ファントムシロナの放つ拳の猛連打を受けた究極六星龍。ぶっ飛ばされるもなんとか途中で止まり、片膝をついて立ち上がろうとするも、腕を組んだシロナが目の前に立ち塞がる。
「コイツでとどめよ!」
魔力を籠めた全力をパンチを繰り出し、それが宣言通りとどめの一撃として容赦なく迫る。
しかし。
ずぬ…
「サ…!?」
その寸前、六星龍は体表に取り込んだサザンカの顔を露出させた。シロナは咄嗟に拳を止めてしまい、その隙を見逃さない六星龍は龍の頭から衝撃波を吐き出してシロナを壁へ叩きつけた。
「げほっ、アイツ…!」
サザンカを人質のように使った六星龍に怒りを滾らせるも、シロナは冷静になる。
「博士たち!どうにかしてアイツからサザンカたちを取り出す方法ってないの!?」
それを聞いたパパロニは少し考えてから答える。
「…現状ではおそらく不可能だ」
「ムキー!!不可能を可能にするのが科学なんでしょ!?じゃあ何か方法考えなさいよコラー!」
シロナはそう言いながら怒るも、直後に六星龍の放ったレーザー光線が肩を貫いた。ファントムシロナの能力ですぐに再生させるが、こちらからは下手に手出しができない以上防戦一方になってしまう。
「と、言われてもな。我々の仮説では、無理やりにでも吸収された者を外側から引っ張り出せば無事ではすまんぞ!その者はもちろん、究極六星龍ですら耐えられないだろう!ドラゴンボールそのものが破壊される可能性すらある…あまりにリスクが高すぎる」
だが、そのパパロニの説明を聞いたチョリソーは何かに気付き、ハッと顔を上げる。
「パパロニ、それだわ!外側から雑に引き剥がせないというなら…内側から取り除くのはどうかしら?」
「チョリソー…しかし、どうやって…」
「『アニラーザ』…それしかないわ」
「…!?た、確かに我々なら…ヤツが吸収しているコイツカイ達、改造戦士と融合することができるが…」
「やるしかない。私にやらせなさい」
「ちょっと!!それ本当!?」
「!?」
何故か近くからシロナの声がしたので驚いて振り返るパパロニとチョリソー。そこには六星龍と戦っているはずのシロナがいつの間にか立っていた。
「なぜここに…」
「今は分身に任せてる」
シロナの指差した方では、ファントムシロナの力で作った分身が六星龍の猛攻に耐えていた。
「それよりも今言ってたこと本当?ヤツから喰われた人を取り除ける、って」
「…本当よ。我々が開発した『アニラーザ』は、パパロニか私のどちらかがコイチアレータに加わることで生まれる融合戦士。近距離で融合を開始すれば、私はヤツに取り込まれてしまうけどその内部でアニラーザに合体できる。コイツカイたちもヤツの内部にいるからね」
「ならばチョリソーがやる必要は無い!このDr.パパロニがやる」
「いいえ、貴方じゃダメ。私はもともと医者なのよ…貴方に、体の中の異物を丁寧に取り出すことができるの?」
「む…うむ」
「と、いうことよ」
「…なるほどね」
「元はといえば、私もドラゴンボールの持つ願いをかなえる力に憧れたのかもしれない」
「チョリソー、それは…まさか」
「もしも、この第3宇宙にもドラゴンボールがあれば、私の子供も…死なずに済んだかもしれない。私は、医者だったのにね」
そう言ったチョリソーはどこか寂し気な表情をしていた。
「科学というのは…できることとできないことがはっきりしているの。人間の知識と技術で成せることは決まっている…だけどね、それじゃ悔しいから…科学者はできないことをできるようにしようとするの。どんな手を使ってでもね」
チョリソーは立ち上がり、身に着けていたブレスレットの緑色の水晶を掲げる。
「シロナ、私を究極六星龍の近くまで連れて行きなさい。そうすれば、『アニラーザ』を起動できる」
「わかった」
シロナはチョリソーを担ぎ上げ、眼下で行われている先頭のど真ん中に向けて飛び降りる。
「…感謝する」
シロナは分身のシロナと六星龍の間に割り込むように着地しつつ分身と融合する。だが目と腕だけは二人分の4つずつ残しており、かつてドミグラに止めを刺し、ビルスと渡り合ったファントムシロナの形態のひとつ。
四本の腕で六星龍の両手足を拘束し、隙を作る。
「今だよ!」
チョリソーはすかさずブレスレットを掲げ、六星龍の体表へ押し付ける。その瞬間、体内のコイツカイたちが反応したのか、緑色の眩い光が周囲を包み込む。
光の中、チョリソーの体が六星龍の中へと吸い込まれていく。
「じじ じじじ」
次の瞬間、六星龍の龍の頭部の口内から巨大な腕が飛び出した。六星龍はその場に倒れこみ、バタバタと藻掻いている。
「グオオオアアアアア!!」
そして怪物のような咆哮と共に、六星龍の内側から光の巨人が姿を現した。同時に弾けるように、取り込まれていたカトペスラ、マジ=カーヨ、サザンカが救出される。役目を終えた光の巨人アニラーザは、これ以上長居して部屋を壊してしまわないように手早く分裂し元に戻るのだった。
「サザンカ!」
