もしもカカロットが幻想郷に落ちていたら   作:ねっぷう

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第478話 「玉折」

ザマスはポタラによってダラズと融合し、ひとりの神「ダマス」となった。

肌の色や顔はザマスのままだが、髪型や体格はダラズ寄りで、頭の上には8つの方向を示す羅針盤のような形状の光輪が浮かんでいる。

感じ取れる戦闘力もザマスひとりの時よりも格段に上昇しており、界王と界王の力がかけ合わさったことで格上とされる界王神よりも強力な神力を纏っているようだ。

 

「合体した…のか?」

 

「うそぉ?あのイヤリングにそんな力があるの!?あれってこっちの界王神さんもつけてたよね?」

 

サザンカとシロナはザマスが合体したことにはもちろんのこと、ポタラの効果にも驚きを隠せなかった。合体できる技といえばフュージョンがあるが、それ以外であんな芸当ができるなど思いもしなかった。

 

「さあ、圧倒的な威光の前に平伏せ」

 

ダマスは勢いよく飛び出し、ハーツに向かって無数のエネルギー弾を発射した。ハーツはその軌道を全て見切り、細かなキューブをばら撒いてエネルギー弾を相殺。

その際の爆発に紛れてダマスの眼前へ迫り、拳を素早く振るった。だがダマスもそれを手で防ぎ、膝でハーツの腹を蹴り上げた。

と、思いきや、ハーツもダマスの膝と自身の腹の間にキューブを挟んでダメージを防いでいた。それを見たダマスは間髪入れず、振り上げた腕を勢いよく叩き下ろしてハーツの脳天を狙った。

 

「ほう」

 

ハーツもそれを腕で受け止めるも、あまりの威力に彼の下半身が地盤を砕いて深く地中へ突き刺さった。ダマスはすかさず後ろへ飛びながら気弾を撃ち込んだ。だがハーツも気弾を弾きつつ高速で飛び出し、下がっていくダマスに追いつくと背後へ回り、手の平からキューブを発射し、ぶつけた。

ダマスが怯んだ隙にさらにもう一発。

 

「図に乗るな!」

 

今度はダマスも右手に作った気の剣でキューブを切り伏せ、その際に生じた爆発で両者ともに反対方向へ吹っ飛んでいく。

 

(今の一撃…やはり先ほどまでとは桁違いの威力…!キューブ越しでなかったら真っ二つにされていたな)

 

ダマスは吹っ飛んだ先にあった岩を蹴って再び飛び出し、ハーツも背中に取り付けたキューブを利用して真反対の方向へ高速移動し、両者は接近し合う。

そして両者がぶつかり合うかと思われた次の瞬間、ハーツの能力によって真上から押しかかる超重力がダマスの体を地面に押し付けた。

 

「かは…!」

 

ダマスは突っ伏したまま動けず、さらに背中を圧迫され咳込んだ。ハーツは手をかざしたままさらに重力を強めるが…

 

キリキリキリ… カチッ

 

「…?」

 

その時、ダマスの頭の上に浮かんでいた羅針盤状の光輪が、時計の秒針が時を刻むような小さな音と共に一方角分回転した。

次の瞬間、今まで超重力に押し潰されていたダマスは突然起き上がり、ハーツの脇腹に蹴りを叩きこんだ。

 

(なんだ…?俺は一切重力を緩めてはいないぞ…)

 

ハーツは真横に吹っ飛ばされ、大岩を貫通していく。ダマスは不敵に笑いながらそれを追い、追撃を仕掛けようと気の剣を構える。ハーツは再び手をかざし、ダマスを止めようと超重力をかける。しかし、周囲の地面は重力によって凹んでいるのにも関わらず、ダマスは全くその影響を受けていないかのようにそのままハーツに迫り、剣を振るった。

 

ビシュッ

 

ハーツの肩にビッと切り傷が出来、鮮血が飛ぶ。それを見たダマスは好機とばかりに剣でさらに斬りかかり、ハーツは上からの超重力は使わずに勝負に出る。無数に突いてくる剣撃を躱し、ハーツは重力を込めた渾身の拳でダマスの腹へボディブローを浴びせた。

ハンマーで叩かれた小石のようにダマスはぶっ飛び、血の飛沫を吐きながらどこまで行っても止まらない。ハーツは加速しそれに追いつくと、ダマスの顔面に拳を振り下ろした。

 

ドゴンッ

 

ダマスは背中から地面に激突し、白目を剥いて意識を失う。

 

カッチ…ン

 

