もしもカカロットが幻想郷に落ちていたら   作:ねっぷう

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【ムルキア】
モロが作り上げた召喚獣。セブンスリー、モロ、ピッコロ、ワープを使う異星人の能力を混ぜ込み、さらにモロの魔力に2か月間浸すことで生み出した。


第500話 「UltraEgo」

ムルキアは背後にいるモロの頭の上に手を翳し、ピッコロの持つ治癒能力を使ってモロを治療する。

 

(他者への治癒…だがやはり肉体は回復しても魔力の残量は変わらないな)

 

ビルスは一気に飛び出し、ムルキアの股下を潜り抜けモロへ接近し、破壊の力を込めた拳を振り抜く。

が、ムルキアはその巨体からは考えられないほどの速度で両者の間に割って入り、ビルスの破壊を正面から受けた。

 

シュウウウ…

 

その結果は、先ほどと同様に破壊の力が全く意味をなさないまま消滅する。そして、ビルスは2度目にしてその原理を看破する。

 

(元々セブンスリーがストックしていた、どっかの異星人が持つ『ワープ』能力…それを全身に多層に展開することで“無限の空間”、不可侵を纏っているのか)

 

ビルスが使った破壊の力は、ムルキアの纏う無限の空間に吸い込まれ、飽和して消え去った。

ムルキアはビルスへ拳を叩きつける。ビルスはその一撃に耐えつつ今度は破壊を使わない通常の打撃で反撃を浴びせるが、それすらも無限の不可侵に阻まれてムルキアまで届かなかった。

その隙に、モロが遠距離から魔力のレーザーを放ちビルスの側頭部を撃ち抜いた。

 

(破壊はかなり警戒されてるな…このムルキアとやらを盾にしつつモロが攻撃を差し込んでくるか。それに加え、あの治癒も厄介だ…さて、どうするか)

 

ビルスはとりあえずムルキアの打撃を喰らい、カウンターの攻撃を何度も叩き込む。そして、モロがこちらを狙って射角を取ってきたところを狙い撃ち、気弾を投げる。ムルキアは気弾を防ごうと移動するが、今度はビルスがムルキアの行く手を塞ぐ。

 

「チッ!」

 

仕方なく気弾を自分で防ぐモロだが、やはり今のビルスの攻撃はどうやっても魔力を削られる。

 

「ムルキア!」

 

モロの叱咤を受けたムルキアは動きを加速させ、怒涛の連撃をビルスへ浴びせる。その一撃一撃が、恐らくビルスを殺すつもりで放たれているのだろうが、ビルスの驚異的なタフさがそれをさせない。

だが合間合間にモロも攻撃を挟み、まともな反撃を与えられないビルスは徐々に押されてしまう。

 

 

『我儘の極意』

 

 

ビルスが編み出した、本能のみに突き動かされる上限の無い力に身を委ねる技法。戦えば戦うほど、ダメージを喰らえば喰らうほど、攻撃がキマればキマるほど戦闘力は高まり続ける。

だがこれは破壊神が誇る常識外れの耐久力や戦闘技能があってこそ使用できるもので、普通ならばその反動や上昇する力に耐えきれる保証はない。

そして、過去にも味わったことのない危機感…つま先から頭のてっぺんまで熱せられた針を一直線に貫き通されたような焦燥により、我儘の極意はその真価を発揮する。

 

 

───破壊神ビルスのボルテージが最高潮に達する

 

星喰いのモロに1000万年ぶりの緊張が走る───

 

 

「『破壊』」

 

ビルスの破壊が、今度はいよいよ惑星プラントそのものに向けられる。掌で大地を叩き、この星を一瞬にして無に帰そうとするが…

 

(やらせるか!)

