もしもカカロットが幻想郷に落ちていたら   作:ねっぷう

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第498話 「Metamorphose」

「まさか…シモレッカが殺され、セブンスリーまでもここまで痛めつけられるとは…」

 

ビルスとの初対面の後、瀕死のセブンスリーを宇宙船まで持ち帰ってきたモロ。雑に床に投げ捨てられたボロボロのセブンスリーを見て、サガンボは驚きと焦りの表情でわなわなと震えている。

 

「心配するな。誰が相手になろうがオレは負けない。が…破壊神は一筋縄でいく相手ではない、念には念を入れておいた方がいいな」

 

モロは横たわるセブンスリーを両手で掴み持ち上げ頭上に掲げると、ガッと大口を開け…

 

 

 

 

 

 

ドサッ

 

ビルスは胸骨を破られ体内に拳を突っ込まれるという甚大なダメージを与えられたモロを地面に投げ落とす。仰向けに転がったモロは白目を剥き、痙攣したまま起き上がらない。

 

「おーい、まだやれるんだろ?そんなとこで寝たふりして時間を稼ごうったって無駄だぞ!」

 

左手を真上へ掲げ、ボンッと超巨大な破壊エネルギーを込めた気弾を作るビルス。煌々と紫色の光が辺りを照らし、そのエネルギーを中心に風が舞い砂煙が噴き上がる。だが、それを見せられても尚、モロは動こうとしない。

ビルスは小さくため息をつき、気弾を投げ飛ばそうと構える。

 

「『破壊』」

 

だがその瞬間、ようやくモロの眼球がグルンと回って焦点を取り戻し、ガバッと起き上がって四つん這いになる。そして大口を開き、放射状に広がる魔力の波動を撃ち出した。ビルスは破壊の気弾を投げつつすぐに後ろへ飛んで退避する。

波動を放出しているモロは、自分の魔力を貫通して迫ってきた破壊の気弾に驚きつつもさらに魔力の多層シールドでそれを軽減し、受け流して耐える。破壊の気弾はそのまま空へ向かって飛んでいき、見えなくなって消えた。

 

「ハァ…ハァ…クククッ」

 

モロは息を切らしながらも不敵に笑い、ビルスを睨む。

手酷かったはずの胸の傷は、煙を上げながらゆっくりと治癒していた。

 

 

 

 

 

「バカな…!モロに再生能力だと…!?」

 

少しずつだが傷を治してゆくモロを見てブロリーは驚く。

 

「元から使えるのか?それとも使えるようになったってことか?」

 

 

 

 

 

「その治癒能力、お前のじゃないだろ?地球の神のものだな。バレてないとでも思ってるのか?あのセブンスリーとかいう人工生命体、喰っただろ」

 

「ククク…その通りだ。セブンスリーがコピーしていた地球の神…ピッコロとかいうヤツの能力だ。なかなか便利なものだな」

 

モロは連れ帰ったセブンスリーを直接喰らって吸収していた。エネルギーを吸い取ったのではなく、セブンスリーという個体を口から喰らい、取り込んだのだ。

それにより、セブンスリーが事前にコピーしていたピッコロの能力を引き出して使用している。

 

「けど最初からそれを使わなかったってことは、回数…量…時間、いずれかの制限があるんだろ?だがそれもどうでもいいな、どちらにせよそれを使い切るまで破壊し尽くしてやるよ」

 

「けひっ、やってみろ。ただし、これがオレの全力だと思っていたのか?マヌケめ」

 

だが、モロはそう言い放ち、その発言にビルスもピクリと眉を上げる。

 

「はあっ!!」

 

ドウンッ…

 

モロの気が今まで以上に膨れ上がり、まるで彼の肉体が薄く発光しているようにすら見える。凄まじい風と土煙が舞い上がり、小石が浮かんでは弾けて消える。

 

「あれからいくつの星を喰ってきたと思っているんだ?オレは既にお前ら神々を凌駕する力を手に入れているぞ」

 

煌々と輝く気と魔力を纏い禍々しい様相を呈するモロ。しかし、それを見たビルスは驚きを隠せないといった様子で目を見開き、恐る恐る呟くようにモロに問いかける。

 

「…それがお前の…本当の力なのか…?」

 

「その通りだ。オレ自身も驚いてるよ、限界を超えるとはこういうことをいうのだな」

 

「あっそ、ならこっちも10割でいこう」

 

「…?」

 

ゴオオッ…!!