シロナはすぐにサザンカをキャッチし、抱き止める。
「おお、助かったぜ~」
平気そうにケロッとそう言い、何とか安心する。
他のマジ=カーヨとカトペスラも同様にすぐに目を覚ましている。
「よくわからないが助かったようだぜ…」
「ああ、しかしこれは…体に以前よりも活力が漲っているような…」
「それはそうよ。貴方たちは願いを叶える力や生命力の源ともいえるプラスエネルギーに染まった究極六星龍の中にいたのだから、その恩恵を得られて当然だわ」
と、少しふらついているものの何ともない様子のチョリソーがそう言った。その手には黒い六つ星が埋め込まれた究極六星球が握られていた。
「チョリソー!それも取ってくれたんだ!」
「ええ、大事な落とし物なんでしょう?」
シロナは手渡された究極六星龍を光に翳した。
「ごほ…どうやら、無事にゲットできたようだな」
そこへボロボロだが何とか無事だったハーツもやってきた。
しかし、シロナたちの問題はひとまず解決したわけだが、彼らの問題は終わっていない。
「私は、Dr.パパロニ及びDr.チョリソー両名の指名手配を受けここへ来た。が、驚いた…まさかあの時私を捕らえた研究艦艇で生き残ったふたりが、貴様らだったとは」
「それは私もだカトペスラ。あの時の少年が、こうしてやってくるとは。過去の因縁が呪いのように迫りくる…正しくこれは『TATARI』だ」
パパロニもこの場へ降りてきてそう言った。
「では…現時刻を持って逮捕する」
カトペスラはふたりに手錠をはめ、逮捕した。ふたりは抵抗せず、終始大人しかった。
「はっはっはァ!あーばよ、間抜けな警察と研究者ども!」
だが、マジ=カーヨは既にこの場から逃走を始めていた。
「あっ、こら!!止まれ凶悪犯罪者め!…貴様らはここで待っていろ!どうせ逃げられないからな!」
カトペスラは拘束されたパパロニらをこの場に放置し、逃げていったマジ=カーヨを追いかける。
…残されたシロナらは、パパロニと顔を合わせた。
「…我々は、究極六星球から六星龍を顕現し、その細胞とエネルギーを抽出し同一存在を複製、そこから逆算する形でドラゴンボールに準ずるモノを製造しようとしていた…それこそが『TATARI BREAKER』になると信じて」
「だけどそれは無理だったわね。球の化身は不確定要素が多すぎて我々にも扱いきれない。もう我々はドラゴンボールに関わることはやめる」
「君らも早くここを脱出し、元の宇宙へ帰りなさい」
「…うん、わかった。それじゃあ!」
シロナたちはさっさとこの場を後にするのだった。
残されたパパロニとチョリソーはため息をつき、その場に座り込む。
「苦労したわね…私は息子の死を受け入れられず、あの研究艦艇に科学者として入っていた。非道な研究の報いとして遣わされた『TATARI』…それがあのカトペスラとマジ=カーヨだと思っていたけれど…」
「我々は30年前のあの時も、そして今も何とか命だけは繋ぎとめた。そして分かったぞ…」
『TATARI』とは、逃れられない過去からやってくる呪い。パパロニとチョリソーにとっては、若さ故の過ち。そして、全てを攫っていった災い。
「ええ、『TATARI』を打ち破る力はこの宇宙の科学にも…無い。だがもしもあるとすれば、それは…『理不尽に怒る心』…他の者を命がけで想う心に、あるのかもしれない…」
───『
【現在公開可能な情報】
パパロニ
・第3宇宙の科学者。悪名と功績ともに宇宙中で広く認知されている。あとは原作通り。
チョリソー
・パパロニと並ぶ天才科学者。元は医者だったが、にも関わらず息子の病気を治せなかった事を後悔し研究に没頭するようになり、非道な実験にも加担するようになった。
・過去からくる呪い「TATARI」を打破する存在を求めており、ドラゴンボールの願いを叶える力に目を付けた。
マジ=カーヨ
・元はとある惑星に住んでいた人間たちがいつしか進化の果てに液状生命となり統合され、結果危機感等の本能が失われた種族。その彼らが最期に絞り出した、残された人間の本能の塊。
・宇宙を彷徨ううちに研究艦艇に捕らえられ、実験用の生物として利用される。が、カトペスラの乗っていた船の労働者が暴れたことで監視の兵士が手薄になったところを脱走し研究艦艇を破壊した。
・その後は本能のままに生き、凶悪な指名手配犯となりカトペスラに追われる。
カトペスラ
・働き口が見つからず、星々を渡って派遣される労働者の船に紛れ込んでいた。
・研究艦艇に捕まり、実験用のベルトを装着させられ300人分の魂を込められる。その時にマジ=カーヨに艦艇を破壊されるも生き残る。
・後にベルトの力を使いこなし、宇宙の平和を守るポリスマンとして活躍するようになる。
究極六星龍
・究極六星球の化身。
・プラスエネルギーを増幅するやり方で生まれたために邪悪ではないが不完全で、他の生命を取り込んで完全な姿に成ろうとする性質がある。
・生命の源でもあるプラスエネルギーの化身であるため、取り込まれた人間は活力に漲る。