もしもカカロットが幻想郷に落ちていたら   作:ねっぷう

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第485話 「Release」

「…エネルギーを吸収するんだろ?さっきナメック星人の子供にやったみたいに」

 

ついに戦闘態勢に入ったモロに、ブロリーはそう言った。

 

「ほう、ある程度の知識はあるようだな。同じ技だが、別の使い方もあるんだよ」

 

 

一方、ナメック星人たちの避難先ではジャコ、スカッシュ、メルスが話し合っていた。

 

「そのエネルギー吸収ってそんなにやばい技なんすか?」

 

「はい…しかもモロはただ単にエネルギーを吸収するだけではないようなんです。記録を見る限り…星全体から奪った膨大なエネルギーをそのまま攻撃に利用できたようなんです…」

 

モロは脱獄した時、宇宙に浮かぶ建造物である銀河刑務所をひとつの「星」だと認識することで、その内部に含まれるエネルギーを放出させて檻を破った。その場合、放出に利用したのは燃料や電気、水といった物質として存在するものであったが…

 

 

「はあああぁぁぁあああ…!!」

 

モロはその場で力を溜める。すると、足元の大地に亀裂が走り、石や土塊が浮かび上がったと思った途端、地中からエネルギーの柱が勢いよく立ち昇った。

 

「なんだその技は…!」

 

驚くブロリーを尻目に、モロは不敵な笑みを浮かべたまま指先を上へむける。

その瞬間、今度はブロリーの足元の地面が盛り上がり、エネルギーの柱が突き上がる。それはブロリーを下から打ち上げた。

 

「これは…!」

 

「星のエネルギーを放出する技だ。オレが持つ力とは関係なく、星に内在するエネルギーによって威力が変わる。このナメック星には随分と良質なエネルギーが集まっているようだな」

 

モロは腕を水平に薙ぐと、噴き出すエネルギーが高波のように連鎖してブロリーを狙う。後ろへ下がって避けるブロリーだが、その先々にエネルギーが待ち構えており、ブロリーは仕方なく空を飛んで退避する。

 

「く…空へ逃げるしかないのか…?」

 

が、モロはさらにエネルギーを操作し、今度は地中から盛り上がってきた岩盤が液体の如く形を変え、まるで意思を持つ生物のようにうねりながらブロリーを呑み込もうとする。

不意を突かれたことで回避が間に合わないと悟ったブロリーは、オーラで体に膜を張り、そのまま岩盤に呑み込まれる。岩盤は地面へドロッと流れると瞬時に固まってしまう。

地形すら思うがままに操るモロの魔力は大陸を揺るがすほどだった。

 

「デアアアッ!!」

 

だが、膜のようなバリアーで体を守っていたブロリーは岩盤を砕いて飛び出し、気を込めた拳を振り上げながらモロへと迫る。しかしモロは自身の目の前の地面から壁のように幅広くエネルギーを噴出させ、ブロリーは咄嗟に動きを止める。

 

「無駄だ」

 

モロはエネルギーの壁の中に顔を突っ込み、ブロリーに近付くと声をかける。

 

「お前はオレに指一本触れることは出来ん」

 

そのまま壁にしていたエネルギーを右手に集め、それを叩きつけてブロリーを後退させた。

ブロリーは歯を噛み締めて唸るも、その場でスッと構えを解いた。

 

「おいモロ、その技はいずれ限界が来るんじゃないのか?」

 

「くくっ、残念だったな…この技は星が死滅するまで尽きることはない」

 

「なんだと?」

 

それを聞いたブロリーはがっくりと項垂れ、悔し気にモロを睨む。

 

「クソ…悔しいが、俺にはこれ以上のパワーアップは無い…お手上げだ」

 

「負け宣言か…潔いな」

 

「せめて教えてくれないか?お前の目的はなんだ?何故ナメック星へ来た?」

 

「…これから死ぬお前に、何故教える必要がある?」

 

「目的によっては、オレを殺さない方がいい場合もあるだろ?」

 

「けひっ、命乞いか!銀河パトロールも落ちたものだな。オレは今極上の餌を前にして興が乗ってきたところだ…協力させてやる、お前の方がこの星に詳しそうだ。オレはドラゴンボールとやらを探しにここへ来た」

 

「やはりそうか」

 

「全部で7つ集める必要があるようだが、その在り処を教えてもらおうか」

 

「すまんな、オレはそこまでは知らん」

 

ブロリーは、やはりモロがドラゴンボールを求めていると確信できた。そして、この星にはドラゴンボールは存在しない!

