もしもカカロットが幻想郷に落ちていたら   作:ねっぷう

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第488話 「Desire」

「モロさんでも銀河パトロールに捕まっちまうとは…」

 

墜落し、大破した宇宙船から這い出るクランベリとレモ。

 

「こうなったらもうオレ達はお終いだ…お前もまた捕まるのは御免だろ?」

 

「…いや、おれは…このまま銀河パトロールに捕まるよ」

 

「正気か!?またあの監獄に戻りたいのか?」

 

「その方が…ずっとマシだ…」

 

「いいかレモ…お前はもうたくさんのナメック星人殺しに加担してるんだよ。モロさんに守ってもらわなきゃ、オレたちは…」

 

だが、レモは俯いたままその場から動こうとしない。クランベリはもうレモを見捨て、いち早くこの星から逃れるための宇宙船を探そうとする。

 

「…ん、アレは…」

 

その時、クランベリは遠くの方に宇宙船が停めてあるのを発見した。あれは見たことがないタイプの船だ。

しかし、それはハーツの宇宙船であった…

 

 

 

(よもやコイツは…大界王神以来の天敵と成り得るかもしれん!)

 

モロは好戦的な笑みを浮かべると共に取り込んだエネルギーを開放し、ここでシロナを始末すべく現状持てる力をすべて発揮する。そして、腕を一気に突き出し、攻撃中のシロナの腹を貫いた!

 

「ふっ…」

 

得意げに笑って見せるモロだが、シロナは止まらなかった。緩むことのないパワーで殴られ、モロの腕が引き抜かれる。

 

(なんだと…)

 

どういうことだと目でシロナの状態を確認すると、今貫いた胴体が見る見るうちに修復を終えようとしていた。

ニヤ~と笑うシロナと、それを見て何か来ると身構えるモロ。

 

「『ア』!!」

 

シロナが大声を出すと、その文字が物体化しオブジェとなってモロに激突する。

 

「ぐ…!」

 

モロは吹き飛びつつ星のエネルギーを抽出して巨大エネルギー弾を生成し、シロナへ投げつける。が、シロナはそれを蹴りで相殺し、反撃の気弾を撃ってモロに命中させた。

 

モロの魔力でさえもものともせず攻め立てるシロナ。エネルギー吸収やそれを利用した攻撃を受け付けないシロナの種を探ろうとする暇もなく、モロは追いつめられる。

ひとまず距離を置こうと地上へ降りるも、シロナが正確に撃ってくる気弾を避け、勢い余って地面を転がってしまう。

 

「ち…!」

 

その瞬間、真上から突っ込んできたシロナがモロの腹に重さを乗せた蹴りを突き刺しながら着地し、そのまま馬乗りになって殴りつける。

 

「ご…があっ…!」

 

成すすべなく殴られ続けるモロだが、隙を見て口の中にためていたエネルギーを放出し、シロナの不意を突きながら彼女の頭部を消し飛ばして見せた。

 

 

「ああっ、まずい…!」

 

それを見ていたメルスが思わずそう口にするが、ブロリーは大丈夫だと動じなかった。

 

 

スッ

 

頭を失い、そのまま後ろへ倒れこむシロナだったが、殴るために振りかぶっていた腕の先が新しい彼女の頭部に変わり、驚いたモロを蹴り飛ばした。

モロは岩壁に突っ込み、起き上がろうと藻掻きながら苛立ちの表情をシロナへ向けていた。

 

そして、再度激しい攻防戦を繰り広げる両者。だが優勢なのはシロナで、無尽蔵の魔力による不死性と変幻自在な体を使った戦法によってモロはどんどんボロボロにダメージを受けていく。

 

シロナが足を素早く伸縮させ、モロの脇腹に蹴りをぶち込む。思わず白目を剥き、歯を噛み締めた口から血を流してしまう。

さらにシロナはモロの両足を掴み、その場で竜巻が生まれるほどの速度で高速回転する。そして勢いのままにモロを投げ飛ばし、岩に激突したモロはゆっくりと崩れ落ち、なおも起き上がる。

