もしもカカロットが幻想郷に落ちていたら   作:ねっぷう

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第490話 「Movement」

モロは吹っ飛ぶブロリーに追いつき、魔力を纏わせた岩石を無数に放って狙う。ブロリーは途中で体勢を立て直し、超サイヤ人ゴッドへ変身しエネルギー弾を放って岩石を破壊し撃ち落とすが、その隙にモロはブロリーを追い越して遠くにある直径数十メートルほどの小惑星の裏へ隠れる。そしてその星から浮かび上がらせた岩石をさらに射出した。

 

「ちっ!」

 

ブロリーは小惑星方向からの岩石を相殺するためにさらに気弾をいくつも投げる。だがその直後、モロは小惑星の表面へ姿を現すと飛ばした岩石を自ら消し飛ばし、着弾場所を失ったブロリーの気弾を纏めて口で吸い込み飲み込んだ。

 

「しまった…!」

 

次の瞬間、モロは目にもとまらぬ速度で飛び出し、ブロリーの顔面へ頭突きをぶつけ、さらに腹を殴り別の小惑星へ墜落させる。

 

「フン…いくらかパワーは取り戻したようだが、その赤髪までしか変身できないようだな。最も、青髪になったところでもはやオレには及ばないがな…所詮はその程度ということだ」

 

その時、遅れてシロナがここへやって来ているのに気付いたモロ。すると一気にブロリーとの距離を詰め、至近距離からの気功波を浴びせる。

高威力に晒されて黒焦げになったブロリーの体が硬直し、宇宙空間を力なく漂っていく。

 

「今のところ、オレの脅威に成り得るのは…」

 

シロナは遠距離から伸縮する腕を使って拳を放つも、モロは見切っていたかのように顔を横へ傾けて躱す。だがシロナはさらに目を見開いて額に電気を迸らせると、巨大な稲妻をモロへと落とした。

 

シュン

 

「お前くらいなものだな」

 

しかし、既にモロはシロナの背後へ逆さまの状態で浮かんでおり、蹴りがシロナの脳天へ叩き付けられる。

ブシッ、と血が飛沫となって無重力空間に広がるも、シロナは自身の血液を集めて固め剣を作り、素早く一閃を振るった。

 

ザシュ…

 

それはモロの胸に傷を作り、一瞬モロは怯んだ。が、すぐに反撃として腕を振るった一撃を放ち、血の剣を砕きシロナの肩に当て胴体をベキリとへし折る。

が、シロナは文字通りくの字に折れ曲がった状態で額から電流を発し、今度は稲妻としてではなく一直線に直接モロの頭に直撃させた。

 

「ッ…!!」

 

脳へ強烈な電圧と負荷がかかり、モロは苦悶の表情を浮かべる。が、モロの手はシロナの腕を掴んでおり、まだハーツの技を使う隙とは言えない。シロナはモロの頭の角を両手で掴み、口を開けると顔面に真正面からの火炎放射を浴びせた。

 

ボオオオオオオ…!!

 

扇状に広がりながら宇宙空間に明るい橙色を展開させる業火だが、モロの身に纏う魔力によって相殺されている。やがてモロはシロナを蹴り飛ばして強引に引き剥がす。

 

「はは…!ははははは!!」

 

モロは心底愉快そうに笑いながらシロナへ追撃を仕掛け、それに対応するシロナもラッシュで応戦する。拳を掴まれたシロナはそのまま振り回されて投げ飛ばされるが、無数の稲妻をモロへ叩き付ける。モロは魔力でそれらのダメージを軽減しながらシロナへ最接近し、エネルギー波を一発。

しかしシロナはモロの真下に移動しており、額から発する稲妻を弓、吐き出した炎を矢のように操って番え、雷撃と火炎を組み合わせた強力な一撃を放った。

 

ドウッ!!

