もしもカカロットが幻想郷に落ちていたら   作:ねっぷう

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遅くなりました


第512話 「スタート!大魔界の大冒険!」

「いや~…ここが大魔界か~」

 

「テンション上がるわね」

 

カカロット、霊夢、ウスター、そしてグロリオは大魔界へと到着し、狭い飛行機(宇宙での移動にも使えるというだけで本来の用途は飛行機だぞ!)の中から大魔界の景色を眺めていた。茶色い地平線に紫色の空が広がる不思議な世界。

耳が尖った魔人たちの棲む異世界であり、空には大陸や島々が浮かび上がり、他にも翼竜のようなドラゴンや巨大な鳥がけたたましい鳴き声を上げている。

 

 

それは大魔界へ入る時…

グロリオは飛行機であの世の空を飛び、やがて超巨大な銀色の金魚のような生命体の元へ辿り着く。

 

「暗証番号を言え!」

 

この生命体はワープ様と呼ばれているらしく、その身体が大魔界と外界への出入り口となっていて、通るには事前に申請し暗証番号を獲得するなどしなければならず、勝手な出入りは制限されているようだ。

 

「グリンド人は知らなかっただろうが、彼らがいた時代とは大きく違う。だからオレが迎えに来なければお前たちは大魔界へ来ることすら出来なかった」

 

グロリオはワープ様の口から体内へと侵入しながらそう言った。

 

「グリンド人?」

 

霊夢が聞き覚えの無い単語を聞き返す。

 

「大魔界には多様な人種がひしめいている。界王神や界王はそのうちのグリンド人と呼ばれる種族だ…昔は多くが大魔界に住んでいたが、ほとんどが外の宇宙へ旅立った」

 

「へえ、じゃあ界王様や大界王のじいさんも元々は大魔界に住んでいたってことか」

 

 

その後は大変だった。宇宙船は中継地点へと運ばれるのだが、その際の揺れと回転が凄まじかった。中継地点には小ワープ様がおり、恐らくはワープ様の本体と思われる者が大魔界へ送ってくれる。

カカロットたちはこうして大魔界へとたどり着いたのだ。

 

「今日はもう日が暮れそうだ…明日、第3魔界のタマガミへ勝負を挑みに行く」

 

「第3…ってことは大魔界っていくつかあるの?」

 

「ああ。大魔界は3層の魔界で構成されていて、ここは一番下の第3魔界。中層には第2魔界、そして上層は第1魔界だ。ドラゴンボールもそれぞれの層にひとつずつあって、タマガミと呼ばれる守護神が守っているんだ。第3魔界で活動するなら、カダン王へ話をしておいた方がいい」

 

「なぁるほどね。それにしてもタマガミ…幻想郷のドラゴンボールも賢者が持ってたし似たような感じかしら」

 

「タマガミってのは強いのか?ソイツと戦えば貰えるってことかよ?」

 

「そう言う事だ。だがタマガミは強い。今まで勝てた者はひとりもいないらしい。魔王ダーブラでさえ第3魔界のタマガミには勝てなかったほどだ」

 

「ダーブラ…」

 

その名を聞いたウスターは顔をしかめ、そんな話をしながら、一行は眼下に見えた街へ降り立った。宇宙船を停め、治安の悪そうな街並みを堂々とした態度で進んでゆく。

そして、グロリオはとある宿屋で交渉して部屋を取り、その後腹ごしらえに近場にあったバーへ立ち寄った。

 

「何にしやす?」

 

バーの店員がふてぶてしくそう尋ねると、グロリオが口を開く。

 

「全員にハンバーガーを」

 

「あ、俺はそれ7個くれ」

 

カカロットだけがハンバーガーを7個も注文し、店員は準備に取り掛かる。その間、ドリンクを飲んで過ごしていた一行だが、グロリオはどうも周囲のならず者たちがこちらの様子を窺っていることが気になるようだ。

 

「おまち」

 

運ばれてきたハンバーガーは色味も悪く肉の色は得体の知れない黒色だったが、それでもいい匂いがするので一行は迷わず齧りついた。

 

「ん~、結構おいしいわね」

 

「確かに、魔界の飯も結構イケるな~」

 

「ああ、何の肉だろうな」

 

「…聞かない方がいい」

 

味も悪くなかった。

 

「おいお前ら」

 

と、その時、大柄で太ったならず者の一人がカカロットたちに声をかけた。

 

「耳が丸いヤツらがいるな…魔界の人間じゃねえんじゃないのか?」

 

