もしもカカロットが幻想郷に落ちていたら   作:ねっぷう

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新章始まります。


【Planet devourer “MORO”】
第482話 「Jailbreak」


さて、サザンカ、シロナ、ハーツが第11宇宙でジレンと戦い、全ての究極ドラゴンボールを持って第7宇宙へ帰還した時より日を遡る…

 

 

 

 

───銀河刑務所。銀河パトロールが捕らえた犯罪者が投獄される、その名の通りの刑務所である。その奥深く、強固なバリアーで厳重にロックされた監房の中で、しわがれた大柄な獣人が項垂れるようにして眠っていた。

年老いた姿の山羊のような頭と一対の大きな巻角を持つ獣人は拘束具のような椅子に座らせられ手足を拘束され、完全に自由を奪われていた。それはまるで、彼があまりにも危険すぎるが故の措置のように見えた。

 

それを、檻の外側、しかしずっと向こう側から恐ろし気に見つめる隊員の姿があった。

 

「モロの奴、まだ寝てやがるのか」

 

「まあ、何かされるより大人しく眠っていてくれる方が有り難いがな…」

 

ふたりの隊員はそう話しながら、モロ専用の隔離された官房を後にするのだった。彼らが立ち去ったのを薄目で見送りながら、モロは小さくほくそ笑んだ。

 

 

 

同時刻、銀河刑務所の廊下をふたりの囚人が歩いていた。

ひとりは金髪に普通の肌色という地球人に似ている姿をしており、もうひとりはオレンジ色の肌を持つ小柄な老人だった。金髪の方は名をクランベリ、老人の方はレモといい、共に元フリーザ軍に属しており、たった今同じ監房から出てきたところだった。

 

「レモ、お前はあっちへ行け。クランベリはこちらについてこい」

 

隊員がそう言うと、レモはもう一人の隊員と共に違う場所へ歩いていき、クランベリは小さく舌打ちしながらそれを見送った。

 

「お前も早く刑期を終えたいなら、レモのような模範囚でいることだな」

 

同じ罪状を背負いながらも、レモは収監されている間一度も問題行動を起こしたり隊員や看守に逆らうことなく、模範囚を貫いていた。そして今日、晴れて銀河刑務所を釈放されることになったのだ。

 

「わかったよ…これからは大人しくするさ…」

 

 

レモは手続きを済ませ、荷物をまとめると用意されていた帰りの宇宙船へ乗り込む。見送りの隊員が最後にレモに話しかける。

 

「お前はフリーザ軍の裏方だったそうだな。真っ当に生きていけるだけのスキルはあるはずだ、あとは頑張れよ」

 

「はい、お世話になりました」

 

 

「クランベリ、お前は今日からこっちの監房に移動だ。同じ部屋の奴らと問題起こすんじゃないぞ」

 

クランベリは隊員と廊下を歩きながらも、どこかソワソワと落ち着きのない様子だった。不審に思った隊員が足を止め、何か言おうとした瞬間───

 

バリン ドフッ!!

 

どこかで何かが割れる音が響き、振動と共に直後に噴き出すような水音が聞こえてくる。

 

「なんだ!?」

 

「来た来た来た…!」

 

それを聞いた歓喜の笑みを浮かべながらクランベリは拳を握る。

音の出処は、全ての監房を見渡せる広間のど真ん中にひとつだけある特別な監房へ続く通路。次の瞬間、その通路の奥から間欠泉から溢れる水流のような紫色のエネルギーが突き抜けてきた。同時に凄まじい突風が吹き荒れ、噴き出すエネルギーに誰も近寄れない。

隊員たちはそれに吹き飛ばされ、クランベリも後ろへ倒れ込み尻もちを搗く。その時、エネルギーの奥からゆったりとした大きな影が現れる。それは周囲の匂いを嗅ぎ、クランベリの方を向くとそちらへ歩み寄る。

 

「行くぞクランベリ」

 

「モロ様…!」

 

その場にいた隊員はその会話を聞くと、直後にようやく突風とエネルギーの噴出が治まる。そこには既にクランベリとモロの姿は無かった。

 

 

「な、何かあったのですか?」

 

いよいよ出発しようとしていたレモは凄まじい揺れを感じ、外にいた隊員に話しかける。

 

「お、お前は…!」

 

隊員はそう言うと何かによって遠くの壁までぶっ飛ばされる。

次の瞬間、レモの宇宙船の中にクランベリが乱入する。

 

「あ、アンタは…」

 

「どけ!」

 

クランベリはレモを引っ掴んで放り投げ、自分が操縦席に座って宇宙船を発進させる。勢いよく射出される宇宙船、窓にはどんどん小さくなっていく銀河刑務所。

 

