もしもカカロットが幻想郷に落ちていたら   作:ねっぷう

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第517話 「凄絶!地を揺るがす激闘!」

ついに相対したカカロットとタマガミ。霊夢、ウスター、グロリオ、パンジが見守る中、両者は向かい合った。遠く離れたところにある岩山の隙間からはバルフートが戦いを観察しようとしている。

 

「オレは!タマガミ・ナンバー・スリー!!ドラゴンボールが欲しいのか!?」

 

タマガミは身を屈めて威圧するようにカカロットに問いかける。ビリビリと響くような大声に乗せられた強大な気に晒されたカカロットは思わず口角を吊り上げて言う。

 

「よこせ」

 

「ぬううううううう!!ハアッ!!」

 

言葉を聞き届けたタマガミは巨大なハンマーを振り上げて戦闘態勢に入り、カカロットも構えたのを見るとそれを戦闘開始のゴングとして一気に前方へ飛び出しハンマーを振り下ろした。

 

ドゴッ!

 

それを難なく飛んで躱すカカロット。彼がいた地面へハンマーがめり込み、窪んだ大きな穴が開く。そして、タマガミはさらにカカロットを追いかけながら何度もハンマーを叩きつける。

その度にカカロットは後ろへ飛んで避け続け、ハンマーの衝撃によって地面の土塊が宙へ舞い上がっているのを見るとそれを足場にして蹴り、勢いよく飛んでタマガミに殴りかかる。

 

「ふっ」

 

タマガミは巨大な三本指の手でそれを防ぎ、地面へ置いたハンマーの柄を軸にして軽い身ごなしで一回転しカカロットを蹴り飛ばす。そして、ハンマーをぶん回して投げ飛ばし、カカロットを狙う。

 

「おっと」

 

気付いたカカロットは飛んでくるハンマーに激突するも、ハンマーと同じ速度で後ろへ移動し衝撃を軽減し、ハンマーを飛び越えてタマガミに迫る。だが、タマガミは赤い眼を光らせると何かを引き寄せる動作を取り、投げたはずのハンマーの軌道を変えて自分の方へ引き寄せる。

 

ガァン!

 

カカロットの背中にハンマーが直撃し、彼はそのままタマガミの元へ押し込まれる。待ってましたと言わんばかりに拳を構えるタマガミだが…

 

「もーらった~」

 

パシッ

 

「!?」

 

カカロットはタマガミのハンマーの柄を掴み、そのまま奪い取って振り上げる。タマガミはハンマーを取り返そうとその軌道を縦横無尽に操作しカカロットを振り払おうとするが、その時カカロットの体から赤いオーラが激しく噴き出し、そのパワーとスピードが桁違いに上昇する。

その場に踏み止まり、離れようとするハンマーを力づくでコントロールして振るい、タマガミの顔面へ叩き付けた。

 

ゴキィン!

 

タマガミは上体を逸らしながらも踏ん張るが、カカロットは邪悪に口元を吊り上げたまま何度も何度もハンマーを叩きつける。

 

ガンガンガンガンガンガン…

 

仰け反ったまま足の力だけで耐えていたタマガミだがやがて力負けし、背中から地面へ倒れ込み、その際に陥没した地面へハンマーごと深く埋まってしまう。

 

 

「出た…カカロットの地底式喧嘩殺法…」

 

「なにそれ?」

 

頭を抱えてため息交じりにそう言った霊夢に、パンジがきょとんとして問いかける。

 

「アイツの育った場所が場所だから…大界王星ではやけにずーっと大人しいと思ってたら、やっぱいろいろ溜めてたのね…」

 

 

(そうさ!大界王星じゃあ戦う奴ら全員上品な武人や英雄ばっかだ!こんな戦い方で相手しちゃあシラけちまうからな…久々にアイツらの目が無いトコで戦うんだ…ちっとは暴れさせてくれよ!!)

 

カカロットはフリーザとの戦いによる死後、宇宙を救った英雄として大界王星へ招待された。そこでは過去の偉人や武人、同じく宇宙や星を救った英雄たちが彼らの満足するまで、あるいは輪廻転生までの長い猶予を過ごすため鍛錬を続けていた。

カカロットも彼らと交流を持ち、試合を通じて死人でありながら肉体を持っているのでどんどん強くなったが、大界王星にいる英雄たちは明快で高潔であり、試合や組み手を好み命の取り合い(もう死んでいるが)や、泥臭い喧嘩のような戦いはどうも好んでいなかった。

それに従って彼らと同じ方法で交流していたカカロットだったが、彼の場合は幼少期を過ごした幻想郷の地底世界流の戦い方が身に沁みついており、それを発揮できない事を無意識にストレスに感じていた。

 

「ぬうっ!!」

 