しかし、またも頭上の羅針盤の針が回転すると、ダマスはパッと意識を戻し、ハーツの襟ぐらを掴んだ。ハーツはダマスが何かする前に素早くさらに打撃を叩き込むが、まるで鋼の塊を殴った時のような感触で、全く手応えが無かった。

 

「今、何かしたな?」

 

ダマスはハーツの体を地面に押し付け、位置を逆転する形でマウントを取ると両拳を振り上げた。咄嗟にハーツは後ろへ飛び、バク転を繰り返しながら後ろへ下がり続け、ダマスはそれを追って何度も拳を振り下ろす。

ハーツは上へ飛び、もう一度超重力を上から浴びせるも効果は無く、こちらへ向かってくるダマスへ蹴りを入れても全く効いていない。

 

「どうした!?ようやく私の高潔さを理解したか?」

 

「まさか」

 

次の瞬間、ダマスの体がガクンと後ろへ引っ張られていく。何かと思いダマスが後ろを見ると、無数の岩々がキューブで結合され巨大な岩塊となった物体が、背中に付けられたキューブで繋げられ重りにされていた。

岩塊はキューブの引力でダマスの反対方向へ動こうとし続けており、ダマスの力では為すすべなく後ろへ引っ張られハーツと距離を離されるばかりだった。

 

カチンッ

 

するとまたしても羅針盤の針が回り、ダマスはキューブの引力を脚力だけで強引に突破して大質量の岩塊ごとハーツへ体当たりをぶちかました。

 

「やるねぇ」

 

ハーツは吹っ飛びつつもキューブを生成し動きを止め、遠くから無数の光弾を発射するダマスを見上げる。

 

「神の裁きと知れ…!」

 

雨のように降り注ぐ光弾を、全身を包んだキューブの防御壁で完全に防ぐハーツ。そのままキューブごとダマスの方へ突撃していく。

光弾が効かないことに気付いたダマスは驚きの表情を浮かべるも、不敵に笑い…

 

カッチン

 

羅針盤の針が回った。ダマスは今までとはどこか違う様子の光弾を作り、発射する。それはハーツのキューブにぶつかり、先ほどまでとは違う効果を見せる。

ハーツが生成し利用するキューブは、空間内で重力操作をかける部分を正方形に可視化し結界で分断したものであり、その領域内においてはハーツの自在となる。防御壁としてキューブを利用した場合、その内部では外側へ向けて圧力が働いており、その反発作用で外からの衝撃を無効化している。

ダマスが新たに作った光弾は、外からの圧力を吸収し発散する性質を持たされていた。結果、キューブの外への圧力と光弾が相殺し合い、キューブの壁をこじ開けてハーツへ届いたのだった。

 

「やるじゃないか、正しく神に等しい力だ」

 

ハーツはダマスの光弾を絶え間なく浴びせられダメージを受けながらも爆炎の中で精神を集中させる。そして、ダマスの全身を覆う超巨大なキューブを生成し、彼を閉じ込める。そのキューブは大きさにして20メートルは優にありそうだった。

そして掲げた手を握ると、キューブはダマスひとりを覆う程度まで急激に小さくなると同時に中の空気を圧縮し、内部が超高圧に満たされる。今、ダマスは全身に高圧の負荷がかかりつつ、さらに大量の空気が圧縮されたことで生じた超高熱にも晒されていた。

 

「ぐぐ…ぬあ…がああああああッ!!」

 

ボギギ メギ…

 

ダマスは全身が圧し潰されながら焼かれる想像を絶する苦しみに侵される。

 

カチッ カチッ

 

その時、羅針盤の針が一気に二度回転する。

するとダマスは何食わぬ顔で内側からキューブを破壊し、ハーツに襲い掛かる。ハーツの防御を無効にする力を得たダマスは容易にハーツに肉薄し、剣による攻撃と肉弾戦で徐々に優勢になる。ダマスの渾身の一撃がハーツの胸にめり込み、勢い余ってはるか彼方へと吹っ飛ばされる。

 

「なんだ!?」

 

「きゃああ!」

 

その先には小さな町があり、ハーツはそのど真ん中に突っ込み地面にめり込んだ。近くにいた住民たちが驚き、逃げ惑っていく。ダマスはすぐさまハーツを追いかけ、停まっていた自動車の上に着地すると空間ごと切り裂く斬撃を放つ。

だがその寸前でハーツはもう一度キューブにダマスを閉じ込める。

 

「それが無駄だというのがわからんか」

 

「さあどうかな」

 

そして、今度はキューブを一気に拡大。中に急激な減圧作用を引き起こした。

 

「…おえええっ」

 

ダマスは呼吸困難と血圧低下で吐き気を催し、胃液と共に大量の血を吐き出した。

 

カチッ

 

