「落ち着いて、サザンカ」
ブロリーがモロと戦っている頃、蓄積したダメージにより限界が訪れていたサザンカの元へ、界王神の尽力によって戦える程度まで回復したシロナがやってきた。
不死鳥が描かれたカードを翳し、サザンカを回復させる。一気に楽になったサザンカはすぐに立ち上がり、モロがいる方向を睨む。
緑色の爆発の中心地からぶっ飛ばされたモロは全身から黒煙を発しながら地面を滑り、右手を地面についてブレーキをかける。
「ぐおおおッ…!やってくれたな…!」
モロは全身に火傷のような傷を負い、かつ左腕の手首から先が消し飛ばされていた。恐らくは左腕を犠牲にブロリーの一撃を耐えきったのだろう。
モロの顔は痛みと怒りに歪み、歯茎を剥き出し唸り声を上げる。
「次から次へと…!」
その時、モロの前に集結したのは地球側の最高戦力たち。ブロリーはもちろん、復帰したシロナとサザンカ、そしてハーツ。
彼らもこれまでの激闘により消耗している事には間違いないだろうが、それでも今のモロにとっては厄介極まりない。
「ブロリーさん!遠慮しなくていいから高火力の攻撃をばんばんぶち込んで!ハーツの引力操作で私とサザンカは絶対に回避してみせる!」
「ああ、任せてくれ!」
ブロリーが攻め、シロナとサザンカがそれをサポートしつつ先ほどと同様に力を削り、ハーツがブロリーの攻撃が仲間に当たらないようにする。
だが、勢いよく前に飛び出たはずのブロリーはその場に倒れ込んだ。
「はぁっ、はぁっ…!」
髪が黒髪に戻り、体つきも通常の姿に戻ってしまう。巨大な筋肉により押さえられていた傷口から出血が始まり、瞬く間に血だまりができる。
「ブロリーさん!?」
(クソ…ガス欠だ…メルスと修行して新しい力を得たのはいいもののまだ調整不足だった…)
邪悪な笑みを浮かべたモロがハーツの目の前に降り立ち、右腕を大きく振りかぶる。
(自分の傷も顧みず、このチャンスを見落とさず攻め気を失わないか…!)
次の瞬間、モロの魔力を込めた渾身の一撃がハーツに突き刺さった。ハーツは両腕を交差させ直撃は防いだものの、魔力が衝突したことによる衝撃波が腕を貫通し、未だに治りきっていない腹の大穴に響いた。
「ガハッ…!」
想像を絶する痛みに悶絶するハーツだが、指で空をなぞり引力操作でサザンカをモロの背後へ瞬間移動させる。そして、拳を横薙ぎに振るうサザンカだが、モロも超スピードで跳躍しそれを回避して見せる。
(サザンカの強制分離…確かにオレにとって致命的だが、当たらなければどうということはない)
そこへシロナが接近し、モロの右腕を下左腕で掴み、上左腕で殴る。モロは損傷した左腕でシロナの拳を止めるも両腕がふさがり、上下右腕で繰り出される連撃を脇腹に喰らった。
(シロナのカードも恐らくは使い切ったな。それかオレには効果が無いと判断したものしか残っていないのか)
モロは口を大きく開き、魔力の砲撃を吐き出してシロナを攻撃する。真正面から直撃を受けたシロナは煙を吹き上げながら吹っ飛ばされる。そこへ追撃の斬撃を飛ばし、命中するとシロナの鮮血が飛び散る。
モロの体が真横に引き寄せられ、そこへ迫るサザンカの飛び蹴り。だが、モロは魔力の刺突を何本も繰り出しサザンカの全身に突き刺し、そのまま押し出して弾き飛ばす。
そこへ立ち上がったハーツがモロに接近戦を仕掛ける。モロは足元に作用する超重力によって足運びを封じられ、ハーツの振り下ろした拳を魔力の壁で防いだ。そして、右腕で再度渾身のパンチ。
だが、ハーツも同じ手は食わない。腹の前にキューブを設置しダメージを軽減、そして不敵な笑みを浮かべるとそのキューブを爆発させた。
互いは反対方向へ吹っ飛ばされるもダメージは受けていない。モロは吹っ飛びながらも巨大な斬撃を飛ばし、ハーツの胸を大きく切り裂いた。そして、モロの飛んでいく先にはシロナとサザンカが待ち構えていた。
サザンカの拳がモロの側頭部を殴り、シロナの蹴りが肩に当たる。さらに、サザンカの追撃の拳が脇腹にめり込んだ。
(シロナはともかく、サザンカの打撃は未だに脅威だ。ブロリーが使ったあのカードの影響がデカすぎる…!)
