第511話 「乗り込め!大魔界!」
モロの脅威が去ってから、ブロリーたちは残された爪痕を消すために奔走することとなった。
まず、ナメック星でモロに使われてしまった究極ドラゴンボールを探し始める。それにはブロリーとハーツ、そして彼らをサポートすべく銀河パトロールが総出で加わった。
ドラゴンレーダーも使って探しているが、としても一月ほどはかかるだろう。
そして、モロに食い荒らされた宇宙中の星々。生命エネルギーを吸い取られ尽くした星は「死」に、いつ破裂し周辺の星々を巻き込んでももおかしくないような危険な時限爆弾のような状態となって放置されている。
この現状に、界王神は思案していた。
そこで界王神は大界王及び東西南北の界王を集め、話し合いの場を設けることにした。
「今回集まって頂いたのは、他でもありません…星喰いのモロは討伐されましたが、その被害は深刻なものとして残っています」
界王神界にある屋敷の中にはシンの他に付き人のキビト、大界王、そして東西南北の界王が集められていた。
「ビルス様も療養中であり、今現在動けることのできる神々は我々のみです。そこで、今私の考えている解決策を提案します。その後、皆さんに助言を頂くか、他のより良い方法がないか聞きたいのです」
界王達も真剣な面持ちでシンの話に耳を傾ける。
「それは、大魔界のドラゴンボールを使ってモロに食い荒らされた宇宙を元に戻してもらおうと思うのです」
大魔界という言葉を聞いた途端、界王達はざわつき始める。その表情は明らかにそれを恐れ、忌避しているかのようだった。
「モロは死の間際、銀河パトロールに『大魔界へ行け』と伝えたそうです。それを聞いた私は大魔界にルーツを持つであろう種族、地球の神であるナメック人、ピッコロさんに尋ねると教えてくれました。かつてナメック人は大魔界からこの宇宙へ移り住んだ民族であり、元居た大魔界でもドラゴンボールを持っていたと」
ピッコロはドラゴンボールという存在に対して否定的な意見を持っている。地球の神として、そして最長老の記憶を継ぐ者としてドラゴンボールが争いの火種になると経験しているからだ。だが、それが正しいことのために使われるのであれば別だ。モロに荒らされた星々を元に戻す、それは正しい行いであると判断したのだ。
そして、かつて大魔界に住んでいたナメック人はドラゴンボールをひとりのナメック人と共に大魔界へ残してきた。ナメック星にあった7つのドラゴンボールは、それを模倣して作られたものである。
「異議なし。それだけモロが与えた打撃は大きいってことでしょ?はやく解決できるに越したことはない」
が、小柄で片眼鏡をかけた西の界王がそう言うと、他の界王や大界王も頷いて同意した。
「決まりですね。そこでなのですが、大魔界へ向かってドラゴンボールを集めてもらうのに適任だと思う者はいますか?私の知っている限りで実力を持ち、かつ信頼のおける者はモロの別の後始末に向かっているので厳しいでしょう」
シンの言う信頼のおける者は当然ブロリーたちの事だ。だがブロリーは究極ドラゴンボール探しの途中で、サザンカも学業があると断られており、シロナも寝たきり。
「あのー、界王神様、ひとつ提案があるのよね」
「何でしょう、大界王」
サングラスをかけたファンキーパンクなファッションの大界王が進言する。
「この際、大魔界へ向かう者は死人でもいいのん?もちろん、大界王星で修業することが許されているほどの英雄で、かつ申し分ない実力を兼ね備えている者に限るけどね」
「…そうですね、大界王星に招かれている者であればこれ以上ない信頼がおけるでしょう」
「でしたら適任がいるのよね。もう本当に血の気が多くて困ってまして、ええ…」
だが、そこまで話を聞いた北の界王は元々青い肌をさらに青ざめさせる。
「あの大界王様、その適任っていうのはもしかして…」
───大界王星
「はああッ!ちぇりゃあ!」
「フンッ!」
広大な武舞台状の修行場のあちこちで見えない何かがぶつかり合う。見物しているその他の戦士たちも固唾を飲んで様子を窺っている。
ガシィ!
そして、ぶつかり合っている両者が腕と腕をぶつけ、鍔迫り合いに突入する。その片割れ、魔人ウスターは相対する武道家パイクーハンをじわじわと押してゆく。
ドォン!