だが、羅針盤の針が回ると、減圧によって泡立つように膨れた皮膚や血管が元に戻った。そしてキューブを打ち破り、周囲の建物を破壊しながらハーツの腹へ前蹴りを食らわせた。

ハーツはそのままいくつもの建物を貫きながら吹き飛ばされ、時計台に激突して止まった。凹んだ時計盤が軋み、何とか針を掴んでその場に止まった。

 

「ぐ…」

 

ダマスはハーツを殴る瞬間の拳から気の剣を出しており、腹に貫通した傷があった。

 

「おい、大丈夫か!?」

 

そこへサザンカとシロナが駆け付け、ハーツの体を支える。

 

「アイツ、どんどん強くなってる…」

 

「ここからはアタシたちが…」

 

「待て」

 

ハーツに代わり、ダマスとの戦いに挑もうとする二人を、ハーツ自身が止めた。

 

「え?」

 

「言ったろう、俺にやらせてくれ」

 

「でも…」

 

「今だから言うがな…俺は君たちの前で全然本気を出していなかったんだ。でも、君たち二人の…本気の力を見せられて、申し訳なく思ってね…だから、ここからは本気の俺が決めてやる」

 

そう言ったハーツの目には有無を言わせぬ闘志と、確かな信頼が溢れていた。それを見た二人は顔を見合わせ、ここへ来る前のやり取りの時のように笑顔を浮かべた。

 

「ああ、頼んだぜハーツ!」

 

ハーツは時計盤から立ち上がり、飛び立った。

 

(ここまで戦って推測するに、肝はあの羅針盤と針。針が1/8回転すると1個の事象に適応する!適応されるとその事象によって受けたダメージも回復しているな…回数は恐らく羅針盤が1週する8回までか?)

 

1回目は超重力。2回目は重力を込めた打撃攻撃。3回目はキューブの引力。4回目はハーツのキューブを使った防御への適応。いずれも羅針盤が回った後に動きを変えてきた。さらに5、6回目で圧迫と熱に適応し、7回目で減圧にも対応して見せた。

 

(予想通りならあと1回…8回適応させた上で完璧に叩き潰す!)

 

ハーツは高速でダマスへ接近しながら全身の気を開放し、さらに大きく膨らませる。純白と黄金に代わる代わる光り輝くオーラを発すると、一瞬の閃光と共にハーツは変身し、戦闘力を爆発的に増加させた。金髪が逆立って一房の前髪が垂れて揺れる。

その変化はまるで超サイヤ人を彷彿とさせるものであった。

 

「なに…!」

 

目の前に一瞬で距離を詰めてきたハーツが先ほどまでとは全く違う強さを持っていることに気付き、驚くダマス。その瞬間、ハーツのアッパーカットがダマスに命中した。

だが、既に重力で強化された打撃攻撃に適応しているダマスはダメージを受けない。だが、空高く打ち上げられていった。

 

「無駄なことだと言っている…!ぬ…!?」

 

さらに、ハーツはダマスに向けて手を掲げると、なんとダマスの顔と胸に縦一直線の切断されたような傷が走った。

 

(なんだ…これは…)

 

ずるっ

 

その直後、ダマスの肉体が縦の傷に沿って真っ二つに割れた。ハーツは一瞬にして二つのキューブでダマスの体を半身ずつ覆い、そのキューブをズラすことで中のダマスをもせん断したのだ。

 

「まだだ!」

 

だがダマスは別れていく半身ずつを手で押さえ、無理やりくっつける。

 

カチン

 

羅針盤が回り、ダマスは分断に対する耐性を得た。ついに羅針盤は一周し、ダマスの適応回数が限界に達した。しかし…今、ダマスが適応したのは分断に対してではなかった。

 

「今ので適応が完了した!8回目にしてようやく…貴様の使う重力操作能力すべてが私に対して意味をなさなくなったぞ!」

 

ダマスは超重力やキューブによる引力や引き起こされる作用の種類ひとつひとつではなく、ハーツの重力操作そのものに対して適応を終えた。つまり、ハーツの能力による如何なる効果も意味がなく、ダメージも受け無くなり、さらにハーツが重力操作で行う如何な防御さえ無視できるようになった。

これにより適応回数は1回とカウントされ、残り適応回数が7回となる。ダマスは戦えば戦う程、敵が多彩な攻撃手段を持つほどに、ボルテージが上昇する!!

 

ハーツの攻撃手段に対し全ての適応を終え、かつ回数も有り余っているダマス。そして超サイヤ人の如きパワーアップを遂げたハーツ。戦いの結末は…!?

 

 




魔虚羅いつもありがとう。
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