もしもカカロットが幻想郷に落ちていたら   作:ねっぷう

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第443話 「地獄見せてやらァ」

「へへ、こんなところにあったとはなァ」

 

「でも案外すんなり見つかったな」

 

ピッコロ、アザミ、カズラはモナイトの元から出発してからものの30分ほどでふたつ目のドラゴンボールを発見していた。二つ星の埋め込まれた二星球で、何もない山の岩の隙間に挟まっていた。これでシリアル星のドラゴンボールは全部そろったことになる。

 

「では早速神龍を呼び出しましょう」

 

「合言葉わかるのか?」

 

「作ったのはナメック人でしょうから、合言葉もナメック語でいいはずです」

 

ピッコロはそう言いながら地面の上にドラゴンボールを置き、そこへ手を翳す。

 

「『タッカラプト トットロンボ プピリットパロ』!!」

 

トロンボ、それはモナイトに教えてもらったこの星のドラゴンボールの神龍の名前。それを本来の「ポルンガ」の部分と入れ替えることで合言葉が成立する。

昼間だというのに突如空が暗くなり、同時に点滅し始めたドラゴンボールから光の柱が昇る。それはうねりながら形を変え、一匹の巨大な龍となった。

 

「ドラゴンボールをふたつ揃えし者よ、さあ願いを言うがいい…」

 

シリアル星の神龍、トロンボは地球やナメック星のと比べてかなり外見に違いがあった。青い体色をしており、首周りには細長いヒレのようなエラが生え、背中にも一列に連なっている。

 

「すげえ…これがトロンボか…」

 

「暗黒神龍とも全然違うな…」

 

「ではカズラさん、願いを言いますよ…よろしいんですね?」

 

ピッコロがそう尋ね、カズラはゆっくりと頷いた。サザンカに殺された人々を生き返らせる…そのためにここまで来たんだ。

待っててくれサザンカ…お前の為に俺が今してやれることはこんなもんだが、少しでも前までの気持ちでいられるのなら…

 

「ちょ、ちょっと待ってくれ!」

 

「うお、アザミ…びっくりしたな」

 

だが、アザミが口を挟んだ。

 

「どうしました?」

 

「サザンカが殺っちまった連中を蘇らせたとしてもよ、聞いた話じゃその後に現れた地獄の悪人どものせいでもかなり犠牲になった奴らもいるんだろ?その…サザンカが大勢殺したせいで地球と地獄が繋がっちまったみてぇだし…」

 

「あ、確かに…」

 

「だから、『サザンカの所為で死んだ者を全員生き返らせる』ってのはどうだ?」

 

「いや、アザミ…それだとサザンカが倒した地獄の悪人ももう一度蘇ることにならないか?それに期間を設定しなきゃ何が生き返るかわからないぞ」

 

「ああそうか…うーんと…」

 

「ではこういうのはどうでしょう?『第23回天下一武道会以降、地球で死んでしまった者を地獄の悪人と老衰死や病死を除いて生き返らせる』」

 

天下一武道会が終わってから今までに一週間ほどの期間があるが、その間にサザンカとは何の関係もない老衰や病気で亡くなった者を除外する。仮に彼らがサザンカの破壊や地獄の悪人の襲撃を起因とすることで衰弱が早まった場合はそれらもなかったことになるが、そうではなかった場合、老衰寸前や病死寸前の状態で蘇ってしまい、そのすぐ後に再度死亡したり混乱を招く可能性がある。

 

「それだとウスターさんやミルさんは…」

 

「いやカズラ、あの人たちは覚悟を決めて俺たちを救うために…だから生き返らせたりなんてしたらその覚悟が台無しだろ。きっと本人も恥ずかしくなってきちまうよ」

 

「確かにな…」

 

「願いはまだか?」

 

トロンボが催促する。

 

「それでいいな…」

 

「分かりました。ではトロンボ、『第23回天下一武道会以降、地球で死んでしまった者を地獄の悪人と老衰死や病死を除いて生き返らせて』ください」

 

「…ほう」

 

「可能ですか?」

 

トロンボは少し沈黙し、口を開く。

 

「可能だ。その願い、叶えてやろう───」

 

トロンボの目が一瞬、眩く発光する。

 

「…願いは叶えてやった。ではさらばだ…」

 

どうやら願いを叶えてくれた様子のトロンボの姿が消え、ドラゴンボールの中に戻ってゆく。するとふたつのボールは空高く昇ってゆき、弾けるように別の方角へ飛んでいった。暗くなっていた空も元に戻し、何事もなかったかのような静寂が訪れる。

 

「や、やったなカズラ!これで…」

 

「ああ、みんなありがとう!」

 

「よかったです。きっとサザンカさんも」

 

バン…!

