もしもカカロットが幻想郷に落ちていたら   作:ねっぷう

506 / 553
第506話 「Scatter」

モロはブロリーの気配を感じることが出来なかった。

 

(気を消していた?サザンカと同じく気配を隠す術か?)

 

いや、そのどちらでもない。強いて言えば当てはまるのは、ビルスと同じような雰囲気だということだ。つまり…

 

(ほぼ完全な神の気を得てきたのか)

 

今のブロリーは筋肉量と体躯、髪色や目つきは伝説の超サイヤ人と酷似している。だが、その髪は腰の後ろで揺れるほど長く、前髪も額の中央で左右に分かれ顔の横まで垂れ下がっている。

そして特筆すべきは、超サイヤ人ブルーよりもさらに上質となった神の気。

 

【ブロリーゴッド】

 

今まで伝説の超サイヤ人、超サイヤ人2、超サイヤ人ゴッドと様々な姿を披露し続けてきたブロリーだったが、ついに独自の進化を遂げた姿をこう名付けた。

 

「クハッ、すまんすまん、ナメてたぞ!お前がそこまでやれるヤツだとは思わなんだ!」

 

モロは大木に足を置いて垂直に着地し、ブロリーがいる方を見上げながら腕を振るって無数の斬撃を飛ばす。

切断された木々が音を立てて倒れていき、舞い散る木の葉をよく観察してブロリーの気配を探る。

 

ブォン!

 

落ちる木の葉の軌道が不自然になった瞬間、モロはさらに斬撃を放ってブロリーを切り刻まんとする。

しかし、ブロリーは既にモロの背後におり、腰の横へ回した両手の間に気弾を生成しぶつけようとしていた。

 

ドンッ

 

だがモロもまたそれに気付いており、ブロリーの目の前へと急接近。咄嗟に繰り出されたブロリーの拳を片腕で払い、頬へ拳を叩き込む。

ブロリーはモロの腕を掴み、肩に担ぐように捻って背負い投げを見せる。モロは咄嗟に地面に両手をついて受け身を取るが、すかさずブロリーは蹴りを放ちモロを空中へ打ち上げた。そこへ気弾を撃ち込み、爆発に晒されるモロは魔力の防御壁を張りダメージを軽減する。

そして爆炎が治まった瞬間、ブロリーは再度モロへ接近し防御壁へ一撃をぶつける。

 

バリンッ

 

「な…!」

 

容易く破られたことに驚きつつ、貫通してきた拳を受けたモロは顔を後ろへ逸らす。

が、手の平をブロリーへ向けて斬撃と刺突を混ぜ込んだ魔力の塊を放ち、正面からぶち込んでやる。

 

ズバッ ドスッ

 

胸に何本かの切り傷、肩に刺突による穴のような傷が出来るが、それもブロリーの強靭な皮膚と筋肉に阻まれて想定よりも深いダメージを与えられなかった。

 

(サザンカめ…アイツがいなければ容易に真っ二つにできたものを…)

 

サザンカへの苛立ちを募らせつつ、地面に手を添えてエネルギーを操作し、噴き上がらせてブロリーを足元から攻撃する。だが、噴出するエネルギーの中で緑色の光が見え、その瞬間特大のエネルギー砲が全てを押し退けながら迫ってきた。

 

「ぬうっ!」

 

それを両手で受け止めるモロだが、あまりの推進力を前に足がズリズリと地面を削って後退していってしまう。

ならば、とモロはエネルギー砲を止めている両手から斬撃を放つ。それはブロリーのエネルギーを切り開きながら進んでいき、彼の目の前に飛び出す。

 

「!?」

 

ブロリーは咄嗟に身を屈めてそれを避ける。そして、その隙に接近していたモロに脇腹を殴られ、首へ手刀を叩きつけられる。

 

「ぐ…!」

(ナメック星の時とは別次元のパワーとスピード…!本当にこれで弱体化しているのか!?)

 

弱体化している、と言えば聞こえはいいが、実際にはモロの力はビルス戦前、つまり一番フラットだった状態へ戻ったに過ぎない。それでも直後に受けたサザンカの打撃により多少は弱まっただろうが、それでも劇的にではない。ブロリーたちの想定ではこの時点でモロはナメック星時点くらいには弱体化し、ブロリー一人でも余裕で決着を付けられるはずだった。セブンスリーをここまで巧みに利用してくるとは思ってもいなかったのだ。

 

「ふん、オレが破壊神に勝ったとしてもだいぶ削られるはずだ、とも思っていたのだろうが…残念だったなぁ」

 

モロはブロリーを蹴り飛ばし、ブロリーは受け身を取って着地しながらその掌に巨大なエネルギーを溜めこむ。一瞬、周辺全体が緑色に染まり、それが急激に収束し手の中に小さく凝縮された気弾が生成させる。

が、モロはブロリーの腕を引っ張って気弾の生成を中断させ、顔面に殴打をぶつける。ブロリーは口元を拭いながら後ろへ下がる。

 

(お前の強みは分かっている。多彩な攻撃手段でも一撃の重さでもなく、その無尽蔵のエネルギーからなる爆発と破壊力!大技を撃たせるタメは作らせない!)

