もしもカカロットが幻想郷に落ちていたら   作:ねっぷう

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第484話 「Awakening」

「モロはどこに向かっているんだ?」

 

「ヤツの乗っている宇宙船は銀河パトロールの物です。当然位置も進路も既にわかっていますよ」

 

ブロリーを乗せた銀河パトロールの宇宙船は、モロが向かう方向へ先回りするべく全速力で航行していた。幸い、モロが脱獄に利用した宇宙船は隊員が普段使用するような高性能なモデルではない。あくまで出所した囚人が安全に居住地までたどり着くための最低限の性能しか必要ないためだ。

メルスはパネルを操作し、モロの乗る宇宙船の位置を表示する。

 

「そして、この宇宙船はより速い特別品です。モロが向かう先に先回りして迎え撃ちましょう」

 

だが、ブロリーはそのパネルに表示された地点の名前が気になっていた。

 

「ここは…行ったことがあるな」

 

スカッシュもずいっとブロリーを押しのけてパネルを覗き込む。

 

「メルスさん、これナメック星の付近じゃないっすか?アタイも行ったことありますよ、デストロンガスの時に」

 

そう、パネルに表示されている星系はあのナメック星が存在しているのだ。ブロリーは嫌な予感がし、メルスに質問する。

 

「モロと一緒に脱獄した奴がいるって言ってたな?もしかしてソイツは元フリーザ軍か?」

 

「そうですが…それが何か問題が?」

 

「かつてフリーザはナメック星にあったドラゴンボールを求めていた。その脱獄囚が元フリーザ軍であるなら、ドラゴンボールの存在を知っていてもおかしくない。モロはドラゴンボールを使うためにナメック星に…」

 

「そのドラゴンボールというのは一体何なのでしょう…?」

 

「7個集めると何でも願いを叶えられる球の事だ。いや、だが待てよ…ナメック星のドラゴンボールは存在しないはずだな…最長老の力を継いだピッコロがドラゴンボールを作っていないはずだからだ…」

 

「なーるほどな、モロはそれを知らずにノコノコナメック星へ向かってるってわけか、間抜けなヤロウだぜ」

 

「とにかくひとまずは安心という事でしょうか?」

 

「ああ、多分な…」

 

「ではすぐにナメック星へ進路を固定しましょう。モロの乗る宇宙船とは別の方向から先回りします」

 

 

 

 

 

「ふう…久しぶりに腹がいっぱいになった…」

 

レモに次々と積んである食材を使った簡単な料理を作らせたモロはその全てを平らげ、空になった皿を重ねて腹をさすっていた。

 

「エネルギー以外のまともな食物を食べたのは1000万年以上ぶりだ…本当に久しい。人間の数がウジのように増えたのと同時に、食事に関してもずいぶんとレベルが上がったようだな。素晴らしいぞ」

 

モロは上機嫌でそう言った。

 

「お気に召したようで何よりです…」

 

そう言いながら皿を下げようとするレモをじろりと見るモロ。

 

「くははっ、邪魔なようならじきにオレの養分にしてやろうと思っていたが、気が変わった。大したエネルギーにもなりそうにないし、しばらくは飯炊きとして使ってやることにした」

 

「は…ははっ、ありがとうございます…」

 

「モロさん、見えましたよ…ナメック星が」

 

宇宙船はナメック星の大気圏に突入し、速度を落として星の空を旋回する。淡い緑色の空に青い草が茂る大地、見渡す限りの大自然が広がっていた。

 

「ん…?あれは…銀河パトロール!?まさかもう着いていたのか!?」

 

「くくくっ、どうやらオレを捕らえる気のようだ」

 

クランベリとモロは先回りしていた銀河パトロールの宇宙船を発見した。

 

「銀河パトロールめ…モロさんと戦おうとするとはずいぶんと命知らずなヤツがいたもんですね…」

 