 

その時だった。何かが破裂するような音と共に、ピッコロの腹が射抜かれた。高密度に圧縮された何らかのエネルギーの弾丸が発砲されたのだ。ピッコロはその場に倒れてしまう。

 

「な、なんだ…!?」

 

「あそこ!」

 

アザミとカズラが弾の飛んできた方向を見ると、少し離れた岩山の上にエレクが立ち、煙の上がる銃をこちらへ向けていた。

 

「アイツ…誰だ!?」

 

「いやぁ、ありがとう。おかげでドラゴンボールの使い方を知ることができた」

 

エレクはそう言いながら岩の上から飛び降りる。

 

「もうお前らに用は無い。ドラゴンレーダーとやらを渡せ」

 

ドラゴンレーダーは今、アザミが持っている。当然アザミは易々とそれを渡さなかった。

 

「うるせぇよ、何しやがるテメェ!そんなもんは知らねぇよ!」

 

「とぼけても無駄だ。すべてはグラノラから聞いたんだよ」

 

「え…グラノラさんが…!?」

 

「渡さないというなら、痛い目を見てもらおうか。マキ、オイル」

 

エレクがそう言うと、この場へ素早くふたりの何者かが現れる。エレクと同じくヒータに属する女性のマキと、太った巨漢のオイルだった。

 

「ふふふ…アタシらが遊んでやるよ」

 

「痛い目って言っても、すごく痛い目だぞ」

 

マキとオイルはじりじりとアザミたちに迫る。

 

「ちくしょお…」

(ピッコロは…死んじまったのか?スカッシュさんも来そうにない…)

 

が、アザミは闘志を奮い起こし、拳の骨をボキボキと鳴らす。

 

「このアザミ様をナメんじゃねぇよ、テメェらには地獄見せてやらァ」

 

アザミには以前のトキトキ都での戦いでジーメックに潜在能力を開放してもらった力がまだ残っている。が、それでもマキとオイルに抵抗できるかはわからない…しかし、アザミもこれくらいで尻込みするような根性ではない。

 

「へっへっへ…オラァ!!」

 

オイルは拳を振りかぶり、一気に叩き下ろす。だが、アザミは顔を傾けてそれを躱し、カウンターパンチをオイルの腹へ叩きこむ。

 

「チ…!」

 

アザミは続けて膝蹴りをオイルの太ももへ叩きこみ、足へダメージを与えると同時に顎へパンチを命中させる。

 

「調子に…乗るな!」

 

だが、それでもオイルにはほとんど効いておらず、逆に顔面を殴り返されてしまう。アザミにとってはかなり強烈な一撃…吹っ飛ばされると同時に鼻と口から血を流し、倒れ込む。

 

「アザミ!大丈夫か!?」

 

「あらら、仲間を心配している暇があるのかい?」

 

アザミに声をかけるカズラだが、マキが立ち塞がり、後ずさってゆく。

 

「げほ、クソ…なんてパンチだ…」

 

「ぐふふ…よくもオレ様をコケにしてくれたなぁ、えぇ?」

 

ゆっくりと立ち上がりながら口の中に残った血を吐き出すアザミ。やはりオイルとの差は歴然で、いくらアザミと言えど敵いそうにない。

 

「よく言うぜ…ッラァ!!」

 

再び殴りかかるアザミだったが、今度はオイルにそれを避けられ、背中を蹴られる。さらに殴られ、もう一度殴られ、ひたすらにオイルによって痛めつけられる。

 

「おーおー、あっちは楽しそうだね。どれ、アタシたちの方もそろそろ楽しむとするか…よっと!」

 

マキはカズラに跳びかかり、軽く腕を振り下ろす。カズラはギリギリ、というか偶然にそれを後ろへ下がって躱すも、その際に発生した風圧によって転んでしまう。すかさずマキは両手に気を纏わせ、それを鋭いクロー状に変えて振りかざし、襲い掛かった。

カズラは思わず背中を向け、背負っていたリュックサックがマキの攻撃を受け、切り裂かれた。すると、中に仕舞っていた白いコートが飛び出してしまい、宙を舞う。ミルとの別れ際に託されたものだ。

それを見たカズラは慌てて飛び出し、コートを掴もうとジャンプした。

 

「なんだい、そんなボロい服が大事なの?じゃあ一緒にビリビリに刻んであげるよ!」

 

マキは鋭い爪を構え、カズラにトドメを刺そうと飛び上がる。

アザミもオイルには勝てず、きっと次の攻撃で自分も死んでしまう。絶体絶命、万事休す。そんな言葉がカズラの頭を駆け巡る。だが、彼は諦めてはいなかった。

 

(これをシロナさんに渡すまでは…死んでも死にきれない!!)

 

一瞬の時の中、マキは何かに気付く。

 

(ありゃなんだ…?)

 

カズラの頭上に舞っている、何かの小さな部品のような物。ゆっくりと落下し、それは上を向いているカズラの空けた口の中へと入っていき…

 

ゴクン…

 

マキは知る由もないことだが、カズラが今飲み込んで体内へ入れた物は「破壊屋の七つ道具」、そのひとつである「ドリル」の記憶が刻まれたチップ。

宇宙船から降りた後、ミルの破片の中から発見したものであり、何となくそれを拾って取っていた。

 

ドクン

 

そしてそれを取り込んだ今、カズラはなってしまった。破壊するための工具の力をその身に宿す、戦いの宿命を義務付けられた…

 

ギュルルル!

 

記憶兵器に───!!

 

 

 

 

 

 

 

 

──起きて、ウスター。今日の仕事が始まるよ

 

「…ああ、そうだったな…アルマンド…一日の始まりは…掃除、だったな…」

 

 

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