 

破壊を警戒しているモロは、ムルキアと共に同時にビルスに近付いて襲い掛かり、破壊を出させまいとする。惑星という大質量が破壊されるときに生じる衝撃は、現在のモロであってもただでは済まないと思っているからだ。

ビルスはモロの脇腹を殴り、ムルキアの腕を掴んで投げ飛ばす。モロは反撃の蹴りでビルスの首をへし折ろうと豪速の一撃を放つが、ビルスはそれを肩で受けてダメージを抑え、起き上がって背後で拳を構えていたムルキアの腹を渾身の力で殴り抜けた。

いくら体に無限の不可侵を纏っていようと、ビルスの馬鹿力で放たれる拳に押され、直接拳が触れずともぶっ飛ばされる。それにより盾を失い無防備になったモロの顔面へ再度渾身のパンチ。

 

「ぎ…!」

 

殴られたモロはムルキアに激突し、二人は纏めて吹っ飛び、ビルを突き抜けて遠くへと消えていく。

それを確認したビルスは、拳に破壊の力を込め…

 

ビュンッ

 

真上の空を目掛けて跳躍した。

 

「なんだ…あの野郎は何をしようとしてる?」

 

モロは自分を無視して空へ飛びあがるビルスの狙いを考察する。宇宙まで飛びあがり、遠距離からこの星を破壊しようとしているのか。

 

(いずれにせよ…)

「ムルキア!」

 

ムルキアはワープを使って瞬間移動し、ビルスの向かう先へ現れると、勢いを殺さずに突っ込んでくるビルスをその身で止めようと全力の魔力を発揮する。

 

ボッッ

 

が、なんとムルキアの右上半身が空間ごと刳り貫かれたかのように消し去られた。

 

(無限の空間は全てを吸収し飽和させ、決して突破できぬ不可侵の領域!それを破りムルキアを…そうか、まさか!)

 

「『領域破壊』」

 

ビルスは破壊の拳で、その破壊対象を空間、存在、世界そのものまで拡張し、破壊したのだ。無限による不可侵など関係なく、その空間に存在している限り、その空間ごと存在を抹消される。

 

(しかし何だというのだ!不可侵を持たないオレにとってはただ出力が高いだけの『破壊』!撃たせるか!)

 

ムルキアと同時にワープし、その背後に潜んでいたモロはムルキアを貫いてさらに上昇するビルスを追い始める。だがその瞬間、信じられないものを見た。

 

(あれは…!?)

 

空に浮かぶのは、直径にして10メートルはあるだろう超巨大な破壊玉。

それは先ほど戦いの最中、モロが初めてピッコロの再生能力を使用して見せた直後、放たれたが受け流し防いだはずの破壊玉だった。

 

(逸らした破壊玉が消えることなく宇宙空間を移動し再び戻ってきたのか!なぜ気付かなかった…!)

 

元来、破壊神のような高位の神の気は感じ取ることができないものである。それ故に、その気から作られる破壊のエネルギーも、普通の生き物には感じ取ることができない。ビルスはそれを利用し、今空に浮かんでいる破壊玉以外にはずっとフェイクとして誰でも感じられる程度の気を混ぜていた。

 

(だがいまさらその破壊で何をしようというのだ?それは『領域破壊』を覚えたより前に作った破壊玉だ…まだ生きているムルキアの不可侵領域を突破できない!)

 

「クコココココ…!」

 

ムルキアは全身に纏う数センチ程度の不可侵を一気に広げ、その大きさは惑星プラントと、その大気圏を含むほど巨大化する。

 

(いや待て…!あの破壊玉が、『領域破壊』の拳で叩かれた場合何が起こる!?)

 

「クソッ!!」

 

あの巨大な破壊玉が、領域破壊の特性を付与され拡散したら…。モロは防ぎようのない最悪の事象を想像し、事前に破壊玉を暴発させるべく魔力の波動を放出する。

だが、ここでムルキアの展開した不可侵が裏目に出る。

 

「おせーよ」

 

モロの放った魔力はいつまで経っても破壊玉まで到達することはなかった。文字通り、惑星プラントは無限の距離を持つ空間に包まれているからだ。しかし、領域破壊の拳を持つビルスだけはそれらを無効化・貫通し、破壊玉に到達することができた。

