もしもカカロットが幻想郷に落ちていたら   作:ねっぷう

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クリスマスですね。だからといって何もクリスマス要素はありませんが


第470話 「極龍」

突如乱入してきたカトペスラとマジ=カーヨ。彼らを加えた大混戦が始まった。

ハーツはすかさず能力を解禁し、局所的な超重力でコイチアレータをその場に拘束する。その大きな足が床にめり込み、上半身も床にくっついたまま動けない。

一方シロナは超サイヤ人と化し、一気にマジ=カーヨとの距離を詰めると、高速の拳の連打を真正面から胴体へ叩き込む。

 

「ウラウラウラウラ…」

 

バシャア

 

しかし、やはりというべきかスライム状の変幻自在な体を持つマジ=カーヨには全く効いていなかった。シロナへマジ=カーヨの巨大化させた反撃の拳が突き刺さり、大きく後方へ殴り飛ばされた。

サザンカもまた超サイヤ人になりカトペスラと熾烈な殴り合いを繰り広げていた。カトペスラの拳を掴んで止め、反撃のハイキックをお見舞いするも、彼もまたそれを掴んで止める。

 

「やるじゃねぇか」

 

「貴様もな。だが…」

 

突如カトペスラは今までとは比べ物にならない膂力を発揮し、サザンカを投げ飛ばした。

 

「私は『バトルモード』に変身すると300倍のパワーを発揮できるのだ!」

 

その通り、カトペスラはベルトとスーツの力を使い変身をすることでステータスを増幅させることができるのだ。

カトペスラの猛攻がサザンカに迫り、鋭い蹴りが腹へ突き刺さる。

 

「女子供とて、私の正義の活動を邪魔するのであれば容赦はしないぞ!」

 

「ぐお…!」

 

さらに続けてパンチが何度もサザンカの顔面に命中する。だが、彼女も負けじと拳を食らいながらもカウンターパンチを胸へ浴びせる。

 

「むん!!」

 

だが、カトペスラは胸筋を盛り上がらせた反動でサザンカを後ろへ吹っ飛ばし、体勢を崩す。すかさず、カトペスラ渾身のラリアットがさく裂し、サザンカは盛大に吹っ飛ばされ後ろの壁へ激突し、その瓦礫の下に埋もれてしまった。

 

「どうだ!私の邪魔をするからこうなるのだ!…んん?」

 

崩れた壁から立ち込める煙の中で光っていた黄金のオーラがだんだんと小さくなり、代わりに赤黒い禍々しいオーラが見える。同時にただならぬ不穏さを察知したカトペスラは額に小さな汗をかきながら一歩下がる。

 

「ふう~…久々にこの力使うぜ」

 

内側からサザンカが煙を切り払い、その姿を現した。

髪も金色から元の黒に戻り、超サイヤ人のオーラは消え失せて通常の姿になってしまっている。代わりにその全身からは赤と黒の二層の気を纏い、目つきや雰囲気は以前よりも鋭くなっていた。

 

「ほう」

 

横目でその力を見たハーツは感心したようにつぶやいた。

サザンカは秘められた悪のサイヤ人の気を呼び起こしていた。この力は超サイヤ人とは全く気の種類が違うため相容れず、併用することはできないが超サイヤ人3を軽く凌駕するパワーと安定性を持つ。

 

「ただこの力はよォ、ちっとばかし性格が荒っぽくなっちまうから…気を付けてくれよな」

 

「この私がそれくらいの脅しで…怯むと思うか!ハアアッ!!」

 

今度はカトペスラの胸の『B』が『S』へと変わると同時にスーツの色が赤くなり、一瞬でその場から姿を消した。恐らくは超スピードで移動しており、攪乱するようなジグザグの軌道でサザンカに迫り…

 

バキィ!