次の瞬間、気と気が弾け、両者は反発し合って後退する。が、すぐに空を蹴って飛び出すと再び熾烈なぶつかり合いを繰り広げる。
「やってるわねぇ」
「やってるなぁ。ウスターのヤツ、ここへ来た時から半年足らずであそこまで強くなるとはなぁ」
「よほど現世が物足りなかったのかしら」
それを見上げながら床に敷いた茣蓙の上でくつろいでいるのはあの博麗霊夢とカカロットだった。お茶をすすりながら試合の様子を暢気に眺めている。
「おーいたいた、おーいお前たち!話がある!」
と、そこへ北の界王が現れた。
──────
「それで、私とカカロットがその大魔界とやらに行かなきゃいけないの?」
北の界王は、霊夢とカカロットに事情を全て話し協力を申し出た。大魔界のドラゴンボールを集めてモロに荒らされた宇宙を元に戻してほしいということ。
「ああ、とっっっても不本意な事にな…界王神様を交えた会議で決まったことだから仕方がないのだ」
「なんで?」
「いいか、とにかく絶対に大魔界で問題など起こすんじゃないぞ!あそこはこの世ともあの世とも、そして宇宙とも全く異なる常識で成り立っている世界だ!そのバランスを崩すようなことは許されん!あくまでお前たちは“客”…!静かにお邪魔し、向こうのルールに遵ってドラゴンボールを集めるのだ、いいな!?」
「わ、わかったって…」
「それにしても、その大魔界にもドラゴンボールがあるのねぇ」
と、霊夢が尋ねた。
「わしも存在は知らなかったが…地球の神によればどうやらネバという凄まじい能力を持つナメック人が作ったらしいぞ」
「へえ~、強いのか?そのネバってやつ」
「どうだろうな。だがもし出会っても戦おうなんて考えるなよ、わしがさっき言ったことが大前提のルールだ」
「はいはい」
「おい、今大魔界の話をしていたか?」
そこへ、パイクーハンとの試合を終えたウスターがやって来てそう声をかけてきた。
「ええ、なんか私とカカロットでそこへ行けってさ」
「そういやぁウスターは魔界出身だったよな?」
「そうだが、俺のいた魔界は大魔界とは違う。もっと規模の小さい魔界だ…だが俺の魔界の創造主は恐らく大魔界から来たのだろうな」
ウスターの言う魔界は大魔界とはまた別の、かつて幻想郷とも繋がっていた異世界だ。その創造主である神綺は過去にガーリックやペペロンとともに魔凶星から来たとされているが、恐らくはその魔凶星が大魔界から来た星である可能性が高い。
「というか何故大魔界に?」
「なんかドラゴンボールが大魔界にもあって、それを集めてほしんだって」
「ほう…なら俺も同行する。お前らだけじゃ怪しまれるからな、一応魔界人である俺がいた方がいいだろ?」
ウスターもカカロットらと共に同行する意思を示した。
「…まあいいだろう。ただし再三言うようにくれぐれも問題は起こすなよ!」
3人は怪しいほどに気持ちいい笑顔で了承したのだった。界王様はどうしても不安がりつつも、大魔界へ行くために調達した特別製の宇宙船に案内するのだった。
「ほー、これが宇宙船か」
「意外と小さいのね?」
その宇宙船は3人で乗るにしては少し狭いように見え、カカロットやウスターが見たことのあるフリーザ軍やターレスの宇宙船とも構造が大きく違うように見えた。
一応宇宙船の操縦方法を知っているカカロットが運転しようと真っ先に乗り込むが、既に操縦席には何者かが座っていた。
「…来たか」
「お前、誰でぇ?」
そこにいたのは蒼い肌に白髪、尖った耳を持つ青年だった。
「すまんすまん、言い忘れておった」
と、界王様が船の外から話しかけた。
「その少年はグロリオ、大魔界からわざわざお主らを出迎えに来てくれたんじゃ!界王神様がどうにかして大魔界への道を探っていたところ、そのグロリオの方から現れてな…」
「そういうわけだ」
界王様の紹介を肯定するグロリオ。どうやら彼は直接界王神の元へ現れ、大魔界への案内役を買って出てくれたらしい。
「へぇ、んじゃお邪魔しまーす」
カカロットがそう言い乗り込むと、続けて霊夢とウスターも狭い中へ強引に詰めて入ってくる。
「おい、3人も来るなんて聞いていないぞ…!」
が、ウスターは腕を組んで座ったままグロリオを睨む。
「荷物も持たないしギリギリ詰めれば…ホラ乗れただろう。それとも他に都合の悪い事でも?」
言い返そうとするグロリオだったが、ふとウスターの耳が尖っていることに気付く。
「アンタ…魔界の人間だったか。なら、まあ構わないか」
仕方なくグロリオは三人とも乗せることにし、宇宙船を発進させた。ふらつきながらも浮かび上がった宇宙船は表面を発光させ、次の瞬間には目にも止まらぬ速度で飛び去ってゆく。
「いいか!大魔界のドラゴンボールを集めて宇宙を元通りにするんじゃぞ!!…頼むから問題ごとは起こさないでくれよ~」
今、元気な死人3人組の大魔界での冒険が始まったのだった。
と、いうわけで大魔界編スタートです。といっても、モロ編のおまけみたいなものなのでパパッと終わらせて本筋の方を進めたいと思っています。