もしもカカロットが幻想郷に落ちていたら   作:ねっぷう

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お待たせしました、これから新章始まります。


【The Super Grand Touring】
第451話 「来神」


さて、ジャネンバの発生に伴い地球と地獄が繋がってしまった事件から幾つかの季節が過ぎ、秋が訪れていた。特にこれといった事件も起こらず、サザンカは変わらずに学校に通い、シロナはブルマ宅で暮らしつつたまに旅へ出かける平和な時間が続いていた。

 

 

「もうそろそろね」

 

「ええ…いつもありがとう、永琳さん」

 

自室のリクライニングベッドに静かにもたれかかっているブルマは、窓際で外を見ていた八意永琳に礼を述べた。永琳は振り向きながらベッド横にあった椅子に腰かける。

 

「もういつ陣痛が来ても不思議じゃないから安静にね。でも貴女の場合は心配いらないかしら?」

 

「ははは、どうかしらね、アタシもこればかりは初めてだから」

 

笑いながらそう返したブルマのお腹は既にかなり大きくなっており、ブロリーとの子が生まれるまでもう少しといった風だった。

永琳は幻想郷崩壊後、地球各地を巡りながら移動診療所永遠亭として医療活動を続けている。かつてのフリーザ襲来時にブルマと知り合った永琳は現在でもブルマやカプセルコーポレーションの依頼を受けてやって来ることがあるようだ。

そんな永琳が道具や薬を片付けていると、部屋のドアがガチャリと開いた。

 

「ブルマ、今帰ったぞ」

 

「おかえり、ブロリー」

 

帰宅したブロリーが身を屈めながら部屋に入ってきた。

 

「永琳さん、どんな具合でした?」

 

「本当にもうすぐよ。長くてもあと数日…それまで私はずっとここにいるから安心してちょうだいね」

 

心配そうに尋ねたブロリーに、永琳はそう返した。それを聞いたブロリーはホッとしたように息をついて壁に寄り掛かる。

 

「そうですか…俺はもう心配で…速足で帰って来ましたよ」

 

そんな様子を見た永琳はつい思い出してしまう。宇宙人、サイヤ人であるブロリーが地球で暮らし始めた時の事を。その時の様子を当時の幻想郷で永琳は見ていた。ブロリーは常に何事からも一歩引いており、自分から周囲との間に壁を作っているような様子だったが、今のブロリーはこうも地球の生活に溶け込み、馴染んでいる。

永琳は月人という種族であり、元は地球で発生したが月へ移住し、さらに長い年月の後にもう一度地球へ降り立った。真の故郷は地球であるともいえる永琳自身は、未だに旅と放浪を続けており、幻想郷にいた期間も今になって思えば短く、自分もそろそろブロリーのように考えや生き方を変えて定住の地を探すべきなのかとも考えてしまう。

 

 

 

一方その頃、西の都・ブルースターハイスクール。

 

「それでさー、昨日の帰りに…」

 

「ぶははは!マジかよ!?」

 

廊下のど真ん中を二人組の不良生徒が大声で会話しながら歩いている。他の生徒は迷惑そうに端に避けているだけだ。

 

ドン…

 

と、丁度図書室の前を通りがかった瞬間、二人組は誰かにぶつかって止まった。

 

「ってーな!どこ見てん…」

 

「おい、コイツもしかして…」

 

微動だにせず、逆に男子二人を吹っ飛ばした相手はサザンカだった。ギロリと睨みつけられると、ふたりは身をすくませて後ずさる。

 

(サザンカがなんで図書室から出てくんだ!?)

 

(前に喧嘩した工業の連中40人は全員骨折して…)

 

(ゲーセンで喧嘩した大学生は1万円分のメダル鼻に突っ込まれたって…)

 

しかし、彼らが恐れていた事とは裏腹に、サザンカは彼らを一瞥しただけでスタスタと歩き去ってしまったのだった。これからまた一騒動が起こる、とハラハラしながら周りで見ていた生徒たちもポカンとしている。

 

「なんか、サザンカ最近学校じゃ大人しいよな?」

 

「確かに…何考えてんのか分かんなくてちょっと不気味だよな」

 

放課後になると、サザンカはカズラと合流する。

 

「じゃあ帰るか、サザンカ」

 

「…ああ」

 

半年以上前、天下一武道会の開催に伴ってなんやかんや紆余曲折あった二人だが、現在は絶賛恋人同士を満喫している。シリアル星のドラゴンボールに宿る神の龍、トロンボはサザンカが殺してしまった人間たちを生き返らせただけでなく、破壊した街並みすらも元に戻してくれていた。

 

 

