もしもカカロットが幻想郷に落ちていたら   作:ねっぷう

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第502話 「Fall」

惑星プラントで火蓋が切られた星喰いのモロvs破壊神ビルスの戦いは、常にビルスが優位に立つ勝ち戦であった。

 

モロのエネルギー吸収は質の高い神の気を持つビルスには通用せず、ビルスも破壊のエネルギーを用いた破壊は魔力のシールドを空気の層と交互に展開する多層防御壁を使ってきたモロには効果が薄かった。が、破壊神は単純な膂力や気による物理的な破壊の技も極めており、それは物体にのみ作用する破壊のエネルギー(魔力のシールドを破壊できても次のシールドに到達するまでに空気の層を経由してしまうため時間がかかる)には有効であったモロの多層シールドを貫通して(物理的な破壊であれば、ビルスの力なら魔力の層も空気の層も同時に破壊可能)モロへダメージを与えることができた。

 

モロは身体へのダメージを魔力を消費することで帳消しにしており、ビルスは破壊を駆使することでモロの魔力を減らし、破壊を有効打へと変えてゆく。

そして、致命傷を受けたモロはあらかじめ直接喰らって体内へ取り込んでおいたセブンスリーがコピーしていたピッコロの能力だけを抽出して使用し、再生能力で自らを治癒するようになる。

 

その後、モロとビルスは互いに現状での全力を解放し、ここで決着をつけるべく本気の勝負を開始する。

やはり本気同士でもビルスの方が格上であり、モロは周囲で次々に破壊される岩石から発せられる衝撃に晒され、魔力を全消費しダメージがダイレクトに直撃するようになり死亡一歩手前まで追いつめられる。

 

そこで、モロは取り込んでいたセブンスリーを完全吸収し、意図的に中断していた変身を遂げる。セブンスリーにストックさせていた自分自身のコピーによって魔力を100%まで補充し、気の量つまり戦闘力は200%に達した。

これにはたまらずビルスも猛攻を受け、一気に形勢逆転されてしまうが、ここでビルスは“我儘の極意”を発動。本能のみに突き動かされる上限の無い力に身を委ねる技法により、ビルスは戦い続けるほどに力を増してゆく。

 

危機感を覚えたモロは、取り込んだセブンスリーと、彼がストックしていたモロ、ピッコロ、ワープを使うハリネズミ型異星人のコピーを混ぜ合わせて2か月間モロの魔力に浸すことで誕生させた召喚獣「ムルキア」を顕現させる。

ムルキアは今のビルスやモロに通用するほどの戦闘力を持ち、さらにハリネズミ型異星人の使うワープホールを全身に多層的に纏うことにより、その体表面には厚さ数センチの“無限の空間”を展開、不可侵を形成していた。これにより、あらゆる干渉を無限の空間に流し込み飽和させ無効化することが出来、ビルスの破壊と他あらゆる攻撃も例外ではなかった。

 

しかし、我儘の極意によりボルテージが最高潮に達したビルスは『領域破壊』という破壊を編み出す。破壊対象を物体ではなく空間、存在、世界そのものまで拡張し、その範囲にムルキアの纏う不可侵ごと収めることでムルキアの半身を破壊した。

 

ビルスは戦いの最中に放った破壊玉を、宇宙空間を移動させ再び惑星プラントまで戻し、領域破壊を込めた拳を叩きつける。

その寸前にムルキアは身に纏う不可侵を惑星プラントを丸々収められるほどに拡大する。無限の空間により形成される不可侵は文字通り無限の距離を内包し、誰であってもその行動を完結まで到達させることが出来ない。

よってビルスの行動も不可侵内部では無意味になるはずだったが、領域破壊を使えるビルスだけは不可侵を貫通・無効化することが可能で、モロとムルキアの妨害も空しく、領域破壊が巨大な破壊玉に叩き込まれた。

 

結果起こった事は、巨大破壊玉に領域破壊の性質が転移し破裂して拡散、超広範囲にわたる領域破壊が発動し、惑星プラントはムルキアと不可侵ごと消滅した。

 

モロは直前にムルキアのワープホールで地球へ退避していたが、既に瀕死の重傷を負っていた。

最早、両者の力の差は歴然。

その戦いを見守っていた誰もが、確信した。

ビルスの勝利を。

 

 

そして

 

 

ビルスの敗北。

 

 

モロは死にゆくビルスへ己の策を語る。

 

まず、モロが吸収したセブンスリー。彼がコピーしストックしていたのは

・モロ

・ピッコロ

・ワープを使う異星人

 

ではなく、

 

・モロ

・ピッコロ

・ムルキア

の3つだった。

そして、セブンスリーがコピーしていたムルキアにはセブンスリー、ピッコロ、ワープを使う異星人、そしてモロの力が含まれており、そのムルキアに含まれるセブンスリーもモロのストックを保有していた。

 

つまり、モロは事前にセブンスリーを吸収した時点で自分自身の残機を3つも保持していたという事。一つは最初の変身で消費し、つい先ほど二つ目で再変身&再強化、そして三つ目を解放と同時に一気に消費し魔力の壁でビルスの肉体を削り取った。

 

 

 

 

 

そして─────

 

 

 

「小娘、キサマに───何ができる」

 

全ての自分のストックを使い切り、ムルキアを完全に破壊されワープ能力は機能を失った。戦闘力200%、魔力100%。シロナたちの想定よりも厳しい状態だが、それでもここでモロを倒すしかない。

 

シロナは既にファントムシロナへ変身しており、四つの目でモロの身体を見抜いてそう判断する。

さらに…

 

(ビルスの破壊を喰らい続けた影響でエネルギー吸収とセブンスリーのコピーは使えなくなってる!)

