もしもカカロットが幻想郷に落ちていたら   作:ねっぷう

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第495話 「LockOn」

「第7宇宙の破壊神、ビルス様…呼ばれたわけはお分かりでしょう」

 

「はい…」

 

ここは、どの宇宙にも属していない特殊な世界。頭の上に宮殿を背負った超巨大なクラゲのような生物が浮かんでおり、その宮殿の一角にビルスとウイスは訪れていた。

ふたりは共に片膝をついて跪き、その目の前にはウイスと同様の白髪と天使の輪を持つ小柄な青年のような人物がおり、彼らを見下ろしていた。

 

「貴方は、1000万年前と同じ間違いを犯そうとしています。星喰いのモロなる驚異の出現…以前は一度目なので許しましたが、今回は全王様も第7宇宙の様子を心配なさっています」

 

「心得ました、大神官様ァッ…!急いで問題の対処に当たります!」

 

大神官と呼ばれた青年…そして、その背後の暗がりの中の玉座に腰掛ける小さな影…第7宇宙においては絶対の力を持つ破壊神であっても恐れ戦く存在…。

 

「当然です。やり方はお任せします、対処してください」

 

「ハイッ!」

 

「ウイス、貴方も破壊神をサポートするのですよ。ただし、当然心得ているでしょうが、直接敵と対峙するなどあってはなりませんよ。あくまで天使は中立であるということを、ゆめゆめ忘れぬように…」

 

「はい、わかりました」

 

ビルスとウイスは、その後一瞬でその場から姿を消し、第7宇宙へと戻っていくのだった。

 

「あ、そういえば忘れてたのね」

 

「どうかされましたか?全王様」

 

全王はぴょんと玉座から飛び降り、てとてとと歩いてさっきまでビルスがいた場所に立つ。

 

「なんで他の宇宙で第7宇宙の人間が動いていたのか、聞こうと思ってたのね」

 

「左様でございましたか。では、呼び戻して確認されますか?」

 

「…いや、もういいのね。それよりも、その時に少し思いついたことがあるのね」

 

「はて、それはどのようなことでしょう?」

 

「聞いて聞いて!あのね…」

 

 

 

 

 


 

 

「なるほど…だからブロリーは精神と時の部屋に入っているのね」

 

その頃、地球の天界ではジャコやスカッシュをはじめとした銀河パトロールとナメック星での生存者、そして夫であるブロリーが精神と時の部屋に入ったと聞いたブルマが集まっていた。もちろん、ブルマの腕にはジュバンが抱かれている。家に置いてくるよりも連れてきた方が安全なのだろう。

 

「ああ。ナメック星は既に崩壊した…奴らもこの地球に目を付け始めるのは時間の問題だ」

 

ジャコはモロという驚異の出現、それに備えてサザンカは別の星で修業を、シロナは地球へ着くなり姿を消し、ブロリーは精神と時の部屋に入ったことを告げた。

 

「あと数時間で2日は経ちますが…」

 

ブロリーとメルスの部屋入りを許可したピッコロがそう言った。彼の横には唯一の生き残りのナメック星人のエスカがいた。

 

「なあ、天龍や美鈴とか依姫とか、戦える連中は少しでもここへ集めといたほうがいいと思うぜ」

 

と、スカッシュが提案する。

 

「そうね…美鈴はともかく依姫はわからないけど声をかけてみるわ」

 

ブルマがそう言いながら携帯電話を取り出そうとした瞬間だった。何の前触れもなく大きな気がこの天界に出現した。

 

「!!?」

 

「誰だ!?」

 

ブルマ、ピッコロ、スカッシュがいち早く気付き、その方へ顔を向ける。

そこにいたのは、サガンボ銀河強盗団のシモレッカとセブンスリーだった。彼らの頭上にはワープホールが開いており、さらにセブンスリーの額にある水晶体にハリネズミのような姿をした獣人の姿が映っており…

 

「セ、セブンスリー…!!まさかワープが使える種族の力をコピーしていたのか…!」

 

ジャコがわなわなと驚きながら呟く。

 

「コピー?どういうこと?」

 