 

「『創造の前に破壊有り』!」

 

 

 

 

 

宇宙空間で弾ける紫色のエネルギー。それはムルキアの不可侵を壊し、ムルキア本体を跡形もなく滅し、惑星プラントを呑み込んだ。同時に発生した衝撃波が地球にまで届き、数秒だけ地震を引き起こしたがすぐに治まり、再び静寂が戻った。同時に、常に地球から見えていた惑星プラントは何もなかったように無に帰ったのだった。

 

「…寸前でムルキアのワープに助けられたみたいだな」

 

赤茶けた乾いた岩場が広がる地球の荒野にて、ストンと軽く降り立ったビルスは目の前で岩に寄りかかるモロを見ながらそう言った。ビルスの言う通り、モロはムルキアが消滅する寸前に展開したワープホールで地球まで退避することができた。

が、ワープホールでの移動中に破壊を受けた影響か半身の皮膚が焼け落ち、内臓が零れ出そうな甚大なダメージを負っていた。ビルスは、もはやモロには一かけらの魔力も残されておらず、これ以上破壊を防御することも肉体を再生することも、そしてムルキアを出すこともできないと見抜いた。

 

「楽しかったよ、モロ。じゃあな」

 

 

 

 

 

 

 

 

  ぞりっ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オレの取り込んだセブンスリーがコピーしストックしていたのは、オレ(モロ)、ピッコロ、そしてムルキアの3つだ。そしてムルキアは、セブンスリー、オレ、ピッコロ、そしてワープを使う種族の力を混ぜ込んで強化した存在だ。さらに、ムルキアを構成していたセブンスリーは、オレ、ピッコロ、ワープの3つの能力を確保していた。

 

分かるか?オレはセブンスリーがストックしていたオレの力で変身したのではなく、セブンスリーのコピーしていたムルキアに含まれるオレの力で変身したのだ。

 

そしてオレが今使ったのは、取り込んだセブンスリーがコピーしていた方のオレの力だよ」

 

モロはビルスにトドメの破壊を出される直前、セブンスリーのコピーしていた自身の力を解放した。解放した全魔力を使って発生させた最大硬度と最大展開速度の防御結界は、モロを中心に球状に広がり、発生地点にいたビルスの両腕と胸部前面を抉り削いだ。

 

「今まで使っていたムルキアの力、そして今解放したオレ自身の魔力は全て使い果たした。両手の水晶も壊され、多くの手札を切ってしまう羽目になったが…最初から詰んでいたんだよ、お前はな」

 

モロにすべてを使わせたうえで圧倒して見せる気概だったビルスを、モロはさらに上回るべく念入りに準備を重ねており、それが功を奏した結果となった。

 

 

 

 

両者の戦いを見届けると、次は自分たちの番だ、と言わんばかりに、ブロリー、シロナ、サザンカ、ハーツが動き出す。

仕える破壊神の敗北を悟ったウイスは静かに目を閉じ、片割れと命を共有している界王神も最期が訪れるまでの僅かな間にやるべきことをやるために立ち上がった。

 

 

 

 

「…来たか」

 

だが、モロにはビルスへの勝利に浸る間も、体を休める暇もなかった。

上空に瞬間移動で現れたハーツとシロナが、敵意を剥き出した表情でモロに襲い掛かってきているからだ。

 

「小娘、キサマに───何ができる」

 

 




ビルスとモロ、原作になかったカードだったわけですが結末がどうなるのかは大体予想出来てたと思います。
今回はモロが勝ちましたが、当然原作においてはビルスの方が強く負ける道理はないと思います。ですが、本作ではビルスはモロに2か月の猶予とセブンスリーを与え、それらをフルに活用させたうえでモロを葬ろうとしました。それが裏目に出て、モロの策の方がビルスの想定よりも一枚上手だったようです。原作でもかなり用心深く狡猾だったモロが、明らかに格上であるビルス直々の死刑宣告を受けたことでより一層対策を企ててしまったのです。

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