もしもカカロットが幻想郷に落ちていたら   作:ねっぷう

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第487話 「Participation」

「モロが真っすぐこっちへ向かってきている…」

 

ブロリーは、モロの気が近付いていることに気付いた。

 

「まさか…!救世主までやられるとは…無念じゃ…」

 

ムーリもまた、ナメック星人最後の希望があっさりと敗れたことに驚きつつも静かに嘆くのだった。

 

「モロは我々の気配に気づいたのでしょうか…?」

 

共にこの場にいたナメック星人の青年がそう言った。

 

「どうだろうな。個人単位での探知が可能になったと考えるべきだろう…狙いは、恐らくだがムーリだ」

 

ブロリーでさえ、一度気を認識した者であれば、ある程度の距離なら個別に割り出す事ができる。モロも出来るようでも不思議ではない。

 

「わ、わしか…!?」

 

「既にドラゴンボールが存在しないことを知って、それならばと最長老であるムーリにドラゴンボールを作らせようとしているに違いない」

 

ブロリーはそう言いながら起き上がり、隠れ家の出口に歩き出す。

 

「どうするつもりじゃ…」

 

「当然迎え撃つしかない」

 

「無茶だ…立つだけで精一杯のはず…」

 

「だとしても…奇跡に縋ってでも俺は戦わねばいけないんだ」

 

心配するナメック星人たちに見送られ、ブロリーは再び戦いへと出向くのだった。

 

岩山の上に立ち、どんどん近付いてくるモロの気を感じ取る。すると、はるか遠くにモロの乗る宇宙船の光が現れた。

 

「はっ!」

 

ブロリーはその場で気を高める。だが、いくら気を増大させたところで超サイヤ人に変身することは能わず、ただ通常状態のまま気を開放するだけ。仕方ないといった笑みを浮かべるとなけなしの力を振り絞って飛び立った。

 

 

「アイツは…!」

 

一方、宇宙船内のモロもブロリーの接近に気付いた。

 

「…生きていたのか」

 

生命エネルギーを搾り取った生命がまさか3日も生きているとは思わず、苛立たし気に呟くのだった。

 

「こそこそと隠れていたとは…腰抜けめ。これ以上ちょろちょろされても面倒だ…今度は確実に殺すとするか」

 

宇宙船は向かってくるブロリーに全速力で突っ込み、モロとブロリー、両者がこれからの激突を想像し臨戦態勢に入った。

 

…ゴオオッ

 

だが、その時。上空からさらに大きな宇宙船が舞い降り、両者の間に割って入る。

クランベリは驚いて宇宙船を急停止し、同乗していたレモがバランスを崩して床を転がり、モロは微動だにしない。

あの大きな船は銀河パトロールの宇宙船だ。上のハッチが開き、中から拳銃を構えたメルスが姿を現す。

 

「メルス…!」

 

ブロリーは、そういえば避難先にメルスたちが居なかったことを今更思い出した。

メルスは即座に銃で発砲し、クランベリの宇宙船の両舷を撃ち抜いて破壊する。浮力を保てなくなった宇宙船はその場で煙を吹き上げ、墜落を始める。

 

「う、うわあああ!!」

 

だが、モロは宇宙船から飛び出し、そのまま空高く飛んでいく。

 

「イリコ隊員、上昇してください!」

 

「了解!」

 

イリコという隊員が宇宙船を操り、メルスを乗せたまま急上昇する。一瞬でモロに追いつき、眼下から迫るメルスを見下ろすモロの口の端が不気味に吊り上がる。そして、真上から無数のエネルギー弾を発射してメルスを狙った。

 

が、メルスは動じることなく冷静だった。着用していたブーツの足裏からジェットが噴き出し、宇宙船よりも速いスピードで浮かび上がり上昇、迫るエネルギー弾をすべて躱しながらぐんぐんとモロへ近付いていき、ついに追い越した。

 

「…!?」

 

そして、モロの目の前で止まると…

メルスは左腕のアームギアを向けながら操作し、ピンク色の半透明な液体を噴射した。

 

「な…」

 

それはモロの全身を覆い、風船のように包み込んだ。

 

「なんだこれは…」

 

メルスはその拘束用バルーンを引き寄せ、足裏のジェットを使い高速で地面へ降り立ち、モロを叩きつけた。モロはすぐに立ち上がり、バルーンを内側から破壊しようと試みるが…

 

「があああああ!!」

 

弾力性があり、かつ衝撃を受け付けないバルーンはいくらモロが暴れてもビクともしなかった。

 

「お前を捕まえるために銀河パトロールが開発した捕獲機だ。そう簡単に壊せないぞ」

 