 

「おのれ…魔力が完全に戻れば…!星を丸ごと喰うことができれば…キサマに力で負けることなどあり得ない!!」

 

モロはさらに全身から魔力を放出するが、その直後にシロナの拳を顔面に受ける。

 

「だいぶタフなのは認めるけど…言い訳なんてかっこ悪くな~い?」

 

シロナはそう言いながら、自身の脇腹付近の肉をもぞもぞと動かし、直後にもう一対の腕を生やす。額に切れ込みが出来たかと思うと、くぱっと開いてもう一対の眼が生まれる。

四腕四眼となったシロナの変貌にモロは驚きつつも、さらに増加したであろう手数に対応するため全力でラッシュを仕掛ける。

 

「ウラァ!!」

 

だが、シロナの壁かと見紛うほどの密度と速度で繰り出される拳の連撃はモロの攻撃などかき消しながら衝突し、顔面、胸、腹…次々と全身へくまなく拳がめり込む。

 

「ウラウラウラウラウラウラ!!」

 

「ぬがあああ…!!」

 

ストン…

 

その時、空が黒くなった。

 

夜になったのではない。文字通り、空が黒に包まれたのだ。

 

「ん?」

 

シロナも拳の速度を緩め、モロも空の変化に困惑している。

 

「これは…!」

 

「急に空が暗く…」

 

「この星では急に夜が来るのか?おかしなところだな…」

 

メルスやジャコも口々にそう言った。だが、ブロリーやサザンカらはこの変化に覚えがあった。そう、これはどこかでドラゴンボールの神龍が呼び出されているときに起こる現象である!

 

そしてその直後、遠くで光の柱が天へ昇って行ったかと思えば、それはここからでも十分目視できるほどの大きさの巨大な赤い龍となる。

 

「サザンカくん…あれはもしかして…」

 

「アタシらが集めた究極ドラゴンボールの…神龍じゃねえか!?」

 

モロにエネルギーを吸い取られ、変身を解除されたまま地面でへたり込んでいたハーツとサザンカも大変な事態に気付く。

 

 

 

 

案の定、ナメック星人たちの避難先ではクランベリが佇んでいた。だがその体はボロボロで、墜落した時のダメージもあるだろうが、周りに何人ものナメック星人が倒れていることから、クランベリが何とか彼らに辛勝した結果だろう。

しかしナメック星にドラゴンボールは無く、当然神龍も存在しない。ならばなぜ空が暗く変化したのだろう。

 

その答えは、クランベリの正面に置かれている…7つの究極ドラゴンボールだった。

 

同時にクランベリのヘルメットに内蔵されていた翻訳機をナメック星人の子供エスカに装着し、意識をコントロールしていた。クランベリは神龍を呼び出す合言葉を聞き出しており、既にそれを発した後だった。「出でよドラゴン」…と。

 

サザンカたちが幾多もの宇宙を巡り、種族も文化も違う人々と出会うことで手に入れた究極ドラゴンボールが点滅し、天へ伸びていく光の柱がうねりながら超巨大な龍へと変化した。

 

「さあ、願いを言え…どんな願いもひとつだけ叶えてやろう」

 

空を覆う程に長大な赤い体に、山のように巨大な頭部がじっとクランベリを見据えている。

 

「ひとつ…だと…!?ナメック星のドラゴンボールは3つだったはずだ…そうか、球の大きさが違うからか…」

 

厳密にはそうではない。クランベリはハーツの宇宙船を発見し、それを奪って逃げ果せようとしたのだが、ふと中に保管されていた究極ドラゴンボールを見つけてしまった。

となればクランベリの欲が勝ってしまい、それを持ってナメック星人の避難場所を襲撃し今に至る。

クランベリが見たことのあるナメック星のドラゴンボールは脇に抱えなければ持てないほど大きかったが、このドラゴンボールは手のひらサイズだ。大きさが小さいので願いの数も少ないのだと考えたが、実際には作った者の裁量で決まっていることをクランベリは知らない。

