もしもカカロットが幻想郷に落ちていたら   作:ねっぷう

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第486話 「Consumer」

「なれない…超サイヤ人になれないだと…!?」

 

ブロリーはいくら変身しようと力を込めてもブルーになれず、さらにはなんと普通の超サイヤ人にすら変身できなくなっていた。

そう、ブロリーは戦っている間にモロにじわじわと少しずつ、気付かれない程度の速さでエネルギーを吸い取られていたのである。

好機と見たモロは岩山の上から一直線に飛び、目にも止まらぬ速度で迫るとブロリーの顔面を掴み、そのまま遠くの岩盤へ向けて投げ飛ばす。ブロリーは岩山を破壊してその向こうの地面を捲り上げ、ようやく停止したが、通常状態でダメージを受けたことによりすぐには起き上がれなかった。

 

「ククク…オレの魔力は星の生命エネルギーを奪うことを知っていたのではないか?当然、お前のエネルギーもたっぷり頂いているぞ」

 

「なんだと…」

 

「さっきのお前の言葉を使わせてもらおう。本当の狙いは…隠しておくもんだろ?」

 

邪悪さが滲み出た笑顔でそう言い放ったモロは、手の平から衝撃波を放ち、さらにブロリーを地面へ押し付け、めり込ませていく。

だがブロリーも攻撃から抜け出し、素早くモロの背後を取って蹴りを仕掛ける。

 

「わかっているぞ」

 

モロは足を掴んで蹴りを受け止め、ブロリーの大柄な肉体を軽く振り回し、地面へ叩き付ける。もう一度、今度は額を尖った岩石に突き刺すように振り下ろし、ビチャッとブロリーの額が裂けて血が噴き出す。

そして空高くブロリーを放り投げ、地面へ落ち行く瞬間、地中から星のエネルギーを噴出させて包み込んだ。

 

「ぐおおおおお…!!」

 

エネルギーの一撃を受け、吹き飛ばされたブロリーは倒れ込むも、何とか肘を支えに上体を起こす。

 

「体から…力が抜けていく…!」

 

「戦えば戦うほどお前のエネルギーは減っていくぞ」

 

ブロリーは体の陰に隠していた左手に凝縮したような小さな気弾を作っていた。そして、それを勢いよく投げ飛ばした。

剛速球のように宙で震えながら迫る小さな球は、途中でグンと巨大化し、隕石の如くモロに向かう。

しかし…モロの貪欲さをブロリーはまだ甘く見ていた。簡単に吸収されないように大きな気弾を放ったのだが、モロは口を開け、ギュウウと巨大な気弾を吸い込み、一飲みにして吸収した。

 

「!?」

 

「…ケヒッ、そしてオレはどんどん強くなる」

 

モロはここまでで増した自身の力を確かめるように、腕をだらんと垂らした前傾姿勢のまま、自身の頭上に巨大なエネルギー弾を生成する。青の上に黄色いスパークが弾けるそれは、モロが念じるだけで急速に落下する。

そしてブロリーの真上から着弾させ、超巨大な爆発を起こすのだった。

 

 

 


 

 

 

 

 

一方その頃、破壊神ビルスとその付き人ウイスはまだ地球に滞在し、日夜地球のグルメを堪能していた。

 

「この寿司というのも美味い、いくらでも食えるな」

 

「いくらですか?少々お高いですが頼みますか?」

 

「違う!どれほどでも食えるということだ!…まあ食べるが」

 

「昨日召し上がったもんじゃ焼きというのも多変美味でしたね」

 

「アレは惑星モンマースの巨大ワニのゲロみたいだったから抵抗があったが、確かに美味かった」

 

「では明日はお好み焼きというものを食べてみましょう」

 

ふたりでやいのやいのと言いながらガツガツと食べているが、ここはカプセルコーポレーションの庭。ブルマが呼び寄せた腕利きの職人がわざわざ屋台を開いてビルスたちに料理を振舞っていたのだ。

 

「明日は…って、またここに来るつもり?」

 

呆れた様子でそれを見ていたブルマが文句を言う。その腕にはジュバンが抱かれている。

 

「なんだ、文句でもあるのか?お前はこの星の通貨を多く持っているからな…お前が呼んだ職人の方がそこらの店よりも腕がいい」

 

「あるから言ってんでしょ」

 