 

その首筋へ回し蹴りを叩きこんだ。

だが、攻撃を当てたはずのカトペスラの足にはまるで鋼鉄の柱を蹴ったかのように鈍い痛みが返され、思わず飛びのいてしまう。

 

「なんの!!」

 

そのまま床を蹴って素早く飛び出し、すれ違いざまに拳の連打を腹へお見舞いした。

 

「…どうだ!?」

 

サザンカの背後で急停止し、振り返りながら反応を伺う。が、サザンカは平然としており、ゆっくりとこちらに向き直り、その深紅の瞳は確かにカトペスラを捕らえていた。まるで彼を獲物として狙う肉食動物のように…

 

「今度は…アタシから行くぜ」

 

ゆっくりと歩きだし、しかしその発せられる威圧感はすぐさまカトペスラの全身を覆い、彼女が巨大になっているような錯覚を見る。

そして繰り出される一発の拳。カトペスラは瞬時にバトルモードに切り替わり、増幅させたパワーを用いた腕でそれをガードする。結果、カトペスラ自身は微動だにしないまま、込められていた衝撃がその身を貫通した。

 

ドウッ

 

「かは…!!」

 

白目をむき、前のめりに倒れこもうとするカトペスラを腕で支え、彼が気を失ったことを確認するとシロナの方を見る。

 

「おい!そっちは終わったか?っておい」

 

だが、シロナはマジ=カーヨ相手に苦戦を強いられていた。液状の体に全身を包まれ、そのまま体内にかかる水圧によって窒息と圧壊に至る寸前だった。

 

「何やってんだ…!…!?」

 

すぐに助けに向かおうとするが、首を後ろから掴まれ羽交い絞めにされて身動きが取れなくなる。なんと気絶したはずのカトペスラが目覚めていたのだ。

 

「私の『アルティメットモード』はパワーもスピードも300倍に上昇するのだ!」

 

「この…!!」

 

サザンカは何度も腹へ肘打ちを叩きこむが、カトペスラはほとんど動じない。

 

「ぐふ…む、無駄なことだ…!アルティメットモードで300倍になるのは私の全てだ…生命力も、タフさも、回復力もだ!この私を倒すことは、この宇宙の正義と平和を倒すことであると知れェ!!」

 

そのセリフを叫ぶとともにサザンカを持ち上げ、バックドロップをかました。サザンカは床に頭から突っ込み、カトペスラに押さえつけられて動けない。

一方シロナは巨大化したマジ=カーヨの体内にかかる水圧によって全身の魔力でさえも抑え込まれ、力を発揮できないでいた。

 

「ハハハハハ!このまま果てるがいいぜ!」

 

「ぐうっ…!」

 

万事休すとなったその時、突然マジ=カーヨは自身の体が重くなったのに耐え切れず膝をついた。

 

「お…なんだこりゃ…!」

 

さらに重圧は大きくなり、両手を床について体を支えなければならないまでに至る。その床も手を中心に肘が入り、メキメキと凹み始めた。

 

「だ、誰が…!」

 

マジ=カーヨは気付いた。少し遠くの方でコイチアレータを押さえ込んでいるハーツが、もう片方の手をこちらへ向けているのに。ハーツは同時に2カ所の重力を操作していた。

 

「ぐえっ」

 

ばしゃあ

 

マジ=カーヨは重力に耐えきれずにその場で体が潰れ、床に広がって水たまりとなった。解放されたシロナは水圧によってダメージを受け鼻と耳から血を流し、息を切らして立ち上がった。

 

「大丈夫か?」

 

「え、ええ…あり、がとう…」

 

遠くから心配の声をかけたハーツに返事をするシロナ。だが次の瞬間、彼の目の前にいたコイチアレータが重力の拘束を振り払い、蛇腹の腕でハーツに掴みかかった。

 

「そ、そうだ!コイチアレータの機能値は単なる合計値の1256%に上昇している!部外者がどれだけ現れようが敵ではない!さっさと捕まえてしまえ!」

 

パパロニはコイチアレータにそう指示を出す。

 

「パパロニ、ここは任せたわ!私はここまでのデータを使って例の実験を行うわ」

 

その中、チョリソーはパパロニにそう告げると部屋を後にする。

 

(やはり2カ所同時はいくらか力が分散してしまうな…だが)

 

ハーツは思考するが、解放されたシロナが目論み通りこちらへ加わった事で笑みを浮かべる。顔に青い結晶の鎧を纏い、背中から6本の霊尾を生やしたシロナがコイチアレータの頭部に飛び掛かり、勢いと体重をかけて押し倒した。そのまま首に霊尾を巻き付け、引っ張り上げながら宙へ放り投げる。