「セブンスリーは相手の首元に触れて能力を奪うんだ…コピーされた能力は30分間消えない…!」

 

セブンスリーはワープホールを閉じ、シモレッカと共にゆっくりとこちらへ歩いてくる。

 

「その通りだ、説明してくれてありがとよ、銀河パトロールの…誰だっけ?」

 

「ジャコだ」

 

「そうだそうだ。助かったぜ、たまたま寄った星にワープが使える種族がいて。あのまま宇宙船で来ていたら何日もかかるところだったぜ」

 

シモレッカはセブンスリーとそう他愛のない様子で会話をしながら、なんと片手間に一発のエネルギー波を発射した。

 

「なっ!?」

 

ジャコが驚いたのも束の間で、エネルギー波は一直線にブルマとジュバンの方へと向かっていく。

 

ガキン!

 

だが、ピッコロが繰り出す強力な念力によってシールドが張られ、それにぶつかったエネルギー波は弾けて消滅する。

 

「神聖な神殿で人殺しはさせませんよ…はやくこの星から立ち去りなさい」

 

シモレッカは予想外の力を持っていたピッコロに驚き、彼をじっと睨みつける。その場には一気に緊張した空気が流れるが…

シモレッカがセブンスリーに目線をずらした瞬間、すぐさまセブンスリーはワープを使ってピッコロの背後へ瞬時に移動してみせた。

 

ガシッ!

 

「!!」

 

そしてピッコロの首筋を手で掴み、手の平にある水晶からその能力をコピーした。額の水晶にもピッコロの姿が映し出される。

スカッシュがすかさずセブンスリーの腕を蹴り上げ、何とかピッコロは解放された。

 

「くくく…モロ様から聞いてるぜ、ナメック人は有用な能力を持っていたそうじゃないか。お前の力はこれから先役に立つだろうぜ」

 

「く…!」

 

「そんじゃ、星はモロ様に差し上げるとして…お前らは邪魔になりそうだからここで全員殺しておくか」

 

シモレッカとセブンスリーの表面化した殺意がブルマたちに向けられる。

当然、ジャコはもちろんスカッシュやピッコロであろうともシモレッカ達には太刀打ちできないだろう。ただならぬ様子を本能で感じ取ったのか、ブルマの腕の中のジュバンがぐずり始める。

 

 

 

 

 

 

 

「モロ様…おそれながら、ひとつだけ質問が」

 

宇宙船の中、じっと腕を組んで佇むモロに、サガンボが尋ねる。

 

「なんだ?言ってみろ」

 

「決してモロ様のお考えに口をはさむつもりではございませんが…モロ様が、召し上がる星の“質”にこだわるのは何故でしょう?」

 

モロはゆっくりとサガンボに振り返る。

 

「好きに喰い、腹を満たしたい…モロ様は以前そうおっしゃられていましたが、それならば手頃な場所にある星を手当たり次第食べるだけでいいはず…ですがモロ様は星の質の良し悪しにこだわり、しかも肉体はほぼ全盛に戻ったにもかかわらずまだ力の向上を狙っているようにお見受けします。既にこの宇宙で無敵の存在となったモロ様がそこまでするのには理由があるのか…と」

 

「くく…そうか、お前の知る由もないことだ…無理はないな」

 

「…?」

 

「ただひとつ言えるのならば…オレが無敵がどうかはお前らが勝手に判断しているだけ、ということだ」

 

「…つまり、敵が有ると?まさかこの間のナメック星の奴ら…ではありませんよね?」

 

サガンボはにわかに信じられないといった表情でモロを見た。

 

「当然だ。…まあ、今にわかるさ」

 

 

 

 

 

 

「…なんだお前は」

 

シモレッカの前に現れたのは、破壊の権化こと破壊神ビルスだった。その隣には付き人のウイス、そして対となる創造神たる界王神シンも連れている。

一睨みで、シモレッカどころか機械生命体であるセブンスリーさえも竦ませる。何かやばいと悟り、踵を返そうとするシモレッカの背後へ一瞬で移動し、頭に手を乗せ…

 

「『破壊』」

 