「まあまあ皆さん、落ち着いてください。…おや」

 

そう言ったウイスは机の横に立てかけていた杖についている緑色の水晶が発光しているのに気付く。誰かから連絡が来ているようで、ウイスが杖を取ると、水晶には界王神であるシンの姿が映っていた。

 

「ウイス様、ご相談が…」

 

「あら界王神様、どうかされましたか?」

 

「今、ナメック星のエネルギーが急激に低下したので様子を見てみたら、モロという者が星のエネルギーを吸い取っている様子。そのモロは1000万年前に無数の星を滅ぼした存在のようですが…」

 

「なるほど、そうでしたか。ビルス様、今の聞きました?」

 

「星が消えそうってことか?いいじゃないか!フリーザや魔人ブウ然り、そしてモロ…第7宇宙は放っておいても定期的に星を破壊してくれるヤツが現れるから助かるね、ボクは色々と忙しいから」

 

「それではこの件は放置…ということでよろしいですか?」

 

「ああ、あんな水しか飲まん奴らの星なんてどうでもいいね、興味ゼロだ」

 

ビルスはそう言いながらサーモンの寿司をバクバク食べ続ける。

 

「…らしいですよ。では」

 

「あっ!ちょ、ちょっと!」

 

ウイスはあくまで破壊神の付き人であり中立の立場。破壊神の決定に意見することは立場上許されない。界王神との通信を切ったウイスだが、その直後に再び杖が光り出す。

 

「あら、今度は何方でしょう。はいもしもし…これはこれはお久しぶりです。ええ、わかりました。ビルス様」

 

通信で誰かと少し喋った後、ウイスはビルスに声をかける。

 

「今度はなんだ!?」

 

「大神官様から呼び出しです」

 

「…エ!!??」

 


 

 

 

 

ブロリーはモロのエネルギー球の着弾を間一髪後ろへ飛んで避けられたものの、その後に発生した爆発に巻き込まれていた。地面が削られ捲れ上がり、舞い上がる粉塵一粒一粒が着火されさらに巨大な熱を生み出す。

近辺にあったムーリの村の家屋がなぎ倒され、かなり広範囲にわたって影響が及ぶほどだった。避難先のナメック星人たちでさえ、今ので自分らの村が消え去ったのだと悟る。

 

「ぐうっ…」

 

巨大で深いクレーター、その赤熱した壁にもたれかかるようにしてブロリーが倒れていた。その体の上には砂や灰が覆いかぶさっている、

 

「ようやく抵抗できなくなったか。驚いたぞ、オレの時代にはお前のようなヤツはいなかった。厄介だったのはオレの能力を奪った大界王神くらいだが…まあ、現代の界王神程度は話にもならんだろうな」

 

クレーターを見下ろしながらそう呟いたモロは急降下し、勢いと重さを乗せた膝蹴りをブロリーの腹へ叩きこむ。

 

「ぐが…!」

 

「言っておくが、だからといってお前を脅威に感じているわけではないぞ」

 

モロはブロリーの首を掴み、高く持ち上げる。

 

「むしろ逆…大歓迎だ。何故なら、オレがさらに強くなることを意味しているのだからな」

 

次の瞬間、モロの手とブロリーの首が光り輝いた。モロが手を離すと、そこにはブロリーから奪い取り出したであろうエネルギーの球が握られていた。

モロはそれを喰らい、ブロリーは白目を剥いて力なく再び倒れた。

 

「む…」

 

そして、モロは内から漲るパワーと軽くなっていく体を認識する。

 

「おお、おおおお…魅せてくれたな…!」

 

曲がっていたモロの背筋が真っすぐ張り、体と顔の皺が減り、胸元まで蓄えられていた白髭も短くなった。体つきもいくらか筋肉質になり、全体的に若々しくなった印象を受ける。

 

「信じられん、ここまで肉体が回復するとは…」

 

モロ本人でさえもその回復量に驚いている。というのも、モロはナメック星へたどり着くまでにレモの作る料理を平らげたことでエネルギーの許容量が増加していたのだ。

 

「モロさんなら勝てると信じていました…」

 

と、そこへクランベリがやってきてモロに声をかける。振り返ったモロはじっとクランベリを睨みつける。

 

「…オレを欺くなど無意味だと知れ」

 