 

ビルスの破壊はモロの脳へ甚大なダメージを蓄積させており、それに加え手の平にあったコピー能力の要である赤い水晶は破壊されストックの解放による回復ではどうにもならない影響が残っている。

 

ビビビッ

 

だが、モロは上空から降りてくるシロナへ向けて無数のエネルギー弾を連射して撃ち落とそうとする。

すると、シロナと共に現れていたハーツが重力操作のキューブを飛ばし、モロの気弾をキューブで閉じ込めてそのまま重さで落下させる。

同時に地面へ落ちたキューブは融合し合って巨大化し、モロを範囲内に収めると超重力を発揮しモロをその場へ押し付けた。

 

ドォン!!

 

そして、モロの脳天へシロナのパンチが炸裂する。キューブ内へ入ったことにより下へと向かう重力も作用しているのでさらに勢いのついた一撃だったが、モロは頭部へ魔力を集中させて直撃を防いでいた。

 

(想定より強力な一撃…かなり力を付けてきたようだな)

 

互いの魔力同士が反発し合い、バリバリと弾ける。

ハーツは周辺の岩をキューブで浮かし、それを高速で砕いて粉塵を巻き上げモロの視界を塞ぐ。

もちろん四つの眼で全てを視認しているシロナは目晦ましを無視してモロを攻撃できる。

 

ドゴゴッ

 

モロの両腕を自分の上両腕で掴み、がら空きになった腹へ下両腕による拳を叩きこむ。

 

グイイッ

 

そして、ハーツはキューブを小さくしモロの頭部を覆い、後ろへ引っ張り寄せる。

上体が後ろへ反れたモロの胸へシロナの四連撃が突き刺さった。

 

バッ

 

モロはすぐにキューブを破壊し、シロナへ向けてエネルギー弾を発射。シロナはそれを躱しつつ距離を取り、再び攻めようとするが…

モロの片腕が光り輝き、魔力の波動が溜められる。

 

が、その直後。

 

ドッ…ゴォ!!

 

「!?」

 

突然モロの足が地面から離れ、その体が真横へ動いた。バランスを崩して一歩よろめいたモロは一体何を喰らったのか理解できなかった。とにかく、横っ腹に何かがぶつかった…という感覚しかなかったのだ。

 

(今のは…?)

 

その隙を逃さず、ハーツのキューブが無数に降り注ぐ。モロはそれを避けるが、背後に回っていたシロナの連撃を躱そうとして後ろへ飛んだ瞬間、キューブの一個が肩に当たりその場に固定される。

そして、顔面へ迫るシロナの蹴りを腕で弾き、キューブを纏わせたハーツの拳を避けた。

 

「まずはお前だな」

 

フッ…

 

そう言うと突然、視界からモロが消えた。

 

(消え…ッ!)

 

次の瞬間、ハーツの胴体に重い衝撃が襲い掛かる。

 

ドスッ

 

モロの腕がハーツの腹を完全に貫いていた。

 

「ハーツさん!!」

 

シロナが思わずそう叫ぶ。モロは、口から血の塊を吐くハーツを持ち上げ、はるか遠くへと投げ飛ばした。

厄介なキューブを使うハーツを真っ先に始末しようとするモロは、シロナとの距離を置くためにも遠くへ消えたハーツを追ってトドメを刺そうと、体に魔力を纏って飛び上がろうとする。

 

しかし

 

ドゴオオッ!!

 

モロの鳩尾に強烈な何かが激突した。飛び立とうとしていたモロはそれを邪魔され、後ろへ吹っ飛ぶも地面へつま先を喰いこませて止まった。

 

(…なるほどな。姿は見えないが、ここに()()な)

 

追い込むようにして迫ったシロナの連撃が襲い掛かり、モロはそれを捌きつつ、シロナへ反撃の蹴りを食らわせた。

 

ドゴッ

 

その直後、再び背中へ見えない何かの攻撃が刺さる。

だが、モロは背中から魔力の衝撃波を放ち、背後にいる何者かを攻撃した。そして、いるであろう位置に手を伸ばすと何かを掴み、頭上へ放り上げて拳を振り上げる。

 

バギィ!!

 

「出たな」

 

すると、そこに現れたのはサザンカ。腹に迫るモロの拳を両手で受け止めており、そのままの姿勢でモロの顔面へ蹴りを当てる。

同時にサザンカは後ろへ飛び、シロナと並んで構える。当然、既に超サイヤ人4へと変身しており、同時に強力な気が感じられるようになる。

 

(気を消していた…?いや、姿すらも完璧に消えていた…このオレが認識することができなかった。まあどういう絡繰りかなどはどうでもいいな…)

「しっかり藻掻き抗えよ。ではければこの星ごと全員オレの腹の中だぞ」

 

「アンタ、それ誰に言ってんの?」

 

シロナはそう言いながら、どこからともなく取り出していたカードのようなものを指に挟んで顔の前へ持ってくる。

 

(札…カード?)

 

モロがそれに疑問を持ったのも束の間、突然大地を突き破って巨大な氷の山が出現し、モロの左半身を呑み込み氷漬けにして閉じ込めた。

 

(これは…!?)

 

 

襲い掛かる未知の能力…それを前に、モロは…!?

 

 

 

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