タマガミはガバッと起き上がりつつ衝撃波を放ち、カカロットを吹っ飛ばす。しかし、カカロットはハンマーを手放さず、それを振りかぶりながらタマガミへ迫る。

今度は一撃を片手で受け止めるタマガミだが、巨大なハンマーの死角から出てきたカカロットの蹴りを膝へ喰らいバランスを崩し、後頭部へ踵落としを喰らう。が、タマガミは微動だにせずに静かに裏拳を繰り出し、カカロットは顔面スレスレでそれを躱し、距離を取る。

 

「やるな」

 

タマガミは奪い返したハンマーを構えなおし、不敵な笑みを崩さないカカロットと熾烈な攻防戦を繰り広げる。

だがこのタマガミという相手は、今のカカロットの力だけを見ている。戦い方ではなく、力量だけを推し量っているのだ。だからこそカカロットは思うがままに伸び伸びと力を発揮できる。

 

 

タマガミが戦い始めたことに気付いたのか、今まで姿も見えなかった集落の住民たちが続々と見物に集まってきている。

 

「すごい!ダーブラでさえ敵わなかったタマガミとやり合えてるよ!」

 

パンジが興奮気味に声を出し、霊夢は黙って頷いている。グロリオも少し驚きの混じった表情でタマガミと戦うカカロットを見つめており、そこへウスターが歩み寄りグロリオの肩に手を置き、耳元に口を近付ける。

 

「よく見て覚えておけ。お前とお前のボスが喧嘩を売ろうとしているのは、アレだ」

 

自分の正体を既に見破っているかのようなウスターの言葉にグロリオは一瞬だけ目を見開き、冷や汗を垂らしながら戦いを見続ける。

 

 

「ぬあっ!」

 

タマガミは地面をすくい上げるようにハンマーを下から振るい、地中の岩石を撃ち出してカカロットを狙う。すかさず拳の連打で岩を砕き、その粉塵の向こうで跳び上がった影を追うカカロット。

案の定姿を現したタマガミに向かって、開いた手を振りかざす。すると、込められていた気が炎になって噴き出し、タマガミの視界を奪う。

 

「!?」

 

 

「あれは…?」

 

「懐かしいわね!妹紅の技か!」

 

カカロットが初めて師事した藤原妹紅。その火炎を操る技術はその時に習得済み。

 

 

カカロットはすかさず右拳に気を込め、界王拳のパワーを一点集中させる。それに気付いたタマガミはハンマーを振り上げ、迎え撃つ構えを取った。

だが炎の目隠しの所為で一足遅かった。カカロットは既に拳を繰り出しており、タマガミも渾身の一撃を叩き降ろしたものの…反応が遅れて力を載せきれなかったことが仇となり、カカロットの拳によってハンマーが砕かれた。

 

バキィィィ…ン…!!

 

重たい破片が飛び散って地面へ落ち、タマガミはへし折れた柄を眺め、投げ捨てた。

 

「やっとフェアだな」

 

タマガミはカカロットのその言葉を聞いて面食らうも少しだけ口元に笑みを浮かべ、右腕を前に突き出し素手での格闘の構えを取った。

カカロットもグッと両拳を握って少し腕を上げて構え、全身の気を昂らせる。界王拳の赤いオーラが消え、代わりに金色の光が溢れ出し、瞳が緑色に代わる。

カカロットを中心に、気の波動によって地面が凹み削られていくが、タマガミの後ろ側だけは全く地面が変化していない。

 

ドッ

 

次の瞬間、カカロットの拳とタマガミの拳がぶつかり合った。緑色と金色の衝撃波が発生し、周辺の木々を揺らし小石を吹き飛ばす。

反発し合って後退した両者は無数の気弾を撃ちあい、ぶつけながら螺旋を描くように旋回し上空へ舞い上がる。

だがタマガミが押されていき、ついにカカロットの気弾がタマガミに当たる。軽い爆発と共に下方へ吹っ飛ばされるタマガミだが、いつの間にか背後で蹴りを構えていたカカロットに気付いて振り返りつつ腕を突き出し、大きな手で彼の胴体を掴みつつ空中で回転し、勢いをつけて地面へ叩きつけた。

 

ドォン!!