モロはそう言うクランベリを押しのけ、ぐいっと上半身を窓に乗り出して宇宙船を注視する。眼下にはブロリーがおり、こちらを睨んでいた。

が、モロはブロリーの暴力的な生命力を目の当たりにしても、不敵な笑みを浮かべるだけだった。

 

「ずいぶんと質のいいエネルギーを持っているじゃないか…」

 

 

一方ブロリーも、近付いてくるモロの邪悪な気をびんびんに感じ取っていた。

 

「確かに不気味な気だ…」

 

まるで無数の命が悲鳴を上げているような身の毛のよだつ不気味な気。今まで犠牲になってきた星や生命たちの怨嗟が一塊になっているのだ。

だが、戦闘力的には大した強さは感じられない。しかしブロリーはずっと感じている嫌な予感を拭いきれなかった。

いよいよ宇宙船が着陸し、開いたドアからモロがゆっくりと降りてくる。大柄だが曲がった背中に、皺だらけの顔に長い白髭…あまりにも老齢な姿の男が出てきたのでブロリーは少し驚いた。

 

「1000万年ぶりの外の空気…生き返るようだ…」

 

モロは上を向き、ゆっくりと深呼吸しながら呟いた。

 

「お前がモロだな?今すぐに刑務所へ戻れ」

 

ブロリーがそう呼びかけるも、モロはそれを聞いているのかいないのか返事もせず、目線は少し離れたところにあるひとつの民家の方へ向いていた。

 

 

…数分前

 

「何とかモロよりも先に着きましたね」

 

銀河パトロールとブロリーはモロ達よりも一足先にナメック星に降り立つことが出来た。

 

「おや、貴方はブロリーさんじゃありませんか!」

 

ちょうど降り立った場所の近くにあった村の長老ムーリが、やってきたブロリーを見てそう言った。ムーリはかつてのフリーザ一味襲来を生き残り、その後最長老となってナメック星を支えている。

 

「悪いが、今すぐに全員でここから避難してくれないか?」

 

「我々についてきてください」

 

「急ですな…しかし、貴方が言うからには相応の理由があるのでしょう?」

 

「モロという凶悪な脱獄囚がこれからこの星に来る。銀河パトロールの指示に従って安全な場所へ逃げていてくれ…さぁ早く!」

 

ムーリ達ナメック星人は銀河パトロールに連れられてどこかへ避難する。それを見届けたブロリーは、空に現れたモロの気を感じ取るのだった。

 

 

しかし、モロは目線の先の民家の中に逃げ遅れたナメック星人の子供、エスカがいることに気付いていた。ちょうど今頃避難先でエスカがいないことにムーリが気付いただろうが、もう遅かった。

モロはにやりと笑うと、民家に向かって手を伸ばし、超能力を使い中に隠れていたエスカを浮かび上がらせた。そのまま家の壁を破ってエスカを引き寄せ、その首を掴んだ。

 

「あ、ぐ…!」

 

「何をするつもりだ!」

 

「気にするな、ただの食事だ」

 

エスカの生命エネルギーを吸収しようと掌に力を込めるモロ。エスカも異変を感じ、苦し気な表情を浮かべるが…

 

「やめろ!!」

 

咄嗟に飛び出したブロリーが素早くモロに接近し、エスカを掴んでいる腕を蹴り飛ばした。モロは思わず手を放してしまい、解放されたエスカが地面を転がっていく。

 

「早く逃げろ」

 

「は、はい!」

 

「エスカ!こっちだ!」

 

エスカを探しに来たムーリがエスカを発見し、ふたりは共に避難場所へ逃げていった。モロは去っていくふたりを

見つめながら手をさする。

 

「久々の食事を…よくも邪魔してくれたな」

 

「ナメック星人には何度も迷惑をかけているんでな…これ以上数を減らされるわけにいかないんだ。お前の食事にさせてたまるか」

 

ボウウッ

 

次の瞬間、ブロリーは一瞬で伝説の超サイヤ人に変身し、黄金の気を纏いながらモロに対して構える。対するモロは姿を変えて増大したブロリーの気に目を見張るも、不敵な笑みを崩さない。

