一方、遠くへ吹っ飛ばされたシロナだが、更なるカードを使用し能力を発動。
シロナとモロの距離が突然縮まる。攻撃を仕掛けようとするシロナだが、モロは既に見切っており反撃を喰らわせようとしている。が、今度は両者の距離が突然開き、モロの攻撃は空ぶった。
その隙に差し込まれたサザンカの拳の二連撃を、モロは腕で防ぐ。
だがガードこそしたものの打撃で触れられた時点で強制分離が働いてしまった。
視界が揺らいだ瞬間、シロナは四本の腕を使いモロの両足を掴んで拘束する。そのまま足を引っ張りバランスを崩させ押し倒すとモロの体を持ち上げ思いきりスイングする。
一瞬で周囲に竜巻が発生するほどの勢いをつけたところで、全力でダッシュしてきたサザンカのドロップキックがモロの顔面へぶち当たった。
衝撃で右の角がへし折れ、シロナは折った角をキャッチし、モロの背中に思いきり突き刺した。
そして、伊吹萃香の能力で体を巨大化させ、星熊勇儀の怪力乱神を使いモロを二つの拳で両サイドから押し潰し、三つめの拳で上から下へと弾き飛ばし地面へ叩き付ける。
バウンドしたモロは滑るように受け身を取り、自分を追ってきたシロナとサザンカに対しエネルギー弾を撃ち込んで牽制する。
気弾を喰らった二人はそこで動きが止まり、今度はモロの一撃がそれぞれの顔面へ喰らわせられた。
二人も後ろへ飛んで受け身を取り、流石に受けたダメージを気にしてか両者に膠着が訪れる。
(堅いな…こっちもそれなりの強さで殴っているがあまり応えん…やせ我慢ではないだろうが、奴らも小細工だけでなくこの2か月でそれなりの力をつけてきたという事だ。全く…どんどん美味そうに実っていくものよ)
そして、モロの全身に魔力がみなぎる。
「シロナにサザンカ…だったか?」
何かが起こる──それを察知したシロナとサザンカはモロが何かする前に攻撃を仕掛ける。
シロナの手に楼観剣のレプリカが握られており、それを使って刺突を繰り出す。モロは咄嗟にそれを片手で握って止めて見せ、その手は一切傷ついていない。
シロナは楼観剣を四つの手で握り直し、思いきり捻るとモロは力負けしその場で転んでしまい、その腹をサザンカが蹴り上げる。
そしてモロの背中に刀による切り傷が出来、鮮血が飛び散る。続けてサザンカの掌底突きがモロの顎を打ち、続けて後頭部を押さえ込み膝蹴りを叩き込んだ。
が、モロはサザンカの髪を掴んでおり腫れ上がった顔に笑みを浮かべながら、引っ張られたサザンカの胸に手を翳し至近距離からのエネルギー波を浴びせた。高火力の熱に晒されたサザンカは焼けるような痛みを負いながら仰向けに倒れ込み、シロナがサザンカを庇うように間に割り込みモロの腹へ四連撃を当てる。
直後、モロは左手でシロナの脇腹を掴み、悪意に満ちた笑みを浮かべながら気弾の連続発射を0距離から浴びせた。
胴体及び内臓にダメージを負ったシロナは込み上がってくる血液を口の端から垂らし苦悶の表情を浮かべる。ファントムシロナは縛りにより再生能力と不死性をかなり損なっている。
「いい加減理解しろ、お前はつまらん」
モロの冷酷な言葉がシロナに浴びせられる。今にもその場で倒れそうになるシロナだが力を振り絞り、口内に溜まった血を吐き出しモロの顔へ吹きかけた。
「ぶーっ」
そこへ渾身のサザンカの拳がモロの腹と胸に命中する。さらに、シロナは楼観剣をモロの腹に突き刺し、すぐに引き抜いて右腕にも深い切り傷を刻んだ。
(魔力操作がかなり鈍ってきたな…)
そう思いつつも、モロは楼観剣を手で掴むとそれを砕き折り、気弾を連射しシロナを弾き飛ばす。が、シロナはモロの顔に未だ付着している自分の血に目を付け、手を握り…
(なんだ…?シロナの血が弾けた──!?)