 

「…いや、待てよ…そうだ!おい、昔はこのナメック星にもドラゴンボールがあったはずだ…それをオレの目の前に復活させることはできるか!?」

 

「…可能だ。願いを叶えてやろう」

 

究極神龍の目が光ると、クランベリの足元に大きな球が7つ転がる。それは、クランベリもフリーザと共にかつて集めていた事のある、ナメック星のドラゴンボールに他ならなかった。

 

「願いは叶えた。さらばだ…」

 

究極神龍はそう言うと消えていき、究極ドラゴンボールは回転しながら空高く浮かぶと、遥か彼方へと消えていった…。

神龍が消えたことで空は明るい状態へ戻り…

 

「よしいいぞ…今度はこのデカい方のドラゴンボールを使って…。『出でよドラゴン』!!」

 

「…~~~、~~~~」

 

クランベリがヘルメットのマイクに合言葉を喋ると、翻訳機が作動しエスカが自動でナメック語に変換された合言葉を発した。

すると今度はナメック星のドラゴンボールが点滅し、眩い光と共にポルンガが出現すると再度空が暗くなる。

 

「さぁ願いを言うがいい。どんな願いも3つ叶えてやろう」

 

「まずは…オレの傷を全部治してくれ!このままじゃ死にそうだ…」

 

「~~~~、~~~~…」

 

「わかった、ひとつ目の願いを叶えてやろう」

 

ポルンガがそう言うと、宇宙船の墜落とナメック星人たちとの戦いで負ったダメージが全回復する。

 

「おお、すごい…本当に治ったぞ!」

 

 

 

 

 

「また暗くなったぞ!」

 

「一体、何が起こっているのでしょうか…」

 

当然、ジャコやメルスら銀河パトロールにドラゴンボールと神龍の性質など分かるはずはない。しかし、空が暗くなっている以上誰かが神龍を呼び出している。それも二度空が暗くなった…つまり、究極ドラゴンボールと別のドラゴンボールを連続で使用している者がいる!

 

「このまま願いを叶えられたらまずい!」

 

ブロリーもなけなしの気を振り絞り、ポルンガの反応がある場所へ飛び立つ。

 

「俺たちも行こう」

 

「ああ」

 

同時にサザンカとハーツもその方へ向かって飛んで行った。

それを見たモロも焦り、シロナに殴られ続けながらも超能力を使って遠い位置にいるクランベリの脳内へ直接話しかける。

 

(クランベリ、聞け!)

 

 

 

 

 

「え?モ、モロさん…?」

 

クランベリの元へモロの声が届く。

 

(いいか、急いでオレの魔力を全盛期に戻すよう願え!)

 

「…」

 

だが、クランベリは何かを躊躇し動こうとしない。

 

(どうした早くしろ、銀河パトロールの仲間がそっちへ向かったぞ…時間がない)

 

「オ…オレを辺境の星へ逃がしてくれるっていう約束は…」

 

(この願いを叶えた後に好きにしろ!…キサマ、またオレを欺くような真似をすればどこに隠れようが宇宙の果てまで探し出して殺すからな)

 

そう脅しをかけるモロの声色には焦りが見え隠れしている。

 

「わ、わかってますよ…」

 

「さぁどうした、ふたつ目の願いを言え」

 

ポルンガも急かし始め、クランベリはようやく願いを口にする。

 

「モロさんの魔力を全盛期の状態に戻してやってくれ」

 

「わかった。ではふたつ目の願いを叶えよう」

 

 

 

 

 

 

ドクンッ

 

その時、モロに電流走る。

 

全身から青く揺らめく魔力が立ち昇り、それは先ほどまでとは比べ物にならないほど大きく、また凝縮されていた。

モロは不敵に笑うと、直後に自身の下の地面からエネルギーを噴出させ、シロナを吹っ飛ばすと同時にそれに紛れて一瞬にして姿を消す。だがシロナはモロの行方を目で追っており、すぐにその方向を見るが…

 