低い声で呟くと同時に一切の抵抗どころか言葉を発させる間もなくシモレッカを『破壊』した。

続いてセブンスリーに目を向けると即座に頭を掴み、腹へ指先をコツン、と当てる。

 

「ガ…!!!」

 

その一瞬の接触に込めた力だけでセブンスリーの腹部へ大穴を空けるほどの衝撃を与えたビルスは、ピクピクと痙攣するその体をぶら下げ、顔を向かい合わせる。

 

「ワープホールを作れるんだろ?モロをここへ呼べよ」

 

「ア…ア…」

 

ビルスの言葉を理解したのかしていないのか、セブンスリーは相変わらず壊れた機械のように痙攣している。

 

『セブンスリー、やれ』

 

が、彼の脳内に直接モロからの命令が届くと、セブンスリーはコピーした能力を再度使用し目の前にワープホールを作る。

ビルスはセブンスリーを掴んだままそちらへ顔を向けると…その時、モロが向こう側からこちらへとワープホールを潜り抜けてきた。

 

「「モ、モロ!!」」

 

ジャコとスカッシュがそう反応するのも無視し、モロはうっすらと笑みを浮かべたままビルスと正面から向かい合う。

ブルマやピッコロも、モロの纏う強烈な瘴気を前にし、一歩も動けない。

 

「やあ、はじめましてだね。君がモロか」

 

「そういうお前は…破壊神ビルスだな」

 

相対した両者は互いに笑みすら浮かべている。

 

(ほう…これはなかなか…)

 

ビルスはモロの力、能力、精神を一目で見抜いた。一体どれほどの星と命を犠牲にしてきたか…それは定かではないが、ビルスをして驚愕に値するほどの力を持っている。

 

「それに現在の界王神までお出ましか。だが…しかしなんとも頼りないな、オレの魔力を封じた大界王神の足元にも及ばん」

 

「ああ、君はアイツに負けたんだったなぁ。魔力を奪われるってのはどんな気分だったんだい?」

 

「くくく…ヤツの神力とやらは凄まじかった。それ以外にも特段欠点のない、とんでもなく優秀な界王神だったよ。だからこそ、呆けた間抜け破壊神の相方にあてがわれたのだろうな」

 

「…返す言葉もないね。でも君はもう1000万年前のように好き勝手はできない。何故なら、ボクが君を破壊するからだ」

 

「くく…カカカカッ!大きく出たな!あの時もオレに怯えて、姿を現さなかったんじゃないのか?」

 

「か、どうかはその時が来れば分かるさ」

 

「その時?ふふふ…お前の方からオレを呼び出しておいて決着はまた今度でという事か。ではいつだ?」

 

「2か月後でどうだい?君だってまだまだ星を喰いたいだろう」

 

「願ってもないな。しかしいいのか?オレが星を食い潰すのを一刻も早く止めたいんだろ?有無を言わさずオレを破壊すればいいものを…その方が破壊神らしいだろう」

 

「チッ、あーめんどくさ…いちいち説明させるなよ。これはボクなりのケジメさ…1000万年前お前に好きにさせた分と今回の所業の分…まとめて清算してやるから2か月の間に身辺整理したり遺言書したためとけってことだよ、ジジイ!」

 

「…勝つ気か?」

 

 

ビルスの頭の中で様々な記憶や思いが交錯する。

1000万年前、破壊神として活動してかなり長い時間が経ち、傲りと慢心が常にあった。今思えば、モロに言われた通り問題児扱いされていた自分の為にあそこまで優秀だった大界王神が対に選ばれ、さらにその下には4人の界王神もついていた。

時が進んで500万年前、宇宙中を荒らして回った魔人ブウの出現時さえも自分は界王神たちに対処を任し、その結果現在の界王神であるシンを除いた全員が命を落とし、危うく己さえも死ぬ危険があった。

そして今。破壊神たちを束ねる存在でもある全王と大神官に尻を叩かれたのもあるが…ビルスが驚異の対処にここまで真面目に取り組もうとしているのは初めての事であった。その要因は…

 

ビルスの背中に視線を感じる。銀河パトロール、一惑星の神、人間、そしてその赤子。

 

 

 

 

 

「勝つさ」

 

───ビルス、勝利宣言!!

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