基本、相手に作用する系統の能力は格上には通用しにくい傾向がある。現に、相手の核を手の平に移しそれを握り潰す事で対象を破壊するフランドールの能力も、モロには効かないだろう。
だからシロナは付着させた自身の血液を破壊した。その衝撃でモロの顔に傷が走り、血が噴き出す。
そして、サザンカのパンチがモロの側頭部を殴り、さらに腹に膝蹴りが入る。流石にまずいと思ったモロは魔力の防御壁を展開し、続けて放たれたサザンカの攻撃を防ぐ。
だが、シロナは壁に穴を空ける能力を用いて防御壁に穴を開き、サザンカがそこから拳を通す形でモロの肩を殴る。
「ぐ…!」
そこで、ようやくスピリットの強制分離による影響がハッキリと露出し、モロは防御壁を意図せず解除してしまう。
シロナとサザンカはそれを見逃さなかった。
シロナはカードの魔法で身体能力を向上させ、放った気弾の炸裂力を高める。その猛攻にモロは怯み、そこへサザンカが突っ込み、足へローキックを放つ。
モロがよろめくと、サザンカはその角を掴みモロを引きずりながら走り出す。
そのタイミングでシロナは大地を操作し要石を生成し、圧縮して岩の壁にするとそこへモロの顔面を何度も叩きつけた。
モロも負けじと後ろへ手を回しサザンカの首を掴むと前へ投げ飛ばし、岩壁を破壊する。
(魔力に次いで肉体も疲れてきたぞ…)
そう判断したモロはとりあえず態勢を整えようと距離を置こうとし、素早く空へ飛びあがる。だが…
(これ以上離れられん!)
逃げという手段を封じられシロナから一定の距離以上離れられなくなったモロは空中で静止した。それを追ってきたシロナがモロの両足を掴み、地上へ向けて投げ落とす。そして、それを待ち構えていたサザンカが背中を蹴りつけた。
「ゴホっ!」
その時、咳込んだモロの口から今まで取り込んできたエネルギーが光の球となった吐き出され、霧散して消えていった。
大気を割るような低い轟音がピンポイントでモロの全身に響き渡り、内臓ごと振動させられるモロは硬直し、その隙にサザンカの膝蹴りを顔に喰らい、さらに二撃の拳を喰らい地面へ倒れこむ。
次の瞬間、シロナが投げた数本のナイフがモロに向かっていき、モロは顔を背けて避けようとするが一本が頬を切り裂き、口の端が裂けて歯が剝き出しになった。
モロは腕の一振りで無数のエネルギー弾と魔力の衝撃波を混ぜ込んで放ち、シロナとサザンカに命中させる。確かにそれは痛烈な威力を誇っており、ふたりは血を吐くほどのダメージを受けるが…
(やっとだ…やっとハッキリわかるくらい弱くなった!)
(だがまだ終わりじゃねぇ!もっと殴れるだけ殴ってやる!)
シロナは地獄の女神のように3体に分裂し、二人がモロを背後から押さえ込み、もう一人が身動きの取れないモロに対し怒涛の連撃を叩き込む。
「ウラウラウラウラウラウラウラ!!」
全身にくまなく打撃を叩き込み、それに混ざってサザンカも何発もの打撃を喰らわせる。その度にモロは咳込むか嘔吐き、吸収していたエネルギーを逃がしていってしまう。捌き切れない膨大な量の拳の連打の中に織り交ぜられているサザンカの拳をピンポイントで防ぐことは、あのビルスにとっても至難の業だった。
明滅する視界、絶えず何かが腹の底から込み上げ、吐き気と呼吸困難が伴う。ビルスとの戦いで感じた痛苦とはまた別の苦しみ…己の生命が瓦解しそうな感覚。
だが、目の前に運ばれてきた料理が上等なものであると気付き、その名を覚えこそしたものの、やはり咀嚼してみれば期待外れ。そのような心情のもと、モロは小さく呟いていた。
その直後、二人のシロナの胴が上下に分断された。三人目のシロナは咄嗟にサザンカを突き飛ばし、辛うじて薄皮一枚繋がる程度を残して腹を切り裂かれる。
(なんでだ───!?モロが…斬撃…!?)
完全に両断された二体のシロナが即座に消滅し、残る一人のシロナもその場に崩れ落ち、鮮血の中に沈む。再三言うが、ファントムシロナは縛りにより、再生力と不死性を失っている。
そして、サザンカの左肩と左上腕に見えない何かが突き刺さり、そこに穴が空く。その勢いで、サザンカは遠くへと弾き飛ばされた。
モロはビルスとの戦いの後遺症により、得意のエネルギー吸収を使用不可能になっていた。が、その使用できなくなった能力を自らで破棄し、
そんな芸当が可能か?普通は無理に等しい。だが、モロはセブンスリーを取り込んだことで彼が能力をストックする際にいつも行っていた「
そして、エネルギー吸収の代わりにモロが激闘の最中自ら編み出した能力、それは魔力を変じさせて放つ「
モロはこの能力を、シロナとサザンカと戦い始めてから度々使用しかけるも都度妨害され発動には至らなかったが、ついにこのタイミングで解き放った。
これが星喰いのモロ。その真の恐ろしさは能力ではない。勝利への貪欲さと執念深さ、戦いの中で最適解を編み出す適応力。
(なんだ?)
しかし、危機を脱したはずのモロの背筋を未だに撫でつけている緊張。その元は───
シロナが脱落したが、それでもまだモロの力を削るために戦闘続行の意志を示しているサザンカ。その覚醒だった。
シロナが使うアビリティカード、フォントの色でどの東方キャラの能力なのか表現しているのですがちゃんと分かるようになってるでしょうか…
それと、たぶんモロの元ネタって饕餮ですよね。東方にもいますが