 

そのまま手の平から念力を放ち、0距離でカカロットにぶつける。

 

「ぐお…!」

 

一瞬苦し気に咳込むカカロットだが、すぐに顔に好戦的な笑みが戻り、タマガミの腕にしがみつき足を回し、腕菱木十字固めの要領で固定し締め上げる。

 

「お返しだ…!」

 

腕を締め上げ密着したまま掌をタマガミへ向け、その顔面へ無数の気弾を連続でぶち込む。

 

ドドドドドドド…

 

だが、タマガミはその爆熱に耐えながら反対の手を伸ばし、カカロットを掴もうとする。カカロットも咄嗟に手を放して躱すも、タマガミの気弾が直撃し吹っ飛ぶ。

 

ザッ ドゴッ

 

受け身を取って着地した瞬間、タマガミの飛び蹴りが迫るが、スレスレで躱しつつカウンターキックを喰らわせる。

それから再び両者の攻防が続くが、黄金の軌跡を描きながら縦横無尽にフィールドを駆けるカカロットに翻弄されるタマガミ。タマガミからの攻撃は当たらず、カカロットの攻撃は当たりじわじわと効いてくる。

 

「ぬううう!!デヤアッ!!」

 

埒が明かないと感じたタマガミは赤く輝くエネルギー球を生成し、それを放つ。気弾の連打とは比べ物にならない速度と威力が秘められ、カカロットが避けた後の地面や岩に着弾するたびにとてつもない閃光と爆風と発生させている。

その余波がギャラリーにも及びそうになったので、霊夢は見物人たちを囲うよう全域に結界を張ってやった。

 

ギュン…!

 

だが、カカロットはその全てを難なく躱し、間を潜り抜けながら一直線にタマガミへと迫っていた。

それを目の当たりにしたタマガミは首の後ろあたりから蒸気を吹き出し、その上半身が熱を帯びたかのように真っ赤に変色し、赤いガラスのような目は爛爛とした黄色に輝きだす。

 

「ぬああああああ…!!」

 

明らかに気が高まっている。その様子に流石のカカロットも躊躇し、一旦停止し後ろへ下がる。その間にもタマガミは高まった気を両手に込め、その両手を地面へ突いた。

 

ゴゴゴゴゴ… バキッ

 

地面へ流れ込んだ気が一帯へ迸り、亀裂を作って炸裂する。大地が撓み、崩壊し、陥没する。

 

「そこまでやるってんなら…いいぜ」

 

だが、カカロットが立っていた場所だけは崩れることなく地面が残り、まるでそこだけがせり上がっているようにも見える。そして、カカロットが広げた両手それぞれに虹色の光が灯り、グンと大きくなる。それを腰の横で突合せ、合体させてさらに大きくさせる。

大技が来る…そう呼んだタマガミも全力を放出したまま両手を前へ構え、巨大な赤い光弾を形成する。

 

ドウン

 

それを自身の体ほどまで巨大化させたタマガミはカカロットに対抗してそれを放とうとする。

 

 

ドグッ!!

 

いつの間にか高速で突っ込んできていたカカロットの蹴りがタマガミの手の平に命中しており、放とうと構えていたエネルギーが押し込められてしまった。突然最大級のエネルギーを体内へ戻されたタマガミは、暴発したエネルギーに悶絶しその場で硬直する。反して、カカロットは腰で構えたエネルギーを維持している。

 

「ぐ…!」

 

再度エネルギーを溜め込もうとするタマガミだが、またしてもカカロットの飛び蹴りによって妨害され、気弾が不発に終わってしまう。

カカロットは自分のエネルギーはどんどん大きくしながら、タマガミが気を溜めることを許さなかった。

 

「受けてみやがれ…!」

 

そして、タマガミが攻撃を諦め守りに徹しようと体の前で両手を構えた次の瞬間、カカロットが前へ突き出した両手から虹色の光が炸裂する。

 

「『華光玉』」

 

大威力の光の柱がタマガミの目の前…ド至近距離から伸び、叩きつけられる。巨大で重厚なタマガミの体が光の柱の先端に押し出され、ぐんぐん遠くへと消えていく。

 

ドォン!!

 

「ぐ…おおおおお…!!」

 

やがてタマガミと華光玉は大きな岩山にぶち当たり、タマガミはそれを利用し何とか踏ん張ると熱によって体が揺らぐほどのパワーを発揮し、華光玉を真上へ逸らして見せた。

しかし、それだけに全神経と全力を費やしてしまった事が仇となった。華光玉を逸らし終えた瞬間、息を置く間もなくカカロットの追撃がその腹部へめり込んだ。

 

「ごはアァッ…!?」

 

タマガミは眼を見開くほどの衝撃を体の中心へ与えられ、流石に膝をついて倒れ込む。

 

「どうしたよ?まだやれるんだろ?」

 

苦悶の表情で体を震わせながら地面に手をつき、ゆっくりと立ち上がりながら言った。

 

「いや、もう十分だ…認めてやる。お前の強さはよくわかった、これ以上やっても意味がない。…文句なしの合格だ」

 

タマガミはカカロットの強さを称賛するかのように小さく笑みを浮かべ、カカロットもそれに応える形で両者は互いの健闘を称え合うのだった。

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