もしもカカロットが幻想郷に落ちていたら   作:ねっぷう

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あけましておめでとうございます。年内に完結するかは分かりませんが、確実に終わりへと向かっていますのでどうか今年もよろしくお願いします。


第473話 「闘争」

───第6宇宙 惑星サダラ

 

「おい、この辺りはカリフラが仕切ってる縄張りじゃないのか?」

 

荒れ地に粗雑な家々が立ち並ぶ地域。トラックの助手席に乗った男が、運転しているもう一人の男にそう声をかけた。

 

「ビビってんのか?あんなならず者どうってことはない。俺たちはサダラ軍の兵士だぜ?」

 

「そのサダラ軍でもどうにもできないからアイツは放置されたままなんだろう…」

 

「わかったわかった。近道だから通っただけだ、すぐに抜けよう」

 

そういう男もカリフラというならず者の頭領の危険性は重々理解している。しかし、通過するのにかかる時間はたかが10分程度、しかも自分の車はかのサダラ軍のものだ。下手に手出しされることはないだろうと高を括っていた。

 

ガンッ

 

しかし、突然車が何かにぶつかって停止する。

 

「!?」

 

目の前には、足でトラックを止めているひとりの少女が立っていた。

 

「はーいストップ!ここ通るなら積荷全部置いてけ」

 

「カ、カリフラだ!くそ…!」

 

「だから言ったじゃねーか!」

 

最悪の事態。

 

「おめぇら後ろの荷物下ろせ」

 

「はい!」

 

カリフラは舎弟の女性たちに命令する。その間、車から降ろされた男は我慢ならない様子で口を開いた。

 

「ふざけんなよ…みんな真面目に働いて生活してんだ!」

 

「お、おい!やめとけ、カリフラに逆らったって無駄だ!」

 

「なんだ?やんのかおっさん?」

 

「宇宙最強のサダラ軍を…ナメんなよ!」

 

男は洗練された身ごなしで一気に地面を蹴って飛び出し、瞬時にカリフラの目の前に迫り拳による一撃を繰り出した。

が、カリフラは挑発の笑みを浮かべたまま男の動きを見切り、放たれた拳を避けると同時に腕を掴み、強靭な膂力でもって投げ飛ばした。

男は家の壁に激突し、そのままずるずると崩れ落ちる。

 

「無理すんなよおっさん、真面目に働けなくなるぞ」

 

「ちくしょう…」

 

カリフラとその配下たちはトラックの荷台を好き勝手漁り始める。

 

「お、ほとんど食料じゃねーか!ツイてんな。こっちは宝飾品か」

 

男はゆっくり立ち上がりつつ腰の銃を抜き、弾を込める。

 

「宝飾品はサダラ王への献上品だ…奪われてたまるか…!」

 

だが、その様子を目ざとく見ていたカリフラの配下のひとりがいた。彼女は目にもとまらぬ動作で男の構えた銃を奪い、服の中に隠す。

 

「あ、あれ…!?消えた…!」

 

男は突然手の中から消えた銃に困惑しつつ、カリフラたちが荷物を奪っていくのを黙って見届けるしかなかった。

 

「じゃあな!次にここ通るときはもっと積んでおけよ」

 

 

 

カリフラたちはアジトへ帰った。カリフラは盗品の中にあった酒を煽りながらボロいソファにふんぞり返った。運び込んだ積荷に小さな子供が何人も詰め寄っている。

 

「わぁ、今日は食べ物がいっぱいだね」

 

「みんなで分けるんだよ」

 

どうやらカリフラたちは身寄りのない子供たちに与えるために強盗を働いていたようだ。やり方はどうであれ、これがカリフラの優しさと思いやりであるのだろうが…

 

ころ…

 

「んだこれ」

 

座っていたカリフラの足に、転がってきた何かがコツンと触れた。思わず拾い上げてみると、それは二つの黒い星が中に埋め込まれたオレンジ色の球だった。カリフラはそれを高く売れそうだと思いポケットにしまい込むと、あくびをしてから眠りに落ちるのだった。