 

「フン、ではやはりお前は不要だな」

 

モロはそう言いながら右手の拳を握ると、近くの岩山が砕け、内側の岩盤をエネルギーで変形させ、ブロリーを襲わせる。

 

「はあっ!」

 

すかさず気功波を放ってぶつけ、ぐんぐんと押し寄せる岩盤の波を食い止める。高波のような形状のまま固まった岩を前に、ブロリーは一息つく。

だが休む間もなく、彼の背後からモロが迫る。右手には星のエネルギーを抽出した球を掲げており、それを思いきりブロリーに振り下ろした。巨大に膨れ上がったエネルギーを、ブロリーは押さえ込む。

 

「ぐぐ…!」

 

「くくく…」

 

だが、メリメリと音を立てながら周囲の大地の岩盤を取り込み、さらに巨大化するエネルギーを前にブロリーは少しずつ押されていく。

 

「き、聞かせろ…お前の願いはなんだ…!それだけ強ければもう十分だろう」

 

「十分ではない、全盛期の力があればお前などといちいち戦う必要すらない…この星ごとオレの食料になってお終いだ。だが今はそれができない…気の遠くなるほど長い投獄でオレは衰弱しきっている…」

 

「なるほど…全盛期の力を取り戻す、それがお前の願いか」

 

「その通りだ」

 

「ふふふ…」

 

笑ったのは…ブロリーだった。

 

「それを聞いて安心した。お前の願いが叶うことは…ない!」

 

「…?」

 

次の瞬間、ブロリーの全身の至る箇所から水泡のような青い気がボコボコと昇っていく。一瞬目を閉じ、カッと見開くと、ブロリーの真紅の髪が蒼く変化し、ゴッドになることで細身になっていた肉体の筋肉が再び増す。そして、モロのエネルギーを押さえていた両手から緑色の気功波を発射し、それを一気に押し返した。

気功波は地面を大きく抉り取り、自身の元まで迫ってくるとモロは思わず身を翻してそれを避ける。

 

「キサマ…まだ力を隠していたのか」

 

「本当の狙いは隠しておくもんだろ?」

 

モロは口元を引き結んで何かを考え、両腕をぐわっと挙げる。するとモロの周囲から今までよりもずっと大きなエネルギーの柱と岩盤が噴き上がり、ブロリーに襲い掛かった。

だがブロリーはその軌道をすべて見切って予測し、次々と躱す。さらにはうねる岩盤を足場にし、ぐんぐんとモロに接近していき…

 

ドズッ

 

渾身の蹴りをモロの腹にめり込ませた。

 

「が…ッ!」

 

モロは勢いよくぶっ飛ばされ、海に墜落する。大量の水しぶきと波が上がり、クレーター上に凹んだ水面に水が流れ込んで凄まじい轟音が響き渡る。

 

「ふう…」

 

ブロリーはその場で息を切らし、変身を解く。そして岸辺に降り立つと、モロも海中からゆっくりと浮かび上がり、目の前に着地する。

 

「もうここまでだ。大人しく捕まれ…」

 

そう言った時、すぐ近くの上空を一隻の宇宙船が通過していった。あれはクランベリとレモが乗っている宇宙船だった。

 

 

「モロさんでもダメだったか…だが二度と捕まるもんかよ、今のうちに逃げちまおう」

 

「あ、あわわ…」

 

クランベリはモロが不利と見るや即座に逃げ果せようとしていた。

 

 

だがモロは、ブロリーがそれに気を取られた隙をついて無数の小さな気弾を投げ、目の前で炸裂させる。

 

「しまった…!」

 

