もしもカカロットが幻想郷に落ちていたら   作:ねっぷう

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第456話にて、「一つ目のドラゴンボールは惑星イメッガで手に入れた~」という文章がありましたがそれを削除し、一つ目はグママで発見したという構成に変更しました。
なので、
究極七星球→グママで入手
究極三星球→ヒソップから入手
究極五星球→宝石店から強奪
で現在3つ発見、残り4個となってます。


第464話 「会苦」

リブリアンとなって暴走するシャトーは怒りの怒号を上げ、拳を振り上げる。だがその隙にサザンカが接近し脇の下から上体を持ち上げて押し倒す。すぐに離脱すると、超サイヤ人2となったシロナがシャトーの足を掴んで振り回し、遠くへ投げ飛ばす。

 

「ギイッ!!」

 

体から波動を放って空中で静止するシャトーだが、またしてもサザンカが迫り、その腹へ拳をめり込ませる。だが弾力のあるボディに跳ね返され、手応えがほとんどない。

そして素早い打撃の連打でサザンカを滅多打ちにし、下方へぶっ飛ばす。大口を開け、強力な気功波を吐いてシロナへぶつけた。

 

「シャトー!!自分を強く持ちなさい!戻って来なさい!」

 

レヒレはふらつきながらも立ち上がり、必死の大声でシャトーに呼びかける。

 

「う…ゔ…!」

 

呪いに侵され、苦痛に歪んだ顔の中に葛藤の色が浮かぶ。

その瞬間、レヒレは見た。シャトーの背後に、異常に目の大きい痩せ細った子供のような不気味な姿が浮かび上がったのを。それは間違いなく、シャトーがリブリアンの力を手に入れたあの日、幻の如く目撃したものだった。

その子供は不気味な笑みを浮かべ、レヒレを見つめている。その間にシャトーは再び暴れ出し、全身から激しいピンク色のオーラを噴出させる。

 

「シャトー!戻ってこいつってんだおボケコラァ!」

 

「うるせぇなぁ」

 

レヒレが語気を強めて怒鳴った瞬間、背後の子供は笑みを歪めて言い放つ。

 

「せっかく人がいい気分で愛を受けてたってのになぁ。この女の心が揺らいだおかげでつい出てきちゃったじゃないかよ」

 

「あなたは一体何者なのですか!?なぜ人から人へと渡り歩き呪いを残すのです!」

 

()()()は『ハチス』。そりゃ簡単なことだよ。()()()は愛されたいのさ。だから人に憑りついて周りから尊敬されてさ、愛されるほどの力を与えてやる()()。でもそいつが他人を愛し始めたらもう用済みだが()()()()は愛されようと頑張る奴が好きだから()()

 

ハチスと名乗った呪いは実体がなく、触れることが出来ない。

その時、復帰したサザンカとシロナが一瞬でハチスが元凶だと看破し、襲い掛かる。ハチスはシャトーの体を操って攻撃を防ぎ、カウンターの肘打ちをサザンカへお見舞いし、頭突きでシロナを後退させる。

ハチスによってリブリアンとしての潜在能力を引き出されたシャトーはさっきまでとは比類出来ないほど戦闘力が高まっている。しかしそれはやはり諸刃の剣で、いずれは肉体がボロボロになり死ぬだろう。

レヒレでさえ、リブリアンだった頃はその力を計画的に使っていたが、解放されてからの老体には当時蓄積したダメージが残り続けている。

 

「やっぱ強いなアンタ!」

 

超サイヤ人2となって応戦するシロナとサザンカだが、現在のリブリアンには敵わないと悟った。

 

「そうだろ?おらほは憑りついた人間の力を引き出し、欲望を増大させる。これはコイツが望んでいたことなんだがせぇ。圧倒的に戦い力を示し、誰からも愛される女神になる…ずっと望んでいたことだ」

 

「ならこっちもよぉ!もっと力を引き出してやるしかねぇな」

 

「なに?」

 

「フゥ──…」

 

次の瞬間、サザンカの体から立ち上っていた黄金の気がさらに膨れあがる。さらに金髪が腰のあたりまで伸び、一瞬の眩い閃光に包まれた後、超サイヤ人3となったサザンカがそこにいた。

 

「待たせたな」

 

「…舐めんじゃ」

 

その変化を目の当たりにしたハチスが悪態をつこうとした瞬間、サザンカのタックルがシャトーに命中した。その背後にいたハチスは吹っ飛んでいくシャトーに引っ張られ、遠くのビルへ激突した。

 

「ねえええええ!!」

 

ハチスはシャトーの体を無理やり起き上がらせ、反撃のエネルギー波を放とうと構える。

しかし、体が何かに縛られたように動かず、構えたはずの腕が強引に後ろへ固定された。

 

「一体何が…ッ」

 

「私だぜぇ」

 

ビルの壁面にシロナがくっついていた。だがその顔は分厚い青い結晶のマスクに覆われ、背中からは脊椎でできた鞭のような器官が6本伸び、そのうちの何本かがシャトーの体を締め付けていた。

 

「放せぇ!コイツを自由にしろよぉ!!」

 