 

 

 

「クソ…おい、他の部隊の連中を呼び戻せ…全員でアイツらぶっ潰すぞ」

 

先ほど荷物を奪われた男は空になったトラックで王城へ向かいながら話していた。

 

「いや災難にあったと思って諦めろ。知らないのか?カリフラはレンソウさんの妹なんだぞ、それを知ってるヤツは乗ってこない」

 

「何だとぉ…!なおさら許せねぇな」

 

男は黙り込む。が、何かを思いつき不敵に笑った。

 

「いや、いい方法を思いついた。お前『殺し屋ヒット』の噂知ってるか?」

 

「…!ありゃただの伝説だ!本気にするなよ!」

 

「その必死さ…どうやら知ってるな?教えろよ」

 

「お前、どうするつもりだ…?」

 

「決まってんだろ、カリフラを殺してもらうのさ!あんなヤツは生きていてもこの宇宙の癌になるだけだぜ、レンソウさんには悪いが、妹を躾けておかねぇのが悪いんだよ!」

 

 

 

 

 

────────────

 

 

 

一方、シロナたちは次の究極ドラゴンボールを求めて第6宇宙にやってきていた。

既にレーダーにはドラゴンボールの反応が示されており、今はその惑星へ向けて航行中だ。

 

「そういや姉貴、まだ体は小せぇけどファントムにはなれたんだな」

 

シロナはビルスの破壊を受けた影響で体が縮み、子供の姿に変化することでなんとか体積の減少を誤魔化していた。だが第3宇宙での戦いでファントムシロナに変身した時だけは体の大きさが元に戻っていた。

 

「うん、ファントムにもなれないと思ってたんだけどいけたね。戻ったら体は小さいままだったけど」

 

「そのファントムってのが、シロナくんの本気の力ってことでいいのかい?」

 

と、宇宙船を操縦しながらハーツが言った。

 

「ファントムシロナ。私って実は幻想郷っていう異世界で巫女やってたんだけど…色々あってその力と融合したというか、なんというか…それで得た力なんだけど」

 

「ほう…」

 

シロナはそう言いつつ、今までに何度か感じていたこの力の先について考えていた。

ドミグラを倒したとき、ビルスと戦ったとき、この前究極六星龍と戦ったとき…初めは一瞬だったけどだんだんと長く手応えを感じるようになっていた。ファントムシロナは変幻自在でどんな形にもなれるしどんなこともできる。でも一番力を強く感じたのは…あの姿に成ったとき。腕が四本、目が四つ…あの時が一番…

 

「見えてきたな。あの星だ」

 

シロナはハッと我に返り、モニターに表示された星を見た。

 

「このまま一気に着陸するぞ」

 

 

3人は惑星の地表へ降り立ち、宇宙船を洞窟の中に隠すと、遠くに見える町へ向けて歩き出した。

町へ入ると、そこにはやさぐれた見た目の人間たちが多くいた。家の前に座って昼間から酒を飲む者、賭け事に勤しむ若者、こちらを睨みつけてくるならず者。

 

「目を合わせない方がいい。反応があるのはあの家だ」

 

やがてたどり着いたのはひと際大きな建物。ハーツはドアに手をかけ、ゆっくりと開いた。

 

「やあ。ちょっとお尋ねしたいんだが、ここに」

 

ガァン!