そう因縁を吹っかけてくるが、カカロットと霊夢は無視して黙々とハンバーガーを食べている。

 

「食事中だ、失せろ」

 

見かねたグロリオがそう言い返すと、さらに数人のならず者が机に押しかけてくる。

 

「なんだお前、随分と態度がでけぇじゃねぇか」

 

「…失せろと言ったのが聞こえないのか?」

 

ならず者もムカッとした表情を見せ、グロリオもすぐにでも反撃に出られるように椅子を引く。だがしかし、カカロットがそれを止めた。

 

「まあまあグロリオ、気にするなよ。お前ら腹減ってるのか?ならこれやるからお前らも食えよ」

 

カカロットは何ともないような態度でそう言い、ハンバーガーが乗った皿をならず者へ差し出した。ならず者は困惑しながらもカカロットを睨み、その胸ぐらをつかむ。

 

「テ、テメェ!ナめてんのか…」

 

「いいから座れってホラ!」

 

カカロットはならず者の肩に手を置くと、とんでもない力をかけていとも容易くそのならず者をその場にしゃがませた。何が何だかわかっていないならず者の口にハンバーガーを押し込んでやる。

 

「もがが」

 

「おい!ここの全員に酒とハンバーガーを食わせてやれ!」

 

カカロットがカウンターにそう叫ぶと、店員は慌てて準備に取り掛かる。

 

「お前らも食えよ。話しようぜ」

 

 

 

1時間後

 

 

 

「ギャハハハハハハ!!」

 

「カカロットも冗談がうまいぜ!その頭の上の輪っかは死人だからついてるだって!?」

 

「はははは!嘘じゃねぇってのに!」

 

さっきまで不気味で陰気なバーだった店内はいつの間にか賑やかな宴会場となり、笑い声が絶えなかった。霊夢も既に酔っ払い、カウンターの机の上で上機嫌に踊ってしまっている。ウスターも満更でもないような様子で、話しかけてくるならず者に何かを指南しているように見える。

そんな様子に面食らいながら、グロリオはジュースを一口飲んだ。

 

「おい兄ちゃん!さっきは突っかかって悪かったな!」

 

「ああ、いや…」

 

先ほど最初に絡んできたならず者がグロリオの隣に座りながら上機嫌で謝ってきた。

 

「お前も第3魔界の出身らしいじゃねーか!身なりが良かったんでいけ好かない第2か第1のヤツかと思ったんだ、お前も苦労してなり上がったんだろ?」

 

「まあ、な…」

 

 

「お前らありがとなあ!今日は楽しかったぜ~!」

 

「こっちこそ楽しかったぜカカロット!お代は俺達が割り勘して払っとくから気にすんな!また来てくれよな!」

 

夜も更け、バーを後にするカカロットたち。後ろからすっかり仲良くなったならず者たちが手を振って見送っている。カカロットは酔っ払ってぐったりとしている霊夢を肩に担いでウスターとグロリオと共に取った宿へと帰ってゆく。

 

「おいカカロット、よくあの場を穏便に済ませられたな」

 

「ん?ああ、だって界王様に問題は起こすなって言われてただろ?」

 

「まあ、確かにそうだが…なるほどな、地底の旧都とやらに住んでいたお前ならあの程度のならず者どもの相手も慣れたものか」

 

「勇儀がやっていたようにやっただけだけどな」

 

グロリオは、カカロットとウスターの会話を聞きながら、酒の回った頭で考えた。このカカロットという男は不思議な存在だ。一見その闘気は獣のように荒々しい凶暴性を秘めているように感じるが、意外と理知的で話し好きであると思った。

一行は宿にたどり着くと部屋に入り、そのままぐっすりと眠った。

 

 

 

次の日…

 

宿を後にしたカカロットたちは再びグロリオの飛行船に乗り込み、カダン王が住むというカダン城へ向けて出発した。

しばらく魔界の空を飛んでいると、カカロットが口を開いた。

 

「なあ、これもしかすると自分で空飛んでった方が早いんじゃないか?」

 

が、グロリオがそれに返す。

 

「いや、第3魔界はそこら中にある火山から発せられるガスによって空気が重たい。人体に害はないが重くねっとりしていて、長く飛ぶのは厳しい…エネルギーの消費が激しく疲れやすいんだ」

 

「ふーん…」

 

グロリオの言う通り、第3魔界に充満している火山ガスは人の動きだけでなく飛び道具や飛行機の動きさえも遅くする。ガスの濃度が高いほど空気が重くなるが、重力に影響があるわけではなく、人体に害も無い。

飛行船の速度はカカロットたちからすれば非常に遅いが、グロリオが言うには生身で飛んでも同じようなスピードだし、疲れない分飛行機の方が楽とのこと。

 

しかし、その時だった。

 

グアアアッ!!