 

ブロリーは再び遠距離から気弾を放とうとするが、モロも手の平から魔力の柱を放出し攻撃を妨害。そして空間を指先でなぞるとその軌道に沿って斬撃が発生し、ブロリーの顔や腕を斬り付けた。

 

(なぜシロナとサザンカが肉弾戦メインで戦っていたのか分からないのか?オレとの距離が離れるほど、魔力での遠距離攻撃が飛んでくるからだ。隙は与えん)

 

両者は再び距離を詰め、互いに拳を撃ち合い激しい肉弾戦を繰り広げる。モロは腕の周りに斬撃を纏ったまま拳を放ち、ブロリーがそれを避けても付随する斬撃により傷を負ってしまう。

 

(…モロは脱落したサザンカがいつ復帰して『スピリットの強制分離』を当ててくるか警戒しているかもしれない。そして俺一人の相手に集中しているうちは…これも通用するか)

 

一旦後ろへ下がり、血が滴る顔をモロへ向けながら右手を後ろへ引いて構える。それを見たモロが刺突を放とうと上を上げた瞬間、ブロリーは一気にモロへ近寄る。

 

(何だ?)

 

ブロリーの狙いが読めず、困惑するモロ。対するブロリーはモロの腹へ拳の一撃。そしてその拳には一枚のアビリティカードが挟まれていた。

 

 

モロはシロナと戦っている時から考えていた。それは、いつサザンカの能力で出来たアビリティカードが出てくるか、という事だった。だが、それは既に意中の外だった。

何故なら、自身の魔力を分け与えた、サガンボ銀河強盗団の手下たち。彼らの行動や見たものはすべてモロに筒抜けている。モロはミザ達が喰らったサザンカのアビリティカード『スピリットの強制分離』を把握しており、なおかつシロナの使うカードは1種類1枚限り(その縛りにより効果を底上げしていた)であることも見抜いていた。だからこそ、ミザがサザンカのカードをスカッシュに使われた時点で、それを警戒する必要も無くなっていた。

 

 

(ここへきて…)

 

ブロリーが使ったカードはサザンカの能力のものではない。

 

破産するグラン・クリュ

 

(なんだ…これは…)

 

強制分離のように、喰らった瞬間意図せずエネルギーを吐いてしまうわけではない。喰らった瞬間、何故かブロリーに対してカウンターを撃ち込まなければと強く思い、至近距離からの魔力光線を発射する。

 

バヒュヒュ…

 

その魔力光線には、自分が吸収してきたエネルギーを乗せて発散しなければ、と何故か思ってしまい、それを実行してしまった。

 

 

 

 

 

「みんなにも1枚だけカードを配っておくね。いざって時に使って」

 

戦いの前、シロナはブロリーにも1枚のカードを手渡した。

 

「これは?」

 

シロナからアビリティカードの説明は受けていたが、今渡されたカードの絵柄だけではどんな能力か判別がつかなかった。

 

「とりあえず、サザンカの『スピリットの強制分離』モドキだと言っておくよ。サザンカの能力のカードはどうしてもスカッシュに使ってもらいたいからね」

 

シロナはそこで「あっ」と付け加える。

 

「でも使うタイミングには注意すること!これは相手に直接作用する系統の能力だから、相手の力量が高すぎると不発か大した効果が見込めない場合がある。だからサザンカの強制分離がじゅうぶん働いた後で『あと一押し!』って時に使うと良いかも」

 

 

 

 

 

そのカードは、対象に散財させるという効果を持つ。元は疫病神の能力で、憑りつかれた者は思考を操られ「とにかく財産を手放さなければ」と思い込み、それを実行してしまう。

当然、これを使われたモロにも散財を強制させ、吸収してきたエネルギーがモロにとっての「財産」だと認識されたことで、ただのカウンター一発に大量のエネルギーを込めてしまった。つまり、モロは散財してしまったのである。

 

バンッ!

 

エネルギーを減らされたモロは、己の行動に疑問を持ち硬直してしまい、ブロリーに気を溜める隙を与えてしまった。

 

「喰らえ、モロ」

 

ブロリーの全身に漲っている膨大な量の気を、たった一つの雫程度の大きさにまで凝縮した気弾。放たれたそれはモロの胸に命中し、その場で凄まじい気の爆発を起こし、吞み込んだ。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。