 

「オレを捕まえられると思っているのか?…無知とは恐ろしいな」

 

両者はしばし見合った後、ブロリーが先手を打った。巨体に見合わぬ速度でモロに迫り、殴りかかる。

が、モロはそれをサッと躱し、続けて繰り出される剛腕による連撃を見事な身ごなしで避け続ける。そして蹴りを躱すと同時に大きく後ろへ飛び跳ね、四つん這いになって着地し、その姿勢のまま地面を跳ねて追ってくるブロリーから距離を取る。

その老いた外見と、メルスの話では衰弱しきっていると聞いていたが、だとしてもこの動きは普通ではないと思った。

モロはクランベリの宇宙船の窓に張り付き、追ってきたブロリーを見ると上空へ逃げる。ブロリーは窓を踏みつけると、さらにモロ目がけて空を飛んだ。

 

「はっ!」

 

しかし、モロは向かってくるブロリーに向けて手を掲げると超能力を発揮し、彼を地面へ向けて墜落させた。自分もすぐに降り立ち、今度は宙に浮かび上がらせる。そして腕を振るうとその方向へブロリーも投げ飛ばされ、大きな岩山に突っ込んでいった。

ガラガラと岩山が崩れ、モロはどうだと言うように笑った。

 

ドンッ

 

だが、モロは異変に気付き、崩れた岩の下に目を凝らす。次の瞬間、下から真紅のオーラが爆発し、岩を吹き飛ばす。そこには深紅の髪を持つ、超サイヤ人ゴッドへ変身したブロリーが立っていた。

 

「…」

 

ブロリーにとっては生涯3度目のゴッドへの変身。だがブロリーは既にその力を完全にものにし、体から溢れるオーラを出さずに留めて無駄な消費を削減していた。

それを目の当たりにしたモロは笑みを止めて口を引き結び、向かってくるブロリーへ向けて超能力を放つ。

 

シャッ

 

だがブロリーは超能力を避け、続けて連続で向かってくる念力を全て躱す。そしてモロの眼前へ迫り、その拳を振り上げる。モロは咄嗟に腕を顔の前でクロスさせて一撃を防ぐも、勢いを殺しきれずに後ろへよろめき、顎を蹴り上げられた。

まともに攻撃を喰らった自分自身にモロは驚きつつも四つん這いで受け身を取り、口元を拭う。

 

「まだやるか?」

 

モロはゆっくり起き上がりながらさらに念力を使い、遠くに生えていたアジッサの木をへし折り、先端を槍のように尖らせて一直線にブロリーへ向かわせた。が、ブロリーはそれを見ることなく指先だけを向け、最小のエネルギー弾で木を消し飛ばす。

モロは続けて何本もの木や岩石を投げつけるも、やはりブロリーはその全てを見切り撃ち落とした。

 

「それで終わりか?」

 

 

「とりあえず、ここまで避難させれば安全でしょう」

 

メルスたちはムーリの村にいたナメック星人たちをとりあえず退避させた。

 

「メルスさん、どうします?アタイらもブロリーのとこへ行きますか?」

 

スカッシュがそう問いかけるも、メルスは顎に手を当てて考え込む。

 

「アイツは相当強いぞ。もしかしたらもうモロを倒してしまっているかもな」

 

と、ジャコが気楽な発言をするが、メルスはそうは思わなかった。

 

「いえ…それは考えにくいでしょう。やはり、魔人ブウが…いや、大界王神様のような力が必要かもしれません」

 

 

モロはブロリーの言葉を聞くと、再び不敵に笑い、身に纏っていた黒い大きなローブを脱ぎ去った。胸部や背中は白い外殻を纏い、肩と腰元が黒く長い体毛に覆われた、痩せた体が露わになる。

 

「オレの魔力が見たいのか…いいだろう、見せてやる」

 

だが、その異様な雰囲気にブロリーは一層身構えるのだった…。




少しの間は原作本編をなぞった展開が続きます。
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