 

「ぬうっ!」

 

それはモロに直撃し、凄まじい爆発が発生する。だが、モロはほとんどダメージを受けていない様子でその中から飛び出し、再びシロナに殴りかかり熾烈な肉弾戦を繰り広げる。

両者はほぼ互角の打ち合いを繰り広げ、モロの顔には好戦的な笑みが浮かぶ。だがその時、モロの背後から接近するひとつの影が。

 

「…」

 

上半身全体に酷い火傷を負った状態のブロリーが無言のまま鬼気迫る表情でモロの背中に殴りかかる。が、モロは魔力の波動でシロナを吹っ飛ばすと、振り向くことさえせずに腕だけでブロリーのパンチを受け止める。

 

「もはやキサマなど相手にならん。消えてろ」

 

そして身を翻しながら蹴りを叩き降ろし、それを喰らったブロリーはいくつもの岩塊にぶつかりそれらを砕き割って下方へぶっ飛ばされる。

そして、シロナはそれを見るとすぐさま一気にブロリーの元へ飛んでいき、その背中に手を触れた。

 

ボウッ!

 

シロナは魔力を使ってブロリーの傷を癒し、気を分け与えて万全な状態に戻す。急激に力が戻ったブロリーは勢い余って超サイヤ人ブルーへ変身し、目線だけでシロナへ感謝を伝えるとその場から上昇しモロへ攻撃を仕掛ける。

 

(大男の方が完全に回復した…)

 

モロはそう頭の中で確認しながらブロリーの攻撃を防ぐ。が、予想外のパワーの前にガードが外れ、胸に追撃の拳を喰らう。

 

「チッ…!」

 

負けじと魔力を纏わせた腕を振るうが、突然何かが胴体に巻き付き、腕ごと拘束される。その先を目で追うと、シロナが両腕を伸ばしてモロをグルグル巻きにして動きを封じていた。そこへブロリーが渾身の力を込めた拳を振りかぶって接近してきた。

 

「…小娘、キサマはつまらんな」

 

今度は心底不機嫌な顔でそう吐き捨てると、モロは力を込めてシロナの腕をバラバラに引きちぎり、ブロリーの拳が自身に当たる前に彼の顔を掴み、シロナへ向けて投げつけた。

 

「初めからキサマひとりで挑んでいれば僅かだが勝機があったものを…」

 

ブロリーはシロナを受け止めるが、直後に接近してきたモロの大振りの拳を顔面へ受ける。

 

「わざわざ弱い者をふたりに増やしてどうする。キサマは全てをかなぐり捨てて喰らうべきなのだ、その魔力で手当たり次第に…周囲など鑑みずにな」

 

モロは自身のエネルギー吸収が効かず、かつ同等の魔力とその運用法を持つシロナを脅威と認めつつあった。だが今のシロナは明らかにパワーダウンしていた。モロに対抗できる者は多い方がいいと考え、魔力をかなり消費してブロリーを完全回復させたからだ。しかしモロと互角に渡り合えていたシロナが弱くなってしまったことでモロ以下の戦士が二人に増えるという結果だけが残ってしまった。

 

「つくづく…愚かな」

 

そして、シロナを片腕で抑え込みつつ、もう片方の腕でブロリーを締め上げ…その肩に直接喰らい付く。これならハーツが掛けたキューブによる防御を無視できると踏んでの事だったが…

 

その傍らで、シロナの目には勝利の確信の色は消えていなかった。

 

直後、シロナは全身から特大の電流を放つ。それは真っ暗な宇宙空間で青白い輝きを放ち、ナメック星の大気圏から出られないハーツの目にも届いた。

 

 

「今なんだな!?」

 

ハーツは視認した青白い電気の奔流を目印にモロの地点を捕捉し遠隔で重力操作能力を仕掛ける。それは確かにモロの四肢と背中に作用し、その肉体全体をナメック星の重力下へと引き寄せる。

 

 

「オレを見ているのは気付いているぞ」

 

 

だが、ハーツがモロの気を捕捉しているのと同時に、モロもハーツの気を捕捉しやろうとしている事を察知していた。遠く離れているのにも関わらずモロの殺気を直接浴びたかのように、ハーツはその場で能力を使うのを躊躇ってしまう。

 

「まだ駄目だ…!もっと大きな隙がいる!」

 

 

「ふん、この程度の脅しで怯むとは…なんとも胆力のないヤツだ。さて、せっかく戻ったところで悪いがキサマのエネルギーを頂戴しようか」

 