「おぇぇえっ」
モロは嘔吐いてエネルギーを吐き出してしまい、それをまた呑み込んで取り戻そうとでも思ったのか両手で受け止めるが、エネルギーは手をすり抜けて消えてしまう。
いつの間にか、モロの顔にはいくつもの皺が刻まれ、顎には白い髭が生えていた。
(まずい…確実にエネルギーが減って老化してきている)
セブンスリーがまだ体内にいた時は、強制分離の影響がセブンスリーとの同調が阻害され肉体や魔力の操作が鈍るという形で表れていた。だがセブンスリーがもういない状態のモロは、影響が老化という形で表れていた。
斬撃と刺突、それらをばら撒いてシロナとサザンカを滅多切りにし、刺し傷を作る。が、二人は怯まずにモロに迫り、同時に顔面を蹴り付けた。
「ヂィッ」
モロは血混じりの唾を吐き、周辺の木々を魔力で引き抜くと先端を尖らせて射出する。シロナはそれを躱し続け、サザンカは木の一本を掴んで振り回し、モロへ返すかのようにぶん投げた。
それを斬撃で真っ二つにするモロだが、その死角にいつの間にか潜んでいたハーツのキューブを纏った拳が迫る。モロは寸前でそれに気付き、後ろへ素早く飛んで躱す。
「まだいたのか」
空を指でなぞりその軌道上に斬撃を飛ばし、ハーツの右手首から先が切り落とされ、宙を舞う。しかし、ハーツはそれを待っていたかのように再びモロへ接近し、片腕だけで肉弾戦を仕掛ける。
「何のつもりか知らんが、そろそろ死ぬか?」
モロの拳がハーツを殴り飛ばし、今度こそトドメの斬撃を放とうと狙いを定める。だが、ハーツはキューブを操作し、先ほど切り落とされた自らの右手を引き寄せてモロの太ももに接着する。
それと同時に発動したカードは、他ならないアビリティカードという存在の創造主、天弓千亦の能力だった。「所有権を失わせる能力」が籠ったそれは、モロが吸収してきたエネルギーを彼の所有物とみなし、その所有権を取り払う。
つまり、スピリットの強制分離や、散財させる能力のように、モロのエネルギーを乖離させたのだ。100%その力のみで構成された七色の光の柱が空から発生し、その中心にモロは囚われた。
(これは…!まだこんな能力が…!)
虹色の光に焼かれるモロはじわじわとさらに年老いた姿へと戻ってしまう。だが、モロは地面を踏み抜いて岩盤を隆起させ、それらを砕いて宙へ打ち上げ、影に入って降り注ぐ光から身を護る。
「ぜぇ…ぜぇ…」
モロは息を荒くし、疲弊した肉体を何とか回復させようとする。
だが、光の中にサザンカが突っ込んできてモロに襲いかかる。
(コイツだけ…という事はシロナもこの光の中には入ってこれないようだな)
モロはサザンカのパンチを避け、後ろから首へ腕を回してきつく締め上げる。
「ぐ…!」
「クックック…お前らのエネルギーを喰うことが出来ないのが本当に惜しいぞ」
このままサザンカを絞め殺そうとするモロであったが、視界の端にシロナが現れ思わずそちらへ目を向ける。
(光に焼かれるのも構わずここまで来たか!)
シロナの行動に、まさかと目を見開くモロ。その隙をついて脱出したサザンカの蹴りが腹にめり込み、背中に肘打ちの連打を喰らう。
既に彼の姿は脱獄直後と同じくらい老化が進んでおり、吸収してきたエネルギーもほとんど底をついている。
ようやく訪れた、完全なる勝機。この光が消える前に、何としてもここでモロにトドメを刺す!
「それでいい」
だが、モロは笑った。その直後、サザンカとシロナの体が意図せず勝手に浮かび上がる。どうやら、モロに付けられた斬撃や刺突の傷跡が何かに引っ張られているかのようだった。
「お前らは、飯を食う時…一度手を付けたものを喰わずに捨てられるか?」
虹色の光の柱は消えた。
ハーツと、そしていくらか気力を回復させたブロリーが戦いの決着を固唾を飲んで見守る。あの光の中で、全ての勝負がついているだろうと望みを抱く。
しかし
「ケヒッ」
小さく木霊する笑い声。
そこに立っていたのは…
「…最悪だ」
モロだった。背中を覆っていた体毛は超サイヤ人4のように深紅に染まり、その脇下からはもう一対の腕が生え、再び地球人らしい顔つきになりその額には4つの眼が、そしてその腹には、なんと大きな口が歯を見せて笑っていた。
原作では、モロはベジータの「スピリットの強制分離」でかなり消耗し、そこでセブンスリーを喰って力を取り戻しました。この時、一番フラットな状態のモロの力を100としたとき、恐らく20ほどまで減ってから100回復したので120くらいの力だったと思われます。
ですがこちらのモロは100の状態でセブンスリーのバックアップを解放したため200になり、この時点で原作モロよりはるかに強かったことになります。
そしてサザンカの「スピリットの強制分離」を受け続け100になった瞬間にセブンスリーを吐き出し、その後の一撃で90近くにダウン、ブロリーが使った女苑の散財させる能力のカードを受けて70程度まで落ち込み、千亦のカードや引き続きサザンカの攻撃を受けて今回のラスト直前の時点で落ち込み20程度まで下がっていたはずです。
そして、どういうわけかモロはそこからまた回復を果たしています…