただの殺戮者だ」

 

「は…!?このオレに、恥を抱えたまま生きろというのか!?」

 

「抱えるのが嫌ならいつか晴らしてみたらどうだ。俺よりも強くなってな…」

 

「なに…?」

 

「俺は…あれから宇宙で色んなヤツと戦ってきたんだ。もちろんお前よりもずっと強いヤツともな。だから分かってしまった…お前は確かに手段を択ばない、フリーザ以上に冷酷な男だが…お前の拳には努力が染みついている」

 

クウラは思い返す。幼いころ、弟のフリーザが優れ過ぎていた所為で自分は父親から相手にもされなかったこと…フリーザから詰られる日々を過ごしたこと…そして、そんな父親と弟を見返すために鍛錬を繰り返し、一族で唯一、もうひとつ上の変身を獲得したこと。だがそうして一族で最強となったきり、自惚れと高慢に溺れ一切の鍛錬をしてこなかったこと。

クウラの手には、今になっても消えない鍛錬による傷跡がうっすらと残っていた。

 

「…フフフ…ふははははは!いいだろう!いずれキサマを…いや、この宇宙の全てを越え、オレが宇宙最強になってやる!オレをこの場で生かしたことを後悔する日が来るぞ!」

 

クウラはそう言いながら空へ舞い上がり、一瞬にして気配とともに姿を消した。それを見届けたブロリーは、次の亡者が発生している地点へ移動するのだった。

 

(───別に、あれが本心なのではない…ただ、3度も同じヤツを殺したくはなかっただけだ…)

 

 




しっかりと筋を決めていたのは前章まで、この章からはうまく展開が定まっていないまま書き始めたのですが、ようやく全ての対戦カードが決まりました。
アイツとアイツが!?というようなバトルも考えておりますので、どうかお楽しみに。
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