 

ハーツが中に入りながらそう言った瞬間、ビンが投げつけられた。ハーツはそれを躱し、ドアの淵に当たったビンが割れて砕ける。

 

「アンタ何者だ?」

 

「ここがカリフラさんやアタイらのアジトと知ってるのかい?」

 

「待て待て!俺たちは少し聞きたいことが…」

 

「いいって、ハーツ…下がってな」

 

「…サザンカくん」

 

サザンカが拳の骨をポキポキ鳴らしながら前に出る。

 

「おい、文句があるなら全員かかって来いよ。ただし負けたら話聞いてもらうぜ」

 

「ナメやがって!」

 

「ぶちのめしてやる!」

 

カリフラの舎弟の女たちが一斉にサザンカに襲い掛かる。

サザンカは不敵に笑うと一番手前にいた女の拳で腕で防ぎつつ回し蹴りを繰り出し、ヒットさせる。だが、片足になったところを隙とみて背後から3人がかりで押し倒され、床に押さえつけられる。

 

「うお…!」

 

「へへへ…押さえとけよ」

 

最初に蹴りを受けた女が棍棒を手にゆっくりと近寄り、サザンカの頭めがけてそれを振り下ろす。が、サザンカはいつの間にか握りしめていた石の欠片入りの拳を振り上げて上から押さえていた女を殴り飛ばし、もうひとりを手前へ投げ飛ばして盾にし、棍棒を受けさせる。

 

「がッ…!」

 

そして自分は体を回転させて仰向けになり、上に乗っていた女を逆に背中で床に押し付け、そのまま拳を後ろへ振って殴りつけて立ち上がる。

その瞬間、棍棒を振っていた女が再び襲い掛かってきたので棍棒を掴んで止め、腹を蹴りつけて吹っ飛ばす。

 

「ぐふ…」

 

これで4人全員が床に倒れ伏したことになるが…

サザンカは顔面を殴られ、よろめいて後ろへ下がる。

 

「ふっ!」

 

今殴ってきた女はフード付きのマントを脱ぎ捨て、格闘の構えを取る。小麦色の肌に黒髪をポニーテールに纏めた小柄な少女だった。

 

「…サザンカ、ダメだよ!本気でやっちゃ…」

 

やばいと思ったシロナが止めようと声をかけるも、既にサザンカは垂れる鼻血も気にせずに一瞬で前に駆け出し、今殴ってきた少女に差し迫っていた。

 

ドドッ

 

二発の拳を連続で放つも、防御用に振り上げた足に阻まれる。サザンカはカウンターの肘打ちを胸に受けるが、気にせずにアッパーを顎に食らわせ、さらに拳を左に振って追撃。その隙に蹴りを繰り出すも腕で防がれ、しかし同時に振り上げていたもう片方の足を振り下ろして少女の足を踏みつけ、ステップを封じつつ…

 

「しまっ…」

 

ドドドド…

 

片腕でのパンチのラッシュをすべて命中させた。

 

「ケール!もう安心しろ!」

 

だが、どこかからその声が聞こえた瞬間、サザンカはとてつもない衝撃を真横から受けていた。全く意識できないほど素早く突き刺さった即撃に、サザンカは容赦なく吹き飛ばされ、壁を突き破って遥か彼方へ消えていく。

 

「サザ…!」

 

シロナが声を出そうとした瞬間、同様に後頭部に強い一撃を受け、思わず前のめりに倒れこむ。ハーツも同じく鳩尾へ一撃を食らっており、その場に蹲る。

 

「…いない…?」

 

だが顔を上げたときには、既に今の攻撃を放ったと思われる者はいなくなっていた。ケールと呼ばれた少女は、サザンカが吹っ飛んでいった壁の穴の先を見つめていた。

 

「姐さん…」

 

 

 

「…ふっ、いいパンチ持ってやがる。制服が破れちまった」

 

サザンカは砕けた岩を跳ね除け、焦げて破れたセーラー服の下をさすりながら起き上がる。その個所は明らかに赤く腫れあがり、血が滲んでいた。

 

「いい度胸だな。アイツらがこのカリフラ様の…大事な妹たちだと知って手を出してんのか?ああ?」

 

目の前に立ち塞がるカリフラを目に収め、サザンカは何故か湧き上がる闘争本能を実感し、久々の感覚を楽しんでもいた。

 

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