モロはクランベリが真っ先に逃げようとしたことを忘れていなかった。忠告を受けたクランベリは肝を冷やす思いをしながらもなんとかモロと宇宙船へ戻るのだった。

 

「お、おかえりなさいませ…」

 

レモは雰囲気の変わったモロに面食らいつつも顔には出さず、淹れたお茶を差し出した。

 

「で、どうやってドラゴンボールを集める?」

 

茶を飲みながらモロがそう尋ねると、クランベリは装着していたヘルメットを操作し、格納されていたスカウターのレンズを出した。スカウターは強さを計測するだけでなく、そこには生命反応が表示されている。

 

「これでナメック星人共の居場所を探るんです。奴らは村単位でひとつずつ持っているので村の位置が特定できれば簡単に奪えるんですよ」

 

「…ナメック星人共が固まっている場所がいくつかあるな。これがお前の言う村か?」

 

「たぶんそうです。あ、そうか…モロさんにスカウターは必要ありませんね」

 

「では近場から行くとするか」

 

クランベリは宇宙船を浮かび上がらせ、飛行機として利用する。その時、眼下のクレーターで倒れこんでいるブロリーの姿を発見した。

 

「ちなみに…アイツは死んだんですかね…?」

 

「エネルギーを吸い尽くされた者は放っておけばいずれ死ぬ。奴の生死などどうでもいい…早く行け」

 

「は、はい…」

 

レモもちらっと窓から眼下を覗き、倒れているブロリーの無残な姿を見て震えあがるのだった。

 

「ひええ…」

 

「怖がる必要は無いぞレモ…お前はオレに養分にされる恐怖を味わわなくて済むのだからな」

 

 

 

 

 

「いたな。あれがシロナたちの乗る宇宙船だ」

 

シロナたちを迎えに行ったジャコ、スカッシュ、メルスは宇宙空間を航行するハーツの宇宙船と合流した。出入口を格納式の通路で繋ぎ合わせ、そこを通って両陣営が顔を合わせる。

 

「急な申し出ですみません、私はメルスと申します」

 

「うん…それで、モロってやつはブロリーさんでも勝てないの?」

 

シロナは真剣な眼差しでメルスにそう聞いた。

 

「分かりませんが、十中八九勝てないでしょう。奴は相手のエネルギーを吸収します、倒すには吸収され切る前にこちらから強力な力と物量で圧し潰す必要があります。…二人とも、なかなかの力を…いや、三人でしたか」

 

シロナの後ろにはサザンカに加えてハーツもいた。

 

「それなら俺の力も使ってくれよ。きっと役に立つさ」

 

「ああ、どんなヤロウだろうがぶん殴ってやる」

 

ハーツもサザンカもやる気満々といった感じだった。

 

「…分かりました、ありがとうございます。では我々の宇宙船に着いてきてください。共に行きましょう、ナメック星へ!」

 

 

 

 

場所は戻り、ナメック星───

 

「うう…」

 

「あ、まだ起き上がらないでください」

 

ブロリーは目を覚ますと、ナメック星人の家の中で寝かされていた。ここは洞窟の中に作られた隠れ家で、そう簡単に外部の者に見つかることはない。

どうやら、ブロリーに助けられたエスカというナメック星人の子供が付きっきりでブロリーの治療をしてくれていたようだ。

 

「君は…君もモロに力を奪われただろう、無理はするな…」

 

「大丈夫です、おかげで少し奪われただけで済みましたから。僕にも治癒能力があります、ピッコロさんほどではありませんが…全回復することはできないですが何もやらないよりは多少回復を早めることができるので…」

 

「そうか…ありがとう。ところで、俺は一体どれくらいここにいる?

 

「3日だ。お前たちは3日眠っておった」

 

ムーリがそこへ現れ、ブロリーにそう告げた。

 

「3日…だと…!?モロはどうした!?」

 

「モロは…既に3つの村を襲っている。この星にもうドラゴンボールがないことを知らんのだ…奴らは躍起になって住人を皆殺しにしておる…」

 

ゴゴゴゴ…

 

その時、地震が起こる。

 

「また始まってしまった…」

 

 

 

 

4つ目の村にたどり着いたモロは、村の周囲を噴き出すエネルギーで囲って住人の逃げ場を無くした。そして、見せしめにまず適当な村人を念力で持ち上げ、エネルギーの壁に放り投げる。

 

「タニッシ!」

 