 

ビルスは圧倒されるほどの巨大な気をその身から発生させる。その勢いはモロの気によって荒れていた周囲の空気を諸共吹き飛ばし、ビルスの気による暴風で上書きしてしまうほどだった。一転して再び押される形になったモロはただ目を見開いて理解が追い付けない現実に驚くばかりだ。

 

「な…」

 

「先に本気を出してしまえば、もしも相手がそれを上回る場合後が無くなる。後出しじゃんけんみたいなものだ」

 

「…ずいぶんと臆病なことだな」

 

「それはお互い様!ここからはボクも本気だよ」

 

シャッ

 

ビルスは驚異的なスピードを発揮しモロの背後へ回る。右手に破壊の気を込めて攻撃を構えるが、モロもそれを見切り背後へ回し蹴り。が、ビルスの姿は揺らいで消え、死角へ現れた本物のビルスによって後頭部へ飛び蹴りを喰らう。

 

「ぐ…!」

 

再度振り返りながら魔力を稲妻のように降り落とすが、その瞬間にビルスの姿が何十人にも増え、モロの視界を埋め尽くす。

 

「!?」

 

当然魔力の稲妻も相殺させられ、モロは一番近くにいたビルスに接近し腕で突きを繰り出す。

 

ガッ

 

その攻撃は確かに実体にヒットした手応えを与え、モロは見破ったりと笑みを浮かべる。だが、周囲にいる幻影は消える事無く一斉にモロに殴りかかり、モロはタコ殴りにされ手も足も出なくなる。

 

「なあッ…!?」

 

「ボクらはお前みたいなコスい手は使わない。お前が見ているボクは全員、高速移動によって増やしているボク自身の実体だよ」

 

「ぐっ…!!」

 

モロの全身に次々と、ビルスの『破壊』が込められた拳が叩き込まれる。それは着実にモロにダメージを与え、治癒能力を強制的に使わせている。

そして、モロの魔力もみるみるうちに萎んでいた。

 

「ナメック星人の治癒能力はお前が思っているほど万能じゃない。そもそも地球の神の力は他者を癒すための力だ、お前に使えるはずもない。できるのは自らの治癒・再生くらいだが…奴らだってできるのは腕や足とか、致命傷に至らない部位に限る。そして、それもシンプルな身体構造のナメック星人だからこその芸当だ。お前の場合はそれを踏み倒すために魔力を余計に使ってしまうんだろ?」

 

「があああッ!!」

 

モロは怒号を上げながら全身に魔力を滾らせ、分身しているビルスのうち一体を強引に背後から抱き着き、締め上げた。高速で動くことで分身を作っていたビルスは動きを止められ、分身が解除される。さらに、そのまま直接魔力をビルスの体内へ流し攻撃するが…

 

「かゆいね」

 

ビルスはふわりとモロごと宙へ舞い上がり、そのままタイヤのように高速で縦回転する。勢いがついたところで急降下し、眼下にあった岩山に思いきり激突する。

解放されたビルスはモロから距離を取りつつ、周辺を覆う砕けた岩石や小石に至るすべてに指先を触れる。十分な距離まで離れたところで、起き上がってこちらへ攻撃を仕掛けようとしているモロを確認し…

 

「『破壊』」

 

岩石や小石に触れた時に込めておいた破壊の力が作動する。

 

ポポポ…

 

ガガガガ…

 

ドドドドドドドド…!!