「何をするんだ…一体どういうつもりで…!」

 

レモが起き上がりながらクランベリの肩を揺らすが、そのレモの肩に大きなしわくちゃの手が乗せられる。

 

「まあまあ、落ち着け」

 

モロも既に宇宙船の中にいた。モロの不気味な気配にすっかり飲み込まれたレモは状況と己の運命を受け入れ、震えながら静かに腰を下ろすのだった…。

 

 

─────

 

「モ、モロが…モロが脱獄した!!コードDA259だ!!全隊員に知らせろ!もちろん銀河王様にもだ!!一刻も早く、モロを再逮捕しなくては…!!」

 

モロ脱獄。それは全ての銀河パトロール隊員を震撼させる前代未聞の大事件だった。報せを受けた隊員はすぐに招集され、モロの行方を追い再逮捕するための部隊を編成する。

 

「まさか、モロの魔力が復活していたとは…」

 

「たった今使えるようになったにしては計画的すぎる!いつからか隠していたな」

 

「囚人の釈放されるタイミングに合わせて脱獄を図るとはな…恐らくクランベリもグルだったのだろう。レモが気の毒だ…」

 

「そんな事より、今はこれからどうやってヤツを捕らえるかを考えなければ!」

 

慌てふためく会議の場だが、その中でひとり冷静だったとある隊員が発現した。

 

「資料によれば1000万年前、大界王神様が『カイカイマトル』という技によってモロの魔力を封じたとありますよね」

 

「ああ、しかし大界王神様は500万年前に魔人ブウに吸収されている。そのブウも地球という星で消滅したという調べはついているんだぞ」

 

「そうなのです。ですから、助っ人の力を借りましょう」

 

「助っ人だと…?」

 

「ブロリーさんです。彼であれば、もしかすればモロを倒すことができるかもしれません」

 

「確かに…ブロリーなら何とかなるかもしれないな…」

 

ブロリーは一時期銀河パトロールに協力しており、その時の活躍や戦いぶりを知る者は少なくない。デストロンガス装置の原因だったDr.ライチーを撃破した時の圧倒的な戦闘力は鮮明に覚えられている。

 

「ではメルス、地球へ行ってブロリーを連れてくるんだ。頼めるか?」

 

「はい、もちろんです」

 

 

 

 

その少し後、銀河パトロールのジャコとスカッシュの元にもコードDA259の通信が入る。

 

「なに!?それは本当か!!?…わかった、すぐに帰還する」

 

「どうした?」

 

「スカッシュ、我々はすぐに帰還するぞ。コードDA259だ」

 

「DA259…って、おいマジか…」

 

シロナとサザンカの究極ドラゴンボール探しの旅に同行していたふたりは、惑星グママの次に降り立った海岸の惑星で通信を聞いた。

コードDA259、それはもしもの場合のために決められていた、モロ脱獄を示す暗号である。

 

「…すまないが緊急事態だ、我々は直ちに帰らねばならなくなった」

 

「んじゃドラゴンボール探しはどうすんだよ」

 

先に戻ろうとするジャコに、サザンカが苦言を呈する。

 

「それなら俺に任せてくれないか?俺はこう見えて片手じゃ数えられんくらいの桁の歳を生きている…この宇宙についても詳しい。きっと役に立つぜ」

 

今出会ったばかりの男、ハーツがそう言った。

彼らは悩み相談し、最終的にはジャコとスカッシュはここで離脱し代わりにハーツに同行してもらうことに決めた。

 

「わかった。とにかく、レーダーを直すなら急いで地球へ向かえ!星爆発のタイムリミットまで時間は押してしまうが仕方ないだろう!」

 

ジャコとスカッシュはすぐに宇宙船に乗り込み、宇宙へ飛び立った。

 

「こちらジャコ!今より本部へ向かいます!」

 

ジャコが本部に通信を入れると、それに出たのはメルスだった。

 

『ジャコ隊員、すみませんが至急地球へ向かってもらえますか?』

 

「メルス隊員…どうしてだ?まさかモロは地球へ向かっているのか?」

 

『いいえ、そういうわけではありません。モロを捕まえるため、ブロリーさんの助力を仰ごうと思っています。我々も地球へ向かっているので、そこで合流しましょう』

 

「…わかった」

 

「地球へ戻るんだな。でも、ブロリーは…」

 

ふたりは、ブロリーには子供が生まれ、今は安らぎの時を過ごしているという事を知っていた。いくらモロの再逮捕が銀河パトロールとして何よりも優先されるとはいえ、正直心苦しい。

 

重い感情のまま、ふたりは地球へ向かうのだった…。




星喰いのモロ編です。
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