「速い…!」

 

全身に炎の如き魔力を纏い、モロはこれまでとは比べ物にならない推進力でポルンガの位置へ向かって飛んでいく。

途中でサザンカとハーツ、そしてブロリーに追いつくと真上を通過しながら魔力を使い彼らを地面へ叩き落して行った。

 

「うお…!」

 

「なんだ!?」

 

「モロの気が…!まさか魔力とやらを…!」

 

暗い空に毒々しく発光する青色の魔力の尾を引いてゆくモロの姿が見えた。

 

 

 

 

「さぁ、最後の願いを言え」

 

いよいよクランベリは最後の願いを口にしようとしていた。

 

「3つめの願いは…オレをフリーザ軍も銀河パトロールも…そしてモロさんにも見つからない辺境の星に」

 

ズン!!

 

だが、願いを言い終えかけたクランベリの体に重たい衝撃が響く。

 

「あ…ああ…!」

 

そして、自らの腹から突き出してきた青い手を見つめ、続けてゆっくりと後ろへ振り向くと…そこには邪悪な笑みを浮かべているモロの姿があった。

 

「ち…ちくしょう…!」

 

「ご苦労だったなクランベリ」

 

モロは腕をクランベリの胴体から引き抜くと、支えを失った体がドサ…と地面へ倒れ込む。その時には既にクランベリは事切れていた。

 

「実はもうひとつ叶えたい願いがあってな…すまんがお前の願いを叶える枠は無くなってしまったんだ」

 

腕についた血と臓物の欠片を拭い落し、クランベリが装着していたヘルメットを脱がして奪い取るとそのマイク部分に口を近づける。

 

「おいポルンガとやら、まだ願いは残っているんだろ?」

 

「ああ、あとひとつ好きな願いが叶えられる」

 

「そうか。では最後の願いを叶えてもらおうか…『────────』、だ」

 

「~~~~、~~~…」

 

モロはマイクに最後の願いを言うと、翻訳機を付けられているエスカがそれをポルンガへ伝える。

 

「…よし、これですべての願いを叶えてやった」

 

「ククク…いいぞ」

 

ポルンガが願いを叶えたことを伝えると、モロは満足げに笑い、用済みとなったヘルメットを握って破壊する。解放されたエスカだったが、翻訳機にも破壊のショックが伝わり、その場で気を失ってしまう。

 

「さらばだ」

 

そして、ポルンガは再び光の筋となって消え、7つのドラゴンボールに戻ると、それらは空へ浮かび上がりそれぞれ別の方角へ飛び散ってゆくのだった…。

空も明るくなり、上を見上げてそれを眺めていたモロは近くへ降り立ったブロリーたちに気付く。

 

「しまった…!」

 

「ハハハ…少し遅かったようだな。たった今願いを叶え終えたところだぞ」

 

「こ、この野郎…!」

 

サザンカはモロへの怒りを露わにする。あれだけ苦労して集めた究極ドラゴンボールでさえも使われてしまったからだ。しかも、あれをまた集めなおさなくては地球滅亡のカウントダウンは止まらない。

 

「…ナメック星人も殺しやがって」

 

ムーリを含めたナメック星人たちの亡骸を見渡したブロリーはそういうが、モロは笑いながら悪びれる素振りを見せずにクランベリの死体を指差しながら言った。

 

「おいおい、ナメック星人どもを殺したのはコイツだぞ」

 

「仲間まで殺したのか…。魔力の復活のほかに何を願った?」

 

「さぁな、じきに分かるさ。さて、もうお前らと戦う必要は無い…じゃあな」

 

モロはそう言い残すと、地中からエネルギーを噴出させ、それに紛れてまた姿を消した。いや、今度は姿だけでなく気配や魔力の残滓すらも完全に断ち切っており、行方を探すことは不可能だった。

 

「クソッタレ…どこへ行きやがった…!?」

 

全盛期の魔力を取り戻しながらも、ブロリーたちを残して消えたモロ。叶えた最後の願いと、その目的は一体…?

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