「いいぜ」

 

ハチスはその場で暴れ始めたので、シロナは霊尾を操って大きく振りかぶり、思いきりぶん投げた。その先にいたのはサザンカで、タイミングよく振り下ろした拳がシャトーの腹へめり込んだ。

 

「ぐ…クックック、好きなだけ攻撃するがいいせ。どれだけ殴ってもせぇ、ダメージを受けるのはこの女だけだがせぇ。誰もおらほには触れられないし、ダメージを与えることはできねぇがせぇ」

 

「本当にそうか?」

 

いつの間にかハチスの背後にいたシロナは、不敵にそう語り掛ける。振り返ると、その両手は親指を内側へ隠して合掌する「伯掌印」を結んでおり、それは妖魔を弾き神の加護を得る印だった。ハチスの正体が呪いであると同時に妖怪や悪霊に近いものであると看破したシロナは、在りし日に教わった術を試していた。

 

「あの時は上手くできなくて結局成功したことは無かったけどよォ~~…子供の体に戻っちまって、でも大人の力が残ってる今ならできんじゃねぇかと思ってな」

 

「何をするつもりだろうと、おらほとテメェは違う次元の存在なんだがせぇ!生きてる人間は死者の魂に触れることは出来ねぇ!互いの存在を構成しているルールが違うからな!おらほも何百年もこうしてきたが、直接触れてきた人間は見たことねぇがせぇ!!」

 

「『夢想封印』」

 

博麗の巫女相伝の結界術の応用技。圧縮し霊力を込めた結界玉を相手にぶつけて弾けさせ、封印した状態での霊力の炸裂と同等の衝撃を与える。

幻想郷で修行をしていた頃のシロナは才能と実力不足により習得することが出来なかったが、シロナが自分で言った通り博麗の巫女として活動していた時の体に退行し、だが現在の並みならぬ魔力と霊力を秘めたままのシロナならば可能となった。

七色の結界玉が、シャトーに全て命中する。リブリアンと化したシャトーとリンクしていたハチスも何発もの結界の炸裂に晒され、大ダメージを受ける。

 

「がは…なんでだよ…!!」

 

「今の技は喰らった者の隠れた魂を浮き彫りにし、叩ける。アンタにももちろん当たるってわけだが()()

 

次の瞬間、反撃としてリブリアンが放った超高速のエネルギー弾がシロナの両手を掌印ごと吹き飛ばした。

 

「ギバババババ!!これでもうその技は使えねぇだがせぇ!かなり痛かったが、もう怖くねぇ!さぁリブリアン、アイツを吹き飛ばすだよ!!」

 

だが、突っ込んできたサザンカの回し蹴りがシャトーではなくハチス自身へと命中する。どうせ当たらないと思っていたハチスだったが、ボキボキと鈍い音が響き渡り、ハチスはまたしても攻撃が当たったことが信じられない様子で口を開く。

 

「だ、から…なんっでだよ…」

 

「言い忘れてたがよォ、夢想封印は妖魔相手ならしばらく効果が残るぜ。忘れちまうのも無理ねぇか、アンタみたいのは私の故郷じゃありふれてたからよォ」

 

「ヂ、ぢぢ…!だがそれで勝った気になるんじゃねぇぞ、おらほがコイツと繋がっている限り、おらほが死ねばコイツも死ぬ!どうだ、おめぇらは最初っから詰んでるんだがせぇ!!」

 

シロナとサザンカがそれを聞いて躊躇した瞬間、下の方からレヒレの声が響いた。

 

「シャトー…いや」

 

 

 

『レヒレ!私、今日から“ブリアン・デ・シャトー”と名乗って宇宙の平和を守るためヒーローデビューしますわ!』

 

『なんだって!?まさかそのブリアンって部分はリブリアンから取ったんじゃねぇでしょうね!!』

 

『キャア!何すんのよクソババア!!私は何を言われようが、リブリアンである事を誇りに思ってるのよ!!だって…』

 

『黙らっしゃい!なら好きにさせてやるから、二度と私には顔を見せないで頂戴!!』

 

 

 

「リブリアン!気を強く持ちなさい!!貴方は…宇宙で一番の、愛の戦士でしょう!?」

 

シャトーはまたしてもその場で硬直し、頭を押さえて苦しがる。ハチスの支配による命令が受け付けず、焦りを見せる。

 

「チィッ、ダメだ!あのババアの言葉がコイツには効きすぎる!!こうなったら、おらほ自らでぶっ殺してやるぅアァ!!」

 

「ちょ、テメェやめろコラ!!」

 

ハチスはシャトーの力を吸い取り、込めたエネルギーを光線として放出した。その光の筋は一直線にレヒレへと向かい…

 

ドギュッ

 

その体を無慈悲に貫いた。

…かに思えたが、なんとそこにいたのはハーツであった。

 

「ハーツ!?」

 

ハーツは咄嗟にレヒレの前に立ち、エネルギー光線をその身で受け止めたのだ。しかし、両手は焼け爛れ、止めきれなかった光線が腹部をえぐり取って止まっていた。夥しい血を流し、ゆっくりと片膝をつくハーツ。