 

「え、何?」

 

突然轟音と共に飛行機が激しく揺れる。霊夢は外の様子を探ろうにも、ギュウギュウで狭いため外を見ることが出来ない。

 

「グロリオ!」

 

カカロットがそう呼ぶと、グロリオは焦った表情を浮かべていた。

 

「バカな…何故…!暗黒の海から遥か上空を飛行しているのに…!」

 

何かただ事ではない様子を察知したカカロットは、飛行船のドアを開け、そのまま屋根の上に登った。

眼下には真っ黒い闇に満たされた奈落が広がっており、転々と小さな岩が浮かんでいるだけだ。これがグロリオの言う暗黒の海というものだろう。そして、その闇の中に潜んでいたと思われる翼を持つ細長い魚のような巨大な魔物が飛行機の下にいた。

 

「お前か」

 

カカロットの声に気付いた魔物は彼をギロッと睨み、飛行機の隙間から一気に飛びあがり、カカロットへ襲い掛かる。だがカカロットは軽々とジャンプしそれを避け、そのまま飛行機から飛び降りてしまう。

 

「お、おい!暗黒の海は魔界の底の底…落ちれば助からないんだぞ!?」

 

恐らくは魔物の注意を引くためなのだろうが、ダイナミックな行動に出たカカロットへ思わずそう叫ぶグロリオ。さらに、この第3魔界の重い空気の中では舞空術も上手く使えない。

だが、落ちゆくカカロットは…笑っていた。

 

「グオオオオッ!」

 

魔物は叫び、翼で大きく羽ばたいてカカロットを追う。その際の風圧が飛行機を大きく揺らした。

カカロットは大口を開けて向かってくる魔物の上顎を蹴って踏み台にし、上へと跳躍する。魔物は途中で踵を返し、今度は下から突き上げる形で突進を仕掛けてくる。

が、カカロットは全身に紫色のオーラを纏い、それを噴いて推進力を高め一気に降下し、向かってくる魔物を頭突きで押し返して見せた。

 

「やった!」

 

その様子を見ていた霊夢はそう言ってガッツポーズをとるが、グロリオはここからカカロットがどうするのか気が気でない様子。だが、そこで同じく下を見ていたウスターが動いた。

 

パシッ

 

ウスターは自分自身の体から分離させて自在に操ることができるオーラの腕を使い、カカロットの体をキャッチした。そのまま飛行機まで引き寄せ、カカロットは無事に戻ってくることが出来た。

 

「ありがとな、ウスター」

 

「ふん」

 

グロリオはカカロットの実力だけでなく、言葉を交わさずとも全てが通じ合っていたかのような連携を見せるこの3人に驚嘆したのだった。

 

ガクン

 

「ん?」

 

しかしその直後、飛行機が一瞬だけ大きく揺れた。またさっきの魔物かと思ったが、どうやら様子が違う。

 

「なんだコイツ!」

 

目の前には、全身が刺々しい甲殻に覆われた巨大な四足のドラゴンが迫っていた。先ほどの魔物など文字通り足元に及ばないぐらいの巨体で、暗黒の海に浮かぶ岩を足場にして鎌首をもたげ、今にもこちらへ喰らい付こうと大口を開けている。

 

「暗黒の海に近付いた物しか襲わないはずのさっきの魔物はコイツに追い立てられていたのか…!」

 

「こ、こりゃ流石にまずいなぁ」

 

カカロットがそう言うと、次の瞬間にはドラゴンが飛行機に噛みついた。並んだ牙が装甲に突き刺さり、咬合力によって見る間に潰れていく。

 

「チッ!」

 

ウスターは咄嗟にオーラの手を操り、グロリオと自分も含めた4名を掴む。そしてオーラの手を射出し、飛行機がバラバラに噛み砕かれる寸前で何とか退避できた。

 

「危なかったわね~」

 

霊夢はそう言いながら、噛み砕かれた飛行機の残骸と共に暗黒の海の深くへ消えていくドラゴンを見た。

 

 

始まったばかりでこの始末。はてさて、この先どうなりますことやら。

 

 




【現在公開可能な情報】
本作独自の設定
・あの世、つまり界王界にもワープ様が存在する
・暗黒の海にはDAIMAには登場しなかったより凶悪な魔物が潜んでいる
本作での相違点
・ダーブラが大魔王として健在
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