そのタニッシという名のナメック星人は一瞬にして炭となり、消滅した。

 

「お、おのれ…!」

 

「村を炎で囲んだ。誰もここからは逃げられんぞ、ドラゴンボールを出せ」

 

そう要求するモロだが、その表情には余裕が無く、不機嫌に眉を顰めていた。横に付き従っているクランベリも、なぜか青ざめた表情で震えていた。

 

「そんなものはここにはないっ!早く立ち去れ!」

 

この村の長老であるツブリに付き添っている大柄な若者がそう返す。モロはその若者を指先からの衝撃波で突き飛ばし、エネルギーに突っ込ませた。彼もまた、抵抗する暇もなく殺された。

 

「どうせお前らは全員死ぬ運命だ、抵抗するだけ無駄だぞ」

 

「悪魔め…!言っておろう、この星にドラゴンボールは存在しないと!」

 

それを聞いたモロは目線をクランベリに向ける。恐怖を感じたクランベリはツブリ長老に走り寄り、怒鳴りつける。

 

「そんなはずはないだろう!!調べはついているんだ!7個集めると願いが叶うドラゴンボールが、この星にあるんだろ!?それぞれの村の長老が持っているはずだ!!」

 

「…ドラゴンボールは以前お前たちが来た所為で当時の最長老の寿命が尽きるのと同時に消滅し、それ以来作っていない…!」

 

「な…なに…!?」

 

クランベリはドラゴンボールの存在をモロに教える代わりに共に脱獄させてもらった。つまり、ドラゴンボールが存在しないとなれば、モロとの約束は果たせない。それは、即ち…死!

 

「モ、モロさん…!申し訳ありません…どうか命だけは…!」

 

だが、モロはクランベリの謝罪など聞く耳を持たず、無視してじっと何かを考えこむ。クランベリは不思議に思って顔を上げると、モロは何かを思いついたような笑みでツブリを見ていた。

 

「ならば今の最長老は誰だ?教えろ」

 

「…誰が教えるものか!」

 

モロはそう答えられるのを分かっていたかのように、両腕を上げて念力を使い周囲のナメック星人を全員同時に宙へ浮かび上がらせる。

 

「お前らの命はオレが握っていることを忘れるな。オレは機嫌がよくなった、正直に答えれば殺さないでやる」

 

そう言われたツブリは、不安気な顔で自分を見つめる村人たちの顔を見渡し、少し葛藤した後、観念した。

 

「…ムーリという長老が、今の最長老だ」

 

「場所は?」

 

「ここから北東へ…」

 

「ふむ…最初へ降り立ったところだな。分かったもういい、死ね」

 

モロは聞きたいことだけ聞き終えると自身の発言すらも無に帰し、浮かべていたナメック星人の村人全員をエネルギーに投げ込み、消滅させた。

辺りが静けさに包まれる。聞こえるのは燃え盛るエネルギーの炎が噴き出す音だけ。

 

「…ん?」

 

その時、何者かが猛スピードでこの場へ接近する気配に、スカウターを使っていたクランベリが気付き、そちらに振り向く。

なんと、他とは一線を画する圧倒的な闘気を纏うナメック星人の若者がこちらへ向かってきていた。

 

…ナメック星人には同化という最終手段がある。神や最長老と同化したピッコロ大魔王のように、ひとりのナメック星人をベースに力を増加させる技。それを何十人もの戦士が繰り返すことで誕生した救世主が星を守るために、悪を討つために立ちはだかる。

 

「はああっ!!」

 

救世主はクランベリを突き飛ばし、モロに背後から殴りかかる。

 

ドズッ…

 

「が…!」

 

一撃で倒された…のは、無慈悲にも救世主の方だった。モロは後ろを向くことすらなく、不意に腕をまっすぐ後ろへ伸ばすだけで、救世主の胸を貫いていた。

 

「さて…行くぞクランベリ」

 

顔すら見ずに殺害した救世主から腕を引き抜き、付着した血を拭いながらそう言うモロ。

 

「ど、どちらへ…?」

 

「おそらく最長老のムーリとやらは最初の村の近くにいた奴だな…他よりも質のいい魔力を持っている。ククク…ドラゴンボールがないなら作らせればいい」

 

 




そういえば、モロも大魔界出身なんですかね

もっとDAIMAが前に放送していたら大魔界編も書いてみたかったんですが…
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