 

「俺は大丈夫だ!はやくソイツを…倒してくれよ…!」

 

「無駄だって言ってるだねぇかい!おらほが死ねばコイツも死ぬ、どちらにしてもコイツが死ぬのは確定済みだァ!!」

 

その時、シャトーの背後に浮かんでいたハチスが、シャトーの体に引き寄せられて再び融合してゆく。

 

「なァッ、なんでだがせッ…!?」

 

「今です!!シャトーは強い娘です、死んだりなんかしません!!」

 

レヒレが下からそう叫ぶと、咄嗟にすべてを理解したシロナとサザンカがシャトーに向き直る。そして同時に飛び出し、渾身の拳と蹴りをその肉体へ叩き込むのだった。

 

 

 

 

─────

 

 

「なんで僕は…出て来られなかったんだ。呼ばれたからずぅっと待ってたのに、どうして暗いまんま潰した。その気がねぇならよォッ、始めっから呼ぶんじゃねぇわい!!」

 

「だから、そんなに愛が欲しいんだ。人に憑りついて力を与えて、そうしてリブリアンになった人間が戦い続ければ、みんなに愛される偶像になれる」

 

「そうだよッ!!その点ならお前はレヒレよりも優秀だった!積極的に自分の存在を知らしめて、ヒーローとして振る舞い続けてくれたからなァ、おかげで僕自身も強い力を手に入れられたぜぇ」

 

「私も、リブリアンとしていろんな人を助けて回れて楽しかった。だから、ありがとう」

 

「…は?」

 

「でもね、この宇宙にはもっと苦しんでいる人が大勢いるの。もちろんそれが無理なこともわかってる…けど、私は手が届くのなら全員助けたい」

 

「…」

 

「だから、お願い。もっと私に力を貸して。私が人を助けるため戦うほど、貴方もたくさんの愛を受けられる。私が力尽きて死ぬ時までに、きっと貴方が満足するほどの愛を集めるから」

 

「…言ったな。その言葉、忘れんじゃねぇぞ」

 

 

─────

 

 

「…ブハアッ!!」

 

「シャトー!よかった!!」

 

意識を取り戻したシャトーをキツく抱きしめるレヒレ。

 

「おお!結構強く殴ったからもう起きないんじゃねぇかと思ったぜ」

 

「私も~」

 

「やれやれ、とりあえず一件落着だな」

 

と、上半身裸で傷に包帯を巻きつけたハーツがそう言った。

 

「アンタも頑丈だな。腹抉れてただろ」

 

「俺は矛盾してるからさ。体の構造もあべこべなのさ」

 

「とりあえずアンタはもうリブリアンの力を使うんじゃありませんよ!またいつあのガリガリのガキが出てくるか分かりませんからね」

 

「レヒレ、私は大丈夫よ。まだまだあの力を使い続けるわ」

 

「使うんじゃねぇって言ってるだろがいこのボケ娘コラァ!!」

 

「キャア!とにかく信じて、もうあの子が出てくることはないわ!それに私、リブリアンになれるこの力が好きなのよ!だって、レヒレから受け継いだ大事なものだから…」

 

それを聞いたレヒレもこれ以上何も言えず、シロナたちも笑みを浮かべた。今回、シロナも母親から受け継いでいた技を使うことが出来たからだ。

 

「…なら、もっと仲間を見つけなさい。この宇宙には成り立ちは違えど、リブリアンと同じ性質を持つ力がいくつも存在している。貴方と同じように、別の戦士へと変身できる力を持った者です。いつ何が起きてもいいように仲間と一緒にいなさい。いいですね?」

 

「ええ!」

 

「それとアナタたち。私の店から石を盗んだことは許していませんからね!!」

 

「ひぃん、ごめんなさ~い」

 

「でもこれはアタシらの大事なモンで、どうしても返してもらいてぇんだ」

 

「そう言うなら今回だけは感謝の印として差し上げましょう。ただし、次はありませんからね」

 

「おお、ありがとう!」

 

 

 

かくして、究極五星球を手に入れた一行。残る究極ドラゴンボールは4つ。次の球を求め、旅を続けるのだった。

 

 

 




【現在公開可能な情報】

レヒレ
・元リブリアン。リブリアンとは人物名ではなく、能力によって変身し誕生する特定の戦士の事。
・リブリアンの力を使って宇宙中で戦い続けていた。住民が滅ぼされた惑星で赤子のシャトーを発見し育てるも、自身のリブリアンの力がシャトーへ渡ってしまう。
・現在は宝石店の店長として働いている。名前の由来は肉の部位のひとつ「ヒレ」。

ハチス
・故意によって生まれることが出来なかった水子の霊の集合体。愛を求め彷徨い、人に憑りついて力を与える。そうして与えた力で変身した者がリブリアンと呼ばれるようになった。
・シャトーは既にハチスの影響を受けて見境が無くなっており、レヒレを殺してしまったと勘違いし心が揺らいだ所為で外に出てきてしまった。
・名前の由来は牛の胃袋の「ハチノス」。
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