「煩わしいな、銀河パトロール…」

 

「メルス…このまま連れて帰れるのか?」

 

ブロリーがメルスにそう声をかけるが…

 

「いいえ、ずっと拘束しておく力はありません…あくまで一時的なものです。さぁ今です!モロをお願いします!」

 

「…あれは」

 

ブロリーが腕を見上げると、いつの間にか空に見知らぬ宇宙船が浮かんでいた。だが、その中にはよく知っている強い気が感じられた。

 

「まさか!」

 

宇宙船のドアが開き、小さな二つの影が舞い降りる。拳を構えるサザンカと、カッターナイフに変えた左腕を振り上げるシロナだった。

 

 

『残念ながらシロナとサザンカはしばらく帰ってこないぞ。今どこにいるかもわからない。だがひとつ言えることは…あのふたりは、一度暴れれば俺よりずっと強いぞ』

 

 

それは、メルスが最初にナメック星へ来る途中に宇宙船の中でブロリーから聞いたことだった。ジャコからシロナとサザンカという人物の話を聞き、ブロリーにどんな人物なのか、そしてすぐに呼び出すことは可能かと尋ねたのだ。

メルスもここまで案内してきたが、まだふたりの強さを目の当たりにしたわけではない。モロも新たに現れた食料を目撃し、バルーンを破れないとしても迎え撃つ姿勢を取る。ブロリーもまさかふたりが来るとは思ってもおらず、驚くと同時に期待を寄せる。

 

「味見…といったところだな」

 

バルーンの中にいようとも、体を動かせる程度の自由はある。モロはそれだけで十分だと高を括り、上から迫るふたりに向けて腕を伸ばし…

 

カッ

 

その瞬間、シロナとサザンカの姿が消えた。

 

「!?」

 

かと思えば、凄まじい衝撃がモロを襲う。既に超サイヤ人4に変身したサザンカの拳が顔面へめり込み、ファントムになったシロナの蹴りが背中に命中していた。

 

「かはッ…!!」

 

同時攻撃をモロは目玉が飛び出すほどの威力を受け、動きが止まる。さらにサザンカのアッパーが顎を突き上げ、シロナに角を掴まれ地面へ押し倒される。顔面を地面に打ち付けられ、その後すぐに引き上げられる。

すると再び拳を振りかぶるサザンカが目の前におり、渾身のパンチがモロを吹っ飛ばした。

 

バリィ!

 

衝突した気が黒い閃光となって弾け、モロの体を覆っていたバルーンが破れてしまう。

 

「そんなことが…一時的とはいえモロを拘束できるバルーンが、あれだけの攻撃を受けただけで破壊されるとは!」

 

メルスもサザンカの拳の威力に驚いた。

 

「ぬがああああッ!!」

 

だがバルーンが破れたのを好機と見るや、モロはその場で咆哮し、腕を挙げると地下のエネルギーを噴出させてサザンカを足元から焼こうとする。

が、いつの間にか背後にいたシロナがモロの腕を抱くように掴んで引っ張り、それに気を取られたモロの腹へサザンカの拳が入る。

 

「ぐおお…!!」

 

さらに、シロナは足払いでモロのバランスを崩し、両足を掴んで思い切りスイングする。その先にはまたも拳を構えたサザンカがおり、振り回される勢いもろともパンチが顔面に突き刺さった。

 

ドンッ

 

シロナは思い切り大地を踏み、岩盤を隆起させて壁を作る。サザンカはモロの肩の毛と頭の角を掴んで今できた壁に背中を思いきり叩きつけ、脇腹に蹴りを食らわせた。

 

 

「すさまじいですね、あの人たちは…」

 

「…俺もまさかあそこまでモロを一方的に殴れるとは思わなかった」

 

シロナが能力による多彩な技でモロの隙を作り、サザンカが強烈な打撃をぶち込む。ふたりの連携はあのビルスでさえ危険を感じるほどである。

 

 

…しかし。

 

ギュウッ

 

モロはサザンカの足を掴み、手の平からエネルギーを吸い取った。

 

(なんだ今のは…!)

 

力を増したモロは、逆に力の減ったサザンカを念力で弾き飛ばし、岩盤を砕いて視界を遮ってきたシロナの位置を見抜き、魔力を込めた突風の衝撃波を吹かせて吹っ飛ばす。

 

(これがエネルギー吸収か!)

 

シロナは指を立てて停止し、地面を蹴ってモロに迫る。口に溜まった血を吐き、向かってくるシロナにエネルギー波を撃とうと構えるが…

 

ズンッ!!