モロは少し離れた場所の岩山の天辺に移動しており、そこで右腕を真上へ掲げ、吸い上げたエネルギーを球状にまとめ上げていた。その表情にはまだ余裕が伺える。

その時、周辺全体に異変が起こる。風もないのに木々や草が揺れ、大地が震えだす。

避難していたナメック星人たちも星の異変に気付いていた。困惑している間に、彼らの中に何もしていないのに息を切らしたり力が抜けてへたり込んでしまう者が現れる。

 

「なんだ…?」

 

モロは巨大なエネルギー塊を圧縮し、手のひらサイズの球にすると、なんと大口を開けてそれを飲み込んだ。

 

「ふう…久しぶりの食事は体に染み入るな…」

 

エネルギーを喰らったモロは明らかにその身のパワーを増していた。そして、クランベリが乗る宇宙船に指先を向けるとそこから念力を発し、その場に固定し、さらに地面へ向けて強制的に着陸させた。

 

「安心しろクランベリ、レモ…オレは負けない」

 

「そういうことか…メルスが早い段階で捕まえたがっていた理由がわかった。とっとと片付けてやる」

 

「けひっ、そうか、ではかかってこい」

 

確かに力を増したモロだったが、対するブロリーは冷静にその強さを見極めようとしていた。

 

(パワーアップしたようだが、まだ俺のブルーには及んでいないな。あの時の…ビルスに比べれば全然だ。ここで一気に仕留める!)

 

「はあああああ…!!」

 

ブロリーは再度ブルーへ変身し、モロがこれ以上力をつける前に倒しにかかろうとする。

だがしかし、ブルーへなろうと力を込めても、ブロリーの姿は変わらなかった。

 

 

 

 

「そ、そうか…!モロが吸い取る星のエネルギーには…星に生息する生物と植物のエネルギーも含まれるのか…!」

 

同じくナメック星の異変を目の当たりにしたジャコが気付いた。

 

「そうなんです…戦いながら相手のエネルギーを奪う…というやり方が可能なんです。恐らく今頃…ブロリーさんも力を吸い取られているはずです。我々は距離が離れているのでまだ無事ですが…」

 

星の地表面に足を付けていたり、大気中にいればそれはモロのエネルギー吸収対象になってしまう。メルスの危惧は既にブロリーに牙をむいていた。

 

ピリリリリ…

 

「ん?通信だ」

 

「誰だこんな時に…」

 

その時、スカッシュの通信機に誰かから連絡がかかる。それにジャコが苦言を呈しながら覗き込むが…

 

「え!?シロナたちか!?」

 

 

「え、うん。もう究極ドラゴンボール集め終わったからさ、迎えに来てくんない?場所は前に別れた海岸が綺麗な星で、こっちも今から向かうから…」

 

第11宇宙から帰還し、ドラゴンボールをすべて集めたシロナたちがハーツの宇宙船からスカッシュへ通信を送っていた。

 

 

「もう集め終わったのかよ!?アタイらと別れてから2週間くらいしか経ってないじゃないか!」

 

『あはは、ハーツさんのおかげでね。ちょっと色々あったけどもう集めちゃったのよ』

 

「そ、そうか…」

 

その会話を聞いていたメルスがジャコに提案する。

 

「今話しているのがシロナさん、という方ですか?」

 

「そうだが…まさかこんなに早く帰ってくるとは思わなかったな」

 

「…ジャコ隊員、シロナさんたちを迎えに行きましょう。そしてこの星に来て一緒に戦ってもらうんです」

 

「「え!?」」

 

メルスの提案、それはブロリー本人の口から「自分よりも強い」と聞いていたシロナとサザンカをここへ連れてくることだった。

だが、果たして…?




【現在公開可能な情報】

漫画版超のモロ編と本作の相違点

・銀河パトロールにスカッシュがいる

・レモがモロとクランベリと同行している

・ナメック星に来たのが悟空ベジータではなくブロリー

・ナメック星のドラゴンボールが存在しない

・魔人ブウが既に消滅しているため大界王神も既に存在しない

・モロがエネルギー吸収だけでなく物理的に食物を直接喰らう事にも興味を示している
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