そんなこんなで、あれ以降平和な時間が続いていた。

しかし、平穏と言うモノは長くは続かないもの。特に、天災は人間の都合などお構いなしに尋ねてくるものである。

 

 

 

 

「我が故郷、惑星プラントを蘇らせろ」

 

 

 

 

ブルマやサザンカが寝静まり、カプセルコーポレーションも静寂に包まれた深夜のことだった。突然空に眩い光が差し、深紅の球が浮かんだかと思えば夜空には全く見慣れない惑星が浮かんでいた。

 

「なんだ、ありゃ…」

 

異変を感じ、慌てて外に出たサザンカは夜空に浮かぶ謎の惑星を見上げていた。同じく、寝室のブルマも窓からそれを見つめ、泊まり込んでいた永琳も驚きを隠せない表情を浮かべている。

その惑星は赤い大地や青い海が見えるものの、生命が暮らしている気配は一切ない空っぽの星だった。だが、それが逆に無機質で不気味なオブジェのように感じられるのだった…。

 

 

一方その頃、西の都から遠く離れた場所に存在する、神の神殿。ここに住んでいる現地球の神であるピッコロですら異変に気付くのが遅れ、汗を頬に伝わらせながら歯を噛み締めていた。

突如出現した謎の惑星もそうだが、今目の前に浮かぶのは、超巨大な赤い龍。こちらを見下ろす頭部だけで神殿よりも大きく、その長大な体も空を覆いつくすほどだ。同じく今は神殿に住まうシュネックも、その様相はかの幻想郷の龍神に匹敵する威圧感だと感じ取っていた。

 

「あれは究極のドラゴンボールに宿る神龍…!何故…一体誰が…!」

 

究極ドラゴンボール…それはピッコロが神と分離させられる前、ひとりのナメック星人だった頃に渾身の神力と技術を注ぎ込んで作ったドラゴンボール。先代の神に力を示すために作ったそれにはすさまじいまでの念が籠っており、通常のドラゴンボールよりも大きな願いを叶えることができる代わりに、使用した星に破滅をもたらすという程のものだった。

 

「願いは叶えてやった。ではさらばだ…」

 

時は既に遅く、願いを叶え終えた究極神龍は光と共に消え、ドラゴンボールは遥か彼方まで飛び散っていった。

ピッコロはとんでもない事態が起こってしまった事実を受け入れつつも、一体誰が究極神龍を呼び出し、願いを叶えたのかを知るために走り出す。

そして、神殿の端にいたのは…

 

「貴方は…ブロリーさん!?」

 

こちらへ背を向けて佇んでいるブロリーだった。間違えるはずのない、あのパワー感に溢れた体格と静かな闘気。

 

「ブロリー…?」

 

だが、ブロリーは普段とは違う凶悪な笑みを浮かべながらゆっくりと振り返る。

 

「違うな…俺はベビー様の遺志を継ぐ、ツフル人だ」

 

謎の文言を吐いたブロリーに困惑するピッコロだったが、前の天下一武道会後の事件が解決した後に聞いた話を思い出した。地獄で発生しあの世とこの世が繋がってしまう異変を引き起こしたジャネンバはベビーという寄生生命体に操られており、サザンカとシロナがそれを制した、と。

 

(だがどういうことだ…?ベビーとやらは生きていた…?ブロリーさんに寄生しているのか?)

 

聞いた話では激闘の末、シロナとサザンカがベビー本体を葬り去ったようだ。その話が真実だとすれば、今のブロリー自身の言葉からして、彼はベビーではないが同じ思想を持っている何者か、ということになる。

新たな危機が地球へ降りかかった…その実感と焦りによって尋常ではない汗が流れ、心臓が早鐘のように鳴る。

 

(何にせよ、ブロリーさんがああなってしまった以上、シロナさんたちを呼ぶしかない!彼女らならブロリーさんを正気に戻せる…ん?)

 

しかし、ピッコロは己の思考に違和感を覚える。

仮にブロリーが何者かに乗っ取られているとして、現時点では普段の彼の戦闘力から別段変化している感じはしない。それならば、やはりシロナやサザンカが本気でかかれば抑え込めるだろう。

 

(だとしたらなぜ、自分はここまで恐怖と焦りを感じている───?)

 

そう、それはまるで、自覚しないうちにもっと別の脅威に慄いているかのような…──

 

 

「全く、界王神の言ったことは間違いだった。やはりこのボクが手を下すことになったとはね」

 

 

すぐ真後ろから聞こえる、別の何者かの声。

瞬間、ピッコロは即座に理解した。

 

(まさか──)

「貴方様は!!?」

 

声を聴くことも姿を見ることも今が初めて。しかし、仮にも神の端くれである彼自身の本能はそれを知っている。

 

【破壊神】の来訪だった。

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