 

ビルスの『破壊』によって物体が消滅するとき、そこには凄まじいエネルギーが発生する。小石が破壊された時でさえ、軽く地面を吹き飛ばし周辺を薙ぎ払うほどの衝撃が生まれ、今、モロはそれを何十何百発も全身で食らい続けてる。

腕がひしゃげ、眼球は潰れ、皮膚は焼け爛れ…もはや魔力と再生能力ではどうしようもできないほどのダメージを受けるモロ。このまま破壊を喰らい続ければ、すぐにモロは跡形もなく消滅させられるだろう。

 

 

 

ドクンッ

 

 

 

───しかし、モロにはたった一度だけ、魔力と体力を元通り完全回復できる秘策があった。

 

「…ほう」

 

破壊の渦から飛び出したモロは瞬時にビルスの目の前まで飛び上がってくる。

その姿は、傷ひとつない元通り完璧な肉体に仕上がっていた。だが、顔は以前までの山羊のような獣の頭部ではなく、地球人に近いような精悍な顔つきに変化していた。

モロの秘策…それは、意図的に中断していたセブンスリーを直接喰らったことによる変身の再開。

 

セブンスリーは2か月前にシモレッカと共に地球へ訪れた時点でモロの能力とスペックをコピーし、保存していた。そして、モロはセブンスリーを喰らい取り込むことで、ストックしていたそれを肉体へ戻したのだ。

消耗した魔力は元通り全快に、魔力を消費することで低下を防いでいた気の量は単純に元の2倍へ膨れ上がった。モロは先ほどまでとは打って変わり余裕に溢れた表情をビルスへ向ける。

 

「何か、言いたいことがありそうだな?」

 

「別に。思ったより必死こいてくれてるみたいで嬉しいよ」

 

「キサマほどじゃないさ。正直、キサマの扱う2種類の破壊…厄介だと思っていてな。だが魔力も万全に戻り、かつ強さそのものも倍ほどに高まった。もう恐るるに足らん」

 

「はーっ、ほんとにめでたい頭してんね。前にボクが言ったこと覚えてる?」

 

 

───『これはボクなりのケジメさ…1000万年前お前に好きにさせた分と今回の所業の分…まとめて清算してやるから2か月の間に身辺整理したり遺言書したためとけってことだよ』

 

 

「何故キミがセブンスリーを持ち帰るのを黙って見逃がしたと思う?キミの魂胆にボクが気付かなかったとでも思うか?」

 

「…まさか」

 

「いちいち説明させるなよ。何をしてこようがまとめて破壊できるんだよ、キミなんかね」

 

ビルスは破壊神として破壊対象を厳格に精査するため、生物の本質や精神を見抜く能力に長けている。セブンスリーを一目見た瞬間からとっくに分かっていたのだ、彼の能力と、そしてモロのコピーをストックしていることを。それを踏まえたうえでビルスはこの戦いを始めた。つまり、裏をかこうと練ってきた秘策すら初めから看破されており…

 

ギュオオッ

 

怒りに燃えるモロは両腕を広げてビルスへ襲い掛かる。ビルスは後ろへ飛びながらエネルギー弾をモロへぶつけるが、モロはそれをものともせずに腕を振るい、ビルスを吹っ飛ばす。さらにモロの繰り出す猛ラッシュがビルスに絶え間なく浴びせられる。

 

 

 

 

 

 

「モロが変身した…!?」

 

「今の話が本当なら、本当にモロの強さが倍になったのか?」

 

「流石にそれじゃビルスさんでも難しんじゃ…」

 

ブロリー達、各々の脳裏によぎるビルスの敗北という可能性。

───しかしそれは

 

 

 

 

 

 

(いつぶりかな)

 

ビルス本人も同様であった。しかし、ビルスは自分が敗色を感じることすらも織り込んでいた。「何をしてこようがまとめて破壊できるんだよ」、その言葉に嘘はない。

モロが更なる力を発揮する、ビルスはそれを目の当たりにし、焦る。同時にビルスを満たすのは、()()()

 

(見せてやるよ。本能のみに突き動かされる力には上限が無いってこと───『我儘の極意』を)

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