 

突然モロの体にとてつもない重力が圧し掛かり、その場で膝をついた。その瞬間、シロナの膝蹴りが顎にヒットし、モロは後ろへ倒れこんでしまうとともにまともに体の前面に超重力を喰らい起き上がれなくなってしまう。その瞬間、駆け寄ってきたサザンカに頭部を蹴り上げられた。

 

 

「今の技はなんだ?」

 

「…彼でしょう」

 

離れた場所に宇宙船を停止させてやってきたハーツがここへ戻り、上空から重力操作の能力を発動させていた。ブロリーにとってはハーツという存在を見るのは初めてであり、メルスもここへ来る間にハーツの能力について話だけ聞いていた。髪が逆立ち、既に超ハーツになっており、その能力の威力を底下げしていた。

 

モロは超重力に潰されながらも指先をクイッと上へ向け、地中から液状化させた岩盤を飛び出させ、波のように操ってサザンカを襲わせる。飲み込まれ、閉じ込められてしまうサザンカだったが、ハーツが投下したキューブの爆発によって岩盤が砕け救出される。そして片膝をついて復帰しようとしているモロに走り寄り、渾身のドロップキックを食らわせた。

 

(さっきほど効いてねぇ…!)

 

既にサザンカはナメック星に降り立ったことで少しずつエネルギーを吸収されており、さらにモロに直接エネルギーを吸い取られパワーダウンしていた。モロはキックを胸で受け、筋肉に力を込めてサザンカを吹っ飛ばした。

 

「ぐあ…!」

 

「次はお前だ」

 

モロも魔力の衝撃波でハーツの超重力を跳ね返し、飛び上がって怯んでいるハーツに急接近し、回し蹴りを肩に叩きこむ。ハーツは腕でガードしたが、直後にモロが放った無数の細かなエネルギー弾を至近距離からぶつけられ、爆風によって吹き飛ばされた。

 

「ハーツさん!」

 

シロナはモロに飛び掛かり、両腕を剣のような刃に変形させ斬りかかる。が、モロはそれを避けると同時にシロナの胸へ拳をめり込ませ、そのまま首を掴んで締め上げる。

 

「あぐっ…」

 

さらに、吹っ飛んでいったハーツを見ると、目から念力を放ってハーツを絡めとり、自身の元へ引き寄せてシロナを掴んでいる反対の腕でハーツの首を掴んだ。

 

「わざわざ俺の食事になりにきてくれるとはな」

 

ふたりのエネルギーを吸収し始めてしまうモロ。ギュンギュンとポンプで吸い上げられるかのようにエネルギーを奪われるが…

 

ドゴォ!!

 

シロナは何ひとつ変わらないパワーでモロの顔面を殴り、大きくぶっ飛ばした。

 

「な…!?」

 

モロはすぐに空中で体勢を戻し、腕を振るって魔力の波動を飛ばす。シロナもまた全身に紫色の魔力を纏ったまま高速で移動し、次々と飛んでくる波動を躱しながらモロの真横を通過し、そのすれ違いざまに腹へ膝蹴りを叩きつけていった。

 

「ヂィッ!」

 

すかさずハーツがキューブを飛ばしてモロの両腕を拘束し、自身の背中にもキューブを取り付けて高速移動、モロの顔面へパンチを入れる。

 

「お前の力が一番ぬるいな」

 

そう言いながら、既に力の弱まったハーツの攻撃など意に介さず口を開け、エネルギー砲を吐き出してハーツの顔を狙う。当然、喰らえば頭部が吹っ飛ぶほどの威力が込められているが、咄嗟にシロナがハーツの腕を引いて斜線上から退避させる。

 

「すまない!」

 

「全然!」

 

そのままシロナは拳のラッシュを仕掛け、モロは応戦しそれを捌き始める。

 

(この餓鬼…どういうわけだ?オレのエネルギー吸収が通用しないというのか?)

 

シロナたちとの戦いが始まってから、まずモロは当然星のエネルギーを吸収し、同時にシロナ、サザンカのエネルギーも少しずつ吸い取っていた。そしてサザンカから直接エネルギーを抜き取って喰らい、ハーツのエネルギーも喰った。

だが、ここまでシロナのエネルギーだけは一切取り込むことができていなかったと理解する!

 

(理屈はわからんが…)

 

シロナの拳が腹にめり込み、さらに側頭部を蹴り上げられるモロ。

 

(よもやコイツは…大界王神以来の天敵と成り得るかもしれん!)

 

摩訶不思議なシロナの体質により、生涯二度目となる天敵の出現を予感する。だが、それでもいくらか余裕のあるモロの表情からはまだ敗北の色は浮かんではいなかった。

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