モロはいよいよブロリーに噛みついた口からエネルギーを吸引しようとするが…

 

グイィッ

 

突然後頭部に粘着性の物体がへばりつき、頭が後ろへ引っ張られてブロリーの肩の肉を裂いて口が離れてしまう。シロナは咄嗟にブロリーを抱えてモロを蹴り飛ばして距離を取り、何が起こったのか確かめる。

 

「アナタは…!」

 

宇宙服バージョンの隊服を身に纏ったメルスがアームギアから発射したバルーンをモロの頭に取り付けていた。

だがそれを煩わしく思ったモロは頭を前方へ振り、バルーンを引き寄せてメルスを逆にこちらへ吹き飛ばす。

しかし、メルスも冷静に対応し、バルーンを自ら切断して慣性を利用しモロの頭上を飛び越え、シロナとブロリーの腕を掴むとブーツの足裏からジェットを噴射し高速で下にあった小惑星へ着地する。

 

「ご無事ですか?」

 

「ああ、何とか…」

 

ドン!

 

そこへ魔力を纏うモロが目の前に着地し、怒りのこもった表情を向ける。

 

「またキサマか…銀河パトロール風情が!」

 

メルスはモロの怒りなど無視し、すぐさま光線銃を発射する。モロも当然のようにそれを避け、外れた弾が背後にあった岩山に当たり、それは岩肌を穿つ威力だった。

さらに光線銃を連射するが、その全てを躱すモロ。その顔にはさらに苛立ちが募っている様子。

 

「無意味なことはやめろ」

 

だが、メルスはひたすらに銃を撃ちまくる。

 

「やめろと言っているのが…わからんか!」

 

痺れを切らしたモロはエネルギー弾でメルスを狙う。唐突な攻撃に驚くメルスだったが何とか反応しそれを上へ飛んで避け、モロの背後へ向かって再度バルーンを発射する。

が、頭上を飛んでいくバルーンを不思議に思ったモロが目線だけで後ろを見ると、先ほどまで矢鱈に連発していた光線銃によって背後にあった岩山の上部が削れて落ちそうになっていた。バルーンはその岩石に張り付き、メルスがそれを引っ張るとモロへ向かって巨大な岩石が迫る。

 

「ふん」

 

モロは苛立たし気に拳を振りかぶり、一撃で岩石を破壊する。

 

「…!!」

 

だが、粉になった破片の向こうから現れたのは、こちらへ足裏を向けて飛んでくるメルスだった。不意を突かれているモロの顔面に、メルスは足裏からのジェット噴射を近距離から浴びせ付けた。

 

「目が…ッ!」

 

モロは一つも傷を負うことはなかったが、眼球に直接ジェットを受けたことで一時的に目が眩んでいた。

 

ドグォ ドドド…

 

その瞬間、ブロリーの剛腕がモロの顔面にさく裂する。さらに高速で3発、まったく狂いなく同じ個所へ。

 

「ギッ…!!」

 

 

「今しかない!やるぞ!!」

 

ついにハーツはモロの大きな隙を捕捉する。そして能力を使い、一気にモロをナメック星の地上へと瞬間移動させることに成功した。

 

「やったのか!?」

 

「ああ、皆で行こうかサザンカくん」

 

 

 

シュン

 

ナメック星の大地に降ろされたモロの目の前に、シロナ、サザンカ、ブロリー、ハーツの4人が立ちはだかる。何が起こったのか理解したモロは眉をひそめてじっと彼らを睨みつける。

 

「何睨んでんだよ、コラ。状況が分かってんのか?もうエネルギーを奪えねぇテメェはこれからアタシらがぶっ飛ばすんだぜ」

 

サザンカが凄みながらモロにそう言葉を投げる。

確かに、ブロリー以外はほとんど万全とは程遠いが、それでもフルパワーの半分程度には力が残っている。その上にハーツによってエネルギー吸収への対策もしてある…いくらモロといえど、一斉に掛かられれば敗北は必至だ。

 

「くくくっ」

 

だが、モロは笑った。

 

「お前らこそ状況が分かっているのか?」

 

「あ?」

 

「けひっ、何か大切なことを忘れているだろう…オレの3つ目の願いだよ」

 

 

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