 

「今だよ!」

 

ハーツは拳の周りの重力を収束させ、莫大な質量を籠めたアッパーパンチをコイチアレータの腹部へ叩き込んだ。

 

「ガガ…!!」

 

悶絶するコイチアレータだが、脚部に変形しているボラレータが合体のために格納していた鉄球のついたアームを振り回してハーツとシロナを殴り飛ばした。

 

「チッ!離しやがれ!」

 

その頃、サザンカはどんなに振り払おうと殴ってもしがみついたまま離れないカトペスラと奮闘していた。

 

「今の私は体重も300人分だ!簡単に振りほどけると…思うなよ…!」

 

「じゃあいいぜ。一緒に来いよ」

 

サザンカはとてつもない重さになっているカトペスラを引きずったまま走り、シロナとハーツの元へ向かっていく。

 

「な、なにィィ~~!?」

 

「よいしょォオオオ!!」

 

そしてカトペスラの重量を乗せた渾身のタックルをコイチアレータへと食らわせ、その鉄製の巨体をぶっ飛ばす。衝撃で今まで合体していた3体がそれぞれに再分離し、向かい側の壁までぶち当たった。

 

「ギ…こいつら…」

 

「強いチア…」

 

コイツカイ、パンチア、ボラレータはそのままエラーを意味する赤いライトを点滅させながら機能停止となり、沈黙するのだった。

 

 

 

 

 

同時刻、同研究所内。

 

カプセルの中の装置にセットされた究極ドラゴンボールは、その機械が及ぼす何らかの作用によって表面からオレンジ色の気体を滲ませており、それはカプセルの上部から吸気されさらに別の分析器へと送られていた。その周囲にはパパロニやチョリソーの部下と思われる研究員が何人もおり、試験管に小分けにされた気体を厳重に並べていた。

 

「仮称“プラスエネルギー”抽出完了。これより究極六星球に微細な電気刺激を送り、反応を見る」

 

カプセル内はプラスエネルギーと仮称される気体を蒸留した特殊な液体で満たされ、それに漬けられた究極六星球。そこへ電気を流し、研究員たちはその様子をしばらく見守る。

 

「待たせたわね!十分な戦闘データが取れたわ!」

 

と、そこへDr.チョリソーがやってくる。

 

「これを電気信号化してドラゴンボールに与えるわ。その時どんな反応を見せるか…予想では表面に現れるはず…“究極六星龍”が…!」

 

「究極六星球表面に核酸の生成を確認!電気刺激に合わせて分裂しています!」

 

数分後、彼らの前で究極六星球は生物の対組織のような物体に包まれていく。それはまるで胚のようで、だんだんと大きくなってきている。

 

「おお、素晴らしい…!これならば1時間後には摘出してもよさそうね」

 

そう言いながら、チョリソーは記録を取ろうとパッドを取り出し、画面を操作する。しかし…

 

「は、博士…」

 

「何?…え!?」

 

ほんの数秒、目を離した隙にカプセルの中の胚はすさまじい速度で成長し、ドラゴンボールの入っていたカプセルの内側がギチギチになるほどの大きさと化していたのだ。

チョリソーがその異様さに驚き、研究者としての性かすぐに記録しようとした瞬間、カプセルは爆発するかのように勢いよく弾けた。

 

ギギ…

 

煙が収まると、ボロボロになった実験室の中で大きな物体が蠢いていた。

それは額に究極六星球が浮かび上がった巨大なドラゴン…なのだが、頭部だけしか生成できておらずそこから下は不完全で、本来首から胴へと繋がる部分から4本の昆虫の足のような器官が伸びておりそれで体を支えている。

焦点の合わないギョロリとした双眼を忙しなく動かしながら、不完全な究極六星球の化身、究極六星龍はその場を後にするのだった。

 

「た、大変なことになった…」

 

ひっくり返った机の下から這い出たチョリソーは足を引きずりながらパパロニの元へ通じるワープ